仙台3-0福岡 久しぶりの完勝の味は格別

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終わってみれば、3-0完勝。

これ以上勝ち無しを積み重ねれば、チーム内外から不協和音が出かねない、本当の崖っぷちからの「生還」であった。

戦前のプレビューで、「別なベガルタをみせて欲しい」と締めくくったが、本当にその通りになった。7月・8月で僅か1勝だったチームの面影は、どこを探しても見当たらない。タッチ数の少ないパス・速いボールの展開・迷いの無い攻め上がり。そして、ボールを失っても諦めずに献身的にプレスをかけ、攻撃に繋げようという凄まじい執念。

これほどのプレーを、今季、見たことがあっただろうか?


確かに、ベスト布陣で臨めた事は大きい。4連休で充分な休養を取り、1節のお休みを挟んで、チームを立て直す事が出来たのも、要因となっただろう。

だが、そういう「物理的要因」だけで、この勝利を勝ち得たのだろうか。答えは、恐らく「ノー」だ。

全ては、アウェイ徳島戦直後の、岡山の叫びから始まった。

「福岡戦、絶対勝ってみせる。だから諦めずに応援して欲しい。絶対、来る(=勝てる)から!」

信じられるものは、その言葉しかなかった。いや、その言葉すら信じられないと疑問を持った人もいたかもしれない。無理もない、ここまで7戦未勝利なのだから。

今節の入場者数、10,423人。 今季、ワースト2位の入場者数である。(現在のところ、ワースト1位は6月25日の第22節、ロアッソ熊本戦)夏休み明けだったとは言え、あまりにも寂しい数字だった。だが、岡山の叫びを聞いた人を含め、諦めずに試合を見に来てくれた人たちに、無様な試合だけは見せられない。

そう思ったのも、無理ないだろう。

サポーター自由席に掲げられた、2つの弾幕。

     「3×12=昇格」
     「プロ=結果」

そして、メンバー紹介の時は選手個人のチャントを出さず、チームコールのみで、選手に想いを伝えようとした。勝って欲しい。昇格を信じて応援する。だから結果を出せ。

その想いが伝わる、弾幕と応援であった。

そしてチームは、その想いに答えるべく、ピッチ上で舞った。
前半4分。梁の豪快なシュートがポスト左隅ギリギリに決まる。1点先制ー。

しかし、喜び沸き立つサポーターの影で、選手やコーチ陣は、更に引き締まった顔を見せていた。

「まだだ。次の1点を取らなければ勝てない。」

その勝利への執念は、早い時間帯に結実する。前半19分。梁の右CKを、今季新加入のナジソンが渾身ヘッド。来日初ゴール。欲しかった2点目。喜びを爆発させ、監督の元へ飛び込むナジソン。ほぼ理想的な展開に、スタジアムは何時に無く歓喜の渦に包まれた。

しかし、簡単に勝たせてなるものかと、ここから福岡の逆襲が始まる。失点こそ続いていた福岡ではあるが、攻撃陣は好調で、ここ8試合で16得点。実に、1試合2得点のペースである。その攻撃をいなさなければ、2点先行など、無いに等しい。

だが、守備においても、今節の仙台は「別なチーム」に変貌していた。高めの最終ライン、セカンドボールへの積極的なアプローチ、体を張った守備。そして、GK林の身震いするような安定感。全てが、福岡の好調な攻撃陣を上回り、最後までまともな決定機を与えなかった。

そして、頑張ったチームに、最後の最後に「ご褒美」がもたらされる。後半ロスタイム、時間稼ぎをしつつも、なお攻撃の手を緩めずにペナルティエリア付近でチャンスを伺っていた梁の目先に、飛び込んできた千葉。梁からのバックパスを、そのまま思い切って足を振り抜く。いつもなら、相手DFに当たって跳ね返されてしまうのに、この時だけは違った。福岡DFの内股に当たり、角度の変わったシュートは、今度は福岡GKの目の前へ。そのボールすら、GKの内股に当たり、そのままネットイン。ピンボールを見ていたかのような不思議な軌道を残し、3点目の表示がスコアボードに点灯された。

3-0勝利。内容を伴っての完勝。

無失点での勝利は、それこそ、前回のホーム勝利であった、6月11日の横浜FC戦まで遡る。

この勝利がもたらした意味は、果てしなく大きい。数字の上では勝ち点+3だが、他の上位陣(広島除く)が尽く引き分け、2位・山形との勝ち点差が9に、3位・湘南との勝ち点差が3に縮まった。

だが、上位との勝ち点差以上に、勝利によってのみ味わえる「胸のすく想い」が、なんとも清清しかったのを覚えている。忘れかけていた、この感覚。リーグでは2ヶ月、ホームでは実に3ヶ月ぶりの味わいであった。

残り、11試合。正直言えば、全て勝利できる訳ではないだろうと思う。

しかし、大事なのは、「信じて戦う」「信じて応援する」事であり、諦めたらそこで終わりである事を、再認識させられた。

だが、試合数のアドバンテージがあるとは言え、2位・山形とは勝ち点差が9もある。残りの試合数を考えれば、まだまだ崖っぷちに近い事に変化は無い。だが、3位なら、随分と視界が広がってきたではないか。

まずは、3位を目指そう。正直、まだまだ他力本願なところは否めない。しかし、仙台同様、どのチームも、楽に勝ち星を伸ばせる状況には至っていない(広島除く)。

人事を尽くして、天命を待つー。

今は、目の前の「次の一勝」に集中しよう。勝利を積み重ねる事なくして、順位や勝ち点差を気にする意味などどこにも無い。3位に狙いを定めて試合に集中しているうちに、以外にも、2位の壁が低くなってくるかもしれないからだ。

ポイントは、2位・山形の今後3試合の対戦カードと、その後がお休みの節である事。

9月の対戦が終わった時、果たして仙台は、どのくらいの視界の位置に居られるのだろうか。少なくとも、それを期待させてくれるだけの内容と結果を、今節、見せてくれたはずである。

私たちの2008年は、まだ終わっていない。むしろ、ここからが「本当の出発点」ではないだろうか。

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