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新潟0-1仙台 スコアレス終幕も覚悟しかけた試合終盤の途端場で、救世主・ウイルソンがPK獲得の大活躍。直前まで出場が危うかった助っ人が、自らこのPKを決め、これがそのまま決勝点に。新潟の堅守速攻に苦しむ展開だったが、自力で状況を打破し、大きな勝ち点3を獲得。

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 後半43分。途中出場の松下からの想いの籠もったセンタリングを、ペナルティエリア内で胸トラップしたウイルソン。これを、新潟DF鈴木大輔が手を掛けて倒し、PKの判定に。ウイルソンが自らこのPKを決め、そのまま決勝点となった-。

 

 試合前日の夜になっても、患部をアイシングしていたというウイルソン。それだけ、足のコンディションが良くなかったというのに、当日は先発に名を連ねていた。試合前日の情報を受け、赤嶺・菅井に加えて、ウイルソンの欠場も半ば覚悟していただけに、キックオフ2時間前の先発発表の時に、ウイルソンの名前を目にした際には、期待半分と心配半分の心境だった。

 
試合当日は、ゴールデンウィークの入りを待っていたかのように気温がグングンと上がり、記録では20℃を越えた。今季、雨や、寒い気候の中での試合が多かった仙台イレブンが、今季初めて、汗ばむような気候の中での試合を迎える事となった。暑さ慣れしているとはいえない状況に加えて、先発主力メンバーを2人も欠くという事態に、どこまで自分たちの今季のサッカーを貫き通せるか。そして、勝利を収められるのか。突き付けられた"課題"は、決して簡単に答えを出せるようなものではなかった。
 
前半。
 
実際の試合展開も、非常に苦しいものとなった。今季のリーグ戦で今だ1勝しかなく、勝ちたくて前へ出てくると思われた新潟は、なんと、仙台の堅守速攻への対応として、自分たちがしっかりと守備ブロックを形成し、そこからの堅守速攻を、逆に仕掛けてきた。元々、仙台がやってきたサッカー。こちらがボールをポゼッションできるにも関わらず、なかなかフィニッシュまで持ち込む事が出来ず、中盤で新潟の堅守に阻まれてボールを失い、そこから何度もカウンターを受け、あわや失点というピンチのシーンを何度も創られかけた。
 
前半6分。新潟のセットプレーから、自陣ゴール前の溢れ球を、新潟DF石川直樹に蹴り込まれ、豪快にネットを揺らされた。だが、一度は新潟に得点が認められるも、GK林が「自分の目の前に居た、新潟DF鈴木大輔がボールに関与した」と線審にアピールすると、一転これが認められ、オフサイドでノーゴールの判定に。
 
「救われた、言ってみるものだな-」
 
と、誰しもが思った瞬間だっただろう。もし、あの失点がそのまま認められていたら、試合の流れは、大きく新潟に傾いていたに違いない。
 
しかし、その後も仙台は、新潟の自陣での堅いブロック形成に手を焼き、パスを繋いで相手を崩せなかった事から、どうしてもロングボール主体の攻撃展開を選択するしかなかった。これはこれで、前線での溢れ球を拾う事が出来ればチャンスに繋がる。決して悪い選択肢ではなかったと思うが、決定機を創るまでには至らず。
 
結局、お互いがフィニッシュまで行く前に、中盤での潰し合いに終始し、前半を終わってみれば、シュート数は仙台が1、新潟が2と、差し詰め"我慢大会"の様相となっていた。
 
ボールを握れていたのは仙台だったが、堅守速攻が効いていたのは新潟だった。主導権を握っていたのはどちらかと聞かれれば、迷わず「新潟」と答えるような内容だった。
 
ウイルソンが何とか先発出来たとはいえ、ゴール前で仕事の出来る赤嶺や菅井を欠いた布陣は、やはりいつもの仙台の攻撃の"ブ暑さ"からは、少し遠く感じた。これに加えて、先発出場したウイルソンも、どうやら足を多少いたわりながらのプレーだったらしく、決して全力でのプレーとは行かなかった様子だった。
 
折り返した後半。
 
仙台MF太田に攻撃のスイッチが入り、右に左に、運動量を駆使して何度も新潟の両サイドに顔を出し、フィニッシュを演出出来るようになると、仙台のシュートシーンが見えて来るようになってきた。時間が経つにつれ、少しずつマークが甘くなり、オープンな展開になってくると、選手交代で入った松下や武藤が、次々にチャンスを演出。だが、無情にもスコアは動かず、0-0まま、試合は終盤へと突入していく。
 
今季、こんなに長くスコアレスが続いた事は無く、これまではどこかで、得点、もしくは失点があり、"試合が動いて"いた。しかし、後半も40分を廻って、今だに0-0のままというシチュエーションは、今季は初めてだった。
 
昨年までの仙台なら、こういう試合で、最後の最後に集中を切らし、失点を喫して敗戦していたかもしれない。だが、今季は違った。
 
主審の判定に不満を募らせ、焦りの色が見え始めた新潟とは対照的に、仙台は、最後まで落ち着いたプレーに終始。新潟の「負けたくない」という執念の下、落ちない相手の運動量の中をかいくぐり、起死回生のチャンスを伺っていた、後半43分。
 
ここで、冒頭のようなPK獲得シーンが産まれ、これがそのまま決勝点となり、仙台にとって、新潟スタジアムでの公式戦初勝利となった。
 
正直、苦しい試合内容だった。これまでも、新潟アウェイでは、相手に出鼻を挫かれ、厳しい試合展開を強いられてきた。今季こそ、首位 vs 16位という、真逆な状況下での対戦となったが、試合内容だけをみれば、どちらが首位に居るチームなのか、判断が付かないほどだった。
 
