仙台2-1横浜FC 課題だった「後半立ち上がり」の修正に成功。相手のミス・負傷・低精度に助けられながらも、仙台らしい2ゴールで第一クール最終戦を勝利で締めくくる。

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クラブ初の「福島・あづま陸上競技場開催」となった今節は、強風/90分の計時なし/スコアボードが黒板/芝生席中心と、まるでサテライトかJFLの試合か?と思わせるような雰囲気の中で行われた。

7連勝のあと、徳島戦・愛媛戦の2試合を勝ち無しで推移。第一クール最終戦となる今節を勝利で締めくくるべく、ふんどしを締め直して臨む試合となった。その「締めるべき部分」とは、後半の立ち上がりの事。徳島戦・愛媛戦とともに、後半の立ち上がりの悪さから、せっかくのリードを勝利に結びつける事ができなかった。


愛媛戦の敗戦から、僅か中2日。根本的な対策を施すにはあまりにも時間がないため、あくまでも「勝つために、なすべきこと」を再確認して臨んだと思われる。その「なすべきこと」こそ、相手のペースで試合をさせないための、強気のポジショニングだった。

0-0となった前半。前半の試合の入り方は引き続き好調で、疲れが取れている仙台の選手は、持ち味の「仙台らしいパスサッカーと裏への飛び出し」を駆使し、横浜FCゴールを襲いにかかる。また、プレビューでこっそりと「先発出場そのものが見られれば失望」と書かせて頂いた、某・関口選手。連戦の疲労が決して抜け切ってはいなかっただろうが、今節は気持ちの切り替えもできていたらしく、一定のパフォーマンスは取り戻した様子だった。元々運動量には定評のある選手。周囲を上手に使う事さえ忘れなければ、多少パフォーマンスが下がっても、ペース配分などの工夫で連戦出場は可能なはずだ。それを忘れないで欲しい。

ただ、今後は「明らかに、先発を譲った方がいい」と思われるタイミングはあるはずだ。そういう時には、是非ともサブメンバーに先発を譲ってあげたい。今節、終了間際に出場を果たした西山なんか、関口や梁のバックアッパーとして、充分に面白い存在である事を再確認させてくれた。

前半に話を戻すと、やたらとソアレスのオフサイドが目立つ展開。これは後半の交代退場まで続くのだが、この試合通して9本取られたオフサイドのうち、半分は認められてもいいじゃないか、と思いたくなるような、焦れったい展開となった。また、先発復帰の朴柱成が、左サイドからエリア内に持ち込む面白い展開も散見。

逆に、横浜FCの前半。あまりこちらのゴールを襲われないなぁ、怖くないなぁと思っていたが、あとで記録をみれば、横浜FCの前半のシュートは0本。なるほど、怖くなかったはずだ。

もっともこれは、横浜FCから移籍してきたエリゼウの奮起によるものや、横浜FCの「フィニッシュまで持ち込むプレーの精度の低さ」に助けられた事も要因。全部が全部、完璧に実力でブロックできた訳ではないだろう。

更に、折からの風の影響により、ボールのコントロールにはお互い、やや手を焼いていた感も。ユアスタや宮スタのように、周囲を囲まれた構造でないため、本当の「吹きっさらし」な会場は、いつボールが軌道を変えるか、予測が付かない展開となった。

お互い、いつもと違う雰囲気と風の影響を受ける会場とあってか、フィニッシュまで持ち込むのに苦労する展開。仙台はソアレスが尽くオフサイドを取られ、また横浜FCは前線でのフィニッシュの形を作る前に、仙台の守備ブロックに引っかけられるという内容で推移。その結果、前半終了時点でのシュート数は、仙台が3:横浜FCが0という、非常に難しい展開であった。

そして迎えた後半。仙台としては、徳島戦・愛媛戦でリードで前半を終えていた展開よりも更に厳しい、0-0という状況で、課題の「後半の立ち上がり」に挑む事に。

だが、良くも悪くも「相手に合わせてしまった」過去2戦が、しっかりと教訓になっていたか。この日の仙台は、自分たちのサッカーを相手に合わせず、主導権を握り続けるため。また、前半以上に相手にスキを見せないために、前半よりももっと集中して、前線と最終ラインをコンパクトにする事を徹底。守備から攻撃への切り替えがしやすくなり、これが功を奏し、機能し切れなかった前半の攻撃の展開が、嘘のように息を吹き返す。

