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G大阪1-0仙台 12戦ぶりの敗戦は、撃っても撃ってもゴールを奪えず、仙台らしい「無得点での敗戦」を喫した。しかし、あのガンバを相手に互角に渡り合い、ガンバのシュート数を6に抑える大健闘ぶり。足りないものは、最後の精度だけ。今季の成長ぶりを象徴するような一戦だったと共に、負けてなお、最終戦で4位浮上の可能性が残った。

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 空気を、読んだつもりはなかった。

 
試合後、ガンバ大阪の西野監督の退任の挨拶の中に、「相手が仙台で良かった」との一言と共に、仙台の成長ぶりを賞賛して頂けるコメントがあった。
リップ・サービスも含みでの事だったとは思うが、それでも、あのガンバ大阪の指揮官を10年務めた同氏に、成長と力量を認めて貰えたのは、素直に嬉しく思う。
 

 実際の試合の内容でも、決して敗戦を喫するようなものではなかった。そこには、あの2009年の天皇杯・準決勝での対戦から比べれば、相当に、仙台の成長度は上がっている。

 
「勝ちたかった」。それが、誰しもが持っていた気持ちだった。そして、実際のゲームは、仙台のプラン通りとも言える、ロースコアでの試合進行となり、ガンバのイ・グノに先制点を許したあとも、決して自分たちのサッカーのベースを見失う事なく、果敢に、1点を奪いに行った。
 
結果として、4試合連続での無得点。攻撃陣の課題が残る、悔しい敗戦ではあった。
しかし、あのガンバの攻撃陣を、僅か1点の失点に押さえ込み、反対に、あわや得点というシーンを、ガンバ以上に、何度も作り出した。
 
特に赤嶺は、「自身が点を獲らないと」と、やるべき事を理解しているかのように、チャンスとみれば、次から次へとシュートを打ち続けた。その数、なんと6本。この試合の仙台のシュート数・14本のうち、実に半分近い数を、赤嶺が撃っていたのだ。
 
フォワードたるもの、やはり、そのくらいの意気込みが欲しいものだが、これまではなかなか、仙台のフォワードが、シュートの固め打ちをする事が観られなかった。それが、この試合では、非常に積極的な姿勢が見て取れた。これは、敗戦の中に観られる、大きな収穫の一つだと思う。
 
試合の展開や、球際での、要所・要所の勝負どころでの判断は、決してレベルの低いものではなかった。その証拠として、この試合の序盤から、ガンバに対して、決して楽に攻撃をさせる事を許さず、前半のシュート数を、僅か3本に抑えたのだ。
 
決して、ガンバの攻撃陣が不調だった訳ではない。仙台の守備陣が、ガンバの攻撃陣に仕事をさせなかった結果である。
 
しかし、唯一、前半の25分に、イ・グノに得点を許したシーンだけは、こちらもしっかりと体を寄せて自由にさせないようにしていたつもりだったが、イ・グノのほうが一枚上手だった。あの失点シーンは、イ・グノの動きと、シュートの精度を褒めるしかない。
 
対する赤嶺も、なんとか追い付こうと、必死にシュートを打ち続けた。それも、決して藪から棒にではなく、きちんと、効果的な攻め込みの中からのシュートだった。
 
ただ、ほんの少し、精度が足りなかった。
 
記録を見れば、イ・グノのシュート数は、僅かに2本。2本で1ゴールなのだから、如何に、シュートの精度が大事なのかが良く判る。赤嶺が6本撃ってノーゴールなのだから、如何に、ガンバの得点力が高いかが判るというものである。
 
終わってみれば、(G大阪)1-0(仙台)の敗戦。予想通り、ロースコアードな展開となり、1点を争う試合となったが、残念ながら、勝ち点の積み上げには至らなかった。
 
しかし、ガンバと対峙し、そして敗戦していく他のチームとは、決定的に違うところがある。それは「ガンバの攻撃を、シュートで終わらせなかった、より集中した守備力」である。
 
今季、今節のガンバ大阪のシュート数である「6」よりも、少ないシュート数で押さえ込んだ試合が無かったかを調べてみた。すると、「4」という数字が出てきた。いったいどこのチームかと確認してみたところ、なんと「仙台のホームゲームでのガンバ大阪戦(6/15)」だった。
 
なんと、あのガンバ大阪に対し、今季は、2試合を通じて、僅か10本しかシュートを撃たせていなかったのだ。1試合平均で2得点以上を平気でマークするガンバ大阪に対して、これだけチャンスを与えない試合が出来るのであれば、今後の試合展開においても、失点に関してのケアは、揺るぎないものとなる事だろう。
 
