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新潟1-1仙台 あわや、今季初敗戦寸前の劇的"菅井弾"。連戦による疲労の色濃く、ガンバ大阪戦のような躍動感にはほど遠い内容だったが、それでも最後は執念を見せ、今季開幕からの無敗を11戦に延ばした。

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またもや、引き分け。今季の仙台は、どうしてもこうも引き分けが多いのだろう?そういう印象を持つ人は少なくないと思われる。

しかし、今季これまでの引き分け試合に多く観られる「試合終盤に追い付かれてのドロー」ではなく、1点ビハインドで迎えた、劇的なドロー持ち込み試合だった。

予想以上の快勝を収めたガンバ大阪戦から、僅かに中2日。そろそろ連戦の疲れが出だす頃だろうとは思いつつも、どうしても「ガンバ戦の再来」を、心のどこかで期待し、そして現地に赴いた。

試合が始まってみると、ポゼッションは決して悪くないものの、双方がミスの応酬。こちらのミスによって失ったボールが、相手のミスによって再び戻ってくるなど、ガンバ戦と比較すると、かなりレベルの下がった、相手に合わせてしまったような試合にも見えてしまう、そんな展開となった。

当然、観ているほうもストレスが溜まる。

連戦の疲労に加えて、この日は、センターバックのチョ・ギョングクに代わって渡辺広大が出場。彼の頑張りはプレーからも伝わっては来たが、如何せん、ビョングクが先発したときとのディフェンスの安定感に大きな開きを感じ、いつ失点してもおかしくない雰囲気がピッチを支配していた。

この日は、特に、菅井のサイドを新潟が剔ってきており、仙台からみて右サイドから、新潟の攻撃が始まる事が多かった。このため、菅井は思いの外、前線へ攻撃参加する事が出来ないでいた。

この「停滞感」は、連戦の疲労から来るものなのか?チョ・ビョングクを欠いているからなのか?それとも、わざと菅井のサイドを執拗に狙って攻めてくる、新潟の術中に嵌ったからなのか?

だが、どれか一つが原因という訳ではなく、それぞれの要因が少しずつ合間っての、この日の「出来」だったのだろう。

長いシーズンでは、連戦の最中、こういう「凡戦」を演じてしまう事は、ままある事だ。ただ、どうしてもガンバ戦の良いイメージが強すぎて、プレーの質のギャップに違和感を感じてしまったため、よけいに停滞感を感じてしまったものと思われた。

後半に入っても、流れは一向に変わらず。新潟側は、今季初先発のFW川又、そして田中亜土夢など、サブメンバーがホームで躍動した反面、仙台は、久しぶりの先発を飾った太田や渡辺広大のパフォーマンスが優れず、ボールをポゼッションしながらも、苦しい試合展開を余儀なくされていた。

そして、後半の27分。ディフェンスの穴を突かれ、新潟に先制点を許す。ブルーノ・ロペスの剔りを許し、最後は三門に押し込まれる。仙台としては、実に、第7節・川崎戦以来の先制弾献上となった。

追い掛ける展開は、かなり久しぶりだった。

こうなると、相手は無理に攻め上がらず、引き気味に守ってゴール前を堅め、最後まで逃げ切る展開を選択する事がセオリーだ。そんな相手に対し、どこまで攻めきれる展開を見せられるか。仙台の「本物度」を試される、絶好のシチュエーションを迎えた。

ところが、失点を喫した直後から、ピッチ上では想定外なイベントが次から次へと起こり始める。今節、ここまでのジャッジがどうしても不安定にみられた、主審の村上伸次氏のファウルの判定を巡り、新潟・黒崎監督が、後半の31分に退席処分に。

そしてこの後、後半の途中から、それまで好セーブを連発していた、新潟GK・東口が傷み出し、思うようなプレーが出来なくなりつつあった。

後半も45分に近づこうとしている時間帯では、GK東口は、自分でゴールキックを蹴る事もできないくらいに傷み、味方DFが変わってゴールキックをするまでになっていた。

この間、仙台は、一気にに2選手を交代。疲労軽減の意図もあり、梁に代えて高橋義希を、富田に代えて柳沢を投入。柳沢が入った事により、前線でのタメが創れる事に期待が掛かった。

