横浜FM0-1仙台 好調・マリノスを相手に、敵地でまさかの勝ち点3を獲得。数少ない決定機を、先発復帰の赤嶺が一発でモノにし、後半はボランチ千葉を投入して守備固め。仙台の3倍ものシュートの雨霰も、全て跳ね返し、J1残留争いを有利に導く、貴重な大金星を挙げた。

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猛暑の後退と共に、仙台に「実りの秋」が訪れようとしているのか-。

前日の夜から日本列島に接近していた、台風12号の影響の心配も無く、試合が始まる19:00頃の新横浜の上空は、実に澄み切った夜空に覆われ、満月級の月夜となった。日中帯は半袖でも良かったくらいの暑さだったものの、日没と共に気温もグッと下がり、肌寒いくらいの気候に。念のために荷物の奥底に忍ばせていた、長袖のコットンシャツが大いに役に立った。


だが、試合が始まってしまうと、それまで感じていた肌寒さなど、どこへやら。前半14分の赤嶺の先制ゴールが決まると、全身の血液の温度が上がるのを感じ、そこからは「とにかく失点するな」の心の叫びと共に、どんどんと試合にのめり込んで行く事ができた。

得点するまでの間も、そして得点を挙げてからも、試合のポゼッションは、全般的にマリノス優勢。だが、要所でボールを奪ってカウンターを仕掛けるそのプレースタイルからは、「ロースコア勝負に持ち込み、強豪から勝ち点を奪い去る」という、はっきりしたスタンスが読み取れた。

この日のポゼッション率を観ると、27:73。実に倍以上の時間帯で、マリノスにボールを持たれてしまい、仙台は守勢な展開。だが、直接にこの試合を観戦した者の感想としては、「確かに横浜FMには攻め込まれていたけれど、仙台も要所で効果的にフィニッシュに持ち込めていた」というもの。むしろ、「マリノスにボールを持たせていた」と言っても、過言は無いかもしれない内容で推移していた。

総合力では、確かにマリノスに軍配が上がる事は、素直に認めるところ。しかし、後半11分の、梁の豪快ミドルが右ポストに嫌われたり、後半20分の赤嶺のゴールが、ぎりぎりのところでオフサイドの判定に遭うなど、もしかしたら「3-0で勝利」していてもおかしくない内容だった。

仙台が、総数僅か6本しかシュートを放っていない中、そのほとんどは、見応えのあるシーンばかり。結果的に1本しか決まらなかったが、中沢・松田ら主力守備陣を欠くとは言え、あの好調マリノスから先制点を奪った事は、やはり大きかった。

だが、先制点を奪えたからと言って、必ずしもそれが勝利に直結してこなかった仙台。決して、楽なアドバンテージで無い事は、選手・コーチ陣、そしてサポーター皆が判っていた事だと思う。隙あらば、追加点は欲しいところ。しかし、結果的にこの追加点こそ叶わなかったものの、仙台がこの日に用意していたプランは「始めから守り通す覚悟」というものだった。

このプランの存在は、試合後の監督コメントから知り得たものであったが、試合中の仙台の選手を動きや、選手交代の意図を考えれば、それは自ずと知り得る事でもあった。

この日、仙台が良かったところは、筆者が考えるに、大きく2点ある。

一つは、マリノスが持つボールを、運動量豊富に徹底的にチェックに行き、決して楽なボール廻しをさせなかった事。
そしてもう一つは、山形戦に続き、後半の早い段階で、フォワード中原に代えてボランチ千葉直樹を投入し、3ボランチで「無失点で乗り切るぞ」という明確なメッセージを出せた事である。

前者は、とにかく驚くばかりであった。確かに、猛暑が過ぎ去り、運動量に復活の兆しが見られてはいたものの、あそこまで運動量が落ちずに、マリノスの持つボールを追いかけ回せるとは、夢にも思わなかったのだ。

