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先週末は、ナビスコカップ決勝があり、J1はお休みだったため、久しぶりにのんびりとした週末だった。みなさんは、どのように過ごされたであろうか。
残る、リーグ戦4戦と天皇杯は、私たち仙台サポーターの、今季の総決算となる。一戦、一戦を、大事に戦いたい。また、この節からは11月となり、いよいよ、今季のサッカーシーンも、クライマックスへと突入する色合いを濃くして来ている。リーグ戦、ラスト一ヶ月。そして、勝ち進めば天皇杯。どんな名場面、或いは迷場面が、私たちを待っている事だろうか。
選手・サポーターと共に、充分に充電して迎える、今節のホーム・広島戦。震災前に、唯一、マルキーニョスを率いて乗り込み、0-0 で終わった対戦相手を、今節はホームに迎えての一戦となる。
双方、大きな戦力減は特に見られない状況での対戦となる今節。唯一、仙台はチョ・ビョングクを、累積8枚による2試合出場停止の1試合目という事で、ディフェンスに関しては、昨年末も大活躍を見せてくれた、渡辺広大の守備、そして、得点シーンにも期待が掛かる。あまり、過度な心配はしなくても大丈夫だろう。
そして、対戦相手の広島と言えば、やはり、佐藤寿人選手の存在を抜いては語れない。彼が広島へ移籍してから、早や7年。仙台在籍が僅か2年間で、広島では既に7年目である事から、「広島の選手」という印象が強くなっては来ているものの、彼が仙台在籍の2年間で挙げた29ゴールは、当時の彼を知る仙台サポーターにとっても、一つの歴史を刻んだ選手の得点記録として、記憶に残っている人は少なくない事だろう。
その、決して高くない身長(170cm)を逆に活かし、持ち前のスピードと切れ味鋭いフットワークから産み出すゴール前での嗅覚の高さは、仙台から広島へと移籍後も更に磨きが掛かり、現在は1トップ2シャドーの「1トップ」の位置に、先発として君臨している。広島が攻撃に転じたとき、人数を掛けて一気に前線へと攻め上がり、手数を掛けずにサイドから素早く供給されるクロスにいち早く反応し、ニアに飛び込んでシュートを撃つというプレースタイルは、今も健在。今季リーグ最小失点を誇る仙台は、まず、1トップの彼に、如何に仕事をさせないかがポイントとなるのは間違いない。
また、その1トップの佐藤寿人の0.5列下で2シャドーを形成する、現役日本代表の李忠成と、福島県いわき市出身の高萩洋次郎とのコンビも脅威だ。この3人の攻撃イメージは、往年の有名アニメーション作品の登場人物に例えるなら「黒い三連星」となるだろうか。また、この作品の設定では、彼ら3人が最後に搭乗した機体のカラーリングには紫色が使われていたが、紫と言えば、広島のチームカラーでもある事から、ますます、広島の1トップ2シャドーの攻撃スタイルを「黒い三連星」と見立てたくなる。
仙台として要注意なのは、この広島のように、1トップ2シャドー、そして3バックという布陣は、他のチームではあまり例を見ない点だ。つまり、このフォーメーションを相手とした経験が少ない事から、ディフェンス面では、いつも以上に注意を払いたいところ。
逆に、仙台の攻撃面としては、良く言われる「3バックのチーム相手には、両サイドの裏が狙い目」そのままに、しっかりとした守備から、広島の両サイドの裏への飛び出し、そこへのボール配球を意識したい。具体的には、左サイドは朴柱成と梁の連携から、右サイドは、菅井・関口、そして出場するならば太田が絡み、広島サイドの両翼を大きくえぐって、絶好のセンタリングを上げてチャンスメークしてくれれば、それはそのまま、決定機へと発展する事だろう。最後は、今節の2トップの一角として君臨する、チーム得点王の赤嶺真吾か、セカンド・ストライカーとして開花中の菅井直樹の得点に期待したい。
ところで、ストライカーと言えば、今季は、ルーキー・武藤雄樹の存在を抜きでは語れない。先月の天皇杯2回戦・ソニー仙台FC戦で、公式戦初得点を挙げたかと思えば、直後の福岡戦ではリーグ戦初得点を挙げ、一気に期待度が高まった、ニュー・カマーである。
そして、その彼が目標とするサッカー選手。それこそが、今節の対戦相手で1トップに君臨する、佐藤寿人選手、その人だ。この2人は、本当に特徴が良く似ている。身長が共に170cmと、サッカー選手としては小柄なほうである事に加えて、スピードや切り返しのフットワークの鋭さ、ペナルティエリア内を切り裂くようにゴールへ向けて突進していく姿や、相手の意表を突くようなシュートを好み、これを得意とするところなど、何から何まで「佐藤寿人選手の如く」なのである。
特に、アウェイ福岡戦で決めてみせた3点目のシーンは、左サイドの松下からのセンタリングを、胸で受け、それをそのまま、体を捻りながら素早くシュートを撃ったものだったが、これはそのまま、佐藤寿人選手のプレースタイルの一つなのである。
仙台にとっては、「佐藤寿人の再来」と言われてもおかしくないくらいの逸材だろう。今節はまず、ベンチ入りするかどうかが注目され、そしてベンチ入りが果たされれば、当然、出場、そして得点シーンにも期待したい。
ところで、前節のホーム川崎戦(10/22)では、試合前の選手コールの際に、懐かしい選手チャントが聞こえてきた。
そのチャントは、以前に、佐藤寿人選手に向けて使われていたもの。彼が広島に移籍した以降は、他の選手に引き継がれる事もなく、歴史の中へと埋没しかけていたが、前節の試合前に、「それ」は一気に掘り起こされた。
もう、お判りだろう。かつて、佐藤寿人選手に向けて使われていた「寿人allez」の選手チャントを引き継いだのは、武藤雄樹選手、その人である。当時のチャントメロディーそのままに、「武藤allez」と唱った事は、佐藤寿人選手のプレースタイルをお手本としている事や、その佐藤寿人選手と同様に、入団初年度に得点を挙げた事に対する、サポーターなりの「武藤選手への期待と信頼の現れ」なのだ、と思った。
もし、この一戦で、途中投入で武藤選手がピッチに入り、そこで得点を挙げようものなら、選手本人、そしてサポーターにとって、間違いなく、一つの歴史の転換点と成り得る事だろう。
武藤選手にとって、リーグ戦でのホーム初得点を挙げるには、最高の舞台となるに違いない。自信がお手本とする選手の目の前で、ゴールを決め、そして、そのお手本となる選手のチャントを引き継いで唱って貰えたとなれば、本人としても、この上ない至極の経験となるに違いない。
幸い、試合当日は好天にも恵まれる様子で、絶好のサッカー日和となる。前売りチケットの販売状況も、上々の様子だ。当日は、かなりの入場者数が見込まれるため、自由席の方は、早めのスタジアム入りとして欲しい。また、キックオフが 17:00 と遅めである事から、試合前後の寒暖差が大きくなる事が予想されるため、体温調節のための衣類の準備も、どうぞ抜かり無きように。
残り、4試合。そして天皇杯。
その一戦一戦が、私たち仙台サポーターの、今季のサッカーシーンの歴史として刻み込まれる。今節、いったいどんな試合が展開されるのか。期待に胸を膨らませて、スタジアムへと足を運びたい-。
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