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仙台1-0鹿島 昨年の勢いからの継続性を見せた、内容をも伴った1-0完勝劇。驚くほどハマった「前線からの攻撃的守備」で、戦術再構築中だった鹿島が相手とは言え、試合を最後まで巧みにコントロールした仙台に軍配。震災1年の特別な試合で挙げた勝利は、新加入・DF上本大海の見事なまでの戦術浸透が礎となった。

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 正直言って、まさかあの鹿島を相手にして、ここまでの試合内容での勝利劇を見せてくれるとは、到底予想だに出来なかった。

 

 今季のスタイルとして標榜していた「前線からの攻撃的守備」。一般論で言えば「言うは易し、行うは難し」で、そう簡単に実践できるものではないだろうと、個人的には思っていたところもある。もちろん、まるっきり期待していなかった訳ではない。キャンプから、新加入の選手が早々にチームに融け込み、戦術でもフィット感が高く、必ずしも悪い印象は無かった事も、また事実だった。

 
だが、いざ「蓋」を開けてみると、そこには、予想を大きく上回った、昨年以上の連携の高さと、そして、前線でのボール奪取の意識の高さを見せた仙台が、鹿島の中盤を面白いように掻き回し、チャンスを立て続けに演出。
 
「こ、これが私たちの仙台の今季のスタイルなのか-」
 
昨年末のリーグ最終戦の神戸戦ほどではないにしろ、冬の雨に見舞われたユアスタのピッチ。滑りやすいピッチコンディションではあったものの、その割に、雨の影響を感じるようなシーンは思いの外、少なかった。そんな中で繰り広げられた中盤の攻防は、仙台の前線の4枚の選手を中心とした「前線からの攻撃的守備」によって、鹿島の試合展開を尽くブロックし、そこからの攻撃のチャンスを何度も演出する事に繋がっていた。
 
筆者が注目したシーンの一つに、前半28分の「赤嶺の頑張り」がある。
 
今季、鹿島に新加入したジュニーニョと中盤で競り合った赤嶺。こぼれ球が大きく鹿島DF岩政のところに戻っていったのだが、そのボールに対し、関口と2人で猛烈にプレッシャーを掛けに行ったのだった。岩政は堪らず、1ボランチの青木(この試合で鹿島は、中盤をダイアモンドにする4-4-2布陣を敢行)とのパス交換でこれを避けようとするも、そのボールにも必死に食らいつき、そして、DF岩政のミスパスを誘った結果、マイボールにする事に成功した。
 
このようなシーンを、この試合では、前後半を問わず、何度も何度も拝見する事が出来た。前半の早い時間帯だからこそ出来たチェイスだったのかもしれないが、運動量が落ちてきた後半でも、決してそのスタイルを崩そうとはしなかった。結果、鹿島のシュートシーンを僅か7本に抑える事が出来た。
 
90分を通しての運動量に自信が無ければ出来ない戦術。80分間で貫き通せても、残りの10分でこれが出来なくなれば、相手の個人技で、あっという間に失点する。それがサッカーだ。だが仙台は、この試合を見る限りでは、きちんと「前線からのプレスを掛けるべきポイント」を考え、必要以上に運動量を浪費しない努力もしていたように思えた。
 
そのメリハリを付けられた要因に、今季新加入した、DF上本大海の存在、そして、FWウイルソンの存在がある。
 
前線でボールを収め、高い技術でシュートまで持ち込むフォワードの選択肢は、これまで「赤嶺の1択」だった仙台。だが、同じようなプレーをウイルソンにも求められるようになった事で、前線での「溜め」の時間が長くなり、後方からの押し上げを待てるようになり、結果、厚みのある攻撃を繰り出せるようになった。これによって、「攻撃のスイッチが入った瞬間」を、選手間で認識しやすくなった。
 
そして、チョ・ビョングクの抜けたディフェンス陣では、新加入の上本大海が、ディフェンスの読みの良さ・カバーリング技術の高さ、そしてフィードの巧さを発揮。仙台の最終ラインが、昨年以上の強固さに発展した感をも受けた。もはや、「チョ・ビョングクの抜けた穴」を引き合いに出して不安視する人は、おそらく出てこないだろう。
 
その上本大海が、よもやの決勝点を挙げる大活躍を見せて、仙台を勝利に導いてくれるとは-。
 
満員のユアスタが、待ちに待った今季初ゴールは、後半16分に訪れる。左コーナーキックで、太田が蹴り込んだボールはファーの赤嶺によって折り返され、そのボールはなんと、ニアポスト付近で待ち構えていた、上本のところへ。これを押し込むだけの上本は、キッチリと鹿島のゴール枠内へ流し入れるだけだった。
 
