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第27節vs横浜FM戦プレビュー 共に5戦無敗の好調チーム同士の対戦は、同時に、リーグ失点数でも1位・2位を争う堅守決戦。堅い展開が予想されるも、スコアレス終劇は考えにくい。仙台は、絶好調・赤嶺の得点に期待が掛かる。仙台らしい戦い方を貫き、昨年に続いての日産スタジアム連勝を狙いたい。

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 あの9戦未勝利の脱出口となった、アウェイ名古屋戦。あの雨中の戦いでの 1-0 勝利から、仙台は、リーグ戦5戦無敗の4勝1分と絶好調である。

 
今節は、仙台と同じく、現在5戦無敗の3勝2分と、こちらも好調を維持している、横浜FMとの対戦となる。
 

 そして、みなさんお気付きの通り、仙台と横浜FMは、現在、J1リーグでも屈指の失点の少なさを誇った2チームであり、仙台が22の1位、横浜FMが23の2位となっている。3位の名古屋が28失点である事から、この両雄の失点の少なさが、如何に抜きん出たものであるかがよく判る。

 
そして、お互いの直近5戦の得点・失点状況をみても、やはり失点は少ない。仙台が、ここ5戦で「8得点/3失点」。横浜FMが、ここ5戦で「5得点/2失点」だ。得点と失点のバランスも良く、1点を争う好ゲームが期待される。
 
ただ、お互いのメンバー構成を予想すると、必ずしもベストメンバー同士とはならなさそうな雰囲気。仙台は、2列目の関口や松下が負傷を抱えており、どちらが先発起用されるのか、或いは出場そのものを回避するのか、直前になってみないと判らない状況。また、横浜FMはもっと深刻で、あの中村俊輔が「仙台戦は微妙」という情報に加えて、ボランチの小椋祥平が、前節のG大阪戦で右肩を負傷し離脱。センターバックの栗原勇蔵も、前節のG大阪戦に復帰したばかりの病み上がりという有様。
 
どうやらこの対戦は、「横浜FMのディフェンス陣 vs 仙台のオフェンス陣の穴埋め合戦」の様相もあるようだ。
 
もちろん、横浜FM陣の負傷者の心配などしていない。「こちら」の穴は、徹底的に埋める努力をした上で、「あちら」の穴を徹底的に突き崩し、勝機を引き寄せる先制点を掴み取りたい。
 
仙台側として期待が掛かるのは、やはりこの男。フォワード・赤嶺真吾である。現在、リーグ戦4戦連発中。そして赤嶺は、今年のホームでの対戦、そして、昨年の日産スタジアムでの対戦でも、得点を挙げている事から、磐田との対戦同様、横浜FMに対しても、キラーぶりを発揮し始めている。
 
特徴的なのは、この横浜FMとの過去2戦での、赤嶺の得点の時間帯。なんと、今年のホーム対戦では、前半20分に。そして昨年のアウェイ対戦では、前半14分という、非常に早い時間帯に、それぞれ得点を挙げている。後半に得点の多い赤嶺としては、少し気掛かりなデータだ。もしかしたら、今節の対戦でも、前半の早い時間帯に、彼の得点が観られる可能性は充分にある。
 
そのためには、お互いが失点の少ないチームと言えども、いったん、攻撃の手を入れ始めたら、中途半端に止めず、フィニッシュまできちんとやり切る意識が必要。お互いが堅守同士という事で、ボールを失った際の戻りの速さは、おそらく、お互いが同じくらいのレベルの高さを見せるだろうから、得点を奪うためには、いったん攻撃に出たら、相手の戻る速さの上を行く攻撃のスピードを見せなければ、おそらく得点のチャンスは無い。
 
となると、仙台としては、如何に、相手の攻撃をブロックして産まれた溢れ球から、素早くカウンターに持ち込めるか、という事になってくるだろうか。
 
堅守同士の対戦という事で、お互い、失点に対するケアのレベルは、相当に高いものとなるはず。そこを突き崩しての得点となると、おそらく、遅攻では難しい。得点シーンがあるとすれば、よほど素晴らしいミドルシュートか、さもなくば、速攻からの手数を掛けないシュートから産まれるものになると予想する。
 
