第20節vs大宮戦プレビュー 昨年から続く “相性の良さ” は、忘れて臨むべきと考えたい一戦。仙台ゆかりの名将・鈴木淳新監督率いる好調大宮を相手に、仙台は15戦ぶりの勝利を誓い、埼玉の地に再び乗り込む。残留争いのライバルである以上、引き分けは負けも一緒。勝利あるのみ。

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前節の他会場の結果に目をやると、15位磐田、そして14位大宮が、それぞれ共に勝利し、13位と12位へ、一気にステップアップした。

対して、我らが仙台。16位からの転落こそ免れたものの、15位・神戸との勝ち点差は4。危険水域的勝ち点差に拡がってしまった。


当然の事ながら、2勝を挙げないと順位は好転しない。しかし、14戦勝ちのない現在の仙台にとって、2勝はとてつもなく厳しいノルマだ。

しかし、そんな厳しい状況を招いたのは、他ならぬ自分たちだ。14戦勝ちのない仙台が、残り15戦で、あと何勝できるというのだろう。

、、、、と、悲観すべき材料は、いくらでも揃っている。

だが今は、悲観する事よりも、先にするべき事がある。それが、この大宮戦での必勝の祈願だ。この試合に勝たなければ、前述した通り、16位・降格圏からの脱出など到底難しくなる。

厳しい事は判っているが、目の前の大宮戦に集中したい。

今節へ向けた、期待の材料としては、左サイドバックの朴柱成選手が先発に復帰しそうだという事。そして、再び別メニューとなってしまった菅井のポジションには、田村が左サイドから右サイドへシフトして臨む事になりそうである。その他のポジションには概ね変化はないだろう。

変化がない、という事は、2トップは赤嶺とフェルナンジーニョ2枚看板のままで臨む、という事になるが、ここについては、フェルナンジーニョの持ちすぎ感も浦和戦では改善の兆しが見られ、また赤嶺との連携も向上してきたようだ。

浦和戦では、そのフェルナンジーニョの突破から先制点を奪い、そこにはきちんと赤嶺も詰めていただけに、この2人の息も合ってきているものと見ている。

14戦未勝利の中においても、先制点を獲れる場面は数多くあり、最後の締め・逃げ切りの面での課題をどうクリアするかがポイントである事は、もう何節も前から語られている事なのだが、浦和戦の失点シーンを見る限り、そこは未だに改善されていない様子だ。

その未改善ポイントこそが、「仙台の右サイドの守備」にある。

浦和戦でもそうだったが、仙台の右サイド(菅井のポジション)からフリーでクロスを入れられてしまい、そこから失点するケースが目立つ。記憶にあるところでは、リーグ戦再開後の初戦であった、山形戦の後半にまで遡る。この試合の後半の2失点は、全て、仙台の右サイドを使われてのものであった。

そこから既に7試合を消化しているのだが、未だに、この点に改善の兆しはない。

もし、今節も失点する事があるとすれば、仙台の右サイド(相手からみて左サイド)が起点になる可能性は、大いにあると思う。

そこをケアするファーストディフェンスは、やはり、右サイドバックになる。ここ何節かは、菅井と田村とで交代で持ち回ってきているが、どちらが出ても、あまり改善できたという実感はない。もっとも、試合終盤で、リスクを負って攻撃に出ているシーンで、ボールを失った時に、このサイドを使われてしまうシーンは、90分を通して、決してゼロではないだろう。

全ての「右サイドからの失点」の原因が菅井や田村にある、とまでは言わない。ただ、明らかに他チームから狙われていると見て、ほぼ間違いのない状況下において、何ら手を打たないのも困りものだ。この点については、サポーター諸氏の中にも、実感している方も多い事だろう。

人を替えろ、とまでは言うつもりはないので、せめて、セットプレーで攻めている時や、ボールを失った際の守備帰陣時の約束事で、もう少し、仙台の右サイドを固める意識は必要ではないか。さもなくば、今節も右サイドを突破されての失点シーンを拝む事になるだろう。

