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神戸0-1仙台 守備の集中もなんとか切らさず、前半の金園の美技得点を最後まで守り切り、敵地で殊勲の勝ち点3。内容では神戸に圧倒されるも、守備で辛抱したチームに、運も味方した。残留争いから一歩遠ざかる一勝を挙げ、ちょっと一息。

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 「技ありゴール」とは、まさにこういうシーンで使うフレーズだろう。前半33分、ウイルソンからのメッセージ性の高いラストパスを、敵陣ペナルティエリア内で、神戸ゴールを背にして受けた金園。相手ディフェンダーを後方に背負う不利な体勢だったが、うまくボールをトラップし、体を左に回転させたかと思うと、そこから右足一閃。放ったシュートは、角度の無いところからもしっかりと枠を捉え、神戸ゴールのど真ん中に、豪快に突き刺さった。

 前半34分。神戸0-1仙台。

 
序盤から、ホームの神戸の攻撃に圧倒され続けた。無理もない。神戸も直近の試合ではなかなか結果が伴わず、また、ホームでも勝てていない状況は、仙台と似たようなものだった。サポーターに勝利を届けたい気持ちもまた、仙台と同じだっただろう。
 
だが、双方に勝利は与えられない、厳しい勝負の世界。この一戦では、「地の利」を活かした神戸が、仙台を試合の序盤から圧倒し続けた。仙台も、そんな神戸の猛攻の隙をかいくぐり、なんとかフィニッシュシーンまで持ち込む。だが、相変わらず「シュートをなかなか打てない」「打っても枠に飛ばない」。対する神戸のシュートは、ガンガンと枠に飛んでくる。流れや内容を見るに、明らかに、この試合の主導権は神戸が握っていた。
 
だが仙台も、持ち前の堅守で耐え続ける。特に金園は、出場する度に前線から守備に奔走し、神戸の攻撃のリズムを、寸でのところで乱してくれていた。
 
そんな金園の頑張りに、とうとう「報いのとき」が訪れる。前述した前半33分のウイルソンからのパスを受けると、そこから「お得意」の反転シュート。これが決まり、仙台に待望の先制点がもたらされた。そのゴールシーンは、これまでの金園のゴールシーンに観られた、「右向きに反転して左足でシュート」ではなく、その逆。相手ゴールを背にしてボールを受けるところまでは一緒だが、そこからなんと、今季まだ見せたことの無かった、「左向きに反転して右足でシュート」したもの。そのシュートコースもまた正確だった。ジュビロ磐田時代にゴールを量産しただけの事はある。やはり、彼もまた「ストライカー」だった事を実感した。
 
そして、このゴールで慌てたのは神戸。ホームで、序盤から仙台を圧倒する攻撃を見せていただけに、まさかの先制点献上は、完全に予想外だっただろう。そして、この金園のゴールをきっかけに、試合はまだ前半ながら、神戸の攻撃は更にヒートアップしていく。
 
神戸の攻撃の脅威に晒され続ける仙台。セカンドボールは尽く拾われ、次々にコーナーキックのピンチを迎える。仙台は、序盤でこそ打てていたシュートすら打てなくなった。それでも、この日の先発メンバーは、全員がディフェンダーと言わんばかりに、守備に奔走し続けた。そんな中、前半の終了間際にウイルソンが負傷してしまい、ハモン・ロペスに急遽交代するアクシデントが発生。FC東京戦のPK失敗以降、まったくゴールが獲れなくなった我らがエースストライカーは、ここへ来てようやく本調子を取り戻しつつあり、そろそろ再び、彼のゴールシーンにお目にかかれそうだと予想していただけに、負傷の程度が気になる。
 
だがまずは、目の前の1勝が大事。ここで勝ちきれなければ、ウイルソンのアシストも水泡に帰す事になる。それが判っている仙台イレブンは、ベンチに退いたウイルソンの分まで走りぬく決意だっただろう。
 
迎えた後半。
 
神戸の攻撃の「圧」は、更に厳しくなっていく。仙台は、先制点を奪っているとは思えないくらい、試合の主導権を神戸に握られ続けていた。そんな中でも、反撃の隙を見つけてはカウンターを仕掛け、どうにか、試合の体裁を整えていた。
 
それでも神戸は、点が取れないと見るや、フォワードの渡辺を石津に代え、そして、センターバックの増川を下げる守備リスクを犯してまで、中盤のフェフージンを投入してきた。だが、神戸のこの交代により、神戸の攻撃が前掛かりになった事で、仙台は逆に、神戸を攻める「隙」を見つけられるようになった。時間の経過と共に、双方の選手たちの疲労の色が濃くなり始めると、お互いに中盤を省略する展開に。仙台は、打てなかったシュートが打てるようになり、神戸にトドメを刺す追加点への微かな希望が見え始める。
 
