大宮0-3仙台 フェル2発に赤嶺初得点。14試合勝ちの無かったチームとは思えない、良い内容を伴う結果を叩き出し、残留争いに逆襲の咆哮を轟かせた仙台。3勝2分と好調だった大宮をアウェイで完璧に下し、貴重な勝ち点3を奪取。この試合のキーポイントは、双方共通のイベントであった「今季初先発のボランチの差」か。

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直近5試合の成績で比較する限り、「3勝2分0敗」vs「0勝2分3敗」という、完全に真逆な状況で迎えた、今節の対戦。しかも、大宮は中3日ながらホームであり、移動による疲れは無い。中4日でアウェイの仙台とのアドバンテージ差は、無きに等しい状況での対戦になるはずだった-。

目先の戦績だけを見る限りでは、ホームの利をも活かし、大宮優勢と見る人は多かった事だろう。事実、順位でも 12位 vs 16位 と、ホームチームの勝利という結果を予想するには、充分過ぎるほどの材料。


しかし、ある一つの”要素”が、その予想材料に「待った」をかけていた。

それこそが、”相性” という要素。どんなに直近の戦績が良かろうと、この要素によって戦果を覆して考えたくなる人は、決して少なくないはず。そして、今節の、この「大宮-仙台戦」こそが、その “相性” という要素が脳裏から切っても切り離せない、ラージ・ファクターである事を、双方のサポーターは、強く意識していたと思う。

ご存じの通り、仙台は、昨年の天皇杯での大宮との対戦から、公式戦3連勝中。しかも、うち2戦は、今節の対戦の舞台でもある、NACK5スタジアム大宮。つまり、アウェイなのだ。

得点と失点の推移を見ても、昨季天皇杯は 2-1、今季リーグ戦(第2節)は 3-1、そしてナビスコカップ(予選最終節)は 4-0 と、なんと9得点・2失点の大差を付けていた。

ただ、この過去対戦3試合のうち、昨年の天皇杯と、今年のリーグ戦での対戦(第2節)については、大宮の現監督である鈴木淳氏では無かった。当然、今節は監督が替わり、メンバーや戦い方も違って来ている。単純に、”相性の良さ” だけで、仙台に有利な予想をする人はいなかっただろう。前述の「直近の5試合」を比較しても、相性の良さについては、今回ばかりは関係無し、と読んだ関係者・サポーターも多かったと思う。

だが結局、結果は3得点・無失点の快勝。

内容を比較しても、ホームなのに運動量の少ない大宮に対し、アウェイながら積極的にボールをコントロールし、数多く、しかも精度の高いチャンスを作っていたのは、他ならぬ仙台のほうであった。

得点シーンを簡単に振り返ってみよう。

前半3分の先制点。今季、初先発のボランチ・斉藤大介から、左サイドに展開した梁へパスを出し、その梁から、ファーに詰めていたフェルナンジーニョへ、絶妙のロングパス。このボールを、フェルナンジーニョがノートラップで左足に当て、そのままボールは枠内へ。大宮GK北野は、これにまともに反応できず、幸先の良いゴールを、仙台があっと言う間に奪い獲った。

前半34分の2点目。先制点の起点ともなった、ボランチ・斉藤大介が、大宮ゴールの左側へ、シュート性のボールを放つと、その先にはなんと、鋭い嗅覚で詰めて来ていた、FW赤嶺真吾が。彼のとっさの判断により、「ボールが来たので足に当てた」結果、ボールはそのスピードを殺さぬまま、いきなりその軌道の角度を、右側へ変更。その様は、まるでビリヤードのクッションで跳ね返るボールの様相。GK北野は、反応する事も許されず、ボールはゴールの右隅へ決まった。

後半20分の3点目。ここは完全に、フェルナンジーニョの個人技炸裂による加点となった。左サイドでボールを受けると、そのままドリブルでエリア内へ。大宮DF深谷との1対1を、見事な切り返しで突破すると、GK北野とDFマトとの狭いコースを綺麗に貫き、ボールはゴールを真横から射るように、逆サイドネットを揺らした。

