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仙台2-2磐田 救世主・ウイルソンの大活躍で、劇的ドローを演出。主導権を握りながらも常にリードを許す、後半の苦しい展開の中、関口の1年8ヶ月ぶりのゴールと併せて、ラスト1プレーでウイルソンが魅せた、ベガルタ劇場のクライマックスシーンは、「負けない仙台」を思い起こすに十分なメッセージとなった。ベガルタ、首位を堅持。

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 掲示された、後半のアディショナルタイムは5分。それも、4分を優に経過し、時計の針は、「あと5秒で5分」を指した、その瞬間-。

 
ハーフウェイライン付近の菅井から、磐田ペナルティボックス内にダイレクトで送り込まれていたロングボールは、ウイルソンの胸を捉えた。それを見事にポストし、振り向きざまに、「得意ではない(本人談)」左足でシュート。時間経過を考えれば、おそらく、これがラスト1プレーだった。そのシュートは、磐田ゴールの右隅を、見事に捉えた。
 

 誰しもが、諦めかけていた。だが、選手は、最後まで諦めていなかった。奇跡的な同点ゴールが決まったあと、試合は磐田に試合続行のキックオフをさせず、そのまま終幕となった。

 
仙台2-2磐田。またしても、磐田とは決着が付かなかった。2008年の入れ替え戦から始まった、ジュビロ磐田との因縁。昨年のホームでも3-3と、お互いに一歩も譲り合わず、ハイスコアード・ドローとなったが、今節も、結果的には、それに匹敵する内容と結果となった。
 
劇的な終幕を迎えた熱戦は、最高気温6℃という、3月の寒さが戻ってきたかのような気候の中で行われた。「晴れ間」と「ちらつく雪」が、交互にユアスタ上空を席捲し、試合を観る者にとっては、まだまだ肌寒さを体感しながらの一戦となった。
 
試合前半。お互い、前節までの失点がそれぞれ「2」と、非常に少ない相手同士との対戦とあって、守備に双方隙を見せない、堅い展開。お互いの最終ラインは、お互いが強気で高く保っていたため、中盤で非常にコンパクトなエリアの中で、この試合の主導権争いが繰り広げられた。
 
始めの20分ほどは、なかなか攻撃のペースを握りきれなかった仙台だったが、前半20分にウイルソンのフォーストシュートが放たれると、そこから一気に、仙台の攻撃のエンジンが猛威を奮い始める。特にウイルソンは、ボールの収まりも良く、また、前線からのディフェンスも良く行い、フィニッシュシーンだけでなく、サイドに流れて攻撃の起点にもなるなど、明らかに、今節の仙台の攻撃の「大車輪の軸」となっていた。前節のC大阪戦で来日Jゴールを挙げた事も、この日の試合の発奮材料になっていた事だろう。
 
だが、磐田の守備陣の粘りもあり、仙台は効果的に崩すシーンは少なく、前半はそのままスコアレスで終了し、後半へ折り返す事に。
 
スコアが動かなかった前半。だが、試合内容をみれば、既に「前半の20分から、試合は動いていた」事を体感できた。ウイルソンの予想以上の動きの良さによって、仙台は主導権を掌握。時折、磐田の逆襲に遭うも、完全にシュートまで持ち込ませる展開はほとんどなく、ホームの仙台が、状況を有利に運んでいた。磐田1トップの前田や、トップ下の松浦にほとんど仕事をさせていなかった事が、大きな自信となっていた。
 
必ず、後半はスコアが動く。そう信じて、寒空の中、後半のキックオフの笛を待った。
 
試合後半。仙台の攻撃の「ノリの良さ」は、前半と大きく変わらない。後半9分に、オフサイド判定とされたウイルソンの幻のゴールに象徴されるように、仙台の攻撃は機能していた。きっと、ゴールは産まれる。そんな予感と臭いは、充分に、スタジアムに漂っていた。
 
だが、少しづつではあるが「攻撃をしても、しても決まらない」事が、仙台の守備陣の焦り、或いは、隙を産んだのだろうか。試合の主導権を握っていたはずの仙台は、一瞬の守備ミスから、アッサリと磐田に先制点を献上してしまう。仙台陣内右側から、磐田MF山田大記の挙げたセンタリングに対し、GK林・上本・田村の3人がお見合いをしてしまい、「流れてゴールラインを割る」と思い込んだその瞬間。逆サイドに、磐田MF菅沼が詰めていた事に、誰も気が付いていなかった。菅沼の押し込みをキャッチした林だったが、ゴールラインを割ったと認められてしまい、磐田に先制点を献上してしまった。
 
後半13分。仙台0-1磐田。
 
こうなると、仙台が握っていた主導権は、磐田に移ってしまう。出足の良くなった磐田に対し、仙台は防戦気味に試合を運ぶ展開。だが、そんな苦しい状況の中でも、決して自分たちのサッカーを見失う事なく、地道に、磐田の守備の隙を丁寧に突く攻撃を繰り返した。攻撃の圧力を高めるために、この日は少々精彩を欠いていた太田を下げ、武藤を投入し、事態の打開を図った。
 
それが実ったのが、後半29分だった。磐田陣内中央で、味方が出してくれたパスを受けたウイルソンが、磐田DF2枚に挟まれ、倒れ込みながらも、後方からトップスピードで走り込んできた関口にラストパスを供給。これを関口、GKとの1対1も落ち着いて制し、磐田ゴール右隅へ、綺麗に流し込んだ。
 
