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美しい軌道を描いて決まった、梁のFK。あと一点。
残された、後半ロスタイム4分。それを2分も過ぎたあたりの得点だった。
ここからの2分は、完全に仙台が支配。直後の磐田ゴール前での波状攻撃は、ボールの軌道さえよければ決まっていてもおかしくないものだった。
あわや、後半ロスタイム2発で、劇的な逆転昇格決定か-。
だが、サッカーの神様は、「FKでの1点が、仙台の今季の実力の全て。2点目には及ばない」と言わんばかりに、仙台に微笑む事はなかった。
「紙一重」とは、まさにこの事を言うのだろう。
今季、全日程を終了。仙台、J2残留決定。。。
岡田主審の吹くホイッスルが聞こえたとき、それまで出て来なかった、悔しさが一気にこみ上げてきた。恥ずかしながら、我慢が出来ず、前屈みになって泣き崩れた。
だが、前の座席に座っていたサポーターが、全く同じ気持ちで、座って泣き崩れていたのを目の当たりにしたとき、自分の姿が、後ろのサポーターにどう映っているのかが判った。
「顔を上げて、選手を見送ろうぜ-」
前の座席のサポーターの肩を叩き、声を掛けていた。自分に言い聞かせるように-。
こうして、今季の仙台の闘いは、幕を閉じた。
入れ替え戦が決まり、そして完全に勢いを失っていたジュビロ磐田が相手と判った時、不思議と勝てる気がしていた。根拠はない。それは、ジュビロの最近のサッカーを見て思ったものなのか、それとも仙台の勢いを感じてそう思ったものなのかは、今となっては思い出すのも難しい。
ただ、恐らくそれは、結果論かもしれないが、磐田に「松浦拓弥」という選手が存在する事が頭になかったからのように思えてならない。
誰もが知っている、あのジュビロ磐田ならば、元・現・日本代表を6名もスタメンに有しながら、勝ち切れずに16位まで落ちてきて、望まない入れ替え戦に臨む羽目になったという印象だろう。
しかし、筆者は、完全に見落としていた。オフト監督就任直後から重用され、トップ下に君臨する、若き司令塔の存在を。
MF松浦拓弥、19歳。166cm / 62kg。あまりにも小柄なその体型から繰り出すドリブル突破とチャンスメークは、その特性からサイドアタッカーとして起用されているが、ユース世代ではプリンスリーグ東海で得点王にもなったその攻撃力の高さから、FWもこなすユーティリティ性を併せ持つ。
どこかでみたことのある、選手特徴-。
・・・そう、そうなのである。仙台で言うところの、完璧な「関口タイプ」なのである。
ジュビロは、こんな逸材を「干して」いたのだ。そして、オフト監督にその才能を見出され、トップ下として活躍をしてきた。リーグ終盤戦こそ、なかなか結果に結びつかなかったが、入れ替え戦でのスタメンを勝ち取り、見事に自分一人の3得点で、仙台との入れ替え戦を劇的なJ1残留に繋げてしまった。
こんな選手が、ジュビロに居たとは。
正直、この選手が居ない、従来のジュビロ磐田を想像していた。第一戦を終えた後でさえも、「19歳がトップ下をやっている?ジュビロはこんな大事な試合にどういう選手を投入してきているのだ?第一戦の得点も、ラッキーゴール的な意味合いしかないだろう」と-。
甘かった。
名門の名を欲しいままにし、そしてジュビロを良く知るオフト氏が監督に就任し、そのオフト氏が見出した選手である。当然、どこか秀でているものがあっての事だろう。
全般的なデータから観れば、マークするべき相手は、あくまでも前田とジウシーニョ。ここへの放り込みさえ注意していれば、完全に防げるはずだった。そして、最後の最後まで、この2人にゴールを許す事はなかった。そのミッションは、確かに完遂した。
だが、この「隠し玉」とも言える選手が、入れ替え戦のキーマンだとは、誰も知るよしもない。当のジュビロサポーターでさえも、まさか2年目の松浦が、こんな大活躍をするなんて、夢にも思わなかったに違いない。
この入れ替え戦は、ジュビロの歴史にとっても、間違いなく大きく刻まれたものとなっただろう。
正直言えば、こういう選手が台頭して来るのが、怖かったのである。
もし、ここに松浦というピースがジュビロに存在していなかったら、仙台は、第一戦・第二戦を共に1-0で勝利し、2連勝で堂々と昇格を果たしていただろう。
従来のジュビロ磐田を念頭に置き、前田とジウシーニョの事ばかりを気にしていた。
だが、これもサッカーだ。
新戦力の台頭。チームが強くあり続けるためには、必ず組み入れなければならない、重要な要素。
仙台は、それをナジソンに求め、そして第一戦でそれは見事に開花した。
だが一方、磐田は、そこに「松浦」をはめ込み、第一戦・第二戦の両方で、満開の花吹雪を演じて見せた。
この差が、J1との差なのか。
この差を埋めない限り、胸を張ってJ1に参入する事は叶わないだろう。
今季の闘いは、この2戦の終了を以て、幕を閉じた。
だが、この瞬間から、既に来季へ向けた闘いは始まっている。
前述した「新戦力の台頭」が必要であると共に、礎となる絶対条件として、「今季ここまで育て上げてきた財産を、如何に失わないか」が上げられる。
これから年末にかけて、監督・コーチ陣の去就や、選手の契約更新、移籍加入や流出の話が出てくる事だろう。できれば、今年の体制と戦力を維持しつつ、かつ新戦力の加入で、2009年に期待を持たせるような状況となる事に期待したい。
既に、J1のチームから目を付けられている選手も、一部存在する。しかし、J1に「個人昇格」したからと言って、必ずしも成功するとは限らないし、また、個人的主観ではあるが、仙台というチーム以上に、サポーターとの絆が強いチームなどまず存在はないだろう。残ってくれる事を、切に願う。
2009年の闘いは、既に、ここから始まっている。
ヤマハスタジアムで味わった、あの悔しさは、仙台のサポーター全員の胸に、深く刻まれた。
届かなかった、1ゴール。この悔しさを、来季の糧に。
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