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誰も、こんな展開など想像し得なかったに違いない-。
リーグ屈指の失点の少なさを誇る2チームの対戦カード。誰がどう考えても、スコアレスのままで試合が進み、勝負どころでの1点が勝敗を左右する。それが、今節に予想された、試合内容の展開だった。
しかし、前半3分。横浜FMのDF小林祐三に中央を突破されて、あっさりと先制点を許すと、一気に試合が動いた。
通常なら、ビハインドを背負ったチームは、なんとか追い付こうと、攻撃のシーンで、多少のリスクを負ってでも攻めに出るもの。しかし、前半3分という、早い時間帯の失点が、「まだ87分ある」という、ある程度の落ち着きを仙台にもたらしていた。
「焦る事は、全くない。」それが、選手・コーチ陣・そしてサポーターの共通認識だった事だろう。
そして、先制点を許しても決して落ち着きを失わなかった仙台に、意外な形で同点弾がもたらされる。前半9分、ピッチ中央。それもアタッキングサードの外でボールを持った、ボランチ・角田が、狙い澄まして、豪快な、低い弾道のミドルを放つと、なんとこれが、横浜FMのゴール左隅に突き刺さった。
前半10分。横浜FM1-1仙台。
これで、一気に勢いの付いた仙台。この2分後には、左サイドでボールを持った梁が、中央でDF中沢と競り合っていた柳沢の頭へ、絶妙のセンタリングを供給。これを柳沢は、見事なヘッドコントロールで、横浜FMのゴール右隅へ、芸術的な軌道を描いて流し込んだ。
前半12分。横浜FM1-2仙台。
このゴールシーンを見た者なら、恐らく、過去の「あるゴールシーン」を、すぐに思い出した事だろう。
そのゴールシーンとは、2009年暮れの天皇杯準々決勝・川崎フロンターレ戦(2009/12/12@ユアスタ)。1-1で迎えた、延長後半3分。関口の挙げたセンタリングに、平瀬が絶妙な、 半後ろ向きのヘッドでループシュートを放ち、これが見事にゴールネットを揺らしたシーンの事である。
まるで、あの時の平瀬のゴールシーンを、そのまま再生プレイで見ているかのような、柳沢の得点シーンであった。
キックオフ後、僅か12分間で、既に3つものゴールシーンが産まれるという、予想だにしなかった展開。この先の展開も、全く読めない試合の激しさとなった。
前半3分に、あっと言う間に失点を許した仙台側としても、仙台らしくないと言えばそうだし、対する横浜FM側としても、まさか、あんなにアッサリと逆転を許すような展開になるなんて、考えも及ばなかった事だろう。
こうなってくると、筆者も含め「失点の少ないチーム同士の対戦にありがちな、ロースコアードなゲーム展開の予想」は、もはや何の意味もない事に気が付く。場合によっては、乱打戦にすら成り得る展開。いったい、残りの78分間で、どんな展開が私たちを待っているのか。いつも以上に、試合に喰い入って観る事になる。
しかし、ここから先の展開は、むしろ「いつもの仙台」そのものだった。先制点こそ許したものの、その後に逆転に成功した事で、チームが落ち着きを失う理由が無くなり、じっくりと試合を制御する余裕が産まれたのだった。
逆に、これで焦りの色を出し始めたのは、横浜FMのほう。角田に同点弾を許す直前には、布陣に手を入れていた(どうやら、4バックから3バックにシフトしていたらしい)事もあり、横浜FMの戦術に、ある種の"迷い"が生じている様子も感じた。
その原因となったものは、今節に負傷で欠場していた、ボランチ・小椋の不在の影響。彼が一人居なかっただけで、バイタルエリアのケアが、こんなに疎かになるとは、仙台としても、予想外だったに違いない。
同点弾を放った角田は、素晴らしい結果をもたらしたが、もし、横浜FM側に、小椋が今節も健在で出場していたならば、果たして、角田のミドルが決まっていたかどうか(いやそれ以前に、角田がミドルを狙う前に、小椋のチェックを受けていたに違いない)。
