仙台4-4浦和 今季堅守の浦和から怒濤の4得点。低迷攻撃陣が目覚めて大爆発し、遂に連敗脱出。未だ無敗で首位の浦和を相手に堂々の勝ち点1なら、「ノーガードの撃ち合い」の末のハイスコアドローも納得。「仙台の攻撃の怖さ」を取り戻した今、ここから始まる、仙台逆襲開始の予感。

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一晩を置いても、未だ興奮冷めやらない-。

それだけ、この一戦は凄まじかった。J1前期第11節、ホーム浦和戦は、壮絶な撃ち合いの末に4-4となり、戦前にはとても予想出来なかったハイスコアドローでの終劇となった。

快晴ながら気温16.2℃は、少し肌寒いくらい。じっとしていると、少し強めの風が肌身に触る。中には、小さめの毛布を持参し膝に掛ける人も。だが、サッカーを「する」には程よい気候。観ている者にとっては、少しくらいの寒さは、ゴールが決まれば忘れられる。それまではと、筆者も豚汁をすすって暖を取りながら、キックオフの刻を待った。

リーグ戦4連敗5連敗ながら、相手が首位の浦和という事もあってか、この日は19,000人を越える満員御礼の大入り試合。コイントスの結果、いつもと逆のエンドで始まった一戦は、完全に予想外な展開で、いきなりその幕を開けた。

ハモン・ロペスの戦列復帰による攻撃陣の奮起に期待しながらも、今節の先発2トップはウイルソンと奥埜の組み合わせ。期待のハモンは、前節に続きベンチスタートとなった。それならば、後半の勝負どころまでは失点を耐える展開を覚悟と思いきや、この日、リーグ戦初先発を飾ったボランチのキム・ミンテが、いきなり “仕事” をする。

前半7分、そのミンテが、自陣で浦和のボールをカットして持ち上がり、カウンター攻撃を仕掛ける。左サイドをフリーで駆け上がる野沢にボールを預け、自らは、逆サイドへ大きく膨らんだ。

そして、野沢からセンタリングが供給。その落下点には金園と相手DFが1枚居たが、ボールはその2人の頭上を越え、逆サイドへ流れかけた。その先にはなんと、先ほど、カウンター攻撃の起点になった、ミンテの姿が。彼はこれを、トラップする事なくダイレクトでシュートを放つ。その軌道は、浦和GK西川の右手と浦和ゴール左ポストの間の、本当に狭いコースを見事に射抜き、仙台待望の先制点が決まった。

前半8分、仙台1-0浦和。

今期、9試合で僅か4失点の浦和から、あまりにも早い時間帯で決まったゴール。どよめく超満員のスタジアム。ミンテは、あまりにも鮮烈過ぎる、仙台リーグ戦先発デビューを飾る事となった。

これで、試合の主導権を握った仙台は、その後もチャンスを造り続ける。早い時間帯にもたらされた先制点は、その後の仙台の攻撃を、より滑らかにした。

15分、GK六反がキャッチしたボールは、すばやく前線のウイルソンへと、ビームの様に正確にロングフィードされる。そのボールがピタリとウイルソンに収まると、そのまま持ち込んでシュート。惜しくも相手DFに阻まれてしまい、揺らしたのはサイドネットの外だった。しかし思い出してみれば、六反の仙台デビューのときには、この低くて正確なロングフィードに度肝を抜かれたものであったが、その彼の真骨頂を垣間見るシーンだった。

31分の自陣内の守備。混戦の中で、攻め上がってきていた浦和DF槙野のシュートを、目の前で体を張ってブロックしたミンテ。そうかと思えば、攻撃参加して、積極的にミドルを放つ。攻守に渡ってその存在感を示し、リーグ戦初先発ながら、確実に、仙台の攻守のレベルを引き上げる立役者になっていた。

六反も負けていない。34分、昨年まで仙台在籍の武藤にドリブルで攻め込まれ、自陣ゴール前の混戦の中から梅崎に打たれたシュートを、左に横っ飛びしてセーブ。あわや失点もののシーンを防いでみせた。

その後も、攻め立ててくる浦和の攻撃を、持ち前の堅守復活の如く防ぎ続ける仙台。その中からも、カウンター攻撃で積極的なミドルを打ち、仙台の攻撃のリズムを刻み続けるミンテ。期待の新戦力が、ようやくリーグ戦で開花しようとしていた。

だが、ようやく前半終了が見えてきたアディショナルタイム。立て続けに与えたコーナーキックのピンチの場面で、3本目に与えた右コーナーキックの跳ね返りを、浦和MF阿部に蹴り込まれ、その弾道の先に居た仙台ディフェンスに当たってコースが変わってしまい、不運な形で失点を喫した。

