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東京V1-3仙台 これぞ、仙台の真骨頂。眼前に拡がった流れるような攻撃こそ、皆が待ち続けていた光景。

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大黒に先制点を許し、朴柱成が前半43分に負傷退場した時、いったい誰がこのような終劇を見届ける事になると、予想できただろうか-。

今季初、マルチ得点勝利。しかも「味スタ初勝利」、及び「対・東京V戦初勝利」となった逆転快勝劇は、前半序盤の押せ押せムードの中、突発的に吹いた「二つのアゲインスト(向かい風)」により、一層その展開を読みにくくさせ、まるで波乱仕立てのドラマのように、観る者を幻惑の渦に巻き込んだものとなった。

「二つのアゲインスト」と表現した出来事とは、

前半33分:大黒に許した失点
前半43分:朴の負傷退場

の事である。試合序盤こそ仙台が主導権を握り、何度も東京Vゴールを脅かすも、これまでの展開同様、なかなかゴールが決まらない。そんな事をやっているうち、いつの間にか流れを相手に持って行かれ、そして再び仙台に襲いかかる失点劇。

3試合連続となる、先制点の献上。大黒の競り勝ちとなった、相手FKからのセットプレー。絶妙な位置に放り込まれたボールは、大黒のコントロールを経て、GK林の頭上を越えるループ性のバウンド・シュートとなった。

あれだけの競り合いの中、ボールをコントロールして見せた大黒のポテンシャルの高さには、流石に脱帽した。バウンドしたボールがたまたまゴールに吸い込まれたという見方もできるが、この1失点は、相手の位置取りの巧さの賜物でもある。やむを得ない失点と言うほか、言葉は見つからなかった。

しかし、今季ここまで2得点以上の試合がない仙台にとって、この失点がどれだけ重いものであっただろうか。この失点の持つ意味を、選手全員が理解していた。だからこそ、43分の朴の負傷退場が、どれだけ痛い戦力ダウンに繋がるかを、お互いが言葉に表さなくても、容易に把握できた。それは、サポーターも同じ事だった。

あとは、交代で入る田村を含め、残された選手で戦い抜くしかない。

試合開始直後から、縦横無尽に走り回ってくれた朴。失点してからもその勢いは落とさず、ボールチェイスの際のトップスピードは、ブラジル人FW・レオナルドを凌ぐものがあった。

「1点ビハインドのこの状況を、なんとかしなければ」

朴の、その想いの激しさ故に、故障上がりでまだテーピングの補助に頼っているハムストリングを、再び痛めてしまう事になってしまったのだろうか。前半43分、東京Vの左サイドから上がったクロスを、難なくヘッドでクリアしたように見えた瞬間。朴の歩行動作がおかしくなり、しばらくしてその場に座り込んでしまった。

立てない、朴。口を押さえながら、それを見守る仙台サポーター。

「立ってくれ。お願いだ。」

そんな願いも虚しく、ベンチは苦渋の決断を下す。前半43分。朴柱成、負傷交代-。

試合開始直後から、縦横無尽の動きを見せ、サポーターに明らかな期待感を味合わせていた「魅惑の秘密兵器」は、再びピッチから姿を消した。

先制点を許す展開に加え、秘密兵器・朴の負傷退場。誰しもがこの2つのアゲインストをまともに喰らい、今節も勝利は適わぬのかと、考えたくもない状況を一瞬、脳裏に浮かべたに違いない。

だが、ここからこのドラマは、読者の予想を裏切る急展開を見せる。

負傷退場の朴に代わってピッチに入った田村を始め、僅か2分のアディショナルタイムを含めた、前半終了までの約4分間。この僅かな刻の間に、東京Vに傾きかけた流れを、一気に引き戻すプレーが生まれる。

右CKからの梁のセットプレーに続き、左CKを獲得。関口がこれを低く蹴り、ニアにいた仲間から一旦戻されたボールを再び拾った関口からの、絶妙なファーへの放り込み。そのボールの軌道の先に走り込んできたのは、CBエリゼウ。そのまま突っ込めばゴールポストに激突したであろう恐怖心をものともせず、ゴールを奪う事だけを考え、渾身のヘディングシュートを放つ。

エリゼウの、いや選手全員の、更にはベンチに居たコーチ陣・選手・そして仙台サポーターの願いを乗せたボールは、GK土肥の反応を許さず、ゴールネットの反対側のサイドを、一直線に貫く。

その時、時計はアディショナルタイムの2分を、あと10秒残すところまで進んでいた。この攻撃が不発に終われば、間違いなく笛を吹かれていたはずだ。

例え前半であっても、最後まで諦めない。その気持ちが、このゴールを呼び込んだ。そう言っても過言はないだろう。

僅か4分前、朴の負傷退場でその重さの増した空気の流れは、このゴールによって変わった「風向き」により、一気にその存在が軽くなった。

前半終了、1-1。サッカーで良く言われる事の中に、「前半終了間際の得点は、相手にこの上ないダメージを与える」という言葉がある。今季、仙台と同様、まだ1試合で2得点を取っていない東京ヴェルディにとって、この失点はあまりにも重いものとなった。

迎えた後半。主力に多くのケガ人を抱える東京Vには、仙台に与えてしまった勢いと流れを引き戻す底力は、既に無かった。

前半終了間際の勢いそのままに、それにも増して流れるようなパスワークと飛び出しを駆使し、次から次へとチャンスを演出する仙台。東京Vも負けじと、センターフォワードの大黒を軸に奮戦するが、「連敗中も内容の決して悪くない試合を続けていた」仙台にとって、東京Vの守備や攻撃は、決して怖いと感じるものでは無くなっていた。