この他、得点にこそ繋がらなかったものの、関口の惜しいシュートや、途中投入の中原のダイレクトボレーなど、可能性を感じるシュートのオン・パレード。終わってみれば、この日に記録したシュート数20本は、今節のJ1での最多シュート本数であった。

対する大宮も、意地を見せてシュートにまで持ち込んではくるものの、枠を外れたり、仙台の守備ブロックに簡単に阻まれるなど、可能性としては非常に低い内容に終始。それもそのはずで、大宮は仙台に運動量差で水を空けられ、チャンスメーク以前に、まず仙台の流動的な堅守を崩す事自体に手を焼いていた。

本当に、このチームが直近5試合を3勝2分の無敗としてきたチームなのか?と疑いたくなるほど、大宮は攻守が機能していなかった。

もちろん、仙台が貴重な勝利を手に出来た理由の一つには、この大宮の突発的な不調によるところも大きい。しかし、同じような状況は、前節の浦和戦でも既に体験していた。相手の不調に乗じ、こちらがしっかりと勝ち点3を奪うところまで、前節は持って行けなかったが、今節はそのミッション達成にようやく成功。本当に、1段ずづではあるが、仙台は、その成長の「柱の傷」を、少しずつ、高いところへ付けてきている事が、手に取るように判る。

ところで、大宮がここまでの好調さを一気に消沈させてしまったのには、実は理由がある。

それは、前節まで先発ボランチだった、MF金澤慎を控えに廻し、今季初先発となる、韓国人MFの李浩(イ・ホ)を投入した事だった。おそらく、大宮の鈴木淳監督は、チームが好調である事・相手が16位に沈む仙台である事を踏まえ、新加入の李浩を「試運転」するつもりだったのかもしれない。

それと同時に、実は仙台も、腰に不調を来してしまった千葉直樹に代わり、今季初先発・MF斉藤大介を起用していた。

つまりは、両陣共に、攻守の要・中盤の底という、大事なポジションを、お互いに「今季初先発の選手」を起用して臨んだ一戦だった、という訳である。

もちろん、大宮側には、試合がこんなに壊れてしまう事は、甚だ想像だにしなかったはず。しかし現実は、ダブルボランチを組んだ、MF青木との連携が噛み合わず、チームの足を引っ張る格好となってしまった。3失点ののち、業を煮やした鈴木淳監督は、後半31分に、その李浩を下げ、金澤慎を改めて投入するが、「刻・既に遅し」。試合は、終始仙台のペースで進められ、ボランチ交代の効果を感じられるまま、ゲーム・オーバーとなった。

対する仙台。こちらは、今季のリーグ戦初先発とはいえ、チームに長く在籍し、普段からの連携には何の難もない、ベテラン・斉藤大介を起用。富田との相性も良く、大崩するはずなど、有り得なかった。

そして、この日の3得点中、実に2点の起点となった斉藤大介。相手の大宮が、新加入の韓国人ボランチによって大きく崩れてしまう一方で、仙台は、控えのベテランボランチが見事に結果を出し、改めて、チームの連携の重要性を証明してくれた。

これは、仙台のサポーターなら、誰しもが「認めたくなくても認めざるを得ない」と思う部分の話だと思われるのだが、チーム最長在籍選手である千葉直樹は、ときに「悪いナオキ」として、相手に絶妙なパスを供給してしまうなどの悪癖がある。

ただ、千葉の場合は、相手の持つボールを、美しいまでにパスカットする能力や、セットプレーでは、梁の放つコーナーキックをニアに飛び込んで、アッサリとヘッドですらしてゴールネットを揺らす事に長けている、類い希なる能力の持ち主だ。だが反面、守備面で、絶対に犯してはいけない場面での凡ミスをやらかす印象も強く、「諸刃の剣」的な側面をも併せ持つ。

これに対し、斉藤大介の場合は、そこまであからさまな特徴を持つ訳では決してない選手だ。彼を千葉直樹と比べてみると、とことん「ボランチらしいボランチ」に見えてくる。決して攻撃面で無理はせず、守備を第一に考え(ここはチーム戦術に左右される部分もあるが)、いざ攻撃のシーンでは、得点の起点となる、絶妙のパスを前線に供給する。

考えてみれば、今まで仙台が求めてきたものは、この「ボランチらしいボランチ」だったのではないだろうか?