だがそれでも、仙台に追加点は産まれない。シュートが枠に飛ばず、神戸の脅威には成り難かった。攻撃の途中でボールを失う事も多く、何度も神戸のカウンターの脅威に晒された。その度に、自陣ゴール前で体を張って死守し続けた。
 
試合も終盤を迎え、残りの時間が少なくなってくると、仙台は、追加点への期待よりも、無失点で守り切る事に、選手たちの意識がシフトしていった。ところがここで、前半のウイルソンに続き、得点を挙げた金園までもが、負傷でピッチを退く事に。守備でも奔走してくれた金園に代わり、このスタジアムでの得点経験もある藤村が送り込まれる。
 
後半は、絶対絶命のピンチを2度も迎えていた。打たれたシュートがクロスバーを直撃するシーンが2つもあり、その度に、口から心臓が飛び出る想いだった。1度目は、後半24分のFW9・石津のミドル。2度目は、後半44分に与えてしまったフリーキックにて、チョン・ウヨンの放ったシュート。だが、どちらも運が味方し、クロスバーを叩く鈍い音と共に、ボールを弾き返してくれた。
 
そして最後は、双方が持てる力を振り絞って攻め合い、そして守り合った。ノーガードで打ち合うが、お互いのパンチは相手の急所を尽く逸れ、決定打には至らなかった。
 
複数得点でリードしていた新潟戦のときと違い、1点差で迎える終盤。相手のモチベーションは下がらず、執拗に食い下がってくる。その手を振り払い続ける仙台。逃げ切れるか-。
 
掲示されたアディショナルタイム5分が、とても長く感じられた。これまで何度も、こういう展開で逃げ切れず、後半アディショナルタイムに失点を喫し、ドローや敗戦に持ち込まれた事か。
 
だが、この日は、最後まで何とか逃げ切る事に成功。試合終了のホイッスルが吹かれた瞬間、待望の勝ち点3を手中に収め、試合を「する側」にとっても「みる側」にとっても、その疲れをすぐに吹き飛ばす事が出来た。なかなか勝てないチームにとって、勝利こそが、唯一の疲労回復剤であり、またカンフル剤と成り得る。それ再確認した一戦だった。
 
とにかく、攻め立てられ続けた一戦だった。試合後のリザルトを見ると、シュートでは仙台の9に対し、神戸は19。コーナーキックも、仙台の3に対し、神戸は10。シュートは仙台の倍以上を神戸に打たれ、コーナーキックでは、仙台の3倍以上を取られていた。
 
それでも、内容と結果が往々にして食い違う事があるのが、サッカーの面白さでもある。仙台は、前半のシュート僅か2本中、その1本が決まり、結果的にこれが決勝点となった。
 
本来であれば、この先制点を活かして相手を前に吊り出し、その裏を突いて、効果的に追加点を上げたいところだったが、前半のうちにウイルソンを下げざるを得なかった仙台は、本来なら、後半の勝負どころで投入したかったハモン・ロペスを、前半の42分という早い時間帯に投入せざるを得なかった。そのため、後半の攻撃のギアチェンジが難しくなり、結果、ゴールは1点に留まってしまった。
 
だが、こういう展開でこそ、守備陣が体を張って「虎の子の1点」を守りきって勝利を掴まなければならない。その命題を、これまで何度もクリアできずに来たが、この日はどうにか、それを達成できた。
 
この勝利で、順位を11位にジャンプアップした仙台だが、それでも、降格圏の16位とは、未だ勝ち点3差しかない。仙台の残留争いは、その「泥沼」からは一歩遠ざかった感があるも、まだ完全には抜けきってはいないのが現状である。
 
次節、ホーム鳥栖戦。アウェイで勝てる様にはなったが、ホームでは、ナビスコカップも含めて、もう2ヶ月近く勝てていない。そろそろホームでの勝利がないと、ホームでのサポーターのストレスも鬱積する一方だ。
 
ところでナビスコカップと言えば、その次節ホーム鳥栖戦との間に、「完全消化試合」となった、アウェイ川崎戦を、ミッドウィークに控えている。既に予選敗退が決まっているため、普段出番のない選手を送り込むのもいいだろう。何より、リーグ鳥栖戦を見据えてのメンバー選考となる事は必至で、ある意味ナビスコ川崎戦は、どんな選手が送り込まれるのか楽しみである。
 
ナビスコカップが絡んだ連戦は、この週が最後だ。上手にこのミッドウィークを消化し、鳥栖戦を心待ちにしたい-。



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