仙台1-2山形 お互いにリーグ戦から先発大量入れ替えで臨んだ、ナビスコカップでは初のみちのくダービー。梁の今季初FK得点で一矢報いるも、前半2失点&山岸スーパーセーブ連発に阻まれ予選敗退決定。中島のDF起用には流石に驚いた。

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考えてみれば、J1在籍でないと参戦出来ないナビスコカップにおいて、山形との「カップ戦みちのくダービー」は初開催だった。だが、ミッドウィークに開催が集中するナビスコカップ予選であるが故に、スタジアムの集客はその出足が鈍く、公式発表ベースで8,030人。それでも、ダービーでは負けたくないのがサポーター心情なのだが、今ひとつチーム状態が波に乗り切れていない仙台は、リーグ甲府戦に続き、この一戦も落としてしまった。

山形の布陣に注目すると、古巣戦となる、萬代と中島の名前が先発オーダーの中にあった。共に、最近はリーグ戦での先発がほとんどなく、もっぱらベンチ要員。だがこの一戦では、この2人のモチベーションが試合の行方を左右する事になった。

また、山形の先発内容をみて、非常に驚いた点があった。FWのはずの中島が、DF登録での出場なのだ。おそらく、DF西河の出場停止を受けての暫定措置なのだろうが、3バックの1列前の右WB(ウイングバック)の位置に入った中島には、仙台サポーターとしては、数年前の、ある「思惑」が甦ってきた。

それは、「中島の右SB(サイドバック)待望論」だった。中島の仙台在籍当時、FWでありながら得点から遠ざかり、先発起用が続く事に疑問を呈する声が多かったのだが、そのトップスピードの速さを活かすポジションとして、右サイドバックへのコンバートを推する声が多かった。記憶では確か、菅井が負傷か何かで欠場を余儀なくされていた時期と重なった事もあり、半ば冗談の域のレベルでの話ではあったものの、以外にも、適性を見出せるのではないか?との声も、少なからずあったのを覚えている。だが、実際にはこのコンバートが実現する事はやはり無く、中島は仙台での出番を徐々に失い、レンタルを経て、山形へ完全移籍していった。

そんな過去の話など、とうの昔に記憶の彼方に葬り去っていたのだが、今回の「DF中島」の先発起用を受け、そんな記憶が、メラメラと甦ってきたのだった。

この「DF中島」に対する怖さは、仙台で例えれば、それこそ、右サイドバックの菅井のそれに近いものがある。攻撃力も決定力もあり、またトップスピードも併せ持つとなれば、カウンター攻撃の場面では、あまりにも脅威的な存在となる。それを、この一戦で見せつけられる可能性があるのかと思うと、今は敵ながら、「怖いもの見たさ」の心境で、少し、楽しみにしたところもあった。

斯くして、いざ試合が始まってみると、それはやはり現実のものとなった。3バックを採用する山形の布陣の、1列前の右WBの位置に陣取った中島。「背番号9」が、相手の守備陣形の中に居るという違和感。そして、仙台の攻め込みからボールを失い、それが中島に渡ると、一気に前線へボールを運ぶ姿が散見された。ポジションこそWBだが、ポジション取りの流動性の高いサッカーでは、SBもWBも大して変わらない。仙台は、「今は敵」の中島の、カウンターの場面でのトップスピードの脅威に晒されながらの戦いを強いられる事となった。

それでも、前半の試合の中で、仙台は、直近のリーグ甲府戦にて、シュート3本で終わってしまった反省からか、「攻撃はシュートで終わる」その意識は高かった。だが、若手主体で臨んだ事もあり、精度や連携といったあたりの「練度」は決して高くはなく、ミスからカウンターのピンチを招く、もしくは攻撃の芽を自分たちで潰してしまう事もしばしばだった。

それでも、「迫力」はあった。前半10分にハモンロペスが放ったシュートが、惜しくも山形ゴールの枠右スレスレで外れたり、絶妙のクロスに惜しくも合わせ損なったりと、甲府戦では観られなかった「攻撃のリズム」が、この一戦では散見された。

だがこの日は、ホーム開催であるはずも、実際には「山形の日」だった。前半22分に与えたコーナーキックのピンチから、ゴール前での混戦を、最後はアルセウに豪快に叩き込まれて先制点を献上。その後も激しい攻防が繰り広げられ、仙台は惜しいチャンスを造るものの、徐々に、試合序盤ほどの攻勢が見られなくなったところに、山形のカウンター攻撃を受け、最後はフリーで、元仙台の萬代に、あっさりと2失点目を献上してしまった。

前半39分。仙台0-2山形。

ダービーなのに、まさかの前半2失点。後半に3得点を取らなければ、ナビスコカップの予選敗退がほぼ決定しまう苦境に陥った。

そういえば、「後半に3得点を獲って山形に逆転勝利」という一戦が、以前にあったのを覚えているだろうか。2008年5月18日のJ2第14節、仙台-山形(@ユアスタ)で、仙台はやはり、前半のうちに山形に2点を許したものの、後半に3得点を挙げて逆転勝利という、未だ記憶にこびり付く、伝説の一戦である。

「まさか、あの時の再現、なんて事は無いよな、、、」と、内心どこかに期待してはみた。そして、ハーフタイムを挟み、仙台には珍しく、後半の立ち上がりから、一気に2枚替えという大胆な采配を、渡邉監督が振るって来た。

ここでピッチに登場したのが、あの伝説の大逆転劇を知る、梁と菅井だった。「あの日」も先発し、ピッチに居た梁と菅井が、この日は、後半の頭から登場。あの日を知る者にとっては、否応無しに、期待を寄せてしまう。