前半AT1分、仙台1-1浦和。

リードして迎えたかったハーフタイムだが、追い付かれてなお、後半への期待は膨らむばかりだった。

だが、迎えた後半。またも仙台の “悪癖” が顔を出す。後半10分、前半の終了間際同様に与えた右コーナーキックから、ほぼ全員で守っていたはずの自陣ゴールを、ニアサイドでクッションして逆サイドに振られたところを、後半の頭から出て来た興梠に、アッサリ頭で押し込まれて失点。またも、被セットプレーでの失点癖が出てしまった。そして失点はこれでも収まらず、直後のプレー再開から僅かに1分後。自陣左サイドを崩され、そこからの混戦で、一度は六反がシュートをブロックするものの、そのこぼれ玉を関根に押し込まれてしまった。

後半11分、仙台1-3浦和。

今期、何度も観てきた「連続失点」のシーン。まさか、この一戦でもそれに見舞われるとは。J1復帰後の過去5年、ホームでは未だ一度も負けた事のない浦和に、この時点で2点差を付けられてしまった。今期、未だ2得点を越える試合がない仙台にとって、この点差は、流石に厳しいものがあった。

だが、ここからが「仙台の本領」だった。3失点目を喫し、2点差を付けられた直後。仙台ベンチがとうとう動く。後半13分、期待のハモン・ロペスが、ウイルソンに代わって投入。そして、立て続けの後半14分には、野沢に代わって奥埜が投入された。

一気に、ハモンと奥埜の攻撃カードを切った仙台。その “カンフル効果” は、すぐに現れた。奥埜の投入直後の攻撃シーン。右サイドで菅井のシュートがブロックされたこぼれ球をハモンが拾い、後方のミンテに落としてセンタリング。相手DFにカットされたボールを菅井が頭で再びセンタリングすると、そのこぼれ球に、左サイドから反応したのが奥埜。完全に、浦和DFの視界の外から入り込んできたため、浦和DFが気付いた刻には、もう奥埜はシュート態勢だった。そのままシュートを放ち、ボールは浦和ゴール右隅へ、豪快に突き刺さった。

後半14分、仙台2-3浦和。

奥埜、投入直後に追撃弾を挙げ、ようやく自身のJ1初得点を記録。期待の “新戦力” が、ここでも花を咲かせた。そしてその5分後に得た左コーナーキックのシーンで、梁の蹴り込んだボールは、ニアの味方の頭でフリクションし、浦和DFの頭上を、全て飛び越えてファーへ。その先には、なんと、DF渡部の姿があった。これを渡部、ヘッドで豪快に叩き込んで得点。出場停止明けの渡部、戦線復帰弾を決めて存在感を示した。

後半20分、仙台3-3浦和。

その得点シーンは、2失点目のコーナーキックのシーンで、浦和の興梠にやられた場面の「やり返し」となった。全く同じ場面を、全く同じ展開でやり返すあたり、意地と意地のぶつかり合いを感じた。

そして、この得点が、仙台にとって「今季初の1試合3得点目」となった。この時点で、キム・ミンテと奥埜にゴールが産まれており、中盤のMF登録の選手によるゴールが、ようやく仙台攻撃陣の目覚めを示唆しているかの様だった。

だが、これではまだ、同点に追い付いただけ。更なる勝ち越し点を狙うべく、仙台の勢いは止まらない。後半34分、右サイドの崩しから、最後は浦和ゴール前で構えていた梁に繋がると、梁はこれを落ち着いて、相手DFの詰めよりをあざ笑うかのように、1人、2人と交わし、最後は冷静にシュート。これが決まり、梁の今季初得点となった。

後半35分、仙台4-3浦和。

恐るべし、仙台中盤の攻撃力。2点差を付けられた苦境から、ハモン・ロペスと奥埜を投入し、そこから僅か20分で、その2点差をひっくり返してしまった。戦前の筆者予想では、仙台・浦和共に、後半ラスト15分の得点力がリーグ1位2位を占めるために、この時間帯が勝負どころと読んでいたが、この日は、前半も後半も、常に早い時間帯から得点が動いてしまったため、90分間の約半分近くにおいて、お互いにパワープレーの様相となった次第だった。

しかし、ここでまたも、仙台の悪癖が出てしまう。梁の得点から僅かに1分後、またも興梠に失点を許し、再び同点に追い付かれてしまった。

後半36分、仙台4-4浦和。

「ノーガードの撃ち合い」とは、まさしく、こういう試合の事を言うのだろう。先制点を獲っておきながら、そこから立て続けに3失点を喫し、今度はそこから3得点を奪い返して再逆転。そこから更に、浦和に首位の意地を見せつけられ、三たび同点に。

観ている者にとって、息を吐く暇すら与えられなかったハードパンチャーな一戦は、このままどちらも勝ち越し点を奪える事なく、掲示された4分のアディショナルも消化し、激戦の終了を告げるホイッスルが吹かれた。その直後、奥埜を初め、幾人かの選手が、ピッチ上のその場にへたれ込んだ。体力と気力の限りを尽くして戦い抜いた選手たちに、両陣営のサポーターから、惜しみない拍手が贈られた。

そして、仙台サポーター席からは、試合終了後も止むことなく「仙台レッツゴー」の応援チャントが響き渡った。スタジアム中にこだまするその叫び声は、ここから始まるであろう、仙台逆襲の開始を告げる咆哮の様でもあった。

