新潟0-3仙台 オクノ、オクノ、キム・ミンテ。期待の “新鮮力” 中盤が大活躍。奥埜2発にミンテのダメ押し弾で新潟を終始圧倒し、守っては無失点で快勝。8戦ぶり勝利×1年ぶりアウェイ勝利×対新潟戦連敗脱出の3大副産物をもわし掴みにし、仙台逆襲劇場、華々しく開幕。

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戦前、新潟レオ・シルバの緊急離日に加えて、新潟エースストライカーのラファエル・シルバまでが欠場濃厚との報に、喜ぶどころか、逆説的に「ピンチ感」すら覚えた今節。相手チームの主力欠場の穴を突く狡猾さに乏しい仙台は、これまで何度も、逆に相手チームに芽生える「出場できない選手の分まで頑張る」モチベーションに圧倒され、額面通りの結果を出せずに苦しんできた。

だが、今節は、そんな心配は杞憂だった。

気温17.3℃、曇り、無風と発表された天候からは、当日未明までの雨模様がもたらす少し肌寒かったであろう現地気候と想像したが、それでも、比較的穏やかなサッカー日和だったに違いない。ゴールさえ決まれば肌寒さなど忘れる習性が、もはやDNAに刻まれているであろう仙台サポーター1,100人が見守る中、”鬼門” ビッグスワンの地で、新潟-仙台の一戦は、その火蓋を切って落とそうとしていた。

試合開始直前のコイントス。選択権を獲った仙台は、いつもと逆のエンドを取り、前半に味方サポーターへ向かって攻める側を選んだ。一瞬、「ん?アウェイなのに、ホームと同じ前半右攻め?」と思った。だが、ホームでなら良い試合の入りが出来る仙台にとって、ホーム開催と同じ前後半のエンドを獲った事は、一つの験担ぎにも思えた。また、試合後の渡邉監督のコメントにもあったように、「自分たちがホームでやられた事を、アウェイで相手にもしてやろう」という、微力ながら相手に対するプレッシャーの意も。そんな心理作戦などを考えつく様な監督とは思ってはいなかったが、どうせしばらく勝てていないアウェイの地で、目先を色々と変えてみようという、そのトライアルな発想には賛同こそすれ、これを否定する理由など、どこにもなかった。

仙台は、前節の浦和戦での4得点の勢いを持ち込みたく、先発にはその4得点を挙げた4選手全員を起用。特に奥埜は、2トップの一角のフォワードとしてではなく、自身の主戦場である、2列目のサイドハーフとしての先発起用となった。前節の浦和戦にて、途中出場から僅か1分後に挙げたゴールの記憶すらまだ新しい “新鮮力” の今節先発復帰に、2試合連発の期待を寄せる諸氏は、決して少なくなかったに違いない。

迎えた前半。

試合序盤から仙台は、運動量も豊富でポジショニングも良く、セカンドボールを拾いまくり、試合の主導権を掴む事に成功。対する新潟は、やはり攻守の要のレオ・シルバを欠き、仙台に掻き回される中盤を整理出来ないで居た。仙台としては、ホームの試合のときのように「良い試合の入り」を、アウェイの地でも実践出来ており、このままの流れで行けば、前節の浦和戦と同様、幸先の良い先制点に繋がる期待が膨らむ。時折、新潟にカウンターを許すも、最後は相手のシュートに体を投げ出してブロックし、自由に枠内へ打たせない。打たせても枠を外れ、新潟の攻撃のリズムを寸断し続けた。

そんな中、ロングボール主体の攻めで相手の攻撃の推進力の「ガス抜き」を続けていると、前半9分。そのロングボールから、期待通りの先制点が、仙台にもたらされる。

先日、自身初の日本代表候補合宿に招集されたGK六反からのパントキックが、敵陣内での競り合いを誘発すると、新潟がこれをクリアミス。そのボールは、大きく転々と前へ弾みながら進み、いちども後ろに跳ね返される事なく、前線でポストしようとしていた金園に繋がった。これを金園、頭で更に前へ落とすと、その裏へ、まるで忍者のように入り込んできたのは奥埜。あっと言う間に新潟GKと1対1の場面を造り、そして、落ち着いて新潟ゴール右隅へ決めた。

