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「敗戦」目前の生還劇。崖っぷちだった、新潟戦・後半ロスタイムは95分に菅井のヘッド弾で、九死に一生を得た仙台。驚異的な粘りを見せた我らがチームだったが、最低限の休息を経て、またも短期間で試合に立ち向かわねばならない。
今節の相手は、ヴァンフォーレ甲府。もはや説明する必要すら感じられない、仙台の天敵中の天敵である。
過去を振り返ってみると、「甲府のどの選手にいつもいつも・・・」と、特定の選手にヤラれている訳ではない。毎年、甲府も選手が入れ替わっており、顔触れが変わる。しかし、対戦する度に「イヤな相手だ」と思わされる。それが、仙台からみた甲府のイメージか。
そして今年は、あの三浦俊也氏が監督を務めている事に加えて、湘南時代から「仙台キラー」だった、あの阿部吉朗が在籍。そして何と言っても、現在6得点でランク3位のハーフナー・マイクが、前節出場停止による休養充分で乗り込んでくる。
仙台としては、どうあっても「阿部のミドル」と「ハーフナーの高さ」は警戒しなければならない。このため、足のケガにより前節欠場した、チョ・ビョングクの先発復帰と活躍は、最低限の防波堤である。彼の足の回復程度次第だとは思うが、先発復帰は問題ないと見込まれている。
6月の5連戦も、あと2試合。ここで残している対戦が、甲府と清水。どちらも厄介な相手だが、まずはホームで迎える甲府を如何に下すかを考えたい。ただ、先発を続けている選手の疲労蓄積を考慮し、若干のローテーションがあるようなので、ここで先発する選手が如何に得点機に絡み、先制点を奪うかに掛かっている。
そして、今節の先発予想の中には、なんと関口の名前が無い。あれだけの運動量を誇る、新・日本代表選手でも、流石にこの5試合全部を先発するのは難しかったか。直後にやってくる清水戦を考えれば、これもいた仕方ないところでもあろうか。
ところで、6月も下旬に差し掛かり、ようやく梅雨らしい天候が日本上空を覆いかぶせてくる様相となっているが、試合当日の22日に限っては、何故か「最高33℃の炎天下」予想である。先週のガンバ大阪戦以上に厳しい試合環境が予想され、選手の疲労に追い打ちを掛けるようなシチュエーションだ。
こうなってくると、予想される展開としては、必ずしも運動量優先な戦い方を採択する必要もないかと思われる。出来るだけボールを失わずに、後方からのロングフィードやセットプレーなどで、出来るだけ体力を消耗しないパターンでの得点力が要求されそうな気配である。
と、ここまで考えたとき、甲府のハーフナー・マイクと阿部の存在が、更に怖いものに思えてきた。ハーフナーの高さを利用されれば、自陣ゴール前の制空権を簡単に渡してしまいかねず、また、仙台のディフェンディングサードで阿部にボールを持たせてしまえば、ほんの少しの隙を突いて、容赦ないミドルが跳んでくるだろう。
この一戦は、ガンバ戦のとき以上に、「まず相手にボールを渡さない事」が重要視される。そのため、これまで実践してきた「運動量を活かした中盤でのプレッシング」は少し抑え気味にして、前半はできるだけ体力を温存したい。つまり、プレッシング優先ではなく、ポゼッション優先の考え方である。
これで、前半を0-0で折り返せればシメたものだ。
後半は、もし関口をベンチスタートさせるつもりであれば、先発が予想される松下か太田に代えて投入し、運動量で一気に勝負を仕掛けたい。また、2戦連続で途中出場となった柳沢を勝負どころで投入し、相手の疲労の裏を突いて得点機を創出したい。
いつもであれば、「次の試合の事など考えずに」と言っているが、これだけ連戦が続くと、流石に考慮せざるを得ない。ただ、ホームである以上、基本線で勝利を目指したい事は間違いのないリクエストとなる。
となると、この試合ばかりは「如何に失点せず、1点勝負で勝利を掴む事が出来るか」という事になる。必ずしも、マルチ得点には拘らない。勝てるなら 1-0 で充分だ。誰が得点を決めてくれるかは判らないが、菅井の3戦連続弾にも期待したいし、赤嶺が得点を挙げれば、得点ランクでハーフナー・マイクに追い付く事にもなる。
しかし、この試合のタイミングで、どうしても得点を挙げて欲しい選手がいる。
言わずともがな、梁勇基選手。先日、3500g級の大きい男の子を授かり、本人にも父親の自覚が芽生えている事だろう。やはり、このタイミングで迎える試合では、ゆりかごダンスのパフォーマンスが必要だ。
目下、リーグ戦10戦連続で得点が獲れている仙台であれば、誰かが得点を挙げてくれる事には大いに期待している。が、今季ここまでまだ無得点の梁にこそ、今節の得点への期待が掛かるというものだ。そろそろ、梁のフリーキックによる得点シーンを観たいと思っているのは、筆者だけではないはずだ。
自らの祝砲は、やはり、自らの足で打ち上げて頂きたい。大いに期待している。
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