今季、これまではMF登録の選手の得点が挙がらない事に苦しみ、前節にようやく、ハモン・ロペスにゴールが産まれた訳だが、今節は、MF登録の選手のゴール・ラッシュとなった。更にこの日は、DF渡部に今季3得点目も産まれており、ウイルソンに頼らずとも得点に期待できる、仙台本来の中盤の攻撃力が、ようやくお目覚めとなった印象を強く受けた。

またこの日は、得点こそ成らなかったものの、ハモン・ロペスは間違いなく「劇薬」級の攻撃オプションである事を再確認させられた。その体格と風貌からはとても観てとれない、俊敏性の高いフットワークは、守備でも攻撃でも、マッチアップした相手のリズムを狂わせられる。ブラジル人特有の「持ち過ぎ癖」もあまりなく、ボールを繋げられる味方がパスの選択肢上にあれば、躊躇なくそこを選択する。かと思えば、ゴリゴリとドリブルで突破する豪快さも見せる。いわゆる「絶対、敵に廻したくない選手」だ。今季開幕戦の山形戦で2トップを張った、ハモンと奥埜は、やはり仙台の攻撃の貴重なオプションである。彼らの活躍がなければ、2点差をひっくり返す事は出来なかっただろう。

この一戦で引き分けた事により、16位以下の降格圏への転落も覚悟したが、奇しくも15位をキープするに至った。それでも、16位の清水、17位の新潟とは、勝ち点10で3チームが並んでおり、得失点差で辛うじて、15位を維持した格好となっている。

だが、敢えて。
現在の順位など気にする必要はない、と断言したい。その理由もまた明らかだ。

ようやく目覚めた、仙台中盤の攻撃陣。そのトリガーとして、ハモン・ロペスと奥埜、そして、ボランチのキム・ミンテの台頭。中継放送のピッチ・レポートを務めた村林いづみ嬢によれば、昨年の夏に仙台の練習に参加し、その後、日本語の家庭教師を付けてまで、Jリーグでのプレーを目標としてきたとの事。その努力が、この大一番での先発に繋がり、そして、自らのゴールという形で、ついに報われた。

ミンテのプレーを観ていると、昨年まで仙台に在籍した、DF角田(現・川崎F)を思い出す。同じボランチ、番号も同じ6。センターバックもこなせる対人性の強さや、チャンスがあれば躊躇なく攻撃参加してミドルをぶっ放すその積極性は、間違いなく「ポスト角田」だ。あれで、まだ大卒ルーキーの22歳なのである。「即戦力」とは、こういう選手の事を言うのだろう。

ミンテはこのまま、ボランチ先発定着でも構わないと思えるほど、期待感溢れるプレーを披露してくれた。この一戦を観て「ミンテが効いている」と思った諸氏は、間違いなく、次節もミンテのボランチ先発は外せないと思っている事だろう。

しかし、チームとしては、まだまだ課題が山積だ。得点シーンにしろ失点シーンにしろ、その直後のプレーでバタバタしてしまい、すぐに失点してしまう「悪癖」は、修正が急務だ。この一戦でも、後半10分、11分と立て続けに2失点したかと思えば、後半35分の梁の得点直後にまたすぐ失点するなど、せっかくの攻撃陣の “開眼” に水を差す結果となってしまっている。

それでも、攻撃陣に得点力が戻ってきた今だからこそ、この悪癖の修正にも、前向きに取り組める事だろう。こういう癖は、間違いなく、今後の対戦相手に利用される。常に向上心を以て取り組まなければ、すぐにまた置いて行かれる。それがJ1というカテゴリーだ。それに、「良い流れの中からの得点」こそ、この日はキム・ミンテによって達成する事が出来たが、これまではそこで点を取る事が出来なかったからこそ、今この15位という苦境に晒されている訳であり、これからも、良い流れの中からの得点は絶対条件的に必要となる。

だが、今節は、勝った訳ではないが、勝ち点1によって連敗をようやく脱出できた事を前向きに捉えたい。何といっても、今季ここまで僅か4失点(リーグ戦9試合)の浦和から、1試合で4点も奪ってみせたのだ。引き分けで終わった一戦とはいえ、J1の他チームに与えたインパクトは、相当に大きなものとなったはずである。これで、明らかに「仙台のパワープレー」は、他チームに対する「仙台の攻撃力の怖さ」として認識されたはずだ。

ようやく今季の仙台に、J1のチームらしい風格が漂い始めた。連戦連敗の中からようやく掴み取った、今季の希望の光。首位で最少失点の浦和を相手に、こんな試合が出来るのならば、今後の対戦では、どんなに凄い試合を見せてくれる事だろうか。5連敗という長さの「GWトンネル」を抜けたその先に、見えてくるべきものは、勝ち点奪取のオン・パレードであって欲しいものだ。

この一戦が、好調を取り戻すターニング・ポイントに成り得るものと信じ、ここから始まる、仙台逆襲開始の予感。それは、決して筆者だけが感じ取っているものではないはずだ。そして、次節こそ成せるであろう、勝ち点3の再奪取に期待すべく、今週末が待ち遠しくて仕方がない。

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