そして迎えた、後半ロスタイム。掲示された時間は5分。新潟GK東口が何度も傷んでプレーが止まり、その度に計時が止まっていた事を考えれば、当然の設定だと思えた。

そして、その計時された5分をもう少しで迎えようとした、94分。右サイドでボールを持った関口から、ファーサイドで構えていた松下へ。これを折り返し、最後は「見事な嗅覚」で、後方から走り込んできた菅井が、頭で叩き付けた。

新潟のゴール前には、傷んでいた東口の他にもディフェンスが1枚張り付いていたが、菅井の「地面に叩き付けるようなヘッド弾」に、新潟は一歩も反応できず。

仙台の得点が記録された時間は、95分だった。

この後、新潟GK東口が"限界"を訴え、ほとんど残り少ない時間帯ながらもGK交代があったため、試合終了の笛が吹かれたときには、既に98分を優に超えていた。もし、黒崎監督の退席が無かったら、もっと早くにGKを交代され、それによって流れが変わっていたかもしれない。そういう意味では、仙台は、運にも救われたのかもしれないか。しかし、傷んでいたとはいえ、それでも新潟GK東口は「神懸かりなセーブ」を連発しており、「第三」ながらさすがに日本代表GKだと唸らせた。このため、GKの交代も躊躇われたのかもしれない。

それにしても、あまりにも、あまりにも劇的な同点弾。もちろん、こういう展開を期待して試合に喰い入っていた訳ではあるが、それが現実のものとなり、仙台サポーターで埋め尽くされたアウェイゴール裏は、歓喜の渦に巻き込まれた。

長いシーズンの中、連戦や選手の入れ替えなどの影響により、どうしても本来のパフォーマンスを発揮できない、「凡戦」と呼ぶに相応しい試合は何度か訪れるものだ。この試合も、それに分類されるだろう。

だが、こういった試合でも、最後に帳尻を合わせ、勝ち点1を拾えた事は大きい。

何より、県内の被災地・被災者に向けた「諦めなければ、最後に報われるんだ」というメッセージを強く発信できたのではないだろうか。

本来なら、敗戦に等しい内容のゲームだった。それをこうして、勝ち点1に繋げ、併せて「開幕からの無敗記録を継続」する事も出来た。

「仙台は、"持ってる"ね」

そういう言葉が、あちこちから聞こえてきそうだ。確かに、今季の仙台は、何かを"持って"いる。でなければ、こんな劇的な決め方が出来るはずもない。

但し、こういう展開を、毎試合できるはずは無いし、毎試合やって欲しいとも思わない。

今は、連戦の最中だ。次の試合は、中3日ですぐにまたやってくる。選手には、少しでも多くの休息を。そして、移動のない次節のホームでは、また、あのガンバ戦のような躍動を見せて欲しい。

次節の見所は、改めて甲府戦のプレビューで書かせて頂くが、ポイントはもう誰の目にも明らかだろう。出場停止明けとなる、甲府のハーフナー・マイク選手を、1週間近い休養を与えられたチョ・ビョングクが、如何に止めるか。

今節の引き分けに意味を持たせるためにも、甲府戦は、勝利のみが求められる。ただ、連戦の疲労を、中3日でどこまで抜けるか。その辺の事情によっては、勝負ポイントを限定する策も必要になってくるかもしれない。僅か2週間と少しの期間で、5試合も消化する日程なのだ。ガンバ戦のような展開を、90分続ける事など不可能に近い。(新潟戦では、ついついそれを期待してしまったが)

そして、甲府戦でのチームの躍動と併せて、甲府戦の入場者数も気になるところ。ガンバ戦と比べ、集客の面では多少の苦戦を強いられる予想もあるが、無敗街道をひた走る仙台なら、「平日の昼間だが観に行きたい」と思ってくれる人は少なくないはず。

筆者も、仕事は抱えているが、なんとか都合を付けて参戦出来ないものか?

目下、調整中である。




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