以前なら、こういう試合で勝てる事は、ほとんど無かった。決勝点を取れなかったり、終盤にギリギリで追い付いてのドロー終幕となる事が多かった。
 
だが、そんなチームを救ってくれたのが、今季新加入の助っ人・ウイルソンだった。彼は、第5節のホーム磐田戦でも、菅井からのクロスを胸トラップで受け、それを見事な反転シュートで、起死回生の同点ゴールを奪っている。あの時も、そして今節も。ウイルソンの、あの「胸トラップのポストプレー」で、劇的な得点シーンを創出した。
 
だが、毎試合のように、こう巧く行くという保証は無い。もしかしたら、前半6分の失点が取り消されずに、あのまま認められていたかもしれないし、ウイルソンが獲得したPKも、もし主審が「新潟DF鈴木大輔がウイルソンの腰に手を掛けていた」のを見逃していれば、PK判定は無かったかもしれない。
 
そういう意味では、今節は、主審や線審の判定に助けられた試合だったとも言う事が出来る。だが、それも含めての試合である。少なくとも、ウイルソンが獲得したPKの判定は正当なものであったし、新潟側から見れば、やや仙台寄りとも見えたジャッジに不満を募らせた結果、不要な警告を何枚も貰ってしまい、仙台にPKを与えただけに留まらず、異議と判断されたブルーノ・ロペスが、この日2枚目の警告を受け、退場に。もしブルーノ・ロペスがピッチを去らなければ、新潟は同点弾を叩き込んでいたかもしれないが、それが適うどころか、次節にすら影響を残してしまった。確かに、前半6分の得点が取り消されて不満が募っていた事は理解できるも、だからと言って、不要な異議警告を受けて良いという免罪符にはならない。
 
仙台としては、こういう試合を"拾った"のは大きい。もし、審判の裁定が違ったものになっていたら、0-0、もしくは0-1での敗戦を喫していた可能性もあっただけに、ここで挙げた勝ち点3の重みは大きく、終わってみれば、2位との勝ち点差が、5から6に広がり、首位の足堅めと成りつつある状況を維持する事が出来た。
 
これからも、こういう試合は出てくる事だろう。仙台の今季の強さを認めてくれたチームが、仙台の攻撃を許さず、あわや自分たちのカウンター反撃をも目論める「堅守速攻サッカー」で挑んでくる事は、充分に考えられる。チームによっては「自分たちのやりたいサッカーを封印し、0-0でも止む無し」と割り切り、仙台に対する失点阻止を最優先課題として、挑んでくる可能性は充分にある。そして、そういう展開では、先に焦れたほうが相手に得点を許し、負けるものだ。
 
そして今節は、「新潟が先に焦れた試合」だった。その結果、新潟は、試合終盤に絶対にやってはならない「相手へのPK献上」という大失態を犯す事になった-。
 
-「人の振り見て我が振り直せ」という故事がある。
 
「焦れずに戦う」というコンセプトも、従来より手倉森監督が唱えてきたものであるが、今節こそ、その事の大切さを改めて感じた試合となった。焦れる相手を見て、自分たちは焦れずに戦おう。きっと選手たちも、この一戦で、そう感じてくれているに違いない。
 
今節、獲れた得点は結局、ウイルソンのPKの1得点に留まった。
赤嶺や菅井が安泰で先発出場した試合のように、仙台が終始主導権を握って試合を運び、追加点を奪うという訳には行かなかった。
 
だが、目指すサッカーがブレる事は、今節も無かった。元々、堅守速攻は仙台も得意とするところであるし、相手が引いて守って来たため、それに合わせてロングボール主体の攻撃展開とした事も、狙いとして、目指すサッカーからブレていたとは思わない。何より、負傷欠場の赤嶺に代わって先発した柳沢が、チームの今季のコンセプトでもある「前線からの攻撃的な守備」を貫き、その年齢を感じさせない運動量で、新潟の持つボールを、鬼神の如く追い廻して状況を打開しようとしていた事が、何よりの証拠である。
 
「誰が出ても同じように試合する事が出来る」という目標に対し、今節は、内容の面では100点満点とは行かなかったが、結果として勝ち点3を獲得し、今節のミッションはコンプリート。まだまだ、改善の余地はあるな、と感じつつも、今まではこういう一戦を落として来た事を想えば、その分の「進歩」は確実にあるか、とも同時に感じられた戦いだった。
 
気が付けば、4月の最終戦であると共に、ゴールデンウィーク連戦の入り口の大事な一戦でもあった。2位以下の大混戦を尻目に、首位堅めに入り出した感もあるが、あくまでも私たちはチャレンジャーである事を忘れてはならない。
 
続くアウェイ鳥栖戦も、きっと、今節以上に厳しい内容を強いられる。おそらく鳥栖側は、今節のこの一戦をしっかりとスカウティングし、万全な仙台対策を講じてくる事だろう。
 
だが仙台としては、その時点でのベストなメンバーを選出し、そのメンバーで、焦れずに、これまでと同じように戦うのみだ。
 
現在の首位は、あくまでも「現時点での結果論」に過ぎない。私たちは、まだ何も手にしていないのだ。数字の上では、ここから降格圏に転落する事だって、まだまだ充分にある。
 
最大の敵は、"奢り"であり、"勘違い"であり、そして"自分"である。
その事を常に頭に置き、次節がどんな相手であろうと、出来る準備を完璧にして挑みたい。
 



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