仙台2-2徳島 一度は逆転するも、徳島の「仙台対策と粘り」で追い縋られる。今季2試合目のドロー。

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連勝の慢心があった、とは思いたくない。

だが、こうして8試合ぶりに勝利を逃してみると、どこかにそういうものがあったのではないか?と考えたくもなる。勝利を逃した理由を分析してみれば、エリゼウが本当にフルスペックで機能できていたかどうかへの懸念とか、平瀬負傷によって前線の軸の1本を失ってしまった事とか、関口が微妙に噛み合っていなかったように見える事とか、いわゆる「ディテール」の部分では、いくらでも思い付く点はある。


だが、この試合で勝利を逃した理由を大局的な観点から見てみたとき、今の仙台が、まだ成長過程の途中なんだ、という事に気が付く。それは、「3点目を取りにいくのか、ゲームをコントロールして1失点のまま逃げ切るのか」の判断が、曖昧だった事にある。

試合に勝つために、前者を選択するのか。それとも後者を採るのか。それがはっきりしない様に見えた、後半キックオフから、2失点目を喫するまでの約15分間。結局は2失点を喫した事により、「3点目が必要」である事は明確に打ち出された格好となったが、そもそも「2失点」については、第7節のC大阪戦しか今季の経験を持たない仙台にとって、どこか「2点目までは取られないだろう」という慢心があったように思えてならない。

この試合、徳島は、明確に「仙台対策」を打ってきた。徳島の長身FW2枚(羽地185cm、佐藤184cm)にどんどんボールを放り込むサッカー。普通なら、試合終盤のパワープレーでやってきそうな展開。もちろん、時間帯に関係なく、そういう手段を取ってくるという事の理由は、ただ一つ。

「一刻も早く得点が欲しい」

その姿勢を、徳島は試合序盤から見せてきたのだった。前線に放り込んでボールを落とし、そこへ中盤が走り込んでチャンスメークする。そういう姿勢によって、仙台にペースを掴ませない事を狙ってきたのだ。

そして、その中盤の圧力に耐えきれず、関口が自陣ゴールラインに逃げ、これで与えたCKから、いきなり失点を喫した。

いつもなら、相手へのマークをしっかりと確認し、自由にヘッドを打たせないはずの仙台守備陣。だが、この時だけは、羽地をフリーにしてしまい、林でも防ぎきれないところへ、綺麗に押し込まれる。

前半3分。徳島、先制-。

これで目が覚めた仙台は、そこから持ち味の仙台パスサッカーを思い出し、ソアレスのホーム初得点、そして平瀬に代わって入った田中の頑張りから生まれた、ビューティフルな梁の逆転ゴールに繋げる。

前半、あっと言う間に試合をひっくり返した仙台。だが、これで「3点目も取れる」という慢心が生まれてしまったのか。後半の立ち上がりの仙台は、前半と同じように「仙台のサッカーをしよう」と思っていたに違いない。

また、気になったのは、

■手倉森監督(仙台):ハーフタイムコメント

・攻撃面、ボールを動かしながら、サイドのスペース、相手DF裏のスペースを使って攻撃していこう。
・守備面、セットプレー、相手DFからのロングボールに注意すること。

上記、ハーフタイムの監督のコメントをみると、攻撃面については具体的な指示を与えている事が判るが、失点については「注意」しか与えていない。

だが、あとから思えば、前半の早い時点で攻撃の重要ピースである平瀬が負傷で退いている状況を考慮し、攻撃よりも、まず守備(つまり失点へのケア)を最優先にするべきだったと思う。平瀬に代わって入った田中のアシストで梁が得点し、前半のうちに逆転できた事が、逆にチームに「イケイケムード/誰が出ても同じ様な試合ができる」という、ある種の慢心を生み出してしまったのかもしれない。

この試合の行方を決したのは、ハーフタイムの両監督の「指示の熱さ」だったようにも思われる。徳島の美濃部監督のコメントは、

■美濃部監督(徳島):ハーフタイムコメント

・相手DFラインの裏をもっと突いていこう!
・中盤同士の距離を短くし、サポートを速く!
・DFラインをずるずる下げるな。
・後半勝負だ!絶対勝とう!

