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「前半勝負」。
予想はしていたが、まさにその通りになるとは-。
こういうのを、まさに"電光石火"と言うのだろう。前半0分の中島の凱旋弾は、まさにチーム応援歌の「電光石火」の歌詞にある、「ゴールを狙って駆け抜けろ」に相応しく、泥臭くはあったがインパクトのある、目の覚めるような先制点であった。
キックオフ開始直後、右SBの菅井から、ピンポイントで前線の中島にボールが入る。それを胸トラップでコントロールし、右足を振り抜く。このシュートは辛くも富山DFのブロックに阻まれるが、「主(あるじ)を失ったボール」を、倒れ込みながらも左足で押し込んだ。その時、時計は「44秒」を指していた。
前半0分。仙台、いきなりの先制点。
前節の福岡戦で豪快な逆転弾を放ち、満を持して、地元・富山にスタメンで乗り込んできた中島。総勢80名の地元の大応援団も来ていたといい、その中には、中島の両親の姿もあった。
あまりにも整い過ぎた舞台で、あまりにも出来過ぎた、いきなりの得点劇。この得点シーンでの負傷が原因で、前半9分に田中と交代する事となり、大変残念ではあったものの、開始1分で「泥臭い仕事」をやってのけたそのゴールへの執念は、中島の応援に駆けつけた人たちにも、充分なアピールとなった事だろう。まさか、僅か9分でピッチを後にする事になるとは、夢にも思わなかっただろうが。だがそれもある意味、この日の「中島劇場の演出の一つ」だったのかもしれない。
代わって入った田中も、見事に仕事をした。中島に代わった投入された、その僅か2分後の前半11分。敵陣、左やや後方で得たFKからのリスタート。梁は無理に放り込まずに傍の選手とパスを交換し、そしてボランチ千葉の走り込みに合わせて絶妙のパス。これを千葉が受け取り、富山ゴールの左側へ持ち込む。逆サイドには、本来中島がいる位置に、田中が詰めていた。そこにピンポイントでグラウンダー性のクロスを入れる。
そこへ、後ろ向きながらもドンピシャリで合わせた田中。今季、初得点をマーク。
前半11分。仙台、2点先制。この時点で、富山の「8失点の堅守」は、既に崩壊の序曲が聞こえ始めていた。
そして試合は、その行方を決定付ける、3得点目へとシフトする。前半36分。試合の前から「流れの中からもゴールが欲しい」と言っていた梁。その言葉を、自らのプレーで体現してみせる。
敵陣左サイドで「溜め」を作っていた関口。少し後方で梁がスペースを見つけて移動したのを見逃さず、そこへ鋭いパス。その瞬間、前方で攻撃参加していたボランチ永井が、オフサイドにならないように飛び出す。そこへボールを出す梁。きれいにえぐられた富山守備陣。そしてその永井から、再び密集の中へ、永井からのマイナスの、これまた速いラストパス。これを「ワン・ツー」で受け取った梁が、ノートラップでゴール左隅へシュート。GKの反応を許さず、3点目をゲット。
関口から始まった、この一連のパス交換。あまりにもパスが速く、またあれだけ、ボールを上下に動かされては、富山の守備陣もたまったものではなかっただろう。
この3点目が決まった時点で、前半36分。戦前で予想された「堅守vs堅守」の様相は、仙台のその攻撃性の高さが、富山の「堅守」をアッサリと上回った。
富山のここまでの3連勝の快進撃も、連勝・昇格を目指す仙台の、技術と意識の高さの前には沈黙するしかなかった。前半のうちに3失点では、ここから追いつくだけの精神力の強さを絞り出すのは難しいだろう。何故なら、目の前の相手は、ここまで総失点7の仙台だったからだ。確かに富山は、少し前の試合で3得点・4得点を記録はしているが、それは運や相手のミスも絡んでのもの。しかも先制点を奪って有利に試合を運べた時とは、状況がまるで逆である。
だが、仙台も「このまますんなり」と試合をこなせた訳ではなかった。
