HDDのアクセス速度が突然落ちる「PIO病」
メモリも充分に積んでいるし、デフラグも普段から気を遣っている。ところが、ファイルアクセスやファイルのコピーがやたらと遅くなった。だいたい、昨日までは何ともなく使えていたのに。今日になったらいきなり。なんていう状況が、意外にも存在します。
すわ、HDDの故障か??と思いたくもなりますが、実は、故障していなくとも、HDDのアクセス速度が落ちてしまう「仕組み」が、windowsにはあるのです。
俗説的表現ですが、これを「PIO病」と言います。
HDDのアクセス方法には、実は大別して2種類の仕様があります。一つは「DMA」、もう一つは「PIO」です。歴史的にはPIOのほうが古く、過去のPCの歴史の中で、PIOモードから、より高速なDMAモードにアクセス方法が遷移してきたという事実があります。
DMAの方がアクセス速度が速く、通常は意識しなくても、一般的にはHDDはこちらのモードで利用しています。
ところが、ある「事象」がきっかけで、このモードが突然「PIO」に切り替わってしまう場合があります。こうなると、HDDのアクセス速度は以前の数分の一に落ちてしまい、多大なデータ量を扱う最近のWindowsでは、恐らく遅すぎて使い物にならないでしょう。
前述した「事象」というのは、例えば、WindowsがHDDのアクセスに「ある程度の回数を失敗した」と判断すると、高速なDMAモードでは危険と考え、安全対策として、PIOモードに勝手に変更してしまうものです。
また、PIOモードはその規格の特性上、CPUへの負担が大きく、DMAモードのそれと比べて、HDDのアクセス中はCPUのパワーを持って行かれます。このため、瞬間的に画面がフリーズしたりする現象が発生する事があります。
高速なHDDも、稀にセクタアクセスやクラスタアクセスに失敗する時があります。通常はリトライ動作でアクセスに成功し、事なきを得て処理が先に進みますが、一部の不良セクタやクラスタへのアクセスが重なり、内部的にエラーが発生するようになると、「HDDのどこかがおかしい。よし、モードをDMAからPIOへ変えて安全に」となり、その時点からHDDへのアクセスが遅くなってしまうものです。
ちょっと古いのですが、以下の記事は、HDDの転送モードについて書かれたものです。
http://www.atmarkit.co.jp/fpc/pctips/032changeudmamode/changeudmamode01.html
PIOモードとDMAモードで、どれだけの速度の違いがあるかが良く判ります。
尚、PIOモードになってしまった場合、これをDMAモードに戻す事は可能です。大概の場合は、デバイスマネージャの中から「IDE ATA/ATAPI コントローラ」を探し、その中の複数の「プライマリ IDE チャンネル」のうち、プロパティ-詳細設定の表示が、
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現在の転送モード(C): PIO モード
----------------------------------------
になっています。これを、転送モードをプルダウンで操作し、DMAモードに戻してマシンを再起動すれば完了となります。
※現在の転送モード(C) が "無効" と表示されているデバイスについては、現在利用されていませんので、無視して下さい。
通常は、以下のような状態となっています。
PIO病に関しては、ネット上にも色々と情報が上がっています。「PIO病」で検索して貰うと判りますが、意外に知られた「病気」である事に驚かされます。
あなたのPCのHDDが、ある日突然アクセス速度が遅くなったら、PIO病の可能性も疑ってみて下さい。
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