G大阪戦レポート/湘南戦プレビュー あれだけ試合を造り主導権を握っても、最後は「ワン・チャンス」をモノにするか・しないかの差で敗戦。やりたいサッカーが出来たのに結局勝てない。足りないものは、何なのか。

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得点者:

62′ 倉田秋(G大阪)

仙台に得点が産まれなかった事を除けば、試合の内容は充分に「やりたいサッカー」で満ちていた。アウェイながら試合の主導権を握る展開を続け、きちんとシュートで終わる攻撃。しかも「枠内率」も高かった。運があれば入っていた様なシーンもあり、いわゆる「ゴールの臭い」は充分だった。

だが結局、それらの決定機を外し続けた。その結果、後半に訪れたディフェンスの一瞬のミスを突かれて失点し、それを挽回できないままに試合終了。G大阪1-0仙台のスコアで、仙台の5試合連続未勝利となった。

対するG大阪は、一時期はリーグ最下位に沈んでいたものの、ここへ来て勝利の芽を積み重ね、とうとう降格圏を脱出。逆に仙台は、ズルズルと順位を下げる一方である。

以前から仙台は、シーズン序盤は勝ち点を積み重ねられる傾向にあるが、暖かくなってくると失速する傾向にあるチームである。いわゆる「スタート・ダッシュ型」だ。何故かこの傾向は、どんなに選手の入れ替えが進んでも変わらない。手倉森監督時代も、そして渡邊監督時代でも、その「傾向」は続く。

怪我人の影響、根性論、運命論。点を獲れる選手が怪我で離脱しているからとか、疲れているときに、どれだけ相手を上回る運動量を出せるかとか、決定機を迎えたときに、ボールがどれだけ枠に嫌われるか、とか。

仙台が「得点」に見放されている要因は、いくつも思い浮かべる事が出来る。

だがそれは、別に仙台に限った話でもない。どのチームも、決定力や得点力には悩まされている。前節の札幌戦では、その決定力によって、辛くも勝ち点1を得た。だが今節の敗戦によって、5試合連続未勝利を記録。前節の勝ち点1が無ければ、あわや4連敗を記録するところだった。

いやもうここまで来ると、4連敗したも同然か。勝ち点の積み上げが均衡しているため、勝ち点1の差で順位を大きく落とさずにいるものの、その差はまさに「首の皮一枚」である。生きた心地はしない。

仙台が目指すサッカーは、決して悪いものではないし、嵌れば実際に面白い展開が観られる。監督もそこに拘り、ブレずに貫く姿勢を崩さない。その事は、G大阪戦の試合後のインタビューでもコメントしている。だが監督は、併せて、こうもコメントしている。

「勝ち運を拾う作業というものが、あまりにも疎かすぎます」

その後の下りを含め、要約すると「サッカーの神様に振り向いてもらうため、サッカーをなめることなく、日々精進」という事である。

こんなコメントが出てくるあたり、もう監督には「次にやれるべきこと」の手打ちネタが底を突いてきたのだろうか、と心配になってくる。が、おそらくこれが本音なのだろう。

やれるべき事はやっているはずなので、あとはもっとそこを突き詰めて、普段から真摯にサッカーと向き合えば、きっとサッカーの神様が結果を与えてくれるようになるはずだ、と言う事なのだが、本当に、もう「やれる事」は残っていないのだろうか?

筆者は、そうは思わない。そしてそのポイントは「失点」にあると観ている。

考えてもみて欲しい。シーズン序盤、仙台が勝ち点を積み重ねられてきた要因がどこにあったのかを。言わずもがな、失点の少なさだったはずだ。その失点が増えてきてから、勝ち点の積み上げが難しくなってきた。

では反対に、得点力はどうか。シーズン序盤こそ複数得点が無かったものの、毎試合1点は獲れていた。だが最近は、無得点試合も4つと増えてきてしまった。

「やっぱり、原因は得点力?」

その点については否定はしないが、無得点試合が増えた分、複数得点の試合も出て来ているので、平均すると、実は意外にも、得点力に極端な低下は無いのである。

もちろん、もっと1試合平均の得点力が上がるに越した事はないし、そこを主眼に置いたサッカーをしているので、もっと得点シーンを造らなければならないと焦る気持ちも判る。

だが結局、勝ち点の積み上げが滞っている直接の原因は、単純に「失点が増えてきたから」に他ならない。仮に、得点力は現状のままとして、「1点差で敗戦した試合を全て1失点ずつ減らし、ドローに持ち込めた場合」を想像してみたい。

仙台が今季ここまで、1点差で敗戦した試合は3つある。それらが全てドローで終われたとすれば、単純に勝ち点は+3となる。これを仮定して順位表に当てはめると、対戦相手の関係もあり、5位を維持できている事になるのである。