そして、後半20分という早い時間帯で、ボランチ千葉を投入して3ボランチにした事により、「追加点よりも無失点」というプランが明示的に示される事に。もちろん、試合前にこの展開の可能性は、各選手に伝えられていたとは思われるが、このプランを実行に移した事により、仙台のディフェンスは更に強固なものに。

ところで「この戦い方」だが、どこかで観た覚えのあるものだった。それは試合中に気が付き、そして「我が意を得たり」を感じた瞬間でもあった。

「好調の時の山形の戦い方だ!」

覚えているだろうか?第一クールで、NDソフトスタジアムで味わった、3失点敗退のあの日の事を。山形は、FW田代を中心として、実に出足鋭く、こちらの持つボールに次から次へとチェックを重ね、こちらのミスを誘ってチャンスメークに繋げていた。運動量が豊富なチームでなければ出来ない戦術。山形としては、決して個の力が高い選手が居ない分、組織的に戦い抜く戦術として、前線から運動量豊富に相手の持つボールをチェイスし、相手のミスを誘ってそこからチャンスメークする戦い方を好んできた。最近こそ結果が伴っていないが、J1の中でも選手層に恵まれないあのチームが、昨年から今年にかけて、ここまで生き残ってきている術こそ、この「前線からの運動量豊富なプレッシング」である。

第一クールで、仙台がNDソフトスタジアムで山形に敗れ去った時、「どうして仙台には、こういう戦い方が出来ないのだろう?」と、しきりに嘆いたいたものだった。

だが、横浜FM戦での仙台は、まさしく「あの日の山形の戦い方そのもの」に見えた。赤嶺や中原が、そして梁や関口が、マリノスの持つボールを執拗に追いかけ回し、挙げ句の果てには、マリノスGKがボールを持っている時でさえ、積極的にアタックしていっていた。

あまりのその積極性に、試合中の運動量の極端な低下を心配したほどであったが、暑さとは無縁の、9月下旬の夜開催の試合に、そんな心配は無用だった。

マリノスは、そんな仙台の「守備固め」に焦りを重ねるように、苦し紛れのミドルを次から次へと撃って来た。なかでも、前半の仙台の得点後から、中村俊輔の撃ってくるミドルは、高精度で勢いもあり、また無回転で、非常に怖いものだった。流石に世界を相手にして戦ってきただけの事はあり、いつ得点を奪われてもおかしくない状況ではあったのだが、「追加点よりも無失点」というゲームプランがはっきりしていた仙台の前に、中村俊輔始め、マリノスはどうする事も出来なかった。

4分という長目のロスタイムも消費し、そして試合終了を告げるホイッスルが吹かれた時。

ホーム側に吹いた、一陣の寒い秋風。
そして、アウェイ側に吹いた、半年遅れの春風。
響き渡る、日産スタジアムでの、力強いオーラの歌声。

仙台は、14戦未勝利という苦しい冬の時代を乗り越え、とうとう、あのマリノスから、8年ぶりの勝利を奪い取る事に成功した。

正直を言えば、筆者の思惑は「勝てるとは思って居なかった。勝ち点1でも御の字-」であった。そして、その実力差の通り、マリノスを相手に、守勢に廻されるな展開となった。だが、絶対に相手の圧力に屈しないというその気持ちが、前線からの執拗なプレッシングを体現させ、赤嶺の先制点を産み、そしてこれを最後まで守り通した。

こういう戦い方で勝ち点3をもぎ取れた事は、残った10試合の対戦相手に向けても、「仙台は、決して楽に勝ち点はやらない」という、強烈なアピールになったのではないだろうか。

この日の勝利を以て、16位・FC東京との勝ち点差は6に拡がった。まだまだ安全圏とは言い難いが、下位の残留争いのライバルとの直接対決のほとんどが、ホーム・ユアスタでのものである事を考えると、非常に大きなアドバンテージである事に間違いはない。