後半17分。仙台1-0鹿島。
 
その後、大きなトラブルもなく、最後まで無失点を貫いた仙台。鹿島も、興梠や遠藤と、攻撃的な選手を立て続けに投入し、何とか仙台の堅いゴールをこじ開けようとしてきたが、最後に鹿島のゴールへの期待を粉砕したのは、我らが守護神・林卓人だった。
 
この日の林は、「スーパー」の一言。圧巻だったのは、後半23分。右サイドから、鹿島の新井場に挙げられたセンタリングは、仙台ゴール前中央に居た「どフリーのジュニーニョ」の頭をドンピシャリに捉えていた。この日、仙台最大のピンチだったが、倒れ込みながらも林が右足を残し、ジュニーニョ渾身のヘッドを弾いた。そのボールは運良く、ゴール右ポストによって更に弾かれ、辛くもコーナーキックに逃れる事が出来たのだった。
 
運にも恵まれた仙台ではあったが、そもそも、この日に鹿島に許したシュートは、公式で僅かに7本。撃たせるシュートが少なければ、決められる確率も減るというもの。この「最後に相手にシュートを撃たせない・ゴールを割らせない守備連携」は、仙台の元々の武器でもあり、そこが今季も健在である事を知らしめたシーンでもあった。
 
首尾良く先制ゴールを挙げた仙台は、残りの時間をしっかりと消化。前目の3選手(太田・ウイルソン・赤嶺)を順に交代させ、前線での溜めと、運動量による前線からの守備力を、最後まで維持する事を意識した。
 
ここまで、ほぼ完璧に試合を運ぶ事に成功した仙台。最後に待っていたのは、揺るぎのない勝利だった。
 
鹿島は、今季から監督が交代し、中盤をダイヤモンドにしてくるなど、鹿島伝統の「中盤ボックスの4-4-2」だけでない布陣をこの試合で試し、戦術や連携についてはまだまだ再構築中の様相だった。だが、個々の選手の技術の高さが衰えている訳ではなく、時期が進めば、鹿島は勝ち点3を重ね出す可能性は十分にある。もし、この試合でも、先に鹿島に点を許すような事があれば、0-1で敗戦していたかもしれない。
 
それでも、勝ったのは仙台。相手に不足はなく、互角に渡り合った結果の勝利と考えて良いだろう。
 
プレーしているほうも、プレーを見ているほうも、今季への自信を付けた、貴重な一戦となった。
 
こうして、「被災地同士のリーグ開幕戦」は、仙台に軍配が上がり、2012年のシーズンが幕を開けた。大きな意味を持つ一勝。決して、昨年だけではない「仙台の勢い」が、今季も続いていくんだという事を、この日唯一の地上波中継によって、全国のみなさんに知って貰えたと思う。
 
-試合翌日の、仙台圏のスポーツ各紙は、サンスポ紙とニッカン紙で、1面で大きく取り上げてくれた。ニッカン紙に至っては、2面と3面をも使って、仙台の勝利を、大きく取り上げてくれていた。
 
だが、河北新報紙の1面の見出しには、仙台の勝利の記事と共に、「死者・行方不明者 1万9009人」と記載されていた。そして、紙面の中には、県内各地域の該当者の方々の名前が全て記載されていた-。
 
この中にも、仙台のサポーターだった人が、少なからずいたはずなのだ。
 
もしかしたら、サッカーどころではなかったかもしれない日々。だが、私たちは、こうして、今季の開幕戦を無事に迎え、そして、勝利という、最高の美酒を味わう事が出来ている。決して、この事を「当たり前」と思わず。
 
昨年の今日、3月11日に、失われた命。そして、残された命。どちらも、尊いものだ。そして、どちらの側面からみても、共通して言える存在。それが「魂」だ。
 
よく、ネット上のアスキーアートで、
 
つ魂
 
と、記載される事がある。ホーム・アウェイに限らず、試合会場に行けないサポーターが、行けるサポーターへ、「俺の分も応援して来てくれ」の意を込めて記載するものである。
 
一人のサポーターである前に、一人の人間として思う。
亡くなられた方々の「魂」を、残された人々みなで引き受け、それぞれが今後も、出来る事の役割を少しずつ果たしていく事が、私たちに出来る、最大で、唯一の報い方ではないか。
そして、その上でサポーターとして出来る事は、一試合・一試合を、「この試合を観たくても観れなかった人たちの分も込めて」チーム躍進の一助となる応援をし続ける事だろう。
 
それくらいしか、出来る事はない。
でも、それを続ける事が、大事なのではないか。
 
私たち「残された命」組に出来る事は、決して難しい事ではないが、途中で止める事なく、続けて行かなければならないものだ。亡くなられた方たちの分まで、私たちは歩みを続けなければならない。
 
そして、「サポーター」であれば、出来る事は、一試合・一試合の勝利を信じて、応援を続ける事だけである。
 
決して、忘れてはいけない。
残された者が背負っている、魂の重さと尊さを-。
 



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