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圧倒的な強さだった-。
試合前、発表された先発陣の名前をみて、些かの不安を感じなかった訳では無かった。代表召集の関係で、梁も、チョ・ビョングクも不在。ボランチは、今季2枚看板となった、富田に角田の組合せではなく、高橋義希に松下年宏の組合せ。サイドバックは菅井に代えて田村と、普段のベストメンバーから5人も顔触れが変わった先発陣だった。
もちろん、個々の選手の能力には、相応の信頼は充分に持っている。心配だったのは、連携の面だった。ここ一ヶ月は試合の間隔も空いており、先発メンバーはまだしも、控え陣の試合勘や連携面といった部分で噛み合わない部分が顔を出せば、ほぼベストメンバーで臨んでくるであろう福岡の餌食になってしまわないか。そんな心配を、心のどこかに引っ掛けたまま、スタジアムへと足を運んだ。
そして、終わってみれば、そんな心配は、杞憂に過ぎなかった事を実感した。
前半キックオフの直後から、布陣は全体的にコンパクトにまとまり、パス連携も、ダイレクトから、1タッチ・2タッチ程度で、小気味よくボールが繋がる。そしてそこには、今季、ルーキーながらとうとう初先発を飾った、武藤雄樹選手の姿もあった。
この試合を現地で観たサポーターなら、だれしもが、武藤の活躍、そして得点に、大いに期待した事だろう。そして、結論から言えば、この試合で初披露となった「武藤のサイドハーフ起用」は、文句の付けようのない大成功と言える。
あの持ち前のスピードを武器にすれば、1列目でも、2列目でも、ほとんどその影響は無かった。ボールを持つと、果敢にドリブルで攻め込み、相手ディフェンスとの対峙では、小気味よいステップで突破を謀る。パスを選択したときは、もうそのパスを出した瞬間に、狙いを付けたスペースへ走り込み、次のチャンスメークの準備に入る。更には、意外にミスも少なく、ルーキーながら、非常に安定したプレーを、長い時間に渡って披露してくれた。
もちろん、期待度高いプレーを披露してくれたのは、武藤だけではなかった。それこそ、ピッチ上の全員が、攻守に渡って躍動。いつ先制点が決まってもおかしくない展開の中、やはりその期待通り、先制点は、仙台に対して産まれる事となった。
前半17分。獲得した右コーナーキックを松下が蹴り込むと、相手ディフェンスのクリアし損ねたボールが、なんと福岡ゴール正面に詰めていた田村のところへ。田村、これを落ち着いて胸トラップし、なんと、そのままノーバウンドで一気にシュート。ボールは豪快に、福岡のネットを揺らした。
前半18分。仙台1-0福岡。
実はこの得点は、公式戦において実に一ヶ月ぶりのものとなった。前回のゴールは、10月15日。アウェイの地で、やはり福岡から奪ったものだったからである。
これで気を良くした選手たちは、更に攻勢を強め、複数得点で相手を畳み掛けようと、決して手を抜かずに2点目を果敢に狙いに行った。そして、その思惑は、見事に的中する。
前半25分、右サイドでボールを持っていた田村が、中央寄りに居た武藤へボールを預けると、そこから一気に前線へ駆け上がる。そのオーバーラップに合わせるように、武藤からの返答パスが、絶妙なタイミングで田村へ。田村、福岡ゴール正面にぽっかりと空いたスペースへ、誰の邪魔を受けるでもなく、相手GKとの1対1を落ち着いて決め、追加点が決まった。
前半26分。仙台2-0福岡。
なんとこの試合、武藤と田村の2人で、ここまで、2ゴール・1アシストという大活躍ぶり。この勢いのまま、前半はその雰囲気を壊す事なく終了した。
後半に入ると、左サイドバックの朴柱成を下げて、右サイドに菅井を投入し、田村を左サイドへ廻す布陣となった。
この試合、特に前半から、太田と武藤がキレキレであり、ボールを持っては何度も福岡ディフェンスを引き剥がして、福岡ゴールを急襲していた。そのスピードと勢いは衰えを知らず、後半の立ち上がりからも、彼らは持ち味を存分に発揮。3点目が決まるのも時間の問題か、と思われた。
後半11分に、早々に赤嶺を下げて、ディエゴを投入。すると、ディエゴのミスからピンチを招くような場面が見受けられるようになり、ディフェンス面で、少々動揺が観られるようになった。少し嫌な雰囲気はあったが、攻撃面の勢いが衰えてきた訳ではないので、そのまま期待度を下げずに観戦。
ところが、福岡に一瞬の隙を突かれて、とうとう失点を許してしまう。
後半22分。福岡の左サイド後方からのロングボールに対し、渡辺広大が、福岡の成岡に競り負け、そのまま左サイドへ侵入を許してしまった。成岡はラインギリギリの位置からニアにマイナス性のボールを入れ、そこへ詰めていた岡本に、ワンタッチで決められてしまった。
後半23分。仙台2-1福岡。
