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今季、これほどまでに内容と結果が一致しない試合があっただろうか-。
この試合のビデオを、ゴールシーンを除いて有識者に見せ、果たしてどっちが勝ったと思うか?と問う機会が得られるとすれば、是非とも意見を拝聴してみたい。
おそらくは、十中八九、「愛媛優勢、恐らく愛媛の勝ち」と挙げるに違いない。それだけ、愛媛に主導権を握られた試合であった。
内容を見る限り、正直、勝てる気のしない内容だった。恐らく、今季ワーストだろう。大敗・連敗こそ今季は無く、引き分けも多いものの、接戦を制する事の多かった仙台。今節も接戦ではあったが、「どうすればあれだけ自陣に押し込められてしまうのか」と、マイチームでなくとも心配したくなるくらい、愛媛の出足に翻弄され、自陣に釘付けにされ、なかなかチャンスを作らせて貰えなかった。少なくとも、前半10分までの展開を見る限り、誰の目にも「愛媛圧倒、仙台困窮」の様相であっただろう。
しかし、サッカーというスポーツは、時に「運命の悪戯」を垣間見る事がある。今節の唯一のゴールシーン、そして愛媛のシュートシーンの一部を見ると、そこに居たのは「小悪魔・ゴールポスト」その人であった。
過去、何度も「この人」に助けられ、また逆に意地悪をされ、命運を左右する存在である事は理解していたはずだった。しかし、この試合で、改めてその存在がもたらす怖さを思い知った。
得点のシーン。前半13分。それまで、愛媛の「ボールも人も動くサッカー」に翻弄され続けた仙台に、ようやくチャンスが訪れる。本当なら自分たちのやりたいサッカーのお株を相手に奪われ(正確に言えば、愛媛も仙台と似たようなサッカースタイルを目指しているため、決して仙台のパクリという訳ではないのだが)、このまま試合が進展すれば、失点はいずれ時間の問題かも・・・と思っていた矢先、関口の左サイドの上がりから、そのシーンは生まれる。
得点に繋がるアーリークロスを上げたのは、関口からの戻しのパスを、レフティらしく左足でダイレクトに蹴った磯崎。そこから出た速いボールを、平瀬が頭?いや実は肩に当て(本当は頭で合わせるつもりだったとは思うのだが)、その跳ね返りが、愛媛ゴール右上隅を目掛けて飛んでいく。枠内かどうか判らない、微妙な軌道。当然、愛媛GKはこれを止めようとジャンプする。
そして、そのボールの「軌跡」が、まさに「奇跡」を生む。ボールの軌道は、残念ながら枠内ではなく、ゴール右ポストを直撃。通常なら、そのままピッチ内に跳ね返ってくると思われたボールは、なんと、これを止めようと飛び込んできた愛媛GK・川北の頭部背後付近(恐らく腕)に当たって跳ね返り、そのままゴールイン。
ほんの少し、ボールの軌道が右外側にズレていれば、ボールはGKにも当たらず、そのままピッチ内に跳ね返されていただろう。また、同じくその軌道が左内側にズレていれば、今度はGKのファインセーブに遭い、ゴールラインを割る事は無かっただろう。
本当に、「ここしかない」という軌道と運の強さで、奪ったゴールだった。
そして、そのゴールを呼び込んだ2人は、甲府戦の田村の負傷に伴い、先発出場した磯崎と、同じく甲府戦で全治3週間の負傷を負いながらも驚異的な回復力を見せ、再び先発を勝ち取った平瀬だった。この2人のコンビネーションによるアシスト、そしてゴールであった事が、尚更、数奇な命運を感じさせる。
だが、「天(点)は二物を与えず」とは良く言ったもので、この日、仙台に生まれたゴールはこれ1本のみ。このゴールを以てしても、愛媛の圧力が衰える事はなく、むしろその勢いを更に呼び込んでしまい、ゴールを決める以前にも増して、仙台は愛媛の出足とパス捌きに翻弄される。ゴール直後こそ、仙台の出足も少し良くなり、2点目への期待を抱かせるものを感じたところもあったが、愛媛はすぐに我を取り戻し、再びその牙を剥いて仙台ゴールを脅かしに来た。
それでも、仙台は耐え抜く。前半を終わってみれば、愛媛のシュートは10本。引き続き好調の林の読みの鋭さ・反応の早さで、最後の砦だけは死守。GK以外のフィールドプレーヤーも、ほぼ全員が自陣に戻り、繰り返される愛媛の急襲を、なんとかクリアで凌ぎ、束の間の息継ぎの余裕を得る。(本当に、呼吸を忘れるくらい、息の詰まる展開であった)
後から振り返れば、愛媛の8番に随分とシュートを許してしまった事を脳裏に感じたが、それがFW内村だった。試合後のリザルトを見ても、内村は両チーム通して最多の4本(次点は仙台・中原の3本)を放つなど、やはり危険な存在だったと、改めて認識した。
そして迎えた後半。仙台も多少の修正が効いたようで、愛媛に奪われていた主導権を、若干握り返す。ちょっと驚いたのは、後半9分早々に、平瀬→中原の交代。ちょっと早くないか?とは思ったが、思えば平瀬は「負傷を圧しての強行出場」であり、無理はさせられない。前半に貴重な先制点を挙げた功労者をここで換え、最後まで先発起用を悩んだ中原の投入は、「既定路線」だっただろう。
