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仙台4-3水戸 条件付きの「ベストマッチ」

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この表現に、違和感を覚える方は少なくないだろう。

確かに、前半を3-0で折り返し「余裕の勝利」を想定していたはずが、あれよあれよと言う間に追いつかれるという、目を覆いたくなるような展開を見せられては、誰もが「どこがベストマッチなんだ、勝ち点3を取れただけで、ダメダメじゃないか」と言われる事と思う。

ただ、決して、結果論だけで言っているのではない。ベストマッチという表現に「条件付き」を冠したのは、そのためである。その理由は文末で書くとして、まずは後述する説明をお読み頂きたい。

あまりにも「書きたい要素」が多すぎる試合だったが、だらだら書くと焦点がぼやけるので、サブテーマを決めて書いてみようと思う。

 

●前半の展開

  得点こそ、梁のFKとPK、そして田村のスーパーゴールと、個人技中心の得点経過ではあったが、流れの攻撃においても、点数に値する内容だったと思う。

 

収穫だったのは、中島に変わってスタメン出場した田中の働き。2点目のPKを奪取した、ボールを貰ってからの飛び出しの動きと速さは、間違いなく、現在の中島には出来そうにもないプレーだったのではないか。PKの判定には運もあったが、間違いなく後ろから倒されており、「判定勝ち」を得た瞬間であった。それ以外にも、田中のゴールへの執念は凄まじく、間違いなく前半戦の攻撃の一翼を担っていた。今節、彼にゴールが生まれてもおかしくはなかったと思う。

また、前半から主導権を掴みたいチームとしては、相手陣内をワイドに使い、しっかりとしたサイドの攻めを貫けていた。水戸の守備の甘さもあったが、そういうスキをきちんと狙って突く事ができるのは、攻撃の意識がちゃんと共有されていた事に他ならない。その証拠として、前半だけでオフサイドを4本も記録している。(※OHP公式記録のオフサイドの数値が、水戸と仙台のものが逆になっている事を告知しておく。早期に訂正される事に期待する)また、2点目の田中のPK奪取も、左サイドの定位置に張っていた梁が、ラッキーなリバウンドのこぼれ球を田中へ出したパスが起点になっており、たまたまラッキー・リバウンドをモノにしたものではあったが、中盤からこの位置にいた梁に普通にパスが出たとしても、同じ展開になっていただろう。サイドを起点にした得点であった事に、違いはない。

総じて、3連敗中ながら攻撃的に攻めてくる水戸の裏やスペースをしっかりと有効活用し、セットプレー絡みながら前半で3得点できた点において、評価に値すると思う。

特に、田村のスーパーロングゴール。50m級であっただろうか。あのシーンは、既に2失点していた水戸が、主導権を握りたくて「前への意識」がGK本間にまで乗り移った瞬間の出来事だった。相手からボールを掻っ攫った田村が、ゴール枠を観た瞬間、GK本間が前に出てきていたのを見逃さなかったのは素晴らしい判断だったと思う。

本人のコメントによれば、あのようなスーパーゴールを、大学時代にも決めていたという。その「イメージ」を持っていたからこそ、達成出来たゴールであったのだろう。

また、着目したい点は、「前半のシュート数」である。なんと、3本しかシュートを記録していない。それで「3得点」である、という事は、前半のシュート決定率は、100%という事になるのである。
最近思うことに、「シュート数と勝利は、必ずしも比例しない」という事がある。撃ったシュートが全て決まる事は、まず稀であるものだが、この日は、守備面に問題を抱える水戸が相手だったとは言え、その反面、水戸の攻撃の凄まじさがモノを言う展開の中、実はあまりシュートを撃てていなかった現実があった。
そんな中、数少ない好機をモノにした強かさは、今後に繋がる要素と言えるだろう。

そして、前半の展開の中で、もう一つ見逃せない点がある。

前半30分に迎えた、ビッグピンチのシーンである。結局は林の反応で事なきを得たが、間違いなく水戸の1点ものであった。ただ、こぼれ球に水戸のFW荒田が体ごと反応した際、一瞬、「ポストへの激突」を恐れたのではなかったか。その結果、荒田はボールを「枠内」に押し込み切れず、回転しながら流れ掛けたボールを、林がしっかりとキャッチし、事無きを得たものである。

もし、このシーンで、1点を水戸に与えていたらと思うと、ぞっとするものがある。あそこは、完璧に運があった。荒田の押し込みミスがなかったら、今頃、チームにどんな評価が下っていただろうか。