ところで、この試合には「伏線」があった。それは、主審の不安定なジャッジという要素。この日の井上主審は、福岡のファウルやハンドを尽く流し、会場からは怒号とブーイングも巻き起こった。最も酷かったのは、赤嶺が福岡PA内で倒されたのに、PKの判定ではなく、赤嶺のシミュレーションの判定を獲った事。そして、ピッチ中央付近で、敵味方の選手2人が交錯して踞っている事に気が付いて居ながら、試合を流してプレーを続行させた事だ。また、同じようなプレーがあっても、判定は安定せず、会場の不満を一斉に浴びていたのだった。
そんな中でも、試合はどんどんと時間を消化していく。2-1で迎えた後半35分。太田に代えて、中島が投入される。
すると、先に投入されていたディエゴが、福岡のディフェンスの選手の持つボールへアタックし、相手のミスを誘い、マイボールとする事に成功した。そしてこのボールを、直前に投入された中島裕希が、この試合でのファーストタッチとして貰い受け、これをそのままシュート。これがなんと、福岡ゴール右隅へ豪快に決まり、貴重な3点目をゲット。
残り時間を考えれば、勝利はほぼ手中に収めた展開。だが、残った時間も、決して守りに入るような事はせず、最後の最後まで、追加点を狙いに行き続けた。
掲示された、後半ロスタイムの3分も、瞬く間に経過。そして、井上主審の吹く笛が、仙台の4回戦進出を告げるものとなった。
この試合、終わってみれば、武藤と田村だけで2得点1アシスト。そして後半の3点目は、中島の得点とディエゴのアシストという、控え陣の奮起と活躍で、幕を閉じたのだった。
この内容と結果に驚かされたのは、決して筆者だけではないはずだ。例え相手が、リーグ戦で最下位、そして既に、来季のJ2降格を決めている福岡が相手であったとしても、仙台は、ベストメンバーから少しでも欠落者が居ると、どこか綻びのようなものが出て、苦しい試合を強いられる事を繰り返したきたチームだったのだが、この一戦を見る限り、そんな情けない姿は、陰も形も感じられなかった。
舞台こそ、天皇杯というカップ戦ではあったものの、これがもしリーグ戦の舞台だったとしても、同じような試合内容、そして、同じような結果を導き出せたのではないだろうか。
そして、なんと言っても、武藤の活躍が嬉しくて仕方ない。加入初年度からこんなに活躍し、期待を裏切らない選手の台頭が、こんなにも喜ばしいものだったとは思わなかった。他のチームで、ルーキーが活躍する姿をみて、非常に羨ましく思っていたが、仙台には今季、武藤雄樹というニュー・カマーが存在する。この事は、他のチームのサポーターにも、胸を張って語っても良いくらいだ。
良いこと事ずくめの天皇杯3回戦は、このようにして閉幕。リーグ戦を2試合連続でスコアレスドローとし、直後に控える浦和戦へ向けて、カテゴリーの違う大会とはいえ、どうしても勝っておきたかった一戦は、予想以上の内容と結果を携えて、気持ちよくリーグ戦へと臨む事が出来る、貴重な快勝劇となった。
ここまで出来るのなら、ベストメンバーが戻る浦和戦では、いったいどんな内容で推移するのだろうか。。。もはやここまで来ると、生唾を飲み込むような気持ちである。
諸事情により、浦和戦は参戦出来ないものの、12月に楽しみが延びた天皇杯では、何とか参戦したいと考えている。
さぁ、まずは、中2日ですぐに、リーグ戦の浦和戦。選手もサポーターも、気持ちを切り替えて臨もう。
相手は、J1残留の当落線上を彷徨い続けている浦和だが、決してチーム力が劣っている訳ではない。その辺を勘違いすると痛い目に遭う。しっかり相手をリスペクトして、その上で、今季のこの自分たちのサッカーを、存分に引き出して試合に臨もう。
先日の日本代表・日朝戦という訳でもないが、スタジアムをほぼ一周、アウェイのサポーターが取り囲む雰囲気は、どこか、埼玉スタジアム2○○2と通じるものを感じた。大事なのは、雰囲気に飲み込まれて、決して自分たちのサッカーを見失わない事。
大丈夫、やれば、出来る。
残り、リーグ戦3戦。ここを何としてでも無敗で4位フィニッシュし、そして、12月の天皇杯4回戦へと臨もうではないか。
ところで、天皇杯3回戦では、あのガンバ大坂やジュビロ磐田が、なんとJ2勢に苦杯を舐めさせられ、ベスト16に残れなかった。天皇杯の舞台での「ジュビロとの今季リベンジマッチ」や、「2009年のガンバとの国立での準決勝の再戦」を、密かに楽しみにしていた者としては、少々物足りない気持ちでもある。
であれば、その分、やはり「元旦・決勝の舞台」を目指さなければならないのではないだろうか。
4回戦は、クルピ監督の今季限りの退任が決まった、セレッソ大坂が相手と決まった。
その先の準々決勝は、おそらく、清水が来るだろう。
その先の準決勝は、おそらく、浦和が来る。
決勝の舞台は、名古屋と柏のどちらかが有力候補だが、なんとこの2チームは、4回戦で直接対戦となっている。この2チームが両方とも勝ち進む事は無いのだ。
今季の天皇杯は、波乱含みの様な気がしてならない。
私たちは、何としてでも、生き残りましょうぞ-。
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