中島の負傷交代に続き、左SBの朴も足を痛め、ハーフタイムで田村に交代。更には後半、エリゼウも足を痛め、今季初の途中退場。なんと、交代枠3枚を全て負傷退場者の手当で使ってしまうという、前代未聞の事態になってしまったのだ。このため、期待されていたソアレスの投入は見送りとなり、本人も大変残念だった事だろう。
ここで、過去の苦い経験が甦ってきた。以前の試合でもあった事だが、仙台は、負傷退場者が出た際に相手にスキをみせてしまい、バランスを崩して失点する事が多かったものだ。
しかし、この日の仙台は違っていた。過去の苦い経験を生かし、負傷退場者が出ても、きちんとこれをカバーする術を身につけていた。それが「ボランチ千葉のCB起用」だった。
昨年から見られるようになった、ボランチ千葉のCB起用。昨年は、木谷や岡山の「試合中の穴埋め」として、ボランチの位置から1列下がって対応する事が多かったが、その経験が、この試合で活かせたのは大きかった。
後半、エリゼウが足を痛めて、一端ピッチを出たとき。そして、エリゼウが大事を取って、ボランチ斉藤と交代退場したあと。千葉はエリゼウの穴を見事に埋め、試合は最後まで仙台優勢のまま、90分を消化する事ができたのである。
前半、怒濤の3得点をしたかと思えば、後半は一転、負傷者の発生に苦しめられ、一時は富山のペースになりかけた。だが仙台は、GWの4連戦で身につけた「試合をコントロールして勝ち切る」術を如何なく発揮し、決して富山にゴールを割らせなかった。
前半と後半で、全く違う様相を見せられる試合は、これが初めてではない。だがこの試合では、前半のうちに掴んだ良い流れを相手に渡す事なく、後半に発生した「課題」すらも上手に消化する事ができた。
終始、仙台が主導権を握っていた試合、と言って過言はないだろう。
ケガで退場した、中島・朴・エリゼウは、試合後の監督のコメントを見る限り、決して重たいものではないようだ。朴・エリゼウについては、徳島戦には間に合うものと思われる。中島については、田中やソアレスといったバックアップが充実してきているので、徳島戦に向けては心配はないだろう。1日も早い復帰が望まれる。
ところで、今節対戦した富山。無名な選手が多い中、非常にコンパクトで、手堅い守備と攻撃を特徴としている事が判った。仙台も危ないシーンを何度か作られ、それこそ「ヒヤリ」「ハット」といった、交通事故撲滅キャンペーンあたりで聞こえてきそうな単語が似合う場面にも遭遇させられた。
今回の対戦では、仙台の総合力が上回っての快勝となったが、富山は間違いなくJ2のダークホースだ。仙台が前半のうちにアッサリと3得点できたのには驚いたが、仙台の得点シーン以外では、富山にも良いところは散見された。守備面での出足の速さや、攻撃面での連携の意識は、そのポテンシャル自体がもっと高いところまで昇華すれば、上位陣を脅かす存在にならないとは、決して断言できない。
富山でのアウェイ対戦は、今季、もう一試合ある。また中島の凱旋弾がみられるかどうかは判らないが、その時、富山がもっと力を付けてきていたら、その時の試合結果はどうなっているか、全く予想だにできない。
だが仙台としては、地道に目の前の1試合を「勝利で消化」する事にまい進していくだけだ。
7連勝は素晴らしい記録であるが、今季の最終目標は、あくまでも昇格。それを見据えた時、連勝はその過程に過ぎない事が判る。
浮かれたくなるような状況ではあるが、選手たちには慢心はないようだ。試合後のロッカールームで、7連勝を達成した事に触れる選手は皆無だったとの事。「勝って兜の緒を締める。」みな、状況がよく解っているようだ。非常に頼もしい限りである。
久しぶりに、中5日の日程を迎える。ケガ人の程度が心配ではあるが、大丈夫だろう。
改めて、徳島戦へ向け、チーム・サポーターともに、「ふんどし」を締め直そう。まだまだ、先は長い。
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