今節の横浜FMの"隙"は、小椋の欠場にあったのかもしれない。
そして、そこをキッチリと突いての、見事な同点弾。そこから僅か2分後に、驚きの逆転弾。
前半は、このまま仙台ペースで試合が運ばれる事になったのは、言うまでもない。
迎えた後半。
エンドチェンジがあっても、流れは仙台に傾いたまま。そんな展開を象徴するかのような、驚くべき追加点のシーンが、私たちの目の前で、突然に演じられる。
後半9分。林の放ったパントキック。相手DFが一度は触るも、その跳ね返りの先で、うまく梁が反応し、ヘッドで折り返して、赤嶺に繋ぐ。赤嶺はこれを上手に胸でトラップしてシュートへ持ち込み、あっと言う間に横浜FMのネット右隅へ突き刺した。
後半10分。横浜FM1-3仙台。
振り返ってみれば、3得点のシーンとも全て、速攻もしくは速攻に準じる、攻撃展開の速さの中から産まれた得点だった。やはり、堅守性の高いチーム同士の対戦において、得点が産まれるとすれば、こういった速攻、もしくはカウンターなどの、手数を掛けない攻撃からのものが多いが、今節は、まさしくそういった展開となった。前半の3分に許した先制点も、横浜FMが仕掛けてきた速攻の中から喫したものだっただけに、お互いに「遅攻では得点は難しい」という意識はあったのだろう。
失点シーンも含めて、全4得点が産まれたこの試合は、どのシーンを観ても、見応えがあり、スピーディーで、かつ豪快なものばかりだった。
ところで、こう言っては語弊があるかもしれないのだが。
「なんだか、仙台らしくない、"如何にもJ1の強豪チーム"らしい試合展開だった-。」
先制点を許しながらも、それに動じる事なく、アッサリと逆転し、更には追加点すらも奪っての逆転快勝劇。なんか、こそばゆい。とってもベガルタらしくないぞ。そう思った人。正直に、挙手をどうぞ。
だが、決して偶然に産まれた得点ではない事も、このチームを必死に応援し、鼓舞して来ている私たちサポーターなら、良く判っている。
角田のミドルにしたって、今季、なんども彼は、ミドルレンジからのシュートを試みてきた。それが今節に実っただけの事であるし、柳沢の仙台初ゴールにしたって、梁のセンタリングの精度の高さを考えれば、決して有り得ない得点ではない。赤嶺に至っては、もはや説明の必要も無し。彼の得点の嗅覚なら、今節も得点に絡む事は、誰しもが信じて疑わなかったはず。
兎にも角にも、優勝争いの渦中に居る、あの横浜FMを相手に、私たちは完勝とも言える勝ち点3を挙げた。とっても仙台らしくない、J1の強豪チームっぽい、普通の強さを見せつけての勝利劇だった。が、だんだんと、こういう試合で勝つ事に対しても、私たちサポーターも慣れて行きたいものだ。今はまだ、どこか背中がこそばゆいのだが。
今節の勝利を以て、なんと勝ち点が44に伸び、5位堅持。4位の横浜FMとの直接対決を制した事により、勝ち点差は7に縮まった。残り7試合で勝ち点差が7という事は、まだ、逆転の可能性が充分に残されているという事でもある。(逆に、もし負けていたら、勝ち点差は13に広がり、今季の順位逆転は、ほぼ皆無だったに違いない)
残り、7試合。無傷の4連勝のこの勢いは、もうしばらく止まりそうにもない。ナビスコカップを挟み、次節はホーム・C大阪戦。今節は、山形を相手に6-0と大勝を収めたC大阪だが、彼らの爆発的な得点力を抑えられるのは、きっと、仙台だけだろう。
C大阪も喰って、5位の足固めを-。
敢えて、4位以上を狙いたいとは、言わない。
この立ち位置に置いても、私たちは、チャレンジャーである事を、決して忘れてはならない。
連勝の最中においてなお、目の前の一戦に集中し、一つずつ勝利を勝ち取っていくだけである。
どこまで、続く。仙台の快進撃-。
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