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仙台2-1柏 ウイルソン1G1Aの大活躍で、タイトルホルダー・柏から今季公式戦初勝利をもぎ取った。4-3-3の良さが出た前半、相手の猛攻に晒され続けた後半。天候も試合内容も「怪しい雲行き」だった中、ラスト4分での脅威の粘りから決勝点を挙げ、ユアスタに大歓声をもたらした。我慢し続けた先にあった、最高のご褒美。目の前の1勝。

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 村上主審の笛が、試合終了を告げるホイッスルを鳴らした瞬間、仙台の今季初勝利が確定した。待ちに待った、歓喜の瞬間だった-。

 
第3節、仙台-柏の一戦は、ホームのユアテックスタジアム仙台で開催された。試合前は天候にも恵まれ、14.5℃という、春先のサッカーとしては程よい気候の中、1週間で3試合という連戦の「最終戦」を迎えた。

 今季ここまで、ACLを含めて公式戦4戦未勝利。もちろん、守備陣に相次ぐ負傷者の影響や、今季新しく取り入れている 4-3-3 布陣の採用の絡みもあり、必ずしもベストメンバー・ベスト布陣を選択できる状況ではなかった。が、今居る選手をやりくりし易い事もあり、ACL江蘇戦に引き続き、この試合でも、頭から 4-3-3 を採用。少しずつではあるが、攻守が噛み合ってきている実感もあり、きっと近いうちに、今季初勝利が訪れるような予感はしていた。

 
気になっていた2列目の選手構成は、前節・鹿島戦と同じ、鎌田アンカーに梁と松下を両サイドに張らせる布陣。つまり、継続性重視の起用だった。また、田村の足の痛みの影響により、左サイドバックには、期待のルーキー・蜂須賀がリーグ戦初先発。ここも注目ポイントだった。
 
前半。
 
試合は、いきなり動く。キックオフ後、2分も経たないうちに、柏の新加入FWクレオが、足太ももの張りを訴えて、全く走れない状態に。この緊急事態に、柏のベンチは急遽、FW田中順也の投入準備を始めた。FWクレオは、歩くのがやっとの状態。スタジアムに、若干のざわつきが漂い始める。
 
だが、「事実上の数的有利状態」という、相手の心理面にも影響が出ているであろうこの時間帯を、活かさない手は無かった。クレオによる前線からのディフェンスマークが緩くなっている右サイド中盤付近で、下がりながらボールを持ったウイルソン。近くに居た梁へボールを預け、自分は思いきり前線のスペース目掛けて走り出し、ボールを預けた梁からのリターンパスを、オフサイドにならないタイミングで受け取り、完全に柏の最終ラインの裏を取った。右サイド奧にそのまま侵入したウイルソンは、ゴールラインギリギリの位置から、柏GK菅野の脇を突く、鋭いシュートを放つ。このシュートは惜しくも菅野に右手1本で弾かれたものの、その溢れ球へ、2列目から飛び出してきていた、梁と松下が同時に飛び込んでいた。溢れ球の先には、松下が。難なくヘッドで押し込むだけの「ごっつあんボール」だった。
 
前半5分。仙台1-0柏。
 
4-3-3 布陣の良さが、いきなり頭角を現した好シーン。前線の選手が中盤に下がって相手のマークを剥がし、2列目の選手に預けて前線へ駆け上がると、相手の裏をとってチャンスメーク。そのボールに、2列目の選手が飛び込んでゴールゲット。あまりにも見事な攻撃展開と、その得点シーンに、スタジアム中が驚嘆し、興奮の坩堝と化した。
 
その後、先制点の勢いそのままに、仙台は効果的な攻撃を繰り返し、柏に「柏らしさ」を出させない展開へと持ち込む事に成功。時折、カウンターのピンチに遭うも、柏の攻撃の起点であり、終着点でもある、レアンドロ・ドミンゲスを封殺。仕事をさせて貰えないレアンドロは、次第にイライラを募らせる仕草を見せるようになってきた。
 
ただ、主導権を握っているようにも見えた前半では、最近続く懸念でもある「シュートシーンへの持ち込みが少ない」事もあり、前半のシュート数は僅かに3本。このうち、1本目が先制点となった格好である。
 
迎えた後半。
 
前半、仙台のいいようにヤラれていた柏だったが、後半は、その動き出しが急速に回復。柏のキーマン、レアンドロ・ドミンゲスの動きが、前半に較べて格段に良くなり、それをきっかけとして、柏の攻撃が息を吹き返し始めてしまった。
 
それに呼応するかのように、先ほどまで快晴だった、泉区上空の空模様が、だんだんと雲行きが怪しくなり、ピッチを照らしていた太陽が「雲隠れ」してしまった。気温も、体感できるくらいに下がり始め、ピッチ上の選手の陰が薄くなったと感じ始めたときに迎えた、6分。
 
柏の左サイドバックがボールを持って前線に駆け上がり、アタッキングサードに侵入するや否や、いきなりセンタリングを供給。ただ、中央ゴール前は守備の人数が揃っており、そう簡単にフィニッシュを撃たせられるようには思えなかった、次の瞬間。
 
上がったセンタリングは、ボールの落下点の予測が少し甘かった蜂須賀が開けていた、ほんの僅かなスペースへ落ちてきた。そこへ、まるで忍者のように走り込んできたレアンドロ・ドミンゲス。落ちてきたボールをトラップする事なく、ダイレクトボレーで、しかも、右足の外で撃ってきた。これには流石に、林卓人も反応出来ず、あっと言う間に失点。ヤラれたとは言え、レアンドロ・ドミンゲスのゴール前での技術の高さに脱帽した。
 
