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前半終了時点で、大宮2-0仙台。
リーグ戦過去5戦で無得点だった仙台にとって、前半終了時点でのこの2点差ビハインドは、あまりにも重たすぎるものだった。
立ち上がりの仙台は、決して悪い出来ではなかった。前節以上に運動量があり、濡れたピッチのせいでパスは良く走り、また精度もよく、この日は面白いようにパスが繋がった。また、期待度の高い決定機のシーンも数多く見受けられ、得点の臭いがプンプンする前半だった。バーやポストを叩くシーンでは、「そんなの決まってくれても良さそうなものなのに」と、不運を嘆きたくなるような気持ちにもなった。
だが、この試合の前半での大宮も、また出だしは好調であり、仙台の左サイドを何度も突かれ、危ない決定機を作られる場面も多く見られた。大宮もまた、仙台と同様に勝利に餓えており、過去7戦での大宮の勝利は、(仙台がホームで0-1敗戦となった)7月23日の対戦のみだった事から、ピンパォンを急遽獲得し、仙台を相手に、必勝を願った一戦だったに違いない。
お互いに、なかなかリーグ戦で勝ちきれない展開が続く中で、それぞれが出来る準備を行い、この日の対峙となった。そして、お互いの準備の出来の良さを現すかのように、総じて、お互いのプレーのスピードや精度の高い、好ゲームと言える試合となった。
しかし、そんな良い展開の中で産まれた先制点、そして追加点は、残念ながら大宮側に産まれる事となってしまう。
前半14分。少々不安げだった仙台の左サイドを、大宮のイ・チョンスに突破され、そこから逆サイドへ張っていたラファエルへ。このボールを難なく押し込まれて先制を許す。
前半40分。仙台が、追い付こうと前掛かりになっていたところをカウンターで突かれ、またも左サイドを使われる。仙台の戻りが間に合わず、今度はラファエルからの逆サイドへの展開。その先には、この日が大宮の選手として初先発の、ホドリゴ・ピンパォンが居た。これを、彼にもアッサリと押し込まれて、2-0。
仙台は、豊富な運動量や、良い攻撃の形を作り、得点の臭いをさせながらも、大宮の外国勢3人だけで、いとも簡単に2失点してしまった。
もともと、イ・チョンスやラファエルだけでも充分に驚異な大宮の攻撃陣だったが、そこへピンパォンが加入し、更に大宮の攻撃陣の迫力、そして、前線での落ち着きが増していた。もちろん、仙台のディフェンス陣も警戒はしていただろうが、前半だけを見れば、仙台は、「大宮の思うがまま」にやられた格好となってしまった。
もちろん、このままでは終われない仙台。ハーフタイムには、何らかの修正が施されるものと期待し、気持ち的にも決して諦める事なく、後半のキックオフを待った。
そして、迎えた後半。予想、いや「期待」は的中する。
後半の頭から、仙台の選手はみな、ハーフタイムで全員がギアを一段も二段も挙げたかのように、足が止まるどころか、その運動量は更に上がり、それに見合うように、集中力も増していっていた様子だった。2点差のビハインドを背負って戦う、戦士の顔付きだったようにも思われた。
そして、その気持ちは、ついに"結果"をもたらす。
後半10分。何故か大宮のディフェンス陣は、仙台の攻撃陣にスペースを与えてくれ、仙台は、前半以上に、面白いようにパスを繋いで攻め込めるようになっていたところ、アタッキングサード内、左サイドでボールを持った梁が、狙い澄ましたように大宮ゴール前へクロスを供給。そこへ、"画面外"から現れた赤嶺が、これにピンポイントで合わせ、ダイレクトで大宮ゴールへ流し込んだ。
大宮2-1仙台。
実に、一ヶ月ぶりの、そしてリーグ戦6試合ぶりの得点。昨年、"この地"で、仙台移籍後初得点を挙げた赤嶺は、今度は、仙台の窮地を救う、起死回生の追撃弾を叩き込んだ。この得点シーンの流れも見事なもので、梁から赤嶺へのパスのスピードやその精度の高さ、そして、そのボールを落ち着いて枠内へ叩き込める、赤嶺の嗅覚。
仙台らしいゴールを垣間見た、得点シーンだった。