仙台というチームは、リーグ最少失点のチームといえども、決して守備的なチームではない。その事は、私たち仙台サポーターが、一番理解しているはず。
 
あとは、「最後の精度」だ。
 
例えば、前半35分の関口のシュートシーン。そして、後半ロスタイム(92分)の武藤のシュートシーン。敢えて、赤嶺の6本のシュートシーンには触れずに、この2人のシュートシーンに言及したい。
 
関口にしても、武藤にしても、相手GKと完全に「1対1」になり、あとはシュートを撃つだけの「どフリーな場面」であったが、結論から言えば、2人とも「シュートを撃つ判断が遅く、相手に止められてしまった」ものだった。
 
どちらのシーンも、この状況を観戦していた者であれば(現地参戦、TV観戦を問わず)、「撃て!早く撃て!」と、心の底から思っていたはずだ。
 
だが、関口のシュートは、そのコースをGK藤ヶ谷に完全に読まれ、また武藤のシュートは、撃つ直前に、後方からのスライディングで阻まれ、共に、得点に居たる事は無かった。
 
先ほど、赤嶺の6本のシュートについては触れないと書いたが、その理由は至ってシンプルだ。なぜなら、赤嶺のシュートは「判断が早く、相手の守備に阻まれる前に撃っているもの」だからだ。あれだけ早くシュートを撃つ判断をして撃っていれば、確かに精度は落ちるかもしれないが、完全に読み切られてノーチャンスになるよりは、十分に得点の可能性がある。だから、赤嶺は12点も獲れているのだ。
 
この、赤嶺のような「シュートを撃つ判断の早さ」を、他の攻撃陣がもっと共有できれば。具体的には、前述した、関口や武藤が、こういった「即断」を出来るようになれば。
 
・・・・試合後、漏れ伝わってきた情報によれば、武藤が「あのシュートを決めきれなかった事」について、相当に落ち込んでいるらしい。
 
だが、あの一瞬で「如何に早く、正確にシュートを撃つか」という判断と技量を出せるようになるには、武藤は、まだまだ経験不足だ。彼が、入団初年度で、この一戦の勝負どころで投入された事は、彼自身が掴み取った「信頼」であり、そこは自信にして貰っても良いと思う。が、彼を使い続けるためには、「ゴールを決める」か、または「成長のための経験を積む」事の、どちらかの結果が必要だ。
 
今節、武藤は、あのシーンで、ゴールを決める事は出来なかった。だが、試合後に「悔しい思いをして、落ち込んでいる」という話が伝わってきたとき、「コイツは伸びるぞ」とも思った。
 
その、「悔しい思い」をせずに済むには、どうすれば良いのか。それを彼は、必死に考えるはずだ。現状で満足せず、上を目指す姿勢を持ち続ける人間は、強くなれる可能性が高い。
 
もしかしたら、過去、仙台に在籍したフォワードの誰よりも、一番「伸びしろ」のある選手かもしれない。そういう意味では、今節、武藤にとっては、非常に貴重な経験をしたと言えると思う。
 
この経験を、次へ活かしてくれ。
 
今節のこの「経験」が、武藤の糧になってくれるのだとしたら、この一敗など、安いものではないか。
 
この一戦で、改めて見えた「仙台の課題」。それこそが、表題で書いた「最後の精度」。だが、この事は、今に始まったものでもない。もしかしたら、未来永劫と続く、永遠の課題かもしれない。しかし、J1という舞台での戦いの中でこそ、その精度は磨かれていくはず。
 
今季、ガンバとの2度の対戦を経て、「相手がどんなに攻撃的なチームでも、決して守れない事はない」という事を知った。守備に関しては、既に、J1で十分に通用する力量を身に着けたと思う。しかも「それ」は、決して、攻撃を諦めて守備に専念した事とのトレードオフ、ではないのだ。
 
この2年間の戦いの中で、J1で通用する守備というものを、手に入れる事は出来たと思う。あとは、攻撃に磨きをかけようじゃないか。
 
4試合で無得点という苦しい状況にはあるが、敢えて言いたい。「一向に、気にすること無かれ」と。
 
「得点の臭い」は、十分に漂っているはずだ。その臭いすら感じない状況なのであれば、深刻だとは思うが、決して、そこまで酷い状況だとは思っていない。
 
残る、リーグ戦1試合。幸運な事に、直上の4位の横浜Fマリノスも敗戦してくれた事から、勝ち点差は2のままとなった。その横浜Fマリノスの最終戦の相手が、鹿島である事を考えれば、仙台としては、最終節の神戸戦で勝利を収めれば、十分に順位を逆転できる可能性はある。
 
今節の敗戦など、一向に気にせず、今は、リーグ最終戦に集中しようじゃないか。
 
大丈夫、きっと、勝てる-。
そう信じて、最終戦も、スタジアムに足を運びたい。
 



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