後半7分。仙台1-1柏。
 
この同点弾に、完全に息を吹き返した柏。立ち籠め始めた雨雲の影響で、次第に暗くなるピッチ上。暗くなり過ぎたため、急遽、照明に火が入れられる事態となった。
 
その後、逆転弾を狙うべく、仙台ゴールへ向かって、猛然とその牙を剥き出しにしてきた柏。僅か3日前のACL戦でも、相手に、前半8分に先制ゴールを許しながらも、その後のレアンドロ・ドミンゲスの同点弾で息を吹き返し、その勢いで逆転勝利(3-1)という直近の試合経験もあった事から、「仙台戦でも逆転勝利を」という雰囲気があった事だろう。
 
そして、その柏の勢いそのままに、仙台は、後半は終盤まで、柏の猛攻に晒され続けてしまう。前半は拾えていたセカンドボールも、後半はほとんど拾えなくなり、カウンター攻撃のチャンスも、相手の運動量の前に、フィニッシュまで持ち込めない展開が続く。それどころか、拾われるセカンドボールを、次々とフィニッシュに繋いでくる柏の攻撃を、体を張って防ぐのがやっとだった。
 
だが仙台としても、僅か4日前にACL江蘇戦で「相手の猛攻を凌ぐ」という経験を積んだばかり。その試合勘が、この一戦でも活きていたように思われた。「大丈夫、凌げる。」どこか、ピンチの連続の中においても、そんな予感めいた気持ちがあった。
 
耐え続けた後半。30分には、柏の猛攻のディフェンスで必死に走り回っていた、J初先発のルーキー・蜂須賀が足を痙らせてしまい、田村へ交代していた。その前には、事態の打開を謀るべく、佐々木勇人とヘベルチをも投入していた。
 
「どうしても、追加点が欲しい-」
 
その執念の下、最後の力を振り絞って攻め、そして40分に得た、スローインのセットプレー。これを梁が、ゴールライン付近の僅かなスペースへ走り込んだ菅井へ供給すると、ここで、菅井の「足技」が炸裂。片足でボールを浮かして、相手の2枚のディフェンス網をかいくぐって前を向き、そのままセンタリングする事に成功。その先には、先制点を「アシスト」した、ウイルソンの姿があった。
 
ウイルソン、この「菅井からのメッセージ」を受け取るべく、ヘッドで豪快に叩き付けると、柏GK菅野の反応の届かないコースへバウンドして、勝利をグッと引き寄せる、待望の追加点が決まった。
 
後半41分。仙台2-1柏。
 
後半の柏の猛攻を耐え続けてきた仙台に、ようやく、そのご褒美が訪れた。後半の途中から立ち籠めていた暗雲が、試合中にとうとう泣き崩れ出し、スタジアム観客席の下段に陣取っていたサポーターが雨宿りを始めるくらい、急激な天候の変化の中だった。
 
もちろん、スタジアムが興奮の坩堝と化したのは言うまでもない。
 
試合はこのまま、4分のアディショナルタイムも消化して終了。冒頭の村上主審のホイッスルへと繋がり、仙台の、今季初公式戦初勝利が、サポーターにようやく届けられた。
 
仙台の時間だった、前半。
柏の時間だった、後半。
 
後半の戦い方には課題も残るが、守備陣に負傷者が続出する中で採用している 4-3-3 布陣が、ようやく結果をもたらした。今後の攻撃オプションとしてのメドが立ったとも言える一戦だった。
 
待ちに待った、今季初勝利。過密日程の中で勝ち取った1勝は、選手やサポーターにとって、待ち焦がれた勝利でもあった。
 
試合後、先ほどまで降り注いでいた雨が、いつの間にか止み、切れた雨雲が流れた西の空からは、夕日が差し込み始めていた。まるで、仙台の今季勝利を、一緒に喜んでくれているかの様子だった。
 
ピッチ上を、勝利を報告して廻る選手たち。サポーター自由席の前まで来たとき、J初先発で、しかも、この日は在籍する仙台大学の卒業式だったのを欠席してまで試合に臨んだ、ルーキー・蜂須賀に、サポーター直筆の卒業証書が手渡された。
 
蜂須賀にとっては、レアンドロ・ドミンゲスに、目の前で高度な技を披露され、失点を許してしまった事や、後半30分で足を痙らせて交代してしまったりと、歯痒い先発デビュー戦だったに違いない。だが、仲間やサポーターに、助けられ、卒業を祝福されたこのひとときこそ、卒業式の出席に負けるとも劣らない、貴重な人生の経験を積んだに違いない。彼の、仙台での一層の成長を願って止まない。
 
はち切れんばかりだった、勝利待望の気持ち。ようやくこのタイミングで、その溜飲を下げる事が出来た。翌朝のスポーツ紙を買いにいくためにセットした、目覚ましよりも早く起きて、近所のコンビニに足を運んだ。
 
サンスポ紙の一面には、決勝弾を挙げたウイルソンのヘッドのシーンが大きく取り上げられていた。一通りの仙台の記事を読み、そして、いつも通りに、筆者の部屋の壁に、これを吊した。勝った時にだけやっている、筆者の小さな儀式。今年も、これを、出来るだけ多く行いたい。
 
次の試合まで、2週間空く。負傷離脱している選手も、相当に回復してくる事だろう。勝った余韻を残して、また日常生活へ。苦しい事があっても、この1勝が、へこたれない気持ちを持たせてくれる。
 
ありがとう、ベガルタ。
筆者はこれで、また次の試合まで頑張る気持ちになれる-。



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