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10月22日の試合当日、仙台地方の天候は、雨一色の予報-。
あの4月23日の対戦から、ちょうど半年。シーズンも佳境に入り、残すところあと5試合となったこのタイミングで、川崎フロンターレをユアスタに迎えての一戦となる。
そして、あの日と同じ、雨模様の中での対戦となりそうである。
振り返れば、川崎フロンターレとの対戦では、J2時代の過去も含めて、記憶や印象に残る試合が多かった。
記憶に遠いところでは、2004年の夏場でのホーム対戦。0vs2で川崎に2点を先行された試合で、佐藤寿人が後半ロスタイムに2得点を挙げての、劇的ドローとなった試合。あの試合では、勝った訳でもないのに、試合後のゴールシーン映像をスーパービジョンで流してくれたくらい、奇跡的な結末だった。
また、この年の10月のアウェイ対戦(10月23日)は、2vs1で敗戦を喫した事よりも、途中出場した関口の "将来への可能性" が光った試合であったとともに、この日の夕方には、あの新潟県中越地震が発生した事も記憶に強く残っている。
結局この年は、川崎が爆発的な勝ち点を積み重ねて、華々しくJ1へ昇格していったため、翌年以降の対戦の機会は、私たちが天皇杯を勝ち進んだ2009年まで「お預け」となった。
その、2009年の天皇杯。場所は、またもホーム(天皇杯は基本的にホーム・アウェイの概念がないので、ホームという呼称は便宜上のものです)・ユアスタだった。
1vs1で迎えた延長戦の後半に、平瀬がトリッキーな背面ヘッドで決勝点を挙げ、川崎を下して準決勝へ駒を進めた試合となった。この試合の結果を受け、当時の川崎の監督だった関塚氏が、辞任を表明した。現在は、U-22日本代表監督として活躍されている。
2010年のJ1での対戦では、第16節(8月1日)の夏場の対戦にて、関口とフェルナンジーニョが前半に2得点を挙げ、等々力初勝利を意識したものの、その後、立て続けに3失点してしまい、大逆転敗戦を喫した。この試合は、筆者も現地参戦しており、非常に悔しい想いをした事を覚えている。そしてこの年の最終節(12月4日)では、後半ロスタイムに渡辺広大が劇的な同点ヘッド弾を叩き込み、自力での残留を決めた試合となった。
そして、今年の4月23日の「震災後の再開戦」へと、記録は繋がってくる。
過去、様々な歴史を刻んできた、川崎フロンターレとの一戦。天候も、4月と同様に雨模様の観測となっており、ピッチ状態が試合に影響する可能性を排除できない一戦でもあるが、それ以上に、この一戦に臨む、選手とサポーターの気持ちは、川崎に対する感謝の念でいっぱいになっている事だろう。
それは決して、4月の対戦で勝ち点3を獲れたからなどと言う、邪推な話ではない。
J1が再開された、4月23日。この試合に向けては、J在籍の各チームが、復興支援マッチとして、独自にプレシーズンマッチを計画し、そしてその売り上げの全額、或いは大部分を、義援金や支援金の形で寄付してくれた。
そしてその意志は、川崎フロンターレとしても独自に持っていた。それが「Mind-1 ニッポンプロジェクト」である。
川崎は、一過性の支援ではなく、「被災地復興の目処が立つまで継続的に」と、はっきりと表明している。ここまではっきりと、クラブとしての支援の姿勢を打ち出したのは、Jのクラブとしては、川崎フロンターレ以外に名を知らないくらいだ。
そして、そんな支援の姿勢を打ち出したクラブの、震災後の初戦の相手が、なんと、県単位では最大級の被害を被った宮城県をホームタウンとする、私たち仙台だったのだ。
その後の両者の想いは、4月23日の「震災後の再開初戦」の内容に全て詰まっている。この試合について、もはや多くを語る必要は無いだろう。
あの試合から、早や半年が経った。
沿岸部の被災地は、がれきの撤去作業がだいぶん進み、鉄道の一部の区間を除き、道路などもだいぶ復旧してきた。しかし、時間が経てば「モノは直る」が、失われた人は、二度と戻って来ない。その事を、私たちは、半年経った今でも、決して忘れてはいないし、今後も絶対に忘れられない。
その事を、今一度、確認する意味でも。
4月23日のあの一戦を振り返る事の出来る、今節の一戦は、他の試合よりも、一層に、私たちの記憶に残る一戦となるに違いない。
私たち、東北の住民に向けて、出来る限りの最大級の支援の姿勢を示してくれた、川崎フロンターレというクラブと、その所属の選手と、そのサポーターと、その関係者のみなさんに対して。私たちは、約束していたはずだ。「必ず、復興を遂げてみせる」と。
そのために必要な事は、この一戦で、現在の持てる力を全て発揮し、全力で、川崎との勝負に挑み、震災の影響で今だに心を痛めている方々に対し、各種メディアを通して、ベガルタが継続して頑張っている姿を届ける事にある。
良い、試合にしよう。この試合だけは、勝ち負けは問題じゃない。
「勝ちたい」という気持ちを真摯にぶつけ合う、プロスポーツの素晴らしさを、如何に地域に伝えるか。そして、仙台は元気になりつつあるぞという事を、川崎の人たちにも体感していって貰いたい。
その結果論として、もし連勝を伸ばす事ができれば、それに越した事はないではないか。
好ゲームとなる事に、大いに期待したい-。
今節は、ただただ、その一点を願うのみ、である。
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