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【ナビスコ杯1回戦 Home LEG】仙台2-1柏 リーグ戦の無得点連鎖を吹き飛ばすような、爽快な逆転劇。前半に許した失点がもたらした"重苦しい雰囲気"を打破したのは、豊富な運動量で柏のディフェンス陣を切り裂き続けた、MF太田の活躍だった。豪快な角田のミドルと、試合終了間際の富田の押し込みで、ドローでも御の字だった試合を勝利へ導く。ナビスコカップ、2回戦へ進出!

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仙台、公式戦で4試合連続の無得点中-。

前半の16分に失点を喫したとき、冒頭のこの状況が、否応なしに脳裏で暴れまくっていた。早々に先制点を相手に許した事で、仙台が Away LEG で勝ち取った「アウェイゴール」の意味は消滅し、自力で得点を奪って2回戦進出を決めるしか、選択肢は無くなった。

この日のお互いのメンバー構成は、柏がほぼベストメンバーに対し、仙台は、疲労の色濃い選手を先発回避させた格好。特に、梁はベンチに置き、赤嶺に至っては完全休養。右サイドバックは、顔面負傷の菅井に変わって田村を入れ、ボランチには、富田に変わって高橋義希を起用。フォワードに至っては、中島と太田の2トップという、非常に大胆な先発メンバーの組み替えで臨んだ一戦となった。

これだけメンバーが変わった事に加えて、公式戦で6試合連続で勝利なしという事もあり、選手はまだ堅くなっていたのだろうか。試合全体を通して、どうしてもパスやクロスの精度に難を感じ、「ポセッション的なサッカーでは点は獲れないだろうな」と感じていた。

ただ、この試合では、全体的に、運動量や集中力といった、フィジカルやメンタルに依存する部分は復活しており、そのあたりを理由とした「得点の臭い」が、これまでの試合に較べて、漂っていた事も事実だった。

「得点が獲れそうな気はする。ただ、先に失点してしまっては・・・」

と、思った瞬間。いきなりその失点劇を味わう事になる。前半15分、柏からみて右サイドでボールを持っていたDF4・酒井宏樹から絶妙なキラーパスが、MF10・レアンドロ・ドミンゲスへと渡る。このボールをブロックしようと、チョ・ビョングクがコースを切ろうとするも、レアンドロのほうが一瞬早くラストパスを出し、ビョングクのブロックは成立しなかった。

そしてそのボールは「ニアに速い」性質となって、仙台ゴールへ迫ってくる。そこへ詰めてきたのは、FW9・北嶋秀朗。「ニアに飛び込んでゴールを奪う」得点スタイルを得意とする彼が、その位置に居た時点で、既に、仙台の先制点献上は決まっていたも同然だった。

前半16分。仙台0-1柏。

この時点で、Away LEG で仙台が獲った1点と合わせて、合計 1-1。試合の残り時間を考えると、これ以上の失点は、仙台にとって相当に重いものになる。例え、引き分けでも2回戦に勝ち進めるとはいえ、あの柏に2点も献上すれば、彼らはある意味で「図に乗って」しまい、その先、いったい何点獲られるか判らない状況に陥る可能性も考えられた。

だが、ここからの仙台は、これまでの無得点の試合の時のような「慌てぶり」を決してみせる事なく、辛抱強く、失点を我慢しながら、そして得点の機会を狙い続けた。

前半が終わり、0-1 のビハインド。中盤でのパスワークは相変わらずミスが続き、なかなかボールを廻してフィニッシュに持ち込む事が出来なかったが、その辺のウィークポイントを、この日に2トップ起用された、FW中島と、MF太田の両名が、スピードと運動量で、柏の「好きなように」は、決してさせず。仙台は、柏の「巧すぎるボール捌き」とは別の次元で勝負しようとしていた。

この時点で、後半に向けて思った、得点のパターン。それは「仙台が点を獲れるとしたら、もっと運動量を上げて、速攻で手数を掛けずに攻め切る展開を繰り返せるかどうか」というものだった。一番に理想な形はカウンターなのだが、もしそうでなくとも、速攻を意識すれば、どうにかなるんじゃないか?そう考え、後半の入りを楽しみにしていた。