もし、前半のうちに、どちらかに得点が産まれた場合は、基本的には、その得点を死守する戦いになると思われる。逆に、前半をスコアレスで折り返した場合は、後半に試合が大きく動く可能性も考えられる。
 
ここで、仙台として注意したいのは、2列目の主力要員である、関口と松下が万全でないという事。チーム屈指のチャンスメーカーが2人も一度に不安を抱える状況は、記憶では、今季初めてではないだろうか。大黒柱・梁が健在なのが、せめてもの救いである。
 
この試合、ポイントとなるのは、この2列目の位置に、誰を先発で持ってくるかという点。もちろん、関口や松下が万全の状態で出られれば、それに越した事はない。しかしここで、敢えて、開き直って、太田やディエゴを2列目で起用するというのも、面白いかもしれない。
 
更には、途中投入でも構わないので、前節にJ1デビューを果たした、ルーキー・武藤を投入できれば、思いの外に、仙台ペースで試合終盤を凌げる可能性もある。
 
気を付けたいのは、今季の横浜FMの試合終盤パターンである、キム・クナンの投入による打開。DF登録ながら、その体格の良さを活かし、試合終盤に、敢えて前線に投入される機会が多く、実際に得点に絡むシーンも少なくないのだ。
 
リードを許している状況で、追い付きたいとき。または、リードしている状況で、失点を防いで逃げ切りたいとき。どのようなシチュエーションにおいても、木村和司監督は、試合の終盤において、ほとんどの場合、キム・クナンを投入してくる。
 
そして、彼が投入される事が判っていても、対戦相手は、一様に、試合終盤の凌ぎにおいて、苦労させられている。193cm の高身長から繰り出される屈強さは、もはや、横浜FMの今季の「最後の壁」とも言える。
 
横浜FMが、ゲームをクローズするために、彼を投入した時点で、対戦相手の勝利はほぼ失われる。あるチームは、追い付かれて勝ち点2を取りこぼし、またあるチームは、決勝弾を許して勝ち点を全て失う。まさに、今季の横浜FMにおいては、最終兵器レベルの活躍なのだ。
 
もちろん、脅威なのは彼だけではない。大黒や兵藤、渡邉千真ら攻撃陣の得点感覚は素晴らしく、ほんの少しでも隙を与えれば、あっと言う間に得点を許してしまう。彼らを止めるのは、必ずしも楽な仕事ではない。
 
そうなると、仙台としての勝利の道筋は、やはり、ロースコアードな展開に持ち込み、試合終盤に1点を奪って、これを最後まで守りきるパターンか。
 
この試合。おそらく、2点も3点も入るような展開にはならない。もし、片方に2点でも入ろうものなら、失点を喫したほうのチームは、攻守のバランスを崩し、更なる失点を喫する可能性さえも考えられる。
 
しかし、最後の最後まで、バランスを崩したゲームにしてはならないと思うし、結果として、最後まで、お互いにバランスを崩したゲームにはならないと予想している。
 
相手は、現在3位と絶好調だが、直近5試合の得点を観れば、5得点と、決して高い得点力の状況にある訳ではない。仙台の直近5試合が8得点である事を考えると、必ずしも、横浜FM側が有利という訳ではないはず。
 
必ず、突くべき「隙」はある。
 
試合中に、如何に早く「それ」を見付けて、そこから先制点を奪い取れるか。
 
ボクシングで言うところの、ジャブの応酬のような試合になりそうな一戦は、今季、久しぶりの日中帯の時間、15:00 のキックオフを予定している。心配された台風15号も、前日の金曜日までには、完全に抜けきっている事だろう。天候の心配なく、試合を楽しめそうだ。
 
赤嶺の5戦連発、成るか。
仙台の今季初4連勝、成るか。
 
いや、そういった記録よりも大事なのは、目の前の敵がどんなに強かろうと、「気持ち」と「出足」で、絶対に負けない事。
 
自信を持って、強敵に挑もう。決して、勝てない相手ではない-。
 



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