前半10分。新潟0-1仙台。

奥埜、前節の浦和戦から続いて2試合連続ゴールで、今季2得点目。もちろん、仙台での先発でのゴールも初となった。見事な金園との連携プレーは、戦前に、金園から言われていた「ハイボールが入ったら俺の後ろにいてくれ(2015/05/17河北紙面より)」の言葉を信じた結果だった。

さて、得点が動いたところで、ここで脳裏に浮かんだ懸念「リスタートからすぐの失点の多さ」に着目。だがこの日の仙台は、リスタート後の守備に細心の注意を払っていた様子が見受けられ、リスタート後にボールを掴むと、ここからしばらくの間、相手にボールを渡さない意識がチーム全体に浸透。パスワークで新潟をいなし、試合のリズムを自分たちのものにし続けた。

その後の前半も、セカンドボールに良く喰らいつくシーンを量産。新潟に反撃の糸口を掴ませぬまま、1点リードを堅持して試合を折り返した。

迎えた後半。

奥埜の得点によって、試合の主導権を完全に握れた仙台は、前節浦和戦での活躍を認められてこの一戦にも先発で入った、ボランチのキム・ミンテによっても支えられていた。浦和戦と同様、積極的過ぎるくらいの守備と攻撃参加により、この一戦での総走行距離は、両チームトップの11.8km。トラッキングデータからも、如何にミンテが「この試合で走っていた」かが良く判る。

期待の “新鮮力” の運動量にも支えられ、仙台は前半同様、セカンドボールへの執着を失わず、新潟の攻撃の芽を潰し続けた。すると後半19分。敵陣内左サイドで、富田がウイルソンへの楔のパスのコースをミスしてしまい、相手ディフェンスの選手の足に当たってしまう。ところがそのボールは後方へ流れ、それをフリーで拾ったのは奥埜。これを少し前へと持ち込み、そして、新潟ディフェンスに詰め寄られる直前に、左足でミドルシュートを放つと、その軌道は綺麗な放物線を描き、新潟GKの反応の虚を突いて、新潟ゴール右隅に、綺麗に収まった。

後半20分。新潟0-2仙台。

あまりにも、あまりにも美しい軌道。まるで、新潟ゴールに手繰り寄せられるかのように吸い込まれたそのシュートは、「仙台の7番ここにあり」を告げる名刺代わりのゴールとして、今節のJリーグ月間ベストゴールにノミネートされた。奥埜、僅か2試合で今季3得点目を記録。

これで慌てた新潟は、その後、仙台の持つボールへ容赦なくアタックしてくるも、ボールをなかなか仙台から奪えない。逆に仙台は、ボールを失っても、攻守の要レオ・シルバを欠く新潟を相手に慌てる必要が全くなく、中盤の守備堅めのために、梁を下げて菅井を入れる余裕まで見せた。サイドバックでの守備が本職の菅井だが、その攻撃性は誰しもが認めるところ。その「攻撃の圧力」を以て、新潟の最後の反撃に蓋を閉める大役を任された。

菅井と言えば、「なんでおまえがそこにいる」的攻撃参加が代名詞。当然、この試合にて菅井にもゴールの期待が寄せられる。梁に代わり、サイドハーフの位置に入ったのであれば、尚更である。

だが、この期待は「良い意味で」裏切られる事になる。その菅井の投入から僅かに3分後の後半32分。菅井の投入によって、よりその攻撃性が増した仙台は、ウイルソンのシュートなどで攻撃のリズムを再び刻み始めると、そのウイルソンが左サイドでボールを収めたのを見るや否や、まるで、菅井の如く前線に攻撃参加のため飛び出していったのはキム・ミンテ。その直後、中盤でウイルソンのボールをカットした新潟は、「後方の味方」に繋がる事に期待し、ボールを下げたつもりだったが、そこに新潟の落とし穴が待っていた。

なんとそのボールは、直前に、攻撃参加のために前線へ駆け上がっていったキム・ミンテへ、綺麗に収まる事に。一瞬、仙台としてはオフサイドを気にしたが、そもそも、ラストタッチは新潟の選手。オフサイドを気にする必要など無いと気が付いたときには、ミンテはもう、相手ディフェンスを遙か後方に置き去りにし、余裕で新潟GKと1対1に。これをミンテ、落ち着いて新潟ゴール左隅へ流し込んだ。