少しだけ気掛かりなのは、この日もフェルナンジーニョが帯同しなかった事や、第一クールに続き、朴柱成が再び試合中に負傷で交代を余儀なくされた事。おそらく、無理をさせないための田村との交代と思いたい。彼にとって、マリノス戦が「鬼門」とならないように祈るばかりだ。

ところで、この試合に向けたプレビューで「良い思い出を」と書かせて頂いたが、これ以上の良い思い出作りは無理と言いたくもなるくらい、素晴らしい結果を伴ったものとなった。正直を言えば、「1人アウェイ参戦」の筆者の勝率は、実はあまり良くない。最近では、8月1日のアウェイ川崎戦での2点差逆転敗戦が記憶にあるが、一方では、2008年に広島ビッグアーチにて参戦した際に、中原の後半ロスタイムの得点による「仙台の同スタジアム初登壇・初勝利」を拝めた、という自負記録もある。

今回も、結果的に「より厳しい相手を選んでの参戦」となったが、終わってみれば、しっかりと旧交を暖めつつ、勝ち点3も持ち帰れた事に。出来過ぎな一人旅であった事を、改めてご報告したい。

いや、正確に言うと、筆者1人ではなく、「同志」は居たかもしれない。

実は、今回は交通費節約のため、往復を仙台-横浜間の定期夜行バスでの移動としたのだが、その行き帰りの席割で、偶然にも、他のベガサポの若い男性の方とご一緒する事に。弾丸ツアーバスではないため、必ずしも隣りに都合よく仙台サポーターが来るとは限らなかったが、運良く、志を同じくする者同士で座席を暖める事になった。

帰りの席割など、当然行きのバス車内で判るはずもないが、行きのバス車内で「お互い応援頑張りましょう」と挨拶し、そして帰りは、新横浜からの地下鉄のホームで偶然にも会い、そして帰りのバス車内でも、結局お隣同士に。あまりにも重なる偶然に、ちょっとだけ親近感も湧いた部分があった。

お互い、そんなに会話を交わした訳では無かったが、厳しい相手との接戦を勝利した事によって、どこかお互いに、共に応援するチームを誇らしげに思う雰囲気を感じた。

この「同志」との一期一会も含め、筆者にとって、今回は非常に良い思い出の1人アウェイ参戦となった。ミッションは成功裏のうちに完結し、そして筆者の脳裏には、次の「1人アウェイ」への参戦意欲が湧いてきていた。

ご存じの方もいらっしゃるとは思うが、筆者は、趣味で二輪車にも乗る。貧乏ライダーに付き、所有車は250ccの車検無し車で、古いネイキッドタイプである。「SUZUKI GSX250S KATANA」と書けば、ピンと来る方も多いだろうか。

目下のところ、筆者が目指しているのは「二輪車でのアウェイ参戦」である。その気になれば、どこでも参戦可能なのだが、土日の日程や試合の時間帯、またその開催場所など、なかなか良いタイミングで都合の合う試合が無い。浦和・大宮・鹿島あたりは有力な候補なのだが。

尚、山形戦(NDスタ)は隼ホームに付き、アウェイとはみなしていない。山形にはマイカー参戦と決めている。

いつの日か、J1のチームを相手に二輪車参戦を果たし、そしてその試合で勝利をもぎ取って来たい。それが、当面の筆者の「野望」である。

ところで、次節はアウェイ名古屋戦。首位を快走する、現時点で一番厳しい相手ではあるが、堅守を取り戻した仙台が挑むには、丁度良いタイミングと相手では無いだろうか?

この試合も、最低限「勝ち点1」を目標とするものの、あわよくば、勝ち点3を。

「今の名古屋を止めるのはどこだ!?」というフレーズの下、次節に向けて、仙台の現状が全国的にクローズアップされるであろう事は、火を見るよりも明らかである。

現在の名古屋が、横浜FMよりも強豪である事は、間違いない。だが、「強い」というだけでは、勝ち点3を奪う事はできない。図らずも、今節の横浜FM戦で、仙台がそれを証明した。

起こるか。ジャイアント・キリング-。

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