相手DFの戸川が負傷により、ハーフタイムで交代した事も、仙台に味方しただろう。鄭容臺が最終ラインに下がって対応したようだったが、やはり不慣れなポジションか。その影響は結果的に「決勝点」となった、中原による2点目のシーンで後述したい。

横浜FCも負けじと、積極的に前線へ素早くボールを運んでフィニッシュに持ち込む展開をみせるようになるが、仙台の「整った」コンパクトな布陣による、速い攻守の切り替えに、次第に勢いを削がれていく横浜FC。徐々に横浜FCの陣形のあちこちにスペースが産まれ(決して広いものではなかったのだが)、そこを面白いように使って多彩な攻撃を繰り出す仙台。斉藤のミドル、菅井の飛び出し、関口のドリブル突破と、まるでボクシングの練習でサンドバックを叩き続けるかのように、次々と横浜FCのゴールを急襲する仙台イレブン。

時折、横浜FCの「リスクを犯す裏への飛び出し」を許してしまう展開もあったが、最後はエリゼウら守備陣の集中が勝り、横浜FCに決定機を与えつつも、ゴールは与えない。

流れは、完全に仙台へ。先制点は時間の問題だった。

そして迎えた、後半13分。横浜FCの攻撃をブロックし、右サイド奥でボールを持った関口を起点とし、「ゆるいカウンター」を仕掛ける仙台。ほぼ中央で梁がボールを受け取ると、左サイドに朴柱成が「上がっていない」事を確認し、自らがドリブルで上がっていく事を選択。

足が止まる時間帯でもないのに、横浜FCの寄せは甘く、それが梁の攻め上がるスペースを産み出した。攻撃の動線を、ピッチの右から左へと移しつつ、そのまま40mオーバーとなるドリブルで、勝負ポイントまでボールを運んだ。

その瞬間、横浜FCの守備陣に、ある「躊躇」が産まれた事だろう。自陣ゴール前左サイドで、もしファウルを犯すような事があれば、それはすなわち「梁のFKの驚異」を真っ向から浴びる事になる。ここまでFKでの得点を重ね、相手チームに「警戒の材料」を与えていた事が、逆に、相手に積極的なボール奪取を躊躇させる要因となった。

そのスキを、梁がもちろん見逃すはずはない。キーパーの位置を確認する余裕まで見せて打った、技ありのループシュート。綺麗な弧の軌道を描いて放たれたその先には、横浜FCゴールの右サイドネットが口を空けて待っていた。

仙台、1-0先制。

その直後に、ベンチが動く。梁の先制点を受け、累積3枚のソアレスを下げて、満を持して中原を投入。昨年にみられた「途中投入の中原」には、今季もスーパーサブとしての活躍(本人は先発で出たいだろうが)を期待しているが、この試合で見事にその期待に応える働きをみせる。

途中投入直後から、積極的に横浜FCの裏への飛び出しを伺う動きを見せる中原。徐々に横浜FC選手の足も止まり、中原の飛び出しについていけず、2点目への期待感が増す状況に。

そして後半32分。中原の積極性が、とうとう実を結ぶ。梁のかなり後方からのロングボールに反応し、アプローチをみせる中原。相手DFとGKが迫ってきたが、ここで横浜FCに痛恨の守備ミスが産まれる。呼吸の合わなかったDFとGKの「お見合い」の結果産まれた「こぼれ球」を見逃さず、飛び出した勢いを、後方からの邪魔をものともせずにゴールへ流し込んだ。鄭容臺が入った不安定な最終ラインは、結局、梁と中原に仕事をさせてくれる「立役者」となってくれた格好である。昨年は、ここにエリゼウが居た事を考えると、仙台に来てくれて本当に良かったと痛感している。

話を戻して。

仙台、2-0追加点。この時点で、横浜FCの得点力を考えると、仙台の勝利はほぼ決した状況であった。

この後、課題として残った「試合の終盤のクロージング」の問題により、後半ロスタイムにオウンゴールを喫して2-1で終わったものの、この2点に、仙台らしさを見て取る事ができた。