翻って、仙台の攻撃陣。浦和戦では、基本に立ち返って「堅守速攻」を意識した戦い方で、不調とはいえ、あの浦和を相手に先制点をもぎ取った。前半から攻撃の圧力を高めてくる相手に対し、辛抱強く耐え抜く事さえできれば、後半で必ずチャンスは訪れる。今節についても、その方針は変えないほうが良いだろう。

前節、広島を相手に勝利を収めた事で、降格圏から少しだけ遠退いた大宮だが、まだまだ安心はしていないはず。今節は、相手のホームである事も手伝い、連勝を喫して、前半開始直後から、矢のようなシュートの嵐にまみれそうな予感もする。

その戦い方は、今季途中から就任した、あの鈴木淳新監督によって一変した。昨年末の天皇杯での対戦から続く、同カード3試合の公式戦は、全て仙台の勝利となっているが、最近の大宮の戦い方をみていると、より集中力が増したというか、自信を付けたというか、決して相手の圧力に怯まない強さを身に付けた感触がある。

また、途中加入した新戦力である、イ・チョンスの活躍によって、大宮は更に息を吹き返した。その事は、直近の5試合で負け無しの3勝2分という成績からも、容易に判断できる。

だが仙台は、それでも、この相手に勝たなければならないのだ。

もはや、勝ち方に多くを語る必要は無いだろう。

どんな形であれ、仙台は、1試合の中で得点は獲れるのである。リーグ戦再開後の7試合中、無得点は、僅かにホーム・横浜FM戦の1試合のみ。大量得点こそないものの、毎試合のように、最低でも1点は獲る力はあるのだ。

それを活かすためにも、絶対に「先制点」は譲れない。

そして、先制点を奪ったあとの「逃げ切り力」。ここにこそ、勝利へのポイントがある。そして、そのヒントこそが、「仙台の右サイドの守備」にある、と感じているのだ。

時間帯に関係なく、先制点を奪ってからのゲームコントロールが、仙台はとにかく甘すぎる。浦和戦でもそうだったが、どうしても仙台は、相手にボールを廻されてしまい、体力を奪われた挙げ句、入れられるクロスをまともにブロックもできず、先日のような失点に繋がるケースが多い。

この夏場の暑い時期だからこそ、先制点を奪ったあとは、1-0で逃げ切れば良いくらいの気持ちで、相手にボールを自由にさせない執念が必要になるのではないか。

それを、見事なまでに実践しているのが、お隣の山形である。

その成績を見ただけで、どんな戦い方を実践しているのかが判るくらいだ。直近の3戦は全て勝利で、その成績は、3戦全て1-0。しかも、相手が磐田・新潟・横浜FMと、決して低迷チームとは思えない相手ばかりである事から、山形がJ1で戦っていく術として、この1-0逃げ切り戦術は、非常に参考になる。

山形の試合を観ていると、愚直過ぎるほど、J2時代のそれと変わっていない。その内容とは、守備ブロックの堅さの維持と、前線からのプレッシングの併用。相手がポゼッションに長けたチームの場合は、守備ブロックをより強固にし、絶対に突破を許さない。そして、ディフェンスに難があるチームが相手の場合には、豊富な運動量を武器に、徹底的なプレッシングを貫き、相手の隙を突くのである。

例えるならば、まるで、フェンシングの防御と攻撃のようだ。

しかも、山形の場合は、持ち前の豊富な運動量を礎とし、J1でも通用するくらいにまでこれを昇華させたのである。

J2で培ってきた戦術が、J1でも通用する、極めて稀な例なのだが、これが成功したのも、増田や田代といった、鹿島からのレンタル加入組が攻撃面でフィットしたからに他ならない。

選手層の薄い山形が、J1で生き残れている理由。それは、「彼らには、守備の堅さしか武器が無かったから、そこを鍛えるしかなかった」点にある。徹底的に守備を磨き上げ、そしてレンタル加入組との連携を上手に行う事で、最低限の得点ながらも3連勝を挙げているのである。