後半33分。新潟0-3仙台。

「ミンテよ、なぜおまえがそこにいる!?」守備的ミッドフィルターながら、「攻撃参加は好き」と言い放つ大卒ルーキーの22歳は、日本でのリーグ戦デビュー2戦目にして、早くも2得点目を挙げてみせた。

時間帯を考えれば、決定的過ぎる3得点目。新潟にとって、残り時間を考えると、かなり勝ち点が遠ざかる失点。逆に仙台としては、限りなく勝ち点3に近寄る、大きな大きな3点目を、この試合の終盤で挙げた。

おそらく、ビッグスワンのビジター席に詰めた仙台サポーターの間にて「夢じゃないのか!?」との雄叫びが飛び交った事も予想されるような、今季新戦力の台頭劇。まさか、菅井の後継者候補が、こんな形で一気に台頭してくるとは、5連敗の間には、とても予想だには出来なかった。

そして、この味方の「援護射撃」に意気込みを高くしたGK六反が、3点目の直後に、奥埜に代わって投入された茂木の稚拙プレーを叱咤鼓舞するために「茂木をどついた?」行為が、なんと警告掲示の対象にされてしまうという珍プレーまで飛び出した。大変珍しい光景だったが、味方を鼓舞しようとするその姿勢から現れたもの。これも、代表候補の合宿に参加した効果なのか。これを機に、仙台の守備は、一層引き締まって行く。

その後、ウイルソンからハモン・ロペスにチェンジした仙台は、容赦なく4点目を狙いに行くサインと見るや、掲示されたアディショナルタイム4分のそれを過ぎようとするあたりまで、攻撃の手を緩めなかった。ラスト・オフェンスは、自陣からのGK六反のゴールキックがロングフィードとなり、それがハモン・ロペスに綺麗に繋がったシーンだった。完全に新潟の最終ラインを置き去りにし、最後は新潟GKと1対1に。ハモンはGK又抜きのシュートを狙ったが、惜しくも止められてしまい、ゴール成らず。だが、最後の最後まで攻める姿勢を貫く事は、相手へ脅威を与える事にも繋がれる。ハモンの投入によって、仙台の攻撃の圧力が増すという「サイン」を他チームに知らしめる事は、仙台の攻撃の怖さを、他のJ1のチームに周知する効果としてはてきめんだろう。

このハモンの攻撃シーンを以て、アディショナルタイム4分を消化し、試合終了を告げるホイッスルが鳴り響いた。

仙台、敵地で無失点の3得点快勝。8試合ぶりの勝利に加えて、アウェイでの勝利は1年ぶりとなり、併せて、対・新潟戦の連敗を5で止めた。ビッグスワンでの勝利は実に3年ぶりと、記録尽くめの快勝を収めた。

前節の浦和戦でようやく目覚めた、中盤の攻撃力。それは、奥埜とキム・ミンテという、今季新加入&仙台復帰の “新鮮力” によって、再び息を吹き返したと言っても、過言は無いだろう。この勝利によって仙台は、順位を、15位から12位へとジャンプアップさせた。

ようやく、待望の勝利を掴んだ仙台。だが、アウェイとはいえ、相手の新潟のチーム事情も決して良くなく、新潟が万全の状態だったらどうなっていたかは、全くの未知数だ。それを思うと、兜の緒はまだまだ緩められない。

それでも、仙台が今季これまで目指して来たものが、ようやく花を咲かせ、小さいながらもその実を付け始めた事は何よりの収穫。前節に続き、奥埜とミンテが揃ってゴールを決めるあたり、従来の仙台には見られなかった展開である。仙台の「新陳代謝」もしくは「若返り」へ向けた努力が、ここへ来て結実しつつある事を、如実に感じる。

渡邉監督の言葉を借りれば、「前節の浦和戦で半歩。今節の新潟戦で1歩。」という事になるのだろう。ようやく、仙台の「脚」が再び動き出した実感を受け、この歩みを決して止めてはならないと、改めて感じた一戦でもあった。

仙台の逆襲劇場、華々しく開幕。次節のホーム戦では、日本に復帰したバレー擁する甲府をユアスタに迎える。相手が最下位がどうかに関係なく、仙台はいつでもチャレンジャーだ。甲府の胸を借りるつもりで挑み、今度はホームで、久しぶりの凱歌を響き渡らせたい。

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