そして、この得点で完全に勢いを取り戻した仙台は、失点を受けてダメージを感じ始めた大宮を、更なる窮地へ追い込む。
後半32分。右CKを得た仙台は、松下がキッカーを担当。このボールが逆サイドに居たチョ・ビョングクの頭を捉え、大宮ゴールの左ポストを直撃。「あぁ、またポストに嫌われ・・・」と思った瞬間。ゴール前に詰めた菅井が、体勢のバランスを崩しながらも、目の前に溢れてきたボールを「既に痙っていた足で」気持ちで押し込んだ。
大宮2-2仙台。
サッカーを語る上で、何度も取り上げられる「2点差の怖さ」。この日は、それをまざまざと体感する事となった。
この時点で、状況を完全にイーブンに戻した仙台。いや、2点差を追い付いたのだから、仙台のほうに、勢いの点で分があっただろうか。その後も、何度も大宮ゴールを攻め立て、選手交代も積極的に行い、最後まで逆転ゴールを狙って攻め続けた。
最終的には、この後の追加点は産まれず、2-2のドロー終劇となり、これで8試合未勝利となった。だが、柏2連戦のあたりからは明らかに復調気配で推移している事から、再び勝利を挙げる日は、決して遠くないとも感じられた。
前半は大宮に、後半は仙台に、それぞれ、「運」や「流れ」といった要素が傾き、最後は、2点差を引っ繰り返しての大逆転劇となってもおかしくないような内容だった。流れを持って行かれた前半にしても、仙台の出来が決して悪かった訳ではないと感じられる事から、この調子を維持して、次節以降の鹿島戦や名古屋戦を迎えられる事は、決して悪くない材料である。
折しも、仙台七夕真っ盛りの8月7日の夜の試合だった訳だが、このタイミングで迎えたこの一戦を、勝利こそ逃しながらも、決して諦めない姿勢が産んだ、2点の追撃展開。少なくとも、仙台がこれまで積み重ねて来ていたものが、決して間違いではない事を再確認できた事に加えて、1試合2得点という結果も産まれた事により、勝ち点3に相当するだけの自信を取り戻したと思う。
そして、自信を取り戻したという点では、私たち仙台サポーターも、同じ気持ちではないだろうか。
応援すれども、応援すれども、一ヶ月間、産まれなかった得点。それがこの試合では、ようやくその労苦に報いる、2得点という形で花を付けた。
次は、是非とも「勝ち点3」という実を収穫する番ではないだろうか。
ここまでくれば、相手が鹿島だろうと、名古屋だろうと関係ない。仙台は、仙台らしさを取り戻し、自分たちのサッカーを相手にぶつける気概を持って、一歩ずつ前へ歩みを進めるのみである。
シーズン終盤にて、あとからこの一戦を振り返ったとき、「そういえば、あのアウェイ大宮戦から、流れを引き寄せていたよね」と言えるような、そんな試合だったと思えるような。
その意味においては、ここで得た2得点、そして勝ち点1を、絶対に無駄にしないためにも、次節以降でまた、アッサリと敗戦を喫するような展開だけは見たくないものだ。
私たちは、毎週のベガルタの試合結果を受けて、日々の仕事や日常生活に勤しんでいる。ここ一ヶ月の間、勝利どころか得点さえも産まれていなかった事により、モチベーションを維持するのもさぞ大変だったかとお察しする。今節、勝利こそ挙げられなかったものの、見事なまでの得点への執念を見せてくれたチームを誇りに思い、また、日々の生活を頑張ろうという気持ちにも成れたのではないだろうか。
盛夏の最中、突然に襲ってくる雷雨から身を守るべく、常に傘の持ち歩きや、天気予報への気配りなどが必要な季節だが、現状の仙台は、まさに「真夏の雷雨に見舞われ、全身ズブ濡れの状態」に等しい。しかし、こうも言われる。
「止まない雨は無い」
きっと近い日に、激しい雨を降らした雲は消え去り、綺麗な青空や星空を見せてくれるに違いない。そしてその星空には、織り姫と彦星が出会う場所、天の川がある。
信じて応援していれば、必ずや、私たちの頭上に、星が流れるはずだ。その時、大急ぎで「3」という数字を、脳裏に刻もう。
私たちが求める「仙台の夏」は、今、ここから始まろうとしているのか-。
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