仙台0-1横浜FM もはや、J1で勝てる相手など存在しないのではないか?そうも言いたくなるほど、1勝が遠すぎる仙台。好調攻撃陣を封殺されては、勝てる試合も勝てない。30代のベテラン選手を多く擁する横浜FM陣を相手に、一矢も報いれずに撃沈。12試合勝ち無しで、今シーズンの折り返しを迎えた。

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2点を先行した川崎戦では、3失点をくらって敗戦し、1失点で済んだ横浜FM戦では、1点も取れずに敗戦。どうしてこうも、攻守の噛み合わせが悪いのだろうか-。

もっとも、数字的な戦果を問う以前に、現在の仙台に見て取れる、深刻な事態を検証しなければならない。


まず、今節の敗戦の理由は、いたって簡単だ。先制点を奪われてからというもの、攻撃の連携が噛み合わず、効果的なフィニッシュに持ち込めなかったからに他ならない。それも、MF中村俊輔を始めとする、30代のベテラン選手を中心とした老練な横浜FMの布陣に、仙台は見事なまでに効果的な攻撃を封殺され続け、持ち味を全く発揮させて貰えぬままに90分を消化してしまったからである。

もっとも、左サイドバックの朴柱成が、前半のうちに熱中症で倒れてしまい、交代を余儀なくされた事も、要因の一つではある。このアクシデントによって、仙台の左サイドでの優位性は大きく損なわれた。”代打”で入った一柳も、積極的な突破を試みたものの、たった一度だけ成功した左サイドの突破は、クロスの精度を大きく欠き、何の期待感も見出せなかった。

だが、朴柱成を欠く事態に陥る前に、仙台は前半12分に許した失点により、ゲームコントロールの優位性を横浜FM側に渡してしまっており、残り80分あまりを、ほぼ「消化試合」とし、何もさせて貰えない状況に等しかった。

普通のJ1のチームであれば、先制点を相手に許した場合、その直後から猛攻を仕掛け、できるだけ早くに追い付こうとするはず。だが、現状の仙台の場合は、先制点を献上したというだけで、途端にプレーの精度低下やスピードダウンなどと言った「ノッキング」を起こしてしまい、自信を持った、積極的な攻撃を展開できなくなる。

しかし、実質J1の1年生チームなのだから、これは、ある程度は仕方のない事だ。現在の仙台に、今すぐに、優勝争いに食い込めるような、総合力のアップを求めることは出来ない。事実、パスの精度やその速さ、そして攻め上がり時のトップスピードの差、更には、スペースを効果的に突くその読みの鋭さなどは、J1で永らく経験を積んできた選手で構成されたチームでなければ、安定した戦力とは言えない。

今節の対戦相手となった横浜FMも、リーグ再開後の4戦で僅か1勝と振るわなかったが、やはりJ1のチームたる底力は持っていた。それを存分に発揮された結果、仙台は手足をもがれたも同然の、稚拙な攻撃に終始してしまった。

必ずしも、仙台の攻撃力がJ1で通用しない、とは思っていない。

ただ、自分たちの持てる力を、どのような状況においても、動じずに安定して発揮し続けられるかどうか、の問題なのだ。

言い換えれば、仙台の攻撃力は「不安定だ」とも言える。

特に今節の場合、相手の思うツボに嵌められてしまった感も受ける。裏への飛び出しは、尽くオフサイドにされ、サイドから攻めようとすると、必ず複数選手のブロックに遭い、横パスや後ろへ下げさせられてしまう。ボランチの位置から、田村が枠内を捉えるミドルシュートを放ったものは、軌道を読まれ、あえなくGKへ。

それでも、関口の果敢なアタックでサイドを抉れたり、フリーキックを取れた場面では、梁の”一発”への期待感もあったが、横浜FMの、これまた老練なゾーンディフェンスと、日本代表・中澤を擁する個々の守備陣に尽くブロックされ続け、ゴールを割る事は適わなかった。

また、試合の途中で気がついたのだが、この日はやたらとコーナーキックの数が少なかった。この試合を通じて獲れたコーナーキックは、僅かに後半の2本のみ。如何に攻め切った攻撃が出来ていないかが、この数字からも判る。