というものだった。前半のうちに逆転された事によって、逆に攻撃性を強める指示のみ送っている。(公になっていないところで、守備に関する指示もあったのかもしれないが)

後半、相手はこちらに逆転された事によって、「より攻撃的に」くる事は予想できたはずだ。しかも相手は負傷者がいた訳でもなく、前線2枚ののFWのターゲットは健在。こちらは平瀬を欠いた状況。ソアレスがいるとは言え、「平瀬のいない後半」を、今までと同じように攻撃展開できるという思い込みが、徳島に付け入るスキを与えてしまったのだろう。

この試合、「後半開始時点で勝ち越ししていた+前線は既に平瀬を欠いていた+相手はロングボールを多用してきていた+ソアレスは健在だった」という状況の積み重ねから、有効と思われる手段は、

「こちらも意図的にロングボール+とことんソアレスに当てる」

である。相手がFW2枚にどんどんロングボールを入れる戦術なら、それを真っ向に受け止めず、相手と同じサッカーを敢えて選択して、ソアレスの威力をもっと有効活用すれば良かったようにも思える。

つまりは、「お互いがロングボールを打ち合う、詰まらないサッカー」である。とにかく、相手が放り込んできたボールを、徹底的に大きく跳ね返し、ソレアスにボールを追いかけさせるという、「仙台のサッカーを捨てる」作戦である。

本当にこの作戦が効いたかどうかは、やってみないと判らない。しかし手段はともかく、「平瀬を欠きながら逆転できた幸運」を活かさず、後半を、前半と同じように展開しようとしたのは、本当に正解だったのだろうか。

「7連勝+前半にうちに逆転」という状況が、「後半も仙台のサッカーを貫く」という判断を選択させたように思える。しかし、時には「仙台のサッカーを捨て、セーフティファーストで勝ちに拘る」という姿勢を選択する事も、必要なのではないだろうか。

GW期間中の「中2日で4連戦」は、日程の厳しさもあって、勝ち越し後はゲームを上手にコントロールする意識があり、連勝を重ねる事ができた。その中では、勝ち切るために、時間限定ながら仙台のサッカーを捨てる選択もしてきたはずだ。

久しぶりに中5日で迎えた今節、体力的にも充分だった事もあり、後半はそういった選択をとらず、「相手に研究されていたサッカーを貫こうとした」事が、勝利を逃した要因としか思えない。

日程が厳しかったGW期間中に連勝を重ねる事ができたのに、それが終わった途端、連勝が止まったのは、皮肉と言うほかない。やはり、連勝を維持するには、単純に自分たちのサッカーを貫くだけでは駄目なのだろう。

もっとも、関口が若干気持ちを空回りさせていた事や、エリゼウが決して万全でなかった事も要因ではあると思う。もちろん、いつもの「仙台サッカー」を貫いて、勝てたかもしれない。

だがこの引き分けによって、「勝利を積み重ねるために、常に色々な選択肢を用意し、勝つためにベストと思われる作戦を実行する」事の大切さを学んだようにも思われる。

2年目の手倉森体制。チームに「強さ」という筋肉が付いてきている事は実感しているが、「強かさ」という神経については、まだまだ未熟だ。そういう意味では、やはり「まだ若いチーム」である。

ただ、そういう「若いチームの成長」を愉しみにしながら応援している事も、また事実だ。

あと2試合で第一クールも終わり、いよいよ二巡目が始まる。こういうタイミングで連勝が止まり、勝ち切れなかった事に対する「課題」を目の当たりにできた事は、ある意味、幸運である。なぜなら、厳しい夏場を含む第二クールこそが、J1への挑戦という「昇格試験」の本試験であり、それに向けて受けた「予備試験」において、引き分けを喫するという失敗体験を経験できたからだ。

ここで、自らに足りない何かを再確認し、第二クールに臨む事ができる。そんな気がしてならない。

試合に負けた訳ではないのだ。落ち込む必要はない。勝ち点1を積み上げた事により、4位・甲府との勝ち点差を4と拡げ、しかも首位との勝ち点差を3のまま維持する事ができたのだ。他運もあったが、それも含めてサッカーだ。

次節、アウェイ愛媛戦。まずは、平瀬の穴をどう埋めるのか。彼の穴を、彼で埋めるのか。それとも代役を立てるのか。或いはソアレス1トップなどの布陣変更を検討するのか。4-4-2のままで行くのか、それとも3ボランチを採用するのか。

こういう状況だからこそ、チームがどのようにこれを打開していくのか、非常に愉しみである。

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