後半30分。仙台1-1磐田。
 
関口、実に、1年8ヶ月ぶりのゴール。思い起こせば、2010年8月1日のアウェイ・川崎戦で先制ゴールを決めて以来のゴールとなった。
 
だが、僅かにこの3分後。またしても守備陣のミスから、磐田に追加点を献上してしまう。最終ラインの上本が持つボールを、中盤の富田が受け、前を向いて攻撃しようとした瞬間を、磐田MF山本にインターセプトされてしまった。「狙われていた」事は明らかであり、奪われ方としては、最悪の部類に入るだろう。フリーキックを与えてしまう懸念もあり、厳しく山本にチェックを掛けられず、そのまま山本にペナルティボックス近くまで持ち込まれ、そのままシュートを許す。これが決まり、せっかくの関口の同点弾をフイにしてしまった。
 
後半33分。仙台1-2磐田。
 
この後、ボールをインターセプトされた富田を下げて松下を入れ、最後は、DFの田村を下げて、FW柳沢を投入し、3-4-3を敢行。以前にも見たことのある「掟破りの3バック」とし、攻撃の枚数を増やして、最後の総攻撃に打って出る。
 
だが、なかなかゴールは奪えない。リードしている磐田は、もう無理に攻撃を仕掛けては来ず、仙台と同様の今季の武器である堅守を前面に押し出し、終盤では時間を使うプレーも。
 
絶体絶命のピンチだった。磐田側がアウェイである事を差し引いても、仙台としては、守備陣のミスから招いた2失点があまりにも重くのし掛かり、逃げ切りを図ろうとする磐田のゴールをこじ開けるのに手を焼いていた。またこの日は、取られたオフサイドの数も多く、磐田の裏を突く攻撃は、尽く線審に取り消されていた。磐田側にオフサイドトラップを掛けられたものや、自らの勇み足で前へ出てしまい、自らオフサイドになってしまったものも多かった。
 
こうなると、もはや、後方からのロングフィードによる「一発の打開」にしか、頼る術は無かった。
 
掲示された、後半のアディショナルタイムは5分。それも、4分を優に経過し、時計の針は、「あと5秒で5分」を指した、その瞬間-。
 
ここで、冒頭で書いたような、ウイルソンの奇跡的な同点ゴールが産まれる事になる。
 
実は、磐田の守備陣は、最後の最後で「ミス」を犯してくれていた。確かに、ウイルソンのポストプレーからの振り向きざまのシュートは、技術の高い、見事な個人技だった。あんなスーパープレーがここで繰り出されなければ、奇跡的な同点劇な見られなかっただろう。
 
だが、仙台に執念の同点ゴールをもたらした要因は、最後の最後に、「ウイルソンにシュートコースを与えてくれた、磐田守備陣のミス」だった。確かに、ウイルソンには、磐田DF2枚が張り付いていた。だが、ほぼラストプレーであった事もあり、ウイルソンを挟んだDF2枚の他に「余っていた2枚」のどちらも、ウイルソンのシュートコースを消す事をしなかったのだ。ウイルソンのスーパープレーがゴールに結び付いたのは、実は、磐田の守備陣のミスが原因だったとも言えるのである。
 
終わってみれば、2-2のスコアレ(おっとっと、、、
 
双方共に、プレーのレベルが高く、J1の首位と2位の直接対決・首位攻防戦に相応しい内容、そして結果となった。試合終盤になっても、決してオープンには成り切らずに、オフサイドに掛かってしまうような展開。少し肌寒いくらいの気候の助けもあり、決して、試合終盤まで、双方の運動量が極端に落ちる事もなく、90分を通して、見応えのある内容だった。
 
普通、こういう試合では、0-0のスコアレスドローで終わってもおかしくないものであるが、結果は2-2。お互いのミスから産まれた「一瞬の隙」を突き合い、仙台としては、ウイルソンの1ゴール1アシストの大活躍で、辛くも首位を堅持・無敗を維持する事に成功した。
 
思い起こせば、昨年も、こんなシーンがあった。2011年6月18日・アウェイ新潟戦。ホームの新潟に1点先行を許し、あの試合でも、掲示された後半アディショナルタイムは5分だった。連戦の疲労により、内容も厳しく、この年の初敗戦(昨年はこの時点で無敗を11試合とした)を目の前に突き付けられていた。敗戦に値する試合内容でもあり、この年の初敗戦を覚悟していたのだが、この窮地を救ったのが、菅井の執念の頭での押し込み弾だった。
 
どんなに苦しい状況でも、決して諦めてはいけない。諦めたら、そこで終わりだ-。
 
それを、この日のプレーでも教えてくれた、仙台イレブン。守備のミスがなけれな、2-1くらいで勝てた試合だったかもしれない。だが、相手も然る者。J1の強豪を相手に、ミスを見逃してくれるはずはなく、手厳しく、今季初のマルチ失点を喰らってしまった。
 
だが、そんな状況下においても、仙台は「負けなかった」。
 
相手を無失点で抑え付けての完勝よりも。逆転で勝利をもぎ取った試合よりも。
「強い仙台・負けない仙台」を訴えるには、充分過ぎる試合内容と結果、そして、関口の1年8ヶ月ぶりのゴールシーンと、ウイルソンの奇跡的なゴールシーンだった。
 
磐田との因縁は、まだまだ続くだろう。リーグ戦では、第二クールのアウェイ戦を残している他に、今年もナビスコカップで磐田との対戦を、ここユアスタで予定している。
 
次の磐田との対戦では、私たちをどんなドラマが待ち受けている事だろう。それまでは、お互いのチームの好調さを維持したまま、また対峙したいものである。
 
リーグ戦は、まだまだ続く。胃の痛むような展開も、決して無い訳ではないだろう。だが、諦めずに最後まで戦ってくれるベガルタの戦士の姿に、私たちもパワーを貰っているはずだ。
 
「諦めの悪さ」を、仙台の専売特許とするべく。
 
私たちは、クラブと、チームと共に、復旧・復興へ向けて、まい進して行きたい。
 



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