それもそのはず。コーナーキックに繋がるような、効果的なフィニッシュを打つなど以ての外で、仙台の攻撃のほとんどは、アタッキングサードに入るか入らないかの辺りで、尽く潰しに遭ってしまっていたのだから。

更には、カウンター攻撃で糸口を掴もうにも、前線でボールをキープするフェルナンジーニョの周辺に、効果的に顔を出せる選手は皆無に等しく、結局、彼は孤立無援に等しい状況だった。これでは、フェルナンジーニョがあまりにも可哀相である。

試合序盤の早い段階で先制点を挙げる事に成功した横浜FM側としては、1点リードのまま、決して慌てる事なく、仙台の攻撃を抑える事に集中できた。これに対し、追い付かなければ始まらない仙台は、時間の経過と共に、より一層の焦りを増し、仙台らしい攻撃を一矢も報いる事が出来ぬまま、試合を消化されられてしまった。

もちろん、夏場特有の蒸し暑さもあっただろう。後半の30分を過ぎた頃には、もうカウンターが機能すると言えるほどのスピードを繰り出せる選手は皆無に等しく(関口だけは例外)、少ないチャンスで相手から奪ったボールを持ったフェルナンジーニョの上がりに、付いていけない周辺の攻撃陣。あまりの遅さ故、「やる気が無いのか」と疑ってしまいたくなるほど、得点への期待度は低下していた。

後半30分前後のカウンターが不発に終わったとき、筆者は、この試合の敗戦をほぼ確信した。もうこの試合は、何をやっても勝てない。そう認識し、それまで聴いていた、佐々木氏の実況中継視聴用のヘッドフォンも外し、思考回路を切って、ただ漫然と、試合終了のホイッスルを待った。

暑さの問題、J1で通用しないメンタル、不足しているJ1での経験値。そして何より、11戦未勝利という事実が、勝たなければならないという焦りを産み、本来の仙台の持つ攻撃力を、よりスポイルする。

こんな状況では、勝てる訳がない。

なお、川崎戦で3失点したチームが、この横浜FM戦では1失点で済んだ事を理由に挙げ、守備面の改善、特に、後半の無失点を「評価できる」と考える諸氏・メディアもあるだろうが、筆者はそうは思わない。

何故なら、横浜FM側は1点リードで後半を迎えており、決して無理に追加点を挙げる必要性は無かったからだ。川崎戦のように、相手からみて1点ビハインドで迎える後半とは、訳が違う。もし、今節のこの試合でも、もし仙台が1点リードで折り返ししていたならば、かなりの攻撃の圧力が掛かった事であろう。

仙台が「後半を無失点で耐えた」と評価されるためには、1点以上のリードで折り返し、相手の攻撃の圧力が高くなった状況でなければ、何の意味も無いのだ。

とにもかくにも、この試合を以って、今シーズンは折り返しとなる。気が付けば、降格圏の16位まで順位を落とし、12戦勝ち無しの不名誉な記録まで作ってしまった。

ここまでの17試合(ナビスコカップは除く)を振り返ると、あまり研究されていないシーズン序盤の3勝以降、あの清水戦の大敗を機に、すっかり「鳴かず飛ばず」なチームになってしまった。それでも、勝てない中でも「次節への期待感」を見せてくれた広島戦や、一時は2点を先行した川崎戦など、決して悪い内容ばかりではない。

だが、それでも勝てないのは、やはりこういう理由なのだろう。

「J1の試合で、勝ち切るだけの経験値やメンタルが足りない」

決して、本来の力量が不足している訳ではない、と思うのだ。だが、J1での経験値やメンタルが足りないが故に、焦ってつまらないミスを起こしたり、落ち着きを失って、決めるべきシーンで決められないという状況に陥ってしまうのではないか。

仙台が、ここから這い上がるためには、補強・戦術変更・布陣変更・選手変更などの「小手先の策略」などでは、もはや通用しない気がする。

大事なことは、次の3点ではないのか。

・メンタル面で、決して自信を喪失しない事。(但し、過信は禁物)
・基礎的な練習を、徹底的に反復し実践する事。
・体力の使い方を考え、トップスピードで走るべきところでは、きちんと走る事。