若干の余談となるが、相方の富田については、主力に定着したとはいえ、まだまだ成長の過程にある。これまでは、仙台在籍の長い、千葉が彼を引っ張って来たが、富田からすれば、決して「千葉とのコンビがベスト」ではない可能性もあり、彼の育成という意味を考えれば、他の選手との組み合わせも、あってしかるべきだろう。

その意味でも、今節、斉藤大介とのコンビで、一気に不調に陥った大宮が相手だったとは言え、無失点を達成しての勝ち点3を奪取できた事は、今後の闘いにおいて、大きな意味を持っているに違いない。

「ボランチの出来が、試合を大きく左右する」とは、サッカーというプロスポーツにおいて、よく語られる要素の一つであるが、今節のこの試合を観て、改めてそう感じさせられた。

こうして仙台は、実に15戦ぶりに、リーグ戦での勝ち点3を手中に収めた。

4月4日の鹿島戦の勝利以降、ここまでの道のりが、こんなにも険しいものになるとは、正直、予想だにしてはいなかった。もちろん、平行開催された、ナビスコカップ予選での勝利もあり、決してチームが、立て直しが効かないほどの「どん底状態」という訳ではなく、いつ勝利出来てもおかしくない内容で推移してきてはいたが、ここへ来て、結果論ではあるが「大宮との相性」という状況的好材料を味方に付け、本当に久しぶりの一勝を勝ち得た。

ただ、この勝利で、降格圏脱出を保証された訳では、決してない。確かに「長いトンネルを抜けた」事には違いはないが、トンネルというものは、奥深い山々にはいくつでもあるものだ。ようやく観た「日の目」を、また失わないよう、しっかりと道を選択して、今後の試合を展開して行きたい。

そのためには、今節で大活躍した(と筆者は個人的に認識している)斉藤大介選手を、湘南戦でも先発起用したい派である。もちろん相方は、富田選手だ。

現在の湘南のように、もがけどもがけど長いトンネルから脱出できないチームであれば、90分を通して試合を落ち着かせるために、尚更、安定感のあるボランチが望まれる。それが、現在の仙台では、斉藤と富田のコンビであると、筆者は信じて疑わない。千葉ではダメだ、とまでは言わないが、千葉のプレーは、良くも悪くも「仙台の歴史そのもの」であり、肝心な場面で、相手にボールをアッサリと渡してしまうような「仙台の負の歴史」は、少なくとも、次節の湘南戦では、発揮して欲しくないのだ。

もっとも、現在ここまで聞き及ぶ千葉の回復の程度や、この大宮戦での斉藤大介の活躍を見る限り、湘南戦は、ほぼ間違いなく、斉藤大介の起用でファイナル・アンサーだろう。

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ところでこの日は、筆者は別用があり、参戦は適わなかった。
現地に参戦する、同志友人に「魂」を預け、テレビの前で、祈るような気持ちで勝利を願い続けた。

大宮との相性の良さは、考えないようにしても、どうしても脳裏から離れなかった。鈴木淳・新監督率いる大宮は、過去3戦の対戦結果の時とは、もう違うチームなのだと自分に言い聞かせ続け、過度の期待はせずに、ただただ、先制点と、その後のチームの落ち着きだけを願い続けた。

すると、電光石火の前半3分の先制弾を皮切りに、見事なまでに、期待した通りの展開になっていった。まるで「念ずれば通ず」のことわざの如く、である。

加点が進めば進むほど、「更に落ち着け!」と、心の中で叫んだ。そう、皆も判っての通り、あのアウェイ川崎戦の「2点からの大逆転敗戦」という、忘れがたい過去の経験があるからだ。

だが、そんな心配を他所に、試合はどんどんと仙台ペースに。大宮は一矢も報いる事なく、ホームで、力なく敗れ去った。

戦前から判っていた「浦和の不調」を乗り越えられなかった仙台だが、この日は、大宮がこんなに不調に陥るなど、誰しもが予想だにしなかったはずだ。もちろん、埼玉ダービーにて、大宮が浦和を下した事実も、その判断の大きな要因である。