良い例が、今季の広島だ。12試合終了時点で、無失点試合は実に9試合に登る。得点力に悩まされたシーズン序盤でも、当時の仙台と同様、失点の少なさを武器に勝ち点を積み上げてきた。そしてその堅守をベースに、パトリックの得点力回復の上乗せによって、現在の首位独走態勢を築き上げたのである。

仙台が2位に居た頃、広島との勝ち点差がそんなに無かったのを覚えている諸氏も多い事だろう。

結局のところ、得点力の無さを補うのは失点の少なさであり、その攻守のバランスが悪くなったからこそ、勝ち点の積み上げが低空飛行状態になっているだけなのである。

スペインの名門・バルセロナのように、失点してもそれを上回る得点力で勝ち点を欲しいままにするサッカーが出来れば良いが、ストライカーやファンタジスタの獲得に何の憂いもない金満クラブと同じ事をしようとするのは、やはり無理がある。

であれば、目下の手本は「広島」になる。仙台は今一度、そこを目指すべきではないだろうか。

勿論、守備すれば攻撃を疎かにして良いという意味ではない。目指すポイントは、前述したように「攻守のバランス」にある。

仙台が「攻めれている時間帯」のときに得点が獲れないと、相手にワン・チャンスを与えて失点してしまう。前節のG大阪戦が、まさにそういう展開だった。あの失点シーンを観ても判るが、仙台は、失点するときはアッサリ失点する。そしてその大半が、守備の連携ミスによるものだ。相手を褒めるしかないようなミドルを決められるケースもあるが、しっかりと守備で相手に身体を寄せる事が出来れば、「フリーで狙い撃ち」される事はまずない。

問題なのは、仙台の守備において、どうしても「マークが甘くなる瞬間が多い」傾向になる事だ。これは、誰しもが共感できる話だと思うのだが、実例として挙げたいのは、ボランチ富田のインターセプト能力である。

彼がアンカーのポジションで睨みを効かせていると、相手が攻め込んできても、タイミング良く富田がその相手のパスを奪い去り、相手の攻撃の芽を潰してくれていた。

だが最近は、その富田の先発出場の機会も減り、それに合わせるかのように、失点も増えていった。そして、富田のようにインターセプトで相手ボールをカットする選手が、今の仙台の先発陣に居るかと言うと、皆無に近い状況である。

選手はみな、それぞれ特徴が違う。富田と全く同じプレーを他の選手に要求する訳にはいかない。だからこそ、守備を組織的に構築し、かつ、攻撃の時間を長くする事で、結果的に相手の攻撃の時間を与えないサッカーを目指しているはずなのだ。

ただ、それにもやはり限界がある。先発する選手の平均年齢が下がってきた仙台は、攻撃力の向上とは相対的に、経験量の豊富なベテランによる守備力が落ちてきている。その「バランス」を保とうとしている監督の腐心は痛いほど良く判るのだが、結果的に、保てていないのが現状である。

おそらくこの先も、得点力が劇的に改善する事はないだろう。負傷で離脱中の阿部拓馬やラファエルソンが戦線に復帰しても、それでいきなり得点力回復に繋がるという事は考えにくい。現状の得点力は、西村と石原の2枚看板で充分に維持できると考えている。

であれは、あと「やれる事」はと言うと、守備面の改善しかない。

現在、首位を快走中の広島の失点が僅かに「5」である事を見据えれば、仙台が目指すべき方向性もそこにある事が良く判る。今後の仙台が「日々精進」するとすれば、それはあくまでも、守備面の改善であるべきだと思っている。

仙台は長年、ゴールキーパーには恵まれている。現在は関とシュミットのほか、新潟から来た川浪も、カップ戦では大活躍中だ。ただ、被シュート全てをゴールキーパーが止められる訳ではなく、はやり基本は、シュートを撃たせない堅守の構築が前提である。

チームの中からでも、余所からの獲得でも良いから、「ポスト・富田」の台頭が観られれば、また勝ち点の積み上げが始まるはずだ。

攻撃面では、目指すサッカーが出来つつある事を、敗戦ながらG大阪戦では実感できた。あとは、守備面の見直しが今後の課題になるだろう。

点が獲れないときに、考えるべきは「どうやったら点を獲れるようになるか」だけではなく、「どうやったら失点を防げるようになるか」も併せる必要がある。

攻守のバランスが悪いサッカーは、J1では通用しない。前節に敗戦を喫した相手のG大阪にしたって、彼らが以前にJ2に陥落した年も、決して得点力が無かった訳ではない。あの年はむしろ、失点が多すぎたが故のJ2陥落だった。

「神に頼る」前に、やるべき事はあるはずだ。
人事を尽くさずして、天命は降りて来ない。

湘南戦では、まず無失点を目指したい。
今の仙台に出来る事は、「そこ」ではないだろうか。

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