柏戦レポート/FC東京戦プレビュー 勝敗を分けたのは「守備への飽くなき執念」と「柏エースの不調」。新加入・DF板倉の自身プロ初ゴールは、今年の代表戦で既に2ゴールを挙げた自信がもたらした必然の結果。

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もはや恒例となりつつある、リーグ開幕戦勝利。今年も見事にそれを達成出来たが、決して簡単な事ではない。例年、相手の攻撃に苦しめられつつも、何とか自陣ゴールの「決壊」を防ぎ、辛くも最少得点の1-0での勝利。だがそれも、今年で3回目を重ねる事となった。(因みに、この開幕戦4年連続勝利の最初は、ホーム山形戦での2-0勝利)

そして、今年の勝利のための貴重なゴールシーンは、新加入のDF板倉の頭から産まれた。年代別日本代表でもある彼は、今年既に、U-23の国際大会で2ゴールを挙げる活躍を見せ、今季のJリーグ開幕を前に、試合勘は申し分なし。そこで得た経験がおそらく、今節の得点シーンのイメージを描く好材料になっていたのだろう。

後半7分、右サイドからMF古林の挙げたセンタリングに合わせた板倉。186cmのハイタワーな身長の頭から繰り出されたその「一振り」は、柏ゴールを見事に射抜いた。その軌道は、柏の日本代表GK・中村航輔の反応をも許さない、見事なものだった。

後半8分。仙台1-0柏。

前半こそ、柏の攻撃ペースで試合は進んだ。ボールを持たれ、仙台はなかなか攻撃に転じられない展開が続く。だが、明らかに昨年と違う点が、今年の仙台にはあった。それは、昨年から培ってきた「3-5-2の基本布陣」による、ブ厚い中盤の構成。そして、相手の持つボールへの積極的なアプローチの姿勢。その姿勢は、今季新加入のFW阿部拓馬が、柏GKの持つボールにすら積極的に詰め寄るほどのものだった。

柏としても、あれだけ仙台に詰め寄られては、攻撃の起点を造りにくくて仕方なかったはず。だが柏は、そんな中においても、エースのFWクリスティアーノにボールを集め、堅い仙台の守備を崩しに掛かってきた。

過去、何度もあの選手に、煮え湯を飲まされてきた仙台。そして仙台サポーターなら、誰しもがあの「2015年天皇杯でのフリーキックから3失点」が、脳裏から離れない。

だが、今節に対峙したあの選手は、今季はまだ、自身の「砲身の照準」の調整が甘い様子だった。危険なシュートを撃たれるも、そのボールは、仙台ゴールの枠を捉えられない。

逆に、後半に仙台のゴールが決まってからは、柏の焦りが徐々に募りだしていくのが実感できた。一つ一つのプレーの裁定に、不満を顕わにする柏の選手ら。そしてとうとう、試合の終盤に、柏のDF中村が2枚目の累積警告を受け、退場を余儀なくされた。

この時点で、仙台にほぼ軍配。もちろん失点の可能性が無かった訳ではないが、過去、相手が一人少ない状況下ながら何度も失点を喫する憂き目に遭ってきた仙台としては、ここで浮かれている場合ではない事を、選手は皆、判っていたはずだ。それが判っているかの様に、仙台の選手たちは、最後まで運動量が落ちる事なく、執拗なファーストディフェンスを、最後まで貫き通した。

試合前、キックオフを待つのに、あれだけ寒かったスタジアム。特に、日差しの当たらない自由席南のエリアは、冬場は極寒の大地と化す。このため、好天の冬場のキックオフ前は、自南エリアの誰しもが「七北田川を眺めながら日向ぼっこ」をする。

そんな極寒のスタジアムでも、ゴールが決まり、勝利を手中にすると、誰しもが寒さなど忘れ、歓喜の渦に、自ら飛び込む。そしてその時だけは、極寒の気温の中に身を置いている事を忘れられる。

毎年、まだまだ極寒の時期にJリーグが開幕する。そんな時期の開幕戦で、4年連続で勝利を収められているのは、極寒という逆境を味方に出来る、北国のチームならではの強みなのだろうか。

ただ、毎年、シーズン序盤は勝ち点を重ねる事ができても、試合数が増えてくるにつれ、気候も暖かくなり、強豪と呼ばれるチームにはなかなか勝てなくなる。その「歴史」の繰り返しでもあった。

だが、今年はどうだろうか。選手の新陳代謝が進み、新しい血肉を付けたチームは、渡邉監督の下、目指していたアクションサッカーが、結果を出しつつある。次節、FC東京戦は、もう何年も勝てていない、いわゆる「鬼門」の味の素スタジアムでの対戦だが、今のサッカーなら、負ける気がしない。

例年、「あの」スタジアムでは大量失点が続き、煮え湯ばかりを飲まされ続けている。だがその間も、渡邉監督が標榜するアクションサッカーの進化と発展が突き進められた。そろそろ、その努力の成果を、このスタジアムでお披露目しても良い頃だ。

特に、FC東京からは今季、FW阿部拓馬を完全移籍で獲得。その献身的な守備っぷりと、その礎となる豊富な運動量は、前節・柏戦を観ての通りだ。移籍元のFC東京が相手となれば、より一層の奮起が観られるに違いない。

ところで、折しも地元仙台出身のフィギュアスケーター・羽生弓弦選手が、五輪連覇という快挙を成し遂げた。そして、彼の口から常に出てくる言葉は、「被災地に元気を届ける」「応援してくれる人たちへの感謝」だ。だが、彼は更に、先日のインタビューで、こうも言った。

「連覇のためだけに幸せを全部捨てようと思いました。」

7年前の、あの大震災の被災者でもある羽生選手は、7年が経とうとしている今でも、当事者の意識を捨てていない。そして、当事者である自分に出来る事が、自身の活躍を通じて、自分を応援してくれる人たちへの恩返しに成ることを、ちゃんと判っている。その「想い」だけで、自身の若さが欲する、あらゆる雑念をかなぐり捨て、あれだけの精神的強さを発揮できる事に、驚嘆の意と畏怖の念を禁じ得ない。

そして「次」は、私たちの番ではないのか?

例年、シーズン前に、選手たちには被災地の現状を見学して貰っており、被災地のチームとしての役割がある事を、クラブは選手に理解して貰おうとしている。選手も、このチームに来る事の意味は、判ったうえで来てくれているはずだ。

羽生選手に「続く」のは、是非、私たちでありたいものであるが。今年は、どうだろうか-。

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