 

●後半の展開

  どうみても「3失点」に目が行きがちであり、それも「3点差を埋められてしまう試合運びの拙さ」に、悲鳴すら聞こえる展開であった事は否定できない。
しかし、この3失点をそれぞれ分解すると、確かに仙台のミスもあるのだが、それ以上に、水戸の攻撃がすばらしく機能していた結果である事に気付く。そしてそれは、決して「下位に沈むチームのそれ」では無かった。

まず、1失点目。

途中投入の村松から、非常に柔らかいクロスが、荒田の「狙っていた位置」に落ちてきた。ポジション的にも一柳のマークミスではあったのだが、村松のパス出しの精度と、絶妙のタイミングで飛び出した荒田の動きが生み出したものであり、水戸の攻撃の連携を誉めるしかないプレーである。
パスが出た瞬間、右から、田村・一柳・岡山の3人が最終ラインを形成していたが、オフサイドを意識し、手を挙げた田村と岡山のアピールは届かず、ゴールは認められた。

次に、2失点目。

1失点目のアシストを記録した村松自身のゴールであったが、FW荒田との絶妙のワン・ツーから生まれたものである。1失点目の村松からのクロスを決めた荒田が、お返しとばかりに今度は村松のゴールを、これまた絶妙なヒールパスで、チャンスを演出したものであった。

ポジション的にも、ボランチの千葉と永井はきちんと詰めており、また、カバーのため、田ノ上もそこに入っていた。つまり、3枚もの「壁」を仙台はきちんと置いていたのだが、それを突破するためのスピードが、今の水戸にはあった。あまりにもテンポ良いワン・ツーと、絶妙のヒールパスであったため、カバーが間に合わなかったものである。

しかも、その村松のシュートが決まらなかった時の事を想定し、きちんとセオリー通りに、選手が一人詰めても居た。もし、林がブロックに成功していたとしても、跳ね返りを押し込まれていた可能性は充分に高い。

そして、3失点目。

与えたFKのチャンスから、これまた途中投入の大和田がヘッドで決めたものであるが、タイミング・体の入れ方・そして頭に当てる角度、全てが高品質な動きの結果である。岡山も良く着いて居たが、明らかに大和田の動きの方が勝っており、技術的に競り負けた結果の失点であった。着いていた岡山のミスというには、あまりにも大和田のプレーが素晴らしすぎた失点であった。

 

●総合的な評価

結局、試合を決めたのは、3失点を喫した4分後のFKで、ニアに落ちたボールを胸でコントロールした中原のボールを平瀬が押し込んだものであったが、セットプレーに於ける「こぼれ球」の発生確率を考えると、ラッキー感は否めない。ただ、そういう運をモノにする力というものは、昇格を争う上で、大切な要素でもある。その点において、前半30分のビッグピンチを凌いだ事は、90分を経過して時点で、非常に大きな要素となった。もし、あれが決められていたら、4-4というとんでもないドローゲームになっていた訳で、全く違ったコメントをせざるを得ない状況になっていただろう。

双方合わせて7点という、非常に大味な試合となってしまったが、それはお互いが、より攻撃的に出た結果のものであり、どちらに勝利が転がり込んでもおかしくない、見所の多い試合であった。

もちろん、3点差を埋められてしまった仙台には、試合運びという点に於いて、まだまだ課題が山積している事は否定しない。しかし、今日の3失点の内容を見るにつれ、決して「自分たちのミスが直接の原因だった失点」ではなく、成長著しい水戸の攻撃性が顔を出した結果の失点であり、相手を誉めるに値するものばかりであった。それを考えると、安易に「3点差を埋められた点」ばかりに着目し、今後の展開に絶望感を抱くのは、決して正しい認識ではないのではないか。結果的に3失点はしたが、仙台の攻撃は総じて機能しており、中2日ながら、選手は良く仕事をしてくれたと思っている。特に、中2日であるにも関わらず、永井が90分仕事をしたというのは、現在のチームバランスを考えた上で、非常に大きなファクターではないだろうか。

今節のプレビューで、「勝つなら1-0、負けるなら2失点以上」と予想させて頂いた。まさか、4-3という壮絶な撃ち合いを、第一クールの対戦(3-3)に続いてやってくれるとは夢にも思わなかったが、あの時とは全く違う展開で、お互いがお互いの良いところを存分に発揮し、それを、それぞれ得点という結果に結びつけたところに、お互いの今後の活躍に、大いに期待するべきものがある。