ここまで書いておいて、隣の戦い方を参考にしなければならない事に、些かの悔しさも感じている。だが、それも仕方ない事だろう。彼らはJ1の2年生なのだ。昨年は、ダントツで降格チーム1番手に挙げられていただけに、それを見返そうと必死に闘い、そしてJ1残留を勝ち取った。

その自信が、今季の山形の戦いぶりに現れている。決して、今の山形を見下す事はできない。山形はもはや、J1残留を争うチームではなく、中位以上を狙えるチームに成長している。

今の仙台において、この山形の戦い方は、目の前の1勝を挙げるための、良い参考材料となるはずだ。もちろん、選手の特性や質が異なるため、全く同じ戦い方をするのは無理は話である。(もし、山形と同じ戦い方を仙台がしようとするならば、関口が最低でも5人は必要になるだろう)

だが、「守備への集中」と「ボールを相手の自由にさせない」という点は、絶対に踏襲すべきポイントである。

もし、仙台がその点を実践しようとした場合には、山形ほどの運動量(90分通して、の意で)が無い事を勘案し、方法はただ一つである。

「先制点を奪ったら、徹底的にポゼッションする」

これしかない、と筆者は考えている。

1点は、獲れる。しかし、2点はなかなか獲れない。

であれば、獲った1点を、守り抜くしか、活路は無いではないか。
もちろん、こんなに苦しい展開を強いられていなければ、常に「2点目」は狙うべきなのだが、仙台がそれをやろうとすると、どうしても後方の守備が疎かになり、カウンターなどで失点を喫するパターンが多い。

こういう展開の場合、一般的には「獲った先制点を守りつつ、隙あらば2点目を狙う」となるのだが、今の仙台には「2点目と無失点」の両方を追うだけの力は、無い。つまり、「二兎を追う者、一兎をも得ず」のことわざの通りなのだ。

大事な事だから、もう一度、言う。
今の仙台には、「二兎を追う力は無い」のだ。

掴まえた一兎を、奪われないように必死に守り抜く。それが、今の仙台が勝利を挙げる、唯一の策ではないのか。少なくとも、筆者はそう感じている。

もしかしたら、結果的に、マルチ得点を挙げる事は出来るかもしれない。だが、アウェイ川崎戦の例もあるように、2点を先行しても、3点を獲られて逆転負けを喫する事だってあるのだ。

同じ轍は、もう踏めない。

得点が1点差だろうが、2点差だろうが、リードした時点で「やるべき事」ははっきりとさせるべきだ。もちろん「攻めるな」と言うつもりはない。ただ、セットプレーで攻撃する際のカウンター対策とか、中盤でボールを失いかけた際の味方のサポートとか、攻撃は必ず攻め切るようにするとか。要するに、「リスクマネジメントを考えた攻撃」をしたい、という事なのである。

現在の仙台の得点力では、失点は、即、勝ち無しに繋がる。だからこそ、獲れる期待の高い1点を、先制点を、大事にする意識をより高く持って欲しいのである。

前述の繰り返しとなるが、今節の相手となる大宮とは、昨年の天皇杯からの公式戦で、同カード3連勝を飾っている。

だが、鈴木淳新監督率いる大宮は、全くの別チームだ。

その事を、常に頭に入れて、選手は戦って欲しいし、コーチ陣は采配して欲しい。

そして、サポーター諸氏にも「それ」を意識して欲しいのだ。

好調を維持する、今の大宮から、勝ち点を奪う事は、決して簡単ではない。その事は、不調のどん底にある浦和レッズから、勝ち点を1しか奪えなかった事からも判るはずだ。

だが、どんな相手であっても、90分の中では、必ずチャンスは訪れる。

それを先にモノにし、そして、虎の子の先制点を最後まで守り通してこそ、私たちに希望の光が見えてくるはずなのだ。

今節は、筆者は残念ながら参戦できない。が、その分、浦和戦では最低限の勝ち点1を持ち帰ってきたつもりだ。

今節に参戦されるサポーター諸氏に、筆者の小さな魂を預けたい-。
そして必ず、勝ち点3を、持ち帰ってきて欲しい。

つ魂

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