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今季リーグ戦、最高に痺れる一戦がやって来た。
今節の試合会場となる、万博記念競技場でのこの一戦のチケットは、アウェイ席も含めて完売状態。G大阪としては「今季ホーム最終戦」であると共に、今季で退任の決まった西野監督の、文字通りの、G大阪での「ホーム戦・ラストマッチ」である。
(G大阪は、天皇杯3回戦で水戸に敗戦を喫したため、12月は試合が無い)
G大阪としては、首位の柏との勝ち点差が4という事で、数字的には、優勝はかなり厳しい。そこで、優勝の権利を得るためには「最低でも勝ち点6」が必須な状況なのだが、そうは問屋が卸さない-。
今節のG大阪の対戦相手は、私たち仙台である。目下、11戦無敗。今季リーグ最少失点の24を誇る、堅守中の堅守を礎としたチームだ。簡単には「ヤラれ」はしないはず。
ここで、得点と失点に関するデータを整理しておきたい。
G大阪は、総得点74、総失点50。
対する仙台は、総得点37、総失点24となっている。
ここで目を引くのは、やはり「G大阪の得点の多さと、仙台の失点の少なさ」である。当然、双方ともに、現在リーグトップの成績であるが、ここで、G大阪の得点と仙台の得点を比較すると、74 に対して 37 は、丁度、半分の数字である事が判る。また、同様に失点を比較すると、50 に対して 24 は、やはり、ほぼ半分の数字となっているのだ。
片や3位、片や5位に居るチーム同士なのだから、さぞかし、得点も失点も似たような状況にあるのかと思いきや、実は、全くの正反対な状況。特徴の全く異なるチーム同士が対峙するとどうなるのか、この一戦の当事者でなくとも「注目のカード」と認識されている事は、ほぼ必至と思われる。
今節に向けて、方々のメディアや個人様のブログなどを拝見すると、一様に「G大阪の "矛" 対 仙台の "盾"」という見方をされている向きが多い。確かに、「リーグ最高得点チーム vs リーグ最小失点チーム」という構図で見るのが、一番判りやすいところである。
攻めるG大阪に対し、仙台が如何に守るのか。これはまさしく「矛と盾」の関係。実際の試合でも、攻め続けるG大阪に対して、如何に仙台が守り抜き、少ないカウンターチャンスから得点を決めるか、という予想が大勢となるだろう。
しかし、見方を変えてみると、こういうふうに捉える事もできる。
「G大阪の脆い盾 vs 仙台の小さくも鋭い矛」
G大阪の「総失点50」は、降格圏の下位3チームを除けば、ワースト2位の多さだ。しかも、今季ここまでの、G大阪の1試合平均失点は 1.6。いつG大阪の試合を拝見しても、常に2失点している印象すらあるチームなのだ。(先日の天皇杯3回戦では、延長戦突入ながら、水戸に3失点を喫して敗戦)
となると、仙台の「小さな矛」でも、その鋭さを以てすれば、充分に、これを貫ける可能性はある。
もちろんG大阪は、失点数の多さを、得点数の多さでカバーしているようなチームだ。ただ、黙って易々と2失点を献上してくれるような、甘いチームではない。
仙台としては、自慢の「堅い盾」を活かしつつ、小さくとも「鋭い矛」を、如何に有効活用するかに懸かってくる。
ここまで、11戦を無敗としている仙台。今節も「負けない」試合を展開しつつ、ここ3試合を0-0のスコアレスドローとしている事もあり、今節は、なんとしてでも勝利の凱歌を挙げたいところ。相手が、得点も失点も激しい、あのG大阪であれば、尚更、今節のスコアレスドローは考えにくい。
ところで、G大阪は、今節がホーム最終戦であり、かつ、10年という長い年月を、監督としてチームに携わった西野氏が退任するという事も手伝い、彼らのモチベーションは最高潮のはずだ。勝って、西野監督に、優秀の美を。今季の天皇杯を敗退している事から、文字通り、今節が、西野監督にとっての「ホーム最終戦」となるため、いつも以上に、勝利への渇望は強い事だろう。
しかし、その「想い」が、裏目に出る事もある。彼らも、覚えているはずだ。前回の、仙台ホームでの対戦時の事を。当時在籍のアドリアーノの個人技の1点に留まり、仙台の堅い守備を崩しきれず、逆に2失点して敗戦した事を。
今節、仙台が狙うべきは、まさしく「あの試合の再現」である。