後半3分、早速チャンスが訪れる。梁からのクロスに、中央で待っていた関口がヘッド。これは惜しくも枠をそれるが、その後もお互いがカウンターの応酬を見せ、前半以上に動き回る、見応えのある展開となる。

仙台は、守備に冠しては相変わらずの安定ぶりで、前半に喫した大黒のゴール以外には、東京V側に得点の臭いを与える隙をほとんど見せない。唯一、林が大黒との1対1をブロックしたシーン、そしてその後のミドルをしっかりと止めたシーンくらいか。

攻撃に至っては、奪ったボールを素早く前線に持ち込み、間髪入れずフィニッシュまで持ち込む展開。もう、味方の選手の上がりなど待たず、非常にスピーディーでダイナミックな内容に、今季これまで味わった事のなかった、ゴールへの強い予感を感じさせた。

そして訪れた、後半19分。東京Vの攻撃の目を摘み、何度か繰り出したカウンター攻撃が、とうとう結実する。自陣中央でボールを奪った斉藤を見て、左サイドライン際に居た関口が、前線を指挿し「ここに出してくれ」と斉藤に合図を送る。それを見た斉藤から、相手選手の脇を抜く、絶妙のキラーパスが出る。それを受け取り、これに連動するように前線に飛び込んでいた平瀬と中島目掛け、関口がドリブルしながら早いクロスをあげる。この時のスピードとタイミングは、カウンター攻撃のお手本と言っても良いくらいの内容だった。

そして、ボールは平瀬の頭を掠め、中島の足下へ落ちてくる。東京V守備陣も負けじと2人に着いてきていたが、今日は中島の方が上手だった。相手のマークに当てないようにして、落ち着いてボールを枠内へ。これが決まり、1-2逆転。

今季、ここまでなかなか取れなかった2点目。しかも、流れからの得点。そして、DF以外に無かった得点は、FW中島から生まれるという演出の良さ。こうして生まれた「逆転劇」は、更にその舞台をクライマックスへと移していく。

2点目を奪った仙台だが、勢いは留まるところを知らない。5分後の後半24分には、田村の右足からクロスバー直撃の惜しいシュートが放たれる。どよめくスタジアム。だが、田村の活躍はこれで終わりではなかった。

左SBの田村を含め、この日は良く左サイドからの攻撃が機能していた。見ていて、本当にそう思った。

そして、その感覚が、決して間違いで無かった事を裏付けてくれる、ダメ押しの3点目が決まる。相手エリア内で立て続けにパス交換をし、東京V守備陣をズタズタに引き裂いた中で、田村がフィニッシュを突き刺す。今度は見事に枠の中へ。1-3ダメ押し。

東京Vの守備が、決して良くない状況である事は、事前に判っていた。だがそれでもゴールを決められるかどうか、最後の最後まで、自分の中の不安を払拭し切れてはいなかった。

そしてその心配は、この3点目によって、杞憂であった事を証明するに至った。

「もう心配ない。このチームは、やっと本来の姿を取り戻した。」

田村の押し込んだ3点目が決まった瞬間は、そう思えた瞬間でもあった。試合終了間際に見せた時間稼ぎも、プロらしく勝ちに行くためのセオリーとして必要なものである事を改めて確認できた。前半終了間際に仙台が奪った同点弾のように、東京V側に同じ様な展開を許す訳には行かない。例え点差が2点あったとしても、である。

だが、一度掴んだリードを手放してしまうような稚拙さは、仙台側のどこにも見当たらなかった。長目の4分と表示されたアディショナルタイムにおいても、「やるべき事は変わらない」と言わんばかりに、確実に時間を使う仙台の選手たち。

そして訪れる、歓喜の瞬間。過去、何度この地で、苦渋を味わって来ただろうか。昨季終盤から色々な「ジンクス」を打ち破ってきた仙台が、とうとうこの地の未勝利ジンクスすらも打ち破って見せた。

新選手会長・渡辺広大の音頭で、今季初めての「ベガルタ劇場」も開演。喜びを分かち合う選手とサポーターの間には、間違いなく「太い絆」が横たわっていた。

選手が控え室に戻りかけた頃、初めて味スタに響き渡る、凱歌・オーラ。

東京の地で得たこの勝利を、既に満開の桜吹雪が祝ってくれているようでもあった。仙台にはまだ桜前線が到来してはいないものの、一足先に、仙台に「春到来」を持って帰れる事を、素直に喜びたい。

そして、満を持して、あの「桜の大木」が、仙台に乗り込んでくる。

まさに、仙台地方に桜前線が到達しようとするこの時期、大阪から、あのチームがやってくる予定が組まれている事は、単なる日程の悪戯に過ぎないのだろうか。

首位・セレッソ大阪戦。

今節、東京地方から一足早い春を仙台に持ち帰れる事になったが、今度は、大阪からやってくる「桜前線」を粉砕しなけばならない。

相手は強豪だ。しかし、東京V戦で見せてくれた「仙台らしさ」を、惜しみなくこの相手にぶつける事ができれば、決して臆する事は無いはずである。

選手を信じて、セレッソ戦を見届けよう。
選手と一緒に、セレッソ戦を戦おう。

今の私たちにできる事は、それしかないのだから-。




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