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【天皇杯】仙台1-2熊本 中3日で先発を変えた仙台、中2日で先発を変えなかった熊本。3年ぶりとなった、対・熊本戦は、延長後半の終了間際に決勝点を挙げた熊本に「対・仙台戦」初勝利を献上し、今季の天皇杯は3回戦であっけなく終幕。"選手層底上げ"という名目の、先発入れ替えの功罪を考えずには居られない一戦。

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 延長戦も含め、120分の激闘の終わりを告げる主審のホイッスルが鳴ったとき、仙台側サポーター席からは、大ブーイングが沸き上がった。

 仙台1-2熊本。今季の天皇杯は、3回戦という、あまりにも早い時期に終戦を迎えた。前半まではなんとか小康状態を保っていた雨模様も、後半に入ってからは急にその強さを増し、その後は延長戦の時間帯も含めて、降ったり止んだりを繰り返すという、ピッチコンディションの悪戯もあった。

 
この一戦へ向け、仙台は、直近のリーグ戦のG大阪戦から、先発のメンバーを大幅に7名も入れ替え(手倉森監督は「若干」と表現したが、7名も入れ替えて"若干"は無いだろう)で臨んだ。その名目は「選手層の底上げ」。普段、こういった公式戦になかなか先発出場する機会のない選手を、敢えて先発投入し、経験を積ませようという主旨だ。
 
もちろん、「その事」それ自体については、何の異論はない。
 
そして、対峙する熊本側は、アウェイ山形戦から中2日にも関わらず、先発のメンバーを一切いじらなかったと聞いている(敢えて確認はしていない)。
 
中3日で先発を変えた仙台、中2日で先発を変えなかった熊本。
 
単純に、コンディションの面だけを考えれば、如何にも「仙台に分」がありそうなシチュエーションだ。
 
だが、この状況を受けてなお「苦戦、もしくは敗戦の不安」を感じられたサポーター諸氏は、少なくなかったのではないだろうか。
 
その理由は、大きく2つあると思う。
 
一つは、熊本が、直近のJ2リーグ戦で4連勝と好調だった事。しかもその相手が、大分・福岡・湘南・山形と、元J1勢のチームばかり。しかも4連勝はチーム史上初との事。完全に勢いを付けて、仙台の地に乗り込んでくる事は明白だった。
 
そしてもう一つは、仙台が、「下位カテゴリーのチーム相手には、毎年のように、先発の主力メンバーを落として臨み、そして苦戦する」という、客観的事実にある。
 
前者については、あくまでも相手側の話であり、こちらとしてはコントロールしようがない。問題なのは後者だ。
 
天皇杯だろうと、カップ戦だろうと、リーグ戦だろうと、やるからには「勝つ」想定で臨んでいるはず。もちろん、先発の布陣を、直近のリーグ戦から7名も入れ替えて臨んでも充分に勝てると見込んで投入したのだろうから、その判断についてはとやかくは言わない。
 
だが、結果は敗戦。その内容も、決して褒められたものではなかった。
 
翌日の河北紙にもあったが、まさしく「ちぐはぐな攻守」だった。攻撃の糸は繋がらず、守備の壁は脆く、熊本の出足の鋭さに、何度も危うい場面を創られた。
 
前半こそ無失点で折り返したものの、後半に入ると、センターバックの鎌田の守備ミスから相手に決定機を与えてしまい、それをキッチリと決められてしまった。
 
後半3分。仙台0-1熊本。
 
追いかける立場に追い込まれた仙台は、この後、後半18分に中原と太田を投入し、事態の打開を図る。そしてそれは功を奏し、この2選手投入直後の19分に、フリーキックのチャンスから、最後は渡辺広大のヘッドによる得点が産まれた。
 
後半19分。仙台1-1熊本。
 
だが、この後の追加点がなかなか産まれない。後半35分には、公式戦での出番を待ち続けていた武藤を投入し、彼の躍動によって運動量が上がり、勝ち越し点への期待も膨らんだ。しかし、結果として90分で決着は着かず、試合は延長戦へと突入する。
 
「90分で決めるつもりで」とは、手倉森監督の談。それが念頭にあり、90分で3人の選手交代を終えてしまった。対する熊本は、中盤の選手を一人変えただけだった。
 
迎えた延長戦。その前半でも得点は産まれず、そのまま後半の15分に突入。ここで熊本は、疲れの見えた藤本と片山に変え、中盤と最終ラインの選手を1人づつ交代。
 
90分で決着を付けるつもりで、90分で3人の選手交代を終えてしまった仙台。対する熊本は、延長戦への突入が想定にあったのか、90分では1人の選手交代に留める采配を見せた。この点一つを取っても、どちらが「この天皇杯の戦い方を見据えた采配を振るっていたか」が良く判る。
 
1-1のまま、どちらにも勝ち越し点が産まれず、迎えた延長後半14分。あと1分とロスタイムしか残されていないという時間帯に来たとき、熊本に待望の勝ち越し点が産まれた。
 
