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先日のナビスコカップ・柏戦では、おおよそ一ヶ月ぶりの公式戦勝利を手にした仙台。それまでは、勝てなかったどころか、6試合で僅かに1得点という、得点力の超低空飛行を強いられ続けてきたが、この戦いでは、前半に喫した先制点を、後半の頭で早々に追い付き、そして、試合終了間際に逆転を果たすという、なんとも爽快な逆転劇を演じてみせた。
得点に、そして勝利に餓えていた、選手とサポーターにとって、何よりも嬉しい瞬間だった。
そして舞台は、リーグ戦へと舞い戻る。相手は、三日前と同じ、柏レイソル。震災の影響により、偶然にも同じ相手との連戦になってしまったが、大会も違えば、置かれている立場も違う。基本的には、完全に別な試合だと思って臨むべきだ、と、個人的には考えている。
仙台は、ナビスコカップの戦いでは、リーグ戦で疲労の色濃かった選手を、思い切って先発から外し、フレッシュな顔触れを先発に並べて挑んだ。特に、太田と中島の組合せは新鮮であり、こと、太田の突破力とスピードは、後半1分のチャンスメークを産み出し、仙台の劇的な逆転劇の"土台"を構築する、素晴らしいプレーだった。
仙台の、今季の前半戦は、ほぼ赤嶺をフォワードの軸として戦ってきたが、太田というオプションがあれば、赤嶺で苦しくなった時のスパイスとして、今後も十二分な戦力と成りうるだろう。
対する柏は、ナビスコカップでも、リーグ戦と同じ先発メンバーをぶつけてきた。それが決して悪い事とは言わないけれども、結果的に、柏は主力メンバーを、ただ単に疲労させただけで、何の収穫もなく、また中三日で同じ相手と対峙する羽目になった。
ナビスコカップを終えたこの時点では、明らかに、仙台が状況としては有利目であり、柏がどう巻き返してくるか、見ものである。
しかし、柏は、こういう時にこそ、その底力を発揮するチームだ。今季のリーグ戦でも、もう既に5敗を喫しているというのに、今だ2位を堅持。8位まで順位が下がってしまった仙台とは対象的に、充分、優勝争いに首を突っ込むだけのポテンシャルを持っている。
仙台と、柏の差。それは、「仮に敗戦を喫しても、決して連敗はせず、翌節はきっちりと立て直して勝利を掴んでいる」ところにある。仙台は、無敗街道を突っ走っていた時期は、勝てないながらも、引き分けで勝ち点1を地道に積み上げていたが、アウェイの清水戦で今季初敗戦を喫すると、そこからズルズルと、6試合も未勝利を刻んでしまった。
もちろん、積み重なってきた疲労による影響も大きい。しかし、それを認めずに、先発の布陣に大なたを振るう事無く、先発陣の選手らを休ませなかった結果、6試合未勝利という記録を産んでしまった。
だが、そんな苦しい時期に訪れた、このナビスコカップを、仙台は上手に利用し、主力の一部を休養させる事に成功。それも、入れ替わりで出たフレッシュな選手の活躍によって勝利を手にし、2回戦進出という結果まで出す事ができた。
当然、疲労感で目一杯だった選手たちは、俄然とやる気が出て来ている事だろう。
ここが、仙台の後半戦に向けた「再度の咆哮」となり、再び快進撃を始めるきっかけになってくれれば、と考えている。
ところで、対峙する柏側はどうやら、この中三日という時間を、山形でのミニキャンプに当てている様子。同じ相手との連戦という事もあり、最大限、選手の疲労軽減を考慮した「采配」であり、外野からみても、納得の行く対応と思えた。
ポイントとなるのは、仙台が、果たして「ナビスコカップで休養させた選手を、元通り、先発に戻すのか?それとも、ナビスコカップの勝利の感触を残した、ハイブリッドな先発布陣にして来るのか?」という点にあると予想する。
具体的には、梁の先発復帰はほぼ確定だろうが、2トップの一角を、先日の対戦で大活躍の太田を、再び先発で起用するのか?それとも、スーパーサブとしてベンチに置くのか?という点が気掛かりになる。
ボランチに目を向ければ、先発を回避させた富田を、この試合で先発に戻すのか。それとも、出来が決して悪くはなかった、高橋義希を、この試合でも先発で起用してくるのか。
筆者が個人的に期待しているのは、太田はこのまま2トップの一角として、先発復帰するであろう赤嶺と組ませる事。2列目は、梁と関口に戻す事。ボランチは、同点弾で大活躍の角田と高橋義希のコンビをそのまま先発起用する案。そして、松下と中島をベンチにおいて、勝負どころで投入したい。
ところで、ちょっと気になっているのが、最終ラインの顔触れ。「前節」に4枚目の警告を受けた、チョ・ビョングクが、この試合では出場停止になるため、渡辺広大の先発復帰が濃厚。これに加えて、顔面負傷で戦列を離れた菅井も先発回避が濃厚である事から、前節からメンバーが一気に2枚も変更になる事に。ナビスコカップでは、菅井の代わりに田村を起用して、機能する事は確認済みである事から、決して不安視はしていないものの、ディフェンス面で、ビョングクのカバーリングの卓越さを失う一戦となるだけに、守備陣の踏ん張りがどこまで通用するのか。もし、今節に柏が「仙台のウィークポイント」を突いてくるとしたら、ビョングクの居ない、仙台のディフェンスの中央かもしれない。
この試合で気を付けたいのは、「ナビスコカップで勝てたからと言って、この試合でも同じように勝てるとは限らない」という事。当然、相手は、山形の地にて「仙台対策」を講じてくるはずで、その内容を如何に推測し、それを防御する策を、こちらが講じれるかに掛かっている。
そして、容易に思い付く策としては、「ビョングクが抜ける穴を、チーム全体が守備的気味になり、皆がディフェンスし合ってカバーする」というものであるが。。。。
筆者、個人的には、この案は「相手の思う壺」だと考えている。
柏の攻撃力の高さや、突破時の迫力などは、もう嫌と言うほど見せ付けられてきた。それを防ぐために、ホームながら、守備的に試合へ入る事は充分に考えられる。
だがここで、考えてもみたい。
たった三日前のナビスコカップでの勝利は、「太田が積極的にドリブル突破を仕掛けたから」こそ、掴めたものではなかっただろうか?