そして迎えた後半。まさか、いきなりあんなシーンにお目に掛かるとは、夢にも思わなかった。

得点の起点となったのは、仙台からみて右サイドを駆け上がっていた、太田のドリブルだった。彼の持ち味であるスピードで、一気に前線へ駆け上がり、ゴールラインギリギリでニアマイナスのクロスを供給。それを松下がシュートするが、これは惜しくもGK菅野に弾かれてしまう。

しかし、その溢れ球。それを近くでケアする選手が誰もいない、と思った瞬間。

後方から走り込んできた、ボランチの角田。彼がこれを豪快にフィニッシュすると、それこそ「矢のような」軌道でゴールネットに突き刺さり、得点が決まった。

後半2分。仙台1-1柏。

公式戦、5試合ぶりの得点シーン。選手も、サポーターも、一気に沸き上がった。この時、過去4戦で全く得点を獲れなかったチームが、ようやく挙げた、復活の咆哮。この瞬間を、誰しもがみな待っていたはずだった。

そして、選手という人種は非常に「現金」なもので、得点が決まると、途端に動きが良くなるもの。この試合でもそれは他聞に漏れず、唯でさえ連戦に続く連戦の中、ベストメンバーで臨んできた柏の選手たちの足が次第に止まるのを尻目に、久しぶりの先発2トップの組合せとなった中島と太田を始め、仙台の選手らはみな、柏の中盤を、面白いように切り裂き続けた。

試合が進み、ベンチワークタイムへ。関口を梁に代え、中島を中原に代え、そして高橋義希を富田へ代えた指揮官。そして、ここ数試合で先発を続け、この日はベンチスタートとなったボランチ富田が、驚くようなプレーで、仙台を逆転勝ちへと導く事になる。

後半ロスタイム3分と掲示された、その2分後。試合はあと目安で1分もないという状況の中でも、仙台は「チャンスをモノにしたい」という執念を見せ続けた。そして、左サイドの高い位置から、柏ゴール前へクロスを供給した松下。彼の左足から放たれたセンタリングは一旦中原のシュートの打ち損じという憂き目に遭うが、そのボールの溢れ球が、運良く、再び松下のところへ。それを今度は、後方から走り込んでいた富田へ供給すると、これを富田が、その169cmという小柄な身長からは信じられないような高さで飛び上がり、キッチリとヘッドで合わせた。

それは、決して勢いのある弾道では無かった。が、飛んだコースが良く、GK菅野の頭上を綺麗に越して、ゆっくりと、柏のゴールネットの中へ-。

後半48分。仙台2-1柏。

この試合が、ナビスコカップという大会である性質上、1-1でも充分な結果と言える状況において、仙台は決して守りに入り過ぎる事なく、後半は攻守のバランスをとり続け、終盤は完全に足の止まった、柏のディフェンス陣を尻目に、とうとう、逆転弾をお見舞いするところまで這い上がってきた。

それにしても、今年の柏との対戦は、後半ロスタイムに劇的なゴールが産まれている。

6月の1回戦・Away LEG では、中島の決勝弾があり、そして7月9日のリーグ戦では、完全な集中力の欠如から産まれた「お見合い」というミスにより、そこから決勝弾を柏にプレゼント。そしてこの日は、なんと富田の今季初ゴールが、やはり後半ロスタイムのものとなった。

柏と対戦する時は、決して、後半ロスタイムが終わるその瞬間まで、目が離せない。そう言われているかのような、見事な逆転ゴールシーンだった。

ところで、今季のナビスコカップというと、松下の貢献度の高さが浮かび上がってくる。

今季、先発に定着しつつある松下だが、このナビスコカップの柏戦2戦に限ってみると、以下のような貢献ぶりなのだ。

・ナビスコカップ1回戦 Away LEG.の決勝点のシーンでは、中島の得点をアシスト。
・ナビスコカップ1回戦 Home LEG.の同点弾のシーンでは、GK菅野に止められたものの、豪快なシュートで菅野のキャッチを阻止。その溢れ球を角田が得点。つまり実質アシスト。
・更にこの試合では、後半ロスタイムの富田へ、絶妙のセンタリングを供給。当然アシストの記録。