ただ、仙台としては、決して「相手にあわせて戦った」訳ではなかった。自分たちの出来る事を、試合で表現するだけ。そこへ、唯一のウィークポイントであった「後半のゲームコントロールの稚拙さ」という難題が覆い被さり、先制しても逆転負けという展開を繰り返して来ていた。

そしてこの日。ようやく、その「負の連鎖」を止める事が出来た。それもなんと、3得点・無失点の快勝。この日が来るのを、多くの仙台サポーターが、どれだけ待ち侘びた事だろうか。

しかし、まだ試合は続く。この一勝を無駄にしないためにも、絶対に次節のホーム湘南戦は、勝利が必要になる。

たまさか、今節は大宮側から調子を崩してくれたが、仙台よりも順位で下に付ける湘南は、目の色を変えて乗り込んでくるはずだ。その執念は、きっと、ピッチ上でも見て取れる事だろう。

仙台は、今節に勝ち得たこの「貴重な一勝」を意味のあるものにするため、敢えてこの一勝を「たった一勝」と認識し、目の前の次の一戦へ、サポーターも含めて、早急に気持ちを切り替えて臨みたい。

湘南戦に勝てる、という保証は、どこにもない。

そして、「大宮戦にあの内容で勝てたのだから、今度も完勝してくれるだろう」という、甘い期待は、するべきではない。

この「たった一勝」で、仙台の総合的実力が、大きく向上した訳ではないからだ。ほんの少しの気の緩みが、また私たちを、未勝利街道に突き落とすとも限らない。

だが「自信」は持とう。サポーターをも含め、失い掛けていた「J1定着への自信」を、再び掴むだけの材料は揃っているのだ。

私たちが「弱気」ではダメなのだ。

それは、前述した「念ずれば通ず」の意の如くであり、サポーターが「また負けるのか?」と弱気になってしまっては、応援する気持ちにも、そして声にも、それは現れてしまう。

まずは、湘南戦の公式練習の時間にて、15戦ぶりに勝利をプレゼントしてくれた選手たちに、アツイ声援を贈ろうではないか。そして、選手と共に、再び勝利の喜びを、今度はホームで味わおうではないか。

残留争いに巻き込まれて、初めて「J1での1勝の重みと喜び」を味わった。映像を通してですら、大きな感動を味わえたのだ。ホームで、生観戦の状況下で味わう1勝は、果たして、どれだけ感動的なものなのだろうか。

前回、「ユアスタで挙げた勝利」は第2節。やはり、相手は大宮だった。ただ、この時は試合の消化数の関係で、残留争いという表現が適切ではなかった時期もあり、勝ち点がばらけた現状において、初めて「残留争いの渦中」に居るのだ、と実感している。

この緊迫感は、、、、、そう。J2時代の「昇格争い」と通じるものだ。戦うカテゴリーこそ違うが、「来季のJ1在籍」を掛け、昨年も、夏場にユアスタで湘南と闘い、そして、中原の劇的な2ゴールで、逆転勝利を収める事が出来たのだった。

奇しくも、昨年と同じようなシチュエーションで、湘南と「来季のJ1在籍」を賭けて、再び相見えると言っても良いかもしれない。

相手を、最大限にリスペクトしつつも、勝負は非情に徹する。情けも遠慮も無用だ。仕留められるチャンスが訪れたら、遠慮なく、その「引き金」を引こうではないか。

仙台は、同期昇格のライバルを喰い物にしてでも、J1残留を果たす責任がある。そして、それを応援し、鼓舞する責任が、私たちサポーターにもあるのだ。

選手と共に、今節のこの感動を、もう一度味わおうではないか。

さぁ、貴方も湘南戦へ-。

#初掲出時、過去3戦の対戦における大宮側の監督が、鈴木淳氏ではない旨の記載と致しましたが、正しくは「6月のナビスコカップの時点」で、既に鈴木淳氏が監督でした。

訂正の上、本追記にてお詫びとさせて頂きます。

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