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「スタジアム中が元気になりました-!」
後半2分、梁のFKが決まった時、実況担当のKHB・加川潤アナウンサーが放った一言である。
連戦の最中、久しぶりに背負ったビハインドの状況で、アウェイ熊本戦で自身初・1試合2発のFKを決めた梁が、ホームゲームのこの大事な局面で、その美技を地元サポーターにも披露。福岡に、4試合ぶりの得点を許してしまっていた後だっただけに、この同点弾は選手やサポーターにとって、どれだけのカンフル剤になったか計り知れない。
前半45分の内容は、連勝街道をまい進してきたチームのものとはとても思えない、非常に「重い」ものであった。パスミスや連携の悪さが目立ち、ミスが即相手のチャンスに繋がり、繰り返しピンチを招いた。その状況を修正できないうちに、カウンターから受けたシンプルなクロスに、FW大久保に飛び込まれ、アッサリと先制点を許してしまった。
前半は、福岡の「勝ちたい」という気持ちがよく見えた試合だった。3試合で得点できていない事もあっただろうが、仙台が失点してからは、更に元気になり、あわや追加点を献上、などという想像したくない展開も頭をよぎった。
こういう時は、ハーフタイムで何をどのように修正するべきなのか、ベンチワークが問われるものである。そして、手倉森監督が採った判断。それが、「ボランチ交代:斉藤→永井」だった。
苦しい展開のときほど、中盤の底で試合を落ち着かせ、攻撃の起点を作り、状況によっては自らも攻撃参加をせねばならない。その任を背負い、後半の頭から出てきた永井。
その交代の効果は、梁のFKが決まった直後の後半3分、突如として現れる。同点に追いつき、流れが一気に仙台に傾いたのを見逃さず、前線右サイドの攻撃展開に参加する永井。ボランチの位置からのこの「攻め上がり」は、前半の斉藤にはあまりみられないものだった。斉藤はここまで、ダブルボランチの軸として90分の起用に応え続けており、さすがに疲労の色は隠せなかった。そこを活性化するため、前節の草津戦で帯同せず(理由は軽い負傷によるものだったが)、リフレッシュした永井をここで起用し、彼の前線への攻撃性に期待した。
そしてその期待は、見事に的中する。機をみて攻め上がっていた右SB菅井と、梁のパス交換をその後方でバックアップ。梁が菅井にボールを預け、その後ろを追い越す梁。その梁の動きに惑わされ、福岡の最終ラインが「崩れ始めた」のを、永井は見逃さなかった。
サイドの菅井からの戻しパスを受け、1歩前へ出て、攻撃の色を見せる永井。そして、福岡の選手の意識が永井自身に向けられ、自分に向かって詰め寄ってきた瞬間。
福岡の最終ラインが「斜めに大きく開いた」のだ。その一瞬、前線で張っていた中島のすぐ右横へ、スピードのある絶妙のパスを放り込む永井。だが、後方からのスピードのあるパスに「合わせる」のは、非常に難しい。トラップして前を見る間に、福岡の選手が戻ってきてブロックされてしまうか、と思いきや。
永井からのパスが地面に着く瞬間を狙い、スライディングするように倒れ込みながらも、そのボールをノートラップ・ワンタッチで「シュート」にしてしまったのだ。その軌道は、福岡ゴールの「右上隅」をターゲットにロックオンし直した「ライフルの弾道」のようであった。中島のタッチにより、軌道の変わったボールは福岡GKの予測を裏切り、綺麗にゴール右上隅へ突き刺さったのだった。
表現を変えれば、永井→中島の2段ロケットか。1段目の永井から「噴射」されたボールは、2段目の中島で更に「加速」。あまりの速さに、福岡ディフェンダーはその軌道を見守るしかできなかった。
逆転の希望を乗せた、そのシュート。僅か1分前には、梁の同点弾FKが決まったばかりで、スタジアム全体が興奮の坩堝(るつぼ)からまだ脱し切れていない時間帯の事だった。
この4分後、福岡の選手の守備ミスから得たCKで、千葉のダメ押し3点目が産まれるも、実質は中島の2点目が、この試合の行方を決定付けた、殊勲の逆転弾と言えよう。
この逆転弾をアシストした永井こそ、この試合のキーマンであった。途中交代の選手がキーマンである事は決して珍しい事ではないが、その選手をハーフタイムという早い時間で投入した事や、投入後僅か2分で仕事を完遂した事、そしてこの「交代劇」は、実は始めから手倉森監督が「可能性として予見し、準備していたもの」であった事を総合的にみると、如何に今節に向けての準備と采配が冴えていたかが判る。
これで、6連勝を達成。実に、2001年の6連勝タイ記録に並ぶ、8年ぶりの快挙である。しかも、当時はまだVゴール方式であり、当時の6連勝にはこのVゴールが含まれているため、Vゴール方式が廃止された後の90分方式の連勝記録としては、新記録に相当する。
この要因を筆者なりに分析すれば、それは「GWの中2日4連戦」を、「好調を維持したまま、期間を置かずに試合が出来た事によるもの」と考えている。
この連戦で、好調を維持できなかったチームは、中2日での立て直しなど不可能だっただろう。何をどうしたら良いかを考える時間もなく、ただ「試合を消化した」だけでこの4連戦を終わってしまったチームもあったはずだ。
今節の福岡をみても、こちらが同点に追いついてからは自信を喪失したのか、守備も攻撃も、全く体をなしていなかった。
仙台は、まさにこの「4連戦を味方に付けた」、数少ないチームの一つとなった。
ただ、連戦の最中だったとは言え、前半の出来は頂けない。3試合連続無得点中だった福岡に先制点を許し、自らの首を絞めてしまった。また、後半7分の千葉のヘッドによる3点目以降、全体的に活性化された事は良かったものの、守備も攻撃も「崩壊」していた福岡から、4点目・5点目を奪って「トドメを刺す」に至らなかった事は、KHBの中継で解説を担当した清水氏・岩本氏の言うとおり「戦い方が雑。崩壊している相手から追加点を奪えないようでは、J1では厳しい」と思う。
だが、今はこれで良いではないか-。中2日の4連戦の、最後の試合なのだ。どの選手も、疲労はピークに達している事だろう。年間51試合の全てにおいて、90分をベストにプレーする事など、土台無理な話である。
来季のJ1を見据え、今季は「J2で戦いながら、J1での戦い方を学ぶ」その土俵だと思えば。
解説を担当して頂いた、清水氏・岩本氏の「勝ってなお苦言」は、大変有り難い助言である。これを糧とし、今後の戦いに活かして行ければ良いと思う。
まずは、2週間ぶりのオフ。選手にはしっかりと休息をとって貰い、再び中4日でやってくる次の試合へ向け、また準備を始めて欲しい。
それは「連勝を伸ばすために」というよりは、あくまでも「目の前の1試合を大切に勝つ」ため。目の前の1試合を大事にする事が、連勝に繋がる。
次の試合までの、僅かな期間。サポーターも、一息つこう。そしてまた、選手と一緒に戦おうじゃないか。
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