そして実際、菅井と梁が入った事で、仙台の攻守が、その「息」を吹き返した。菅井が右サイドバックに入った事により、その右サイドからの山形の攻撃を潰せる様になり、逆にそこから、仙台の攻撃が始まる様に。明らかに菅井は、仙台の攻守のスパイスだった。そこへ更に、仙台の攻守のハブ(※HUB=車輪の中央にある車軸)役の梁が投下された事で、仙台は、一気に攻勢に打って出られるようになった。

仙台は、前半のうちに付けられた2点差をひっくり返すため、後半の頭からは、運動量を上げて勝負を仕掛ける必要があった。そして実際、後半は終始、仙台ペースで試合が進んだ。それはまるで、試合終盤のパワープレーの様相。2点差を追い付かねばならない仙台にとって、決して楽なものではない。

それでも、迎えた後半は、開始直後から山形ゴールに迫る攻撃を見せるなど、明らかに、ハーフタイムで「危機意識」を植え付けられていた。なれば、できるだけ早い時間帯に、まず1点を返しておきたい。そんな願いが、後半17分に結実する。

この日、仙台公式戦先発デビューとなった金久保が、GK関からのパントキックを受けたハモンからの繋ぎを受けたところで、山形のファウルを誘い、フリーキックのチャンスに。位置は、山形ゴールから30mくらいの、ほぼ正面。キッカーは梁。距離的にも、壁を越えて落とすのに丁度良い感触の漂う位置だった。

右足を振り抜く梁。そのボールは、見事に狙い通りの軌道を描き、山形ゴールの左隅へ吸い込まれていった。

後半17分。仙台1-2山形。

1点差に追い付いた事で、仙台の選手に、更なる攻撃のスイッチが入る。ここから先は、次第に中盤が省略され、後半の頭からパワープレーの様相を呈した試合の流れは、本来のパワープレーへと、その色合いを、より濃くしていく。

連呼される「仙台、レッツゴー!」のコールの中、時折散見される守備ミスからの、山形カウンター攻撃をなんとか凌ぎ続きつつ、同点弾を虎視眈々と狙う仙台。残された交代カードも、先ほど、梁の得点の起点となるフリーキックを獲得した金久保に代えて、奥埜を投入。この時点で、ラスト20分。最後の力を振り絞り、同点弾、そして逆転弾を目論む仙台。

だがこの日は、「あの日」の再現とまでは行かず、このまま追加点を奪える事なく、掲示された4分のアディショナルタイムもあっと言う間に消化し、そのまま試合は終了となった。

ダービーマッチらしい「試合の熱さ」は観られたとは思うものの、その舞台がナビスコカップの予選であった事から、お互いに、リーグ戦の主力の投入は限定的として臨んだ。そんな中でも、山形は、元仙台の萬代と中島を先発起用し、古巣撃破に燃える気持ちを持つ2選手のモチベーションを最大限活かす起用としたのに対し、仙台は、後半に、あの伝説の一戦を知る、梁と菅井を同時投入するという采配で、事態の打開を図った。

結果としては、仙台のホームでありながら、アウェイの山形に軍配が上がるという、非常に悔しいリザルトとなってしまったものの、内容としての収穫は、やはり梁と菅井は外せないという事実の再確認、そして、梁にようやく、フリーキックからゴールが産まれたという事か。相変わらず、仙台の打つシュートは枠を逸れる傾向にあり、この一戦でも実は、後半の梁のゴールが決まるまでのシュート(4本)全てが枠外だった。

それでも、直近のリーグ甲府戦からみれば、シュートを打つところまで試合を組み立て、また得点も挙げる事ができた。実際、「惜しいシーン」も沢山あり、それらが仮に全部決まっていれば、4~5点は獲れただろうと思えるくらいの内容だった。先発起用したメンバーこそ大幅に違った一戦だったが、チーム全体として「試合にどう臨むか」の意識改善という意味では、リーグ甲府戦からの立て直しはどうにか出来たのではないか、と思っている。

この日の別会場では、神戸がホームで清水に逆転負けを喫したため、仙台も、山形に勝ちさえすればまだ、予選B組突破の芽は残っていたものの、自らが山形に屈した事により、この時点での予選敗退が決定となった。

中2日で、もうリーグ神戸戦がやって来る。この山形戦をゆっくりと振り返る、時間的余裕など、選手にもサポにも「無い」に等しい。予選敗退したのであれば、残る予選B組の最終節である川崎戦(6/3水・等々力競技場)は、純然たる消化試合として、この山形戦と同様、若手の経験蓄積の場として活かすべき。そこに、もはや異論を挟む余地は無いだろう。

山形とのダービーマッチは、今季まだ1試合残っている。今度は9月下旬のアウェイ対戦だ。そのときまた、今回のナビスコカップの一戦を振り返る事になるだろうが、次回のダービーマッチの頃には、出来れば、来季J1残留を決めているか、或いは、残留ほぼ決定的と言える様な状況で、余計な心配なく、現地参戦したいものである。

さぁ、神戸戦に気持ちを切り換えよう。中2日なんて、あっと言う間に過ぎ去る。齢を重ねられたサポーター諸氏ほど、中2日、中3日の連戦にて、それこそ「光陰、矢の如し」を実感されている事だろう。

神戸戦では、それこそ、矢を放つ様な豪快なシュートを拝見したいものだ。そしてそれが、先制点もしくは決勝点である事を、願って止まない-。

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