その後、中原も3本ものシュートを放つが、残念ながらゴールは奪えず。またもチャンスを逸する結果となった。
その裏で、ゴールという結果こそ出せなかったが、ナジソンに換えて投入された中島の献身的な守備に、小さいながらも光るものを感じたのは、筆者だけだろうか。後半ロスタイムに唯一のシュート(これはグラウンダーでGK)は放ったものの、むしろ、交代直後からの「フォア・ザ・チーム」の動きの方を選択し、愛媛の攻撃に歯止めを掛ける事に成功している。事実、愛媛の後半のシュートは3本のみ。全体的な主導権こそ愛媛に握られていたものの、要所では愛媛に前半ほどのシュート数を撃たせず、1-0勝利のお膳立てに貢献。今後も中島には期待がかかると見て良いと思っている。
だが、その「愛媛の後半シュート3本」のうち、ヒヤリとさせられるシュートが2本あった。後半30分、愛媛の右CKのくずれから、シュート性のクロスを上げられる。これが、枠内に飛び込んで行きそうな軌道を見せる。辛くも、林の頭上・クロスバーを直撃し、失点は免れた。もし、あのボールの軌道が、ほんの少し下を描いていたら、、、、もしかしたら、真下に居た林の背後に当たり、そのままゴールインなどという「前半の平瀬の得点と逆のパターン」が生まれていた可能性もあり、命拾いをしたと正直感じた。
しかし、運命の悪戯はこれで終わらない。愛媛の内村に代わり、途中投入された田中に、カウンターからGKとの1対1の局面を作られてしまう。必死に田中を止めようとする岡山の踏ん張りも虚しく、愛媛のエースストライカーである田中らしい体捌きで、右足でゴール左サイドへ向けた力強いシュートを放たれてしまった。
そして、ここでまたも「小悪魔の悪戯」が顔を覗かせる。前半、平瀬の先制点を呼び寄せた「ゴールポスト右」に対し、今度は「ゴールポスト左」が、愛媛・田中のこの試合唯一のシュートを、響き渡る鈍い金属音と共に、跳ね返す。普通なら、ゴール左隅に決められていてもおかしくないシーン。しかしそこに、何かの「想い」が働き、ボールをポストに引き寄せたようにも思われる。林も頑張って手を広げ、体を大きく見せて、できるだけシュートコースを限定しようとしては居たものの、それでもゴールを奪えるコースはどこも「がら空き状態」だった事を考えると、本当によくポストが弾き返してくれたものだと、改めてこの命運に感謝したい。
長く感じるかと思われた、後半ロスタイム3分も、終わってみれば以外に短く感じた。1-0勝利。対・愛媛戦、5試合目にしての久しぶりの勝利は、前日、熊本に敗戦した湘南に勝ち点3差を付けての、3位浮上を呼び込む、あまりにも意味の大きい勝利となった。
この試合、得点に絡んだ磯崎、そして得点を決めた平瀬の執念が呼び込んだとも言えるが、やはりクロスバー・ポストに救われた感は否めない。今季の残り試合、そして来季以降も、また同じように助けて貰える事もあるかもしれない事を感じ、勝手ながら、このゲームの「マイMOM」は、ゴールポストと決定させて頂いた。
なんとか、勝った。残り5試合。山形も勝利したため、2位との差は3と変わらない。しかし、湘南・鳥栖が敗れる状況下において、順位が下のチームとの差を広げられた事は、昇格に向けて大きな前進に間違いない。
ここからだ。ここからの2戦は、まさに「二大決戦」となるだろう。セレッソ大阪戦、そして広島戦。
まずは、セレッソ戦から。この試合に向けたプレビューは改めて書かせて頂くとしても、ちょっとだけ、セレッソの状況を書いておこう。
今節、セレッソは鳥栖戦に向け、止まらない失点を減らす目的で、3バックの布陣を敷いてきた。それが功を奏したかどうかは判らないが、鳥栖に4-1で勝利している。
そして、この試合のセレッソの布陣を見たとき、「ニヤリ」と思った。
その布陣は、紛れもなく、今季広島が敷いている「3バック+1トップ2シャドー」の形、そのものなのである。
少なくとも、仙台はこの布陣に対し、対抗した実績を持っている。もしセレッソが、鳥栖戦の勝利で気をよくして、その布陣そのままで仙台戦に臨もうものなら、仙台としては「この上ない、仮想・広島戦」として、挑ませて頂く事ができる。
もちろん、そうなる保証はどこにもない。だが、セレッソが失点の多さに悩み、大幅な布陣の変更を決断した事は、紛れもない事実だ。相手は、確実に「変形」している。
急激な変化に耐え、それを我が物として活用する事が、セレッソに本当にできるのか。
そして仙台は、今節見せた「出来の悪さ」を克服し、より安定度の高い連携を取り戻して、この相手の変化を突き崩すだけの力を以て、見事これを打ち破る事ができるのか。
次節、運命の一戦は、10月26日(日)。
そこへ向けて、しばしの休息。そして、良い準備を。
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