正確で速いパス出し、パスのキャッチなどは、J1では当たり前の基礎技術だ。高度な事をやろうとすればするほど、基礎的な練習で培ったプレーの安定性が求められる。また、味方がボールを奪った際に、攻撃の選択肢を広げるため、1秒でも早く攻撃参加しなければならない場合は、体力を出し惜しみせず、トップスピードで攻め上がるべきだ。(ここに手を抜く選手の多い事には閉口してしまう)

J2での戦いにおいては、戦術だの、布陣だの、得点力だの、そういった「サッカー特有の高度な要素」を身につけないと、J1では通用しないと思っていた。もちろん、そういった要素が必要不可欠だという認識は、今でも変わっていない。

だが、実際にJ1に上がってみると、そういった部分だけでは足りず、以外にも基礎的なプレーの精度が求められる事が判った。

実際、仙台の選手と、他のJ1のチームの選手のプレーを比較してみると、よく判る。

ボールを出すスピード、キックの精度や、ボールを受ける際のトラップの安定感、その後のボール捌きなどは、野球で言うところの「キャッチボール」に相当する部分だ。

そもそも、ここが下手では、プロサッカーでなど通用しない。

もちろん、仙台の選手においても、決して「技術的に下手」とは思っていない。

仙台の選手が下手なのは、実際の試合中の極度のプレッシャーの中において、普段の練習の通りに、落ち着いてこれらの基礎的なボールタッチが出来るかどうか、の部分なのだ。

ここが、J2とJ1の違いの真髄ではないのか?

もちろん、J2でも、それなりに受けるプレッシャーはある。だがJ1の場合、そのプレッシャーは、相手の高い技術に裏付けられて発せられるものであり、J2レベルの選手の放つそれとは、1段階も2段階も、レベルは違っているだろう。

そのプレッシャーの中をかいくぐって、自らのボールタッチの技術を、ミスする事なく、確実に発揮しなければならない。

こういう部分を、仙台の選手が一人でも多く(いや、なれば全員が)J1レベルにまで昇華させられれば、J1で優勝争いをするようなチームに見られる「個々の選手の巧さ」と、肩を並べられるようになると思うのだ。

超えられそうで、超えられない”壁”が、今、仙台の眼前を阻んでいる。

その壁は、ジリジリとこちらに向かって擦り寄ってきており、そして背後には「J2降格」という名の崖が待っている。今は、まさにそんな状況なのだ。「あと半分ある」と言うが、この先、いったい何勝できると思うのか。それを考えると、既に崖っぷちと考えるべきなのだ。

全力を出し切っての敗戦なら、受け入れよう。だが、不完全燃焼な状況で追い込まれた敗戦など、とても受け入れられない。

持てる力をきちんと発揮するためには、基礎的な技術を蔑ろにしてはダメだ。高度な戦術や作戦などは、全て、基礎的な技術があってのものだ。そこに眼を向けず、不運だっただの、相手が一枚上手だっただの、下手な言い訳など聞きたくもない。

確かな自信と練習量に裏付けされた、地味でも確実なプレーの積み重ねが、1点、そして1勝に結び付くものと信じている。

次節、ガンバ大阪戦。相手はこれまでの強豪と同じく、J1でも十分に優勝争いを演じるだけの技術力を持った、強いチームだ。シーズン序盤の対戦では、PKの判定の妙も手伝い、運よく2-2でドローに持ち込めているが、今度も簡単に勝ち点を奪えるとは思っていない。

だが、仙台としては、相手に関係なく、まずは「J1で必要な基礎的な技術、そしてそれを、試合中のプレッシャーの中でも安定して出せるメンタル」を、もう一度見直さなければならない。そこが少しでも改善されれば、相手に関係なく、1点を奪えるだろうし、牽いては1勝に結び付くはずだ。

目覚めてくれ、仙台。

もう、不甲斐ない試合など、みたくもない。

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