1点目の梁の先制点は、「仙台の顔」として君臨する梁の技術の高さがもたらしたもの。そして2点目は、「相手のミスを得点機に結びつける」仙台の強かさによるもの。この2点こそが、GWの7連勝中に見られた、仙台ならではの「得点の取り方」そのものである。

そして試合は、相変わらずの朴柱成の足痙り癖による田村への交代を経て、太もも裏痛を圧して出場した梁の代わりに、エリゼウと同様に横浜FCから移籍してきた、西山の投入を迎える。

昨年も西山は「温情起用」という訳でもないだろうが、第一クールの横浜FC戦で、83分に途中投入されている。あの時も面白かったが、今節は、更に5分短い、88分の投入。4分の掲示だったロスタイムを含め、僅か6分間しか与えられた時間はなかったが、その6分間で「魅せる」活躍をやってのける。

梁に代わり、積極的に攻撃参加する西山。後半44分(ロスタイム突入前)には、あわやゴールかと思わんばかりの飛び出しで会場を沸かせてくれた。

その直後、今度は、軽く足を痛めた関口に代わって、FKを蹴る事に。これには会場も驚きを隠せなかったが、更にそのボールが、田村に合わせる高精度なものであった事を受け、「西山の左足」への期待感が会場を席巻した。

最後に「おいしいところ」を持って行った西山。今年は、どこかで仙台の選手として初ゴールを決めてくれそうな期待を抱かせてくれた。今季の「お愉しみネタ」に追加したいと思う。

最後の最後に、もったいないオウンゴールによる失点を喫したため、結果的に中原の追加点が「決勝点」となり、改めて「1試合2得点以上」の大切さを痛感した試合だった。なかなか完勝には至らず、「どこかが足りない・もしくは抜けている」あたりは、まだまだ成長過程の途中である事を現している。

だが、課題と共に、収穫を得られた試合でもあった。中原のスーパーサブとしての適性は今季も健在である事・西山の今季台頭に期待できそうな事は、第二クールへ向けての大きな追加材料と言えよう。

そして最後に、この試合が誕生日だった、FW平瀬について。

この試合では、平瀬は結局、シュートを1本も打っていない。だが最近の平瀬は、ゴールを決める役目よりも、試合を作る仕事を主にやってくれている。前線でタメを作ったり、サイドに流れてワイドな攻撃の展開を図ったり、時には高さを活かしてセットプレーの守備に入ったりと、FWながら、差し詰め「チームの何でも屋」状態である。

できれば、今節の勝利を彼のゴールで飾りたかったものだが、「こういう日に勝った」事が、何よりのプレゼントだろう。「記念日にあたった試合ではロクに結果を出せていない」という話であったが、それならこの日が、記念すべき誕生日勝利試合だった訳だ。

前線に平瀬がいるからこそ、ソアレスや2列目の梁・関口が活きる。梁の活躍の陰に隠れて判りづらいかもしれないが、平瀬スタメン時の勝率を考えると、やはり「ベテランFWの効能」は棄てがたい材料だ。徳島戦の前半21分で負傷退場し、徳島戦と愛媛戦を「ほぼ平瀬抜き」で戦い、結果は1分1敗。そして平瀬が戻ってきた今節の勝利。如何に彼が「効いているか」が判る。

ただ、平瀬にばかり頼っていたのでは、勝利を順調に積み重ねるのは難しい。平瀬がいない時は今のところソアレスを軸にするしかないが、ソアレスにはフィニッシャー役をして欲しいため、正直言って、現在は「平瀬の代役」は居ないに等しい。

2列目は西山の台頭に期待できそうだが、FW陣は、平瀬がもし長期離脱などしようものなら、不安が隠せない状況になる。中島の回復具合が気になるところだが、果たしてどうか。

この試合で、第一クールが終了。11勝2分4敗の勝ち点35は、監督の当初見込み通りの成績である。夏場を含む第二クールで、これをどこまで伸ばせるかが昇格のカギになるが、昨年よりも確実にチームは上積みが出来ており、大崩れしない限りは、常に昇格圏争いに食い込んでいる事だろう。

次節、第二クールが「開幕」。仙台の強さが本物かどうかの真価を問われるクールに突入する。厳しい日程もまたあるだろうが、一つ一つを、勝利を信じて応援するのみである。

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