そして、文末になったが、こういう試合展開をする事ができた要因には、中島をベンチから完全に外し、田中を起用したことが有効的に働いた事は間違いないはずだ。もし、田中を起用せず、また中島を起用し続けていれば、水戸の良いところだけを見せつけられ、今度こそ、敗戦の煮え湯を飲まされていた事だろう。それだけ、水戸は驚異な攻撃をするチームに変貌していた。第三クールの対戦が、今から楽しみであり、また、今度こそヤラれるかもしれないという恐怖感もある。せめて、次の対戦がホームであった事に、ほんの少し有り難さを感るものである。

 

最後に、表題に「条件付きベストマッチ」と書いた理由を。

この試合における「お互いの攻撃性」に主眼を置き、それぞれの今後の活躍に期待する意味で、このような表題とさせて頂いたものである。当然、お互い、失点に対する課題は山積しているだろう。だが、裏を返せば、水戸も仙台もまだまだ「伸びしろ」のあるチームなんだ、という事に気が付く。決してこれが「頭打ち」などではなく、課題を上手に克服する事によって、更なる上位を目指せる。そんな期待が見え隠れした試合であった。

よって、この試合を「お互いの今後の伸びに期待し、それが達成されるという前提条件」付きでのベストマッチと呼ばせて貰う事にした。

試合後、水戸のサポーターからも、自分たちの応援する選手に対し、惜しみない拍手がわき起こっていた。とても4連敗をしたチームとは思えない光景であったが、今後に期待する、サポーターの気持ちの表れであった事に間違いないだろう。

この試合で得たものを活かす事ができれば、この試合を振り返った時、この試合が、ターニングポイントという意味でのベストマッチだったと思える時が来るだろう。また、これを活かしきれないようであれば、ベストマッチどころか、失点だけが目に付く「ワーストマッチ」として記憶に残ってしまう事に成りかねない。

この試合を、将来、ベストマッチとして振り返るのか、ワーストマッチのそれとするのかは、今後のお互いの活躍次第で決まるものと思っている。

 


余談であるが、今節の警告の枚数と、87分のスローインのジャッジについて。

試合が乱打戦の様相を見せた中に、序盤から警告掲示の判定基準が、総じて厳しかった結果、双方合わせて9枚のイエローカードが乱れ飛ぶ展開となった。正直、もう少しゲームをコントロールして貰いたかったが、決して主審がパニックに陥っていた訳ではないと思う。

それを裏付ける証拠の一つとして、87分、由紀彦が水戸MFパクとのライン際の競り合いで得たスローインの場面を解説したい。

実は、このシーンは、関係者が2つの間違いを犯している。

一つ目は、87分のプレーで、実はスローインは2回行われているのだが、2回目のスローインの判定を、線審がミスジャッジし、水戸にスローインを与えていた事。

2つ目は、スカパー映像の編集者が、2回目のスローインがどちらのチームのものであるか、水戸ベンチ前で審判団・選手入り乱れて大もめしていた時に流した、当該シーンの再生を、間違って「1回目のプレー」を流してしまった事である。

このスローインの1回目は、確かに、由紀彦が最後に触ってボールがタッチラインを割ったもので、この時は水戸がスローインをしている。しかし、問題はその直後の2回目のスローインであり、由紀彦が右足でクリアしようとしたボールが、詰めていたパクの足に当たって方向が変わり、その結果再びタッチラインを割ったもので、仙台のスローインの判定は正当なものである。

結局、主審の池田さんは、私が映像で確認した通り、線審のミスジャッジを取消し、仙台のスローインの判定としてくれた。あの空気の中、そんな判定をすれば、水戸ベンチや選手が激高する事は判っていたと思うが、冷静に間違いを間違いと認め、正しい判定をしてくれた事に感謝したい。

この判定が原因と思われるが、試合後、退場する審判団に対し、メインスタンドの水戸サポーターが、容赦ないブーイングや罵声を浴びせていると思わしき光景を目にした。気持ちは判る。仙台も過去、そういう経験を何度もしてきた。しかし、あの光景が、当該の87分のジャッジに対する不満で、主審の池田さんに向けられていたものであるとするならば、完全な矛先違いであるという事だけを明記しておきたい。あの時、池田さんは、正しい判定をし、正しい仕事をしただけである。




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