おそらくは、ボールを保持している時のテクニカルな部分においては、仙台は今だ、柏の足元にも及ばない。少し精神的にパニックを起こしたり、慌てたりすれば、相手にみすみすボールを渡すという、有り得ない失態をも犯す。先日のナビスコカップや、その前の大宮戦でも、中盤でボールを失って逆襲を喰らうときは、決して「チャレンジした結果」ではなく、「相手にプレッシャーを受けたり、安易なミスをしたところ」から始まっていた。
つまりは、パスを繋ぐサッカーは、今現在の仙台には適切ではない、と考えている。(この事は、何試合か前のプレビューやレポートで、何度となく書いてきた事でもあるが)
今はとにかく、太田なり、関口なり、そして梁や松下なりが、運動量を駆使して、相手陣内で仕掛けるところからチャンスを狙い続けるしかないと思っている。
もちろん、いつまでも、パスの繋ぎに期待できないサッカーを観たい訳では、決してない。連戦が落ち着く頃の季節には、暑さによる集中力の低下や運動量の減退に悩まされる事もなく、また元のパスを繋ぐサッカーが出来るようになるはず。
だが、そこまで試合は待ってくれない。ナビスコカップを2回戦に勝ち上がった事によって、9月も連戦が待っているのだ。
この試合では、柏は、ほぼ間違いなく、自分たちのサッカーをもう一度貫こうと画策してくる。つまりは、スピードとテクニックで、相手に考える隙を与えない、パワフルなポゼッションサッカーだ。もし、それを100%の力で発揮されたら、仙台は、おそらくひとたまりもないだろう。
そうさせないために、仙台が、この試合でやるべき事。それを筆者は「決して最終ラインを低くし過ぎず、中盤をコンパクトに保って、ボールを奪えれば素早く手数を掛けずにカウンター攻撃を仕掛ける」事の繰り返しだと思っている。
絶対に機能しないと思っているのは、遅攻だ。もし、ボールを奪ってからの攻め上がりに時間を掛けてしまうようであれば、柏側に「帰陣して守備を固める時間」を与えてしまい、おそらくはそこからの得点獲得は考えにくい。
相手に攻めさせて、その裏を素早く攻める。
柏のディフェンスが整っていない時には、得点を挙げられる可能性は非常に高い。その事は、それこそ先日のナビスコカップで、太田や松下、そして富田が、身を以て証明してくれたではないか。
「公式戦の連敗」だけは避けたい柏。だが仙台も、よもや「リーグ戦3連敗」だけは絶対にしたくない。
先日のナビスコカップの勝利に加えて、主力選手の疲労回復という「アドバンテージ」はあるものの、それに胡座をかく事なく、情報収集や対策など、成すべき事を成した上で、この柏戦を「先日のナビスコカップとは全く別な一戦」と捉えて、リーグ戦の連敗を脱したい。
試合の当日は、また涼しい気候で迎えられる様相。運動量を繰り出すには、申し分ない日となりそうだ。
ところでこの日は、先月の名古屋戦の「氣志團」に続き、あの AURA のメンバーが来場、ミニライブ開催(18:00~)を予定している。彼らの楽曲は個人的にも好きで、我らが勝利の凱歌「AURA」の原曲にもなっている「愛・オーランド」以外にも、聞いていて耳に残る曲が多く、普段からマイカーでも良く聴いている。
「この日」がいずれ来る事を、だいぶ前から期待しては居たが、とうとうこのタイミングで実現する運びとなった。
あぁでも、そのミニライブのためだけに、サポーター自由席のチケットを購入するのか?つい先日、大宮戦でサポ自を購入したばかりだと言うのに。。。
今回は、いつもの自由席南から、ミニライブを愉しむ事としたい。
私たちを「応援」しに来てくれる彼らのためにも、この試合は、是非とも勝利を挙げたいところではあるが、果たして-。
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