今節の舞台が、相手のホームだろうと、彼らのホーム最終戦であろうと、西野監督退任で選手のモチベーションが上がっていようと、そんなものは、仙台の堅守が崩れる理由でもなんでもないのだ。
今の仙台が怖いのは、唯一「ピッチコンディションが悪く、攻撃の出足が鈍る事」しかない。
覚えているだろうか? 10月のホーム川崎戦と、前節のアウェイ浦和戦を。共に、雨に見舞われ、ピッチコンディションが難しい状況となった。このため、堅守性はともかく、そこからのボールを奪ってからの攻撃展開に、どうしてもブレーキが掛かっていた事を。
そして、今節の大阪地方の天候予想は"晴れ"。最高気温も14℃まで上がるとの事で、すっかり寒くなった仙台の地から一転、非常に暖かい、サッカー日和な気候の中で、この大事な一戦を戦う事が出来るのだ。
G大阪のように、在籍している選手の個人技が優れていると、多少の悪天候などは、その技術でカバーしてしまうため、あまり成績に影響を及ぼさない。むしろ、相手チームのほうが勝手に、悪天候を材料としてミスを連発するなど、自滅してくれる可能性すらあった。
だが、今節は、そうはいかない。
3試合をスコアレスドローとし、堅守性を維持しながらも、得点と勝利に餓えている仙台にとって、今節の大阪の地での対戦は、予想される気候やピッチコンディションなども含め、勝利を挙げる試合としては、最高のシチュエーションである。
相手は、状況的に「仙台よ、空気を読め」と思っている事だろう。だが、今回は申し訳ないが、仙台としては、空気を読む気は更々ない。
攻めても、攻めても、獲れない得点。痺れを切らすうちに、試合時間はどんどん経過していく。優勝の2文字も脳裏にちらつき、勝ちたくて焦り始める、そんなG大阪の選手の隙を、仙台の選手が鋭く狙って、先制点を挙げる。そんな展開が無いとは、誰も言えないはずだ。
もちろん、G大阪の攻撃陣の威力が半端ない事は、百も承知の上である。だが、それを他のチームは「抑え切れなかった」だけであり、仙台が同様に、G大阪の攻撃の餌食になるという事も、言い難いはずである。
今節、G大阪には「負けない=失点しない」仙台の威力を、存分に味わって頂く。その上で、良好なピッチコンディションの中、得点に餓える仙台の攻撃陣が、少ない好機をモノにして、首尾良く先制点を奪ってくれる姿が、今から脳裏に、ぼんやりと描かれ始めている。
果たして、どんな得点シーンが、私たちを待ち受けているのだろうか。
そして、最後はきっと、仙台の勝利を告げるホイッスルが、万博の地で響き渡るに違いない。
それを、強く、願って。信じて。
例え、満身創痍の守備陣であっても、そんな事は、今に始まった事でもない。今節、2試合の出場停止から帰ってくる、チョ・ビョングクを始め、勝利に餓えている選手が、負傷や出場停止などで出場出来ない選手の分も含めて、大阪の地で暴れまくってくれるに違いない。
それに、何と言っても仙台は、12月の天皇杯を控えている。しかも、今季の天皇杯は、勝ち進む事を前提として言えば、準決勝までの3試合、全てが大阪開催だ。
どう考えても、「C大阪やG大阪が勝ち進み、大阪ダービーが天皇杯で実現する可能性」を意識した会場手配としか思えない。もし、これが事実だとすれば、是非とも、こんな阿呆な会場手配をした担当者の鼻の穴を空かしてやるべく、今節のG大阪、そして、12月の天皇杯4回戦で、C大阪をも撃破したい。
12月の天皇杯の戦いを見据え、是非とも「大阪の地での勝ち癖」を付けておきたいところである。そのためには、相手が、優勝争いの渦中のG大阪だろうが、満員の敵地だろうが、一切、関係ない。
仙台は、仙台の、持てる選手と、技術と、戦術の全てを惜しみなく投入して、全力で、敵地での勝利を目指すのみ、である。
私たちの今季は、2試合でも、3試合でもない。残り「6試合」だ。
天皇杯を勝ち進み、元旦の、決勝の国立の地を踏むために。今節のG大阪戦は、大事な「糧」とさせて頂く。もちろん、負けるつもりなど、一切ない。
臆すること、無かれ。
相手は、確かに強敵かもしれないが、今となっては、私たちからみれば、この相手は決して「ジャイアント」ではないのだ。
全身全霊で、勝利のみを、強く、願う。
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