つまり、ナビスコカップ柏戦の全3得点を「アシスト」した事になるのである。

もはや松下は、現在の仙台に欠かせないキーパーソンに成りつつある。これでは、梁と言えども、リーグ戦での先発のポジションが安泰ではなくなるだろう。2列目の先発争いが加熱しそうで、今後も楽しみなファクターである。

だが、何と言ってもこの試合は、「なかなか獲れなかった得点を挙げられた事」に加えて、仙台の攻撃が、如何に「前線の運動量に支えられているか」を証明した一戦でもあった。

仙台の攻撃陣、いや、サイドバックやボランチらのディフェンス陣も含めて、仙台の選手には、運動量の豊富な逸材が多い。仙台が得点をなかなか獲れなかった時期は、この運動量にも多少の陰りが観られた事もあり、選手はどうしても「足元のパス」ばかりを選択するしか無くなっていたのだが、それが原因なのか、最近はそのパスを相手にインターセプトされる事も多く、仙台の攻撃をスポイルする一因ともなっていた。

しかし、この日は、パスやクロスの精度の勝負というよりも、完全に運動量勝負となっていた。中でも、太田がボールを持ってドリブル突破を試みると、あれよあれよと言う間に前線へ。あのスピードは、それこそ関口以上のものかもしれない。

この試合では、その関口もドリブル突破や、相手との1対1のシーンで勝負を仕掛けていたが、大半は相手にブロックされ、ボールを失う機会が多かった。太田の出来が良すぎた分、関口のプレーの色が、多少は褪せて見えてしまった感は否めない。

この他、取り上げたい見所のあるプレーが満載だった一戦だが、一番大事なミッションだった「リーグ戦の再開に向けて、主力選手を休養させる」という点を、ほぼ満点に近い形で達成。実質、20分程度しか稼働していない梁に加えて、赤嶺は完全休養。ボランチの富田も、起用時間が短かった事から、リーグ戦への影響は限定的だろう。

その上、ベンチを暖める事の多かった、控え陣選手の活躍もあり、「ナビスコカップの大会を、ほぼ最大限に活用」する事に成功した。

反面、柏サイドは、リーグ戦から中3日で迎えたこのナビスコカップを、ほぼフルメンバーで戦い、完全に消耗し切った上に、結果をも逃した格好に。端から見れば、「リーグ戦とナビスコカップ」の二兎を追い求めた結果、下手をすれば、両方をも失いかねない、窮地に陥ってしまったのかもしれない。

この試合、そして、僅かまた中3日で訪れる「リーグ戦のホーム・柏戦」では、結果的に、仙台の状況が有利に成っている事は間違いなさそうだ。

だが、油断は禁物。こういう時にこそ、柏はその本領を発揮してくるチームだ。それに、仙台が本当に得点力を取り戻したかどうかは、たった1試合では判らない。この日の2得点が「本物」かどうかは、それこそ「次の柏戦」に掛かっている。

-最後に勝った、6月下旬の甲府戦の4-0大勝を最後に、めっきり勝てなくなっていた仙台。筆者的には、昨年の14試合未勝利のときよりも、内容的に悪くなり始めていると感じていた矢先の快勝劇だっただけに、この試合によって、リーグ戦に再び「仙台らしさ」が戻って来てくれる事を、願って止まない。

やはり、このチームは。信じるに足るだけの魅力を持っている。

今度の柏戦では、どんなプレーを見せてくれるのだろうか。僅か中3日で、また柏をホームに迎える。しかし、大会のカテゴリーが違う以上、全く別の戦いになるはず。

必ずしも、主力を休ませた仙台が有利になるとは限らないし。
必ずしも、主力を消耗した柏が不利になるとも限らない。

だから、サッカーは面白いのだが。




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