そしてこのまま、試合は終了。冒頭の大ブーイングへと繋がる事になった。
 
勝てる可能性は、充分にあったと思う。戦力的には申し分なく、決して敗戦を座して待つようなメンバーではなかった。
 
しかし、仙台が投入した戦力の「それ」以上に、熊本の「上位カテゴリーの相手を喰ってやる」という意気込み、出足の鋭さ、モチベーションの高さが上回っていたのだろう。
 
実際の試合内容を観ても、熊本は、上記カテゴリーのチームを叩き伏せるだけの力は充分にありそうな印象を受けた。熊本がこのまま好調を維持し続けられれば、来季のJ1昇格争いの勢力図に一石を投じる可能性は充分にあると感じられた。
 
熊本のサポーターには、素直に「おめでとう」と言いたい。試合の内容的にも、勝利に充分価するものだった。胸を張って、4回戦へ進出して欲しい。
 
対して、敗戦チームとなった仙台。
 
世間一般的には、こういう状況を「ジャイアントキリング」とか「下克上」とか「アップセット」などと言う表現で表すだろう。
 
だが、長らく仙台の「天皇杯に対する姿勢」を見続けてきた者として、こういう結果に至ってしまう可能性を、必ずしも脳裏から排除し切れなかった。そして、その「可能性」が、現実のものとなってしまっただけ、という認識でしかない。
 
もちろん、悔しくないはずはない。
 
だが、そもそも仙台が、直近のリーグ戦の先発メンバーから7人も入れ替えて臨む事、それ自体に、どうしても違和感を覚えてしまう。
 
もちろん、「選手層の底上げ」という名目があった事や、実際にそれによって、選手層の底上げの一助になったであろう事は、再確認するまでもないだろう。
 
しかし。
 
「それ」で、本当に良いのだろうか?
 
もし、本当に天皇杯でも優勝を狙いたいなら、中何日だろうが何だろうか、考え得るベストメンバーをぶつけるべきではないのか?
 
天皇杯という大会に、どういうスタンスで臨むかは、そのチームの事情次第なところはある。その事に対して、正解も間違いもない。
 
でも、こと仙台に着目して見る限り、「天皇杯で優勝を狙う」と言っておきながら、一方で「選手層の底上げにも期待する」という、一見すると、矛盾さえ感じられるような事を、平気で言っているのだ。
 
天皇杯で、本気で優勝を狙うなら、選手層の底上げ以前の問題であるはずだ。リーグ戦で優勝を狙うのと同様に、その時点で持ちうる、マックスの戦力を惜しみなく注ぎ込み、考え得るベストメンバーで、先発の顔触れを揃えるべきだろう。
 
つまり、今回の対戦では、仙台としては、どうにも「二兎狙い」という、都合の良いターゲティングだった焦臭さを感じるのである。流石に、虫が良すぎないだろうか?
 
結果として、直近のリーグ戦から先発を7名も変えて、それで下位のカテゴリーのチームに敗戦を喫したのだ。それも、ホームのスタジアムで。言い訳のしようがない。
 
それとも、熊本をナメてかかっていた?
 
実際には、そんなつもりは微塵も無かっただろう。それなりにリスペクトはしていたと思う。が、仙台としての、現時点のマックスな戦力を余すところ無く投入したかと聞かれれば、その点については、肯定のしようがない。
 
結果として、「熊本をナメてかかった」と言われても、仕方のない結果に終わったのだ。反論の余地は、そこにはない。
 
この結果を受け、少なくとも、来季の天皇杯からは、その時点での持ちうる戦力をぶつけて臨んで欲しいと願うばかりだ。特に、今回の天皇杯3回戦に向けては、次節のリーグ戦までの日程の間隔があり、120分を戦っても、充分にリカバリーできたはずだ。
 
「人事」を尽くさぬチームに、「天命」など、舞い降りる訳がない。
 
チームとして、天皇杯に対する考え方が変わらぬ限りは、今後も、毎年のように、下位のカテゴリーのチームに苦戦を強いられる事だろう。その結果として、敗戦を喫する事も、やはりあるだろう。
 
この敗戦は、ジャイアントキリングでも、下克上でも、アップセットでも、何でもない。
 
カテゴリーの違うチーム同士ながら、「4連勝と絶好調のチーム」と、「勝利と敗戦を繰り返しているチーム」との対戦の結果に過ぎない。こう言われれば、自ずと、4連勝のチームのほうに分がありそうなのは、誰の目にも明らかだ。
 
最後に。
 
決して勘違いしたくないのは、現状の仙台というチームは、今季の優勝争いを繰り広げている現在に至っても、決して、安易に2冠を狙えるような、充実した戦力を誇っているチームではないという事。
 
相手のカテゴリーに関係なく、持ちうるマックスの戦力を相手にぶつけて、初めて「リスペクトした」と言えるのではないか。もちろん、日程の関係や、出場停止や、負傷者の影響や、代表戦への戦力提供など(これは現在の仙台には無関係か)、考慮するべき点は多々あるだろう。
 
しかし、今回の仙台は、それを充分に考慮した先発構成とは思えなかった。
 
天皇杯を、ただの消化試合、もしくは戦力底上げの機会としてしか捉えていないのであれば、メディアに向けて、始めからそう言って欲しい。
 
中途半端なリップサービスなど、聞きたくもない-。
 



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