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キックオフの時間が近づくにつれ、仙台地方上空に立ち籠めてきた「暗雲」。果たしてこの暗雲は、どちらのチームに向けてのものだったのか-。
仙台のサポーター諸氏なら、こう想うだろう。「仙台は、雨の日の勝率良いから、きっと恵みの雨だね」となると、暗雲が立ち籠めているのは、大宮の頭上、という事になる。果たして?
この一戦を前に、各メディアはこぞって「最後に大宮を負かした仙台が、今回も大宮を止めるのか?」の論調一辺倒だった。もちろん、サポーターも含めて、仙台の関係者はその気満々。ここで大宮を止めなければ、本当に、今季の優勝の可能性が遠退いてしまう。課せられた期待は大きかった。
いざ、試合が始まってみると、4-4-2でシステムが噛み合うチーム同士の対戦のはずが、ホーム側の仙台の選手の気合いの入りようと、出足の鋭さが、大宮のそれを大きく上回り、大宮に全く攻撃の隙を与えなかった。特に、中盤のボランチの出来の差が大きく、仙台の好守の屋台骨である、角田・富田の両ボランチは、今季最高の出来ではないかと言えるくらい、その集中力とプレーの精度が、研ぎ澄まされていた。
戦前に期待していた「運動量の差」は、そのままこの試合で、理想通りに相手を凌駕した。今季、大宮が実践していた「布陣をコンパクトに維持し、相手のボールへのプレスを素早く仕掛けて奪い取る」という戦術は、そのまま、昨年までの仙台にも当てはまるもの。いわば「本家の意地」が、大宮のそれを駆逐し、前半の試合ペースを、完全に我がものとしていた。
期待の先制点は、予想外に早い時間帯に訪れた。前半6分。奪った右コーナーキックの放り込みから、少し下がった位置に居た蜂須賀のところへ溢れてきたボール。これを蜂須賀、シュートのつもりでキックミスしてしまい、枠を外れたコースへ飛んでしまったが、運良くその先に居た赤嶺が、見事な反応でこれをトラップ。チャンスと見るや、手数を掛けずにシュート。そのボールは、大宮GK北野の左手に弾かれるも、軌道はゴールマウスの枠内から外れる事なく、そのままゴールイン。
前半7分、仙台1-0大宮。
今季リーグ戦、ここまでの10試合で僅か6失点の大宮から、アッサリと先制点奪取に成功した。
目の前でいきなりゴールが決まり、沸き立つ仙台サポーター。無理もない。この日は、コイントスの結果、何故か大宮は、通常ならホームチームが陣取るはずの、左エンドを選択。このため、仙台は前半の戦いを、自分たちのサポーターに向かって攻める状況となっていた。
サポーターに向かって攻め、いきなりゴールが決まる展開。得点が動いた事により、両チームの運動量が一気に増し、仙台は追加点を、大宮は同点を狙って、そのハードワーク性は加速度を増していく。
その様相は、まるで、後半の試合終盤の様相そのものだった。本当に、これは前半の序盤なのか?いつもと違うシチュエーションに、暗雲の中、その寒さを増しているはずのスタジアムで、その寒ささえ忘れ去り、目の前のドラマに夢中にさせられている観客の雰囲気を感じとった。
そして圧巻は、前半43分。左サイド中央で奪ったボールがウイルソンに収まると、ウイルソンはそのまま、相手の追撃をモノともせず、強引にドリブルで、アタッキングサードへ強行侵入。ゴールエリアに持ち込むと、右側からインターセプトを狙ってきた大宮DFを、まるで魔法にでも掛けたかのように、絶妙のボールタッチをこれをかわすと、最後は大宮GK北野と1対1に。撃ったシュートは、先ほどの赤嶺のシュートと同様、北野の左手で弾かれたものの、その軌道が大宮ゴールマウスから外れる事はなく、そのままゴールイン。
前半44分。仙台2-0大宮。
今季リーグ戦、ここまでの10試合で僅か6失点の大宮から、アッサリと「2点」先行する事に成功した。こんなハーフタイムの折り返しは、大宮の「予定」には、入っていなかった事だろう。
仙台のワンサイド・ゲーム。前半だけをみれば、明らかに、そう言える展開だった。
迎えた後半。
無敗継続のため、そして、リーグ戦で最後に土を付けられた仙台を相手に、負けられない大宮は、後半の頭から、更に攻撃のギアを上げ、喰って掛かってきた。仙台は、前半の攻勢から一転、守勢に廻る展開へ。我慢の展開が続く中、DF渡辺広大がコンタクトレンズが外れてしまったとの事により、いったんピッチの外へ。
その隙に、大宮にディフェンス網を崩され、最後はズラタンに決められてしまう。
後半20分。仙台2-1大宮。
その後、更に厳しさを増す、大宮の攻撃。さすがに7連勝しているだけあって、ノバコヴィッチとズラタンを軸とした攻撃は、迫力があった。耐え続ける仙台。そうしている間にも、次第に時計の針は、90分へと向かって進んでいった。試合前には無かった雨が、試合の経過と共に、その強さを増し、ピッチどころか、観客席の下段をも濡らす強さとなっていっていた。
そんな中でも、仙台は、決して2点で満足する事なく、柳沢を入れ、松下を入れ、武藤を入れ、果敢に3点目を狙った。守勢に廻り切らずに、攻撃の時間を創る事によって、相手の攻撃の時間を割く狙い。その狙い通り、大宮は、仙台のカウンターを気にしながらの攻め込みとなり、次第にその勢いを失っていった。
後半のアディショナルタイムの頃には、大宮がFW長谷川を投入。彼のヘッドから放たれたシュートが、仙台のネットを揺らしたときは、一瞬、心臓が止まったかのように思われたが、揺れたのはサイドネットの外側だった。
その後、主審がアディショナルの3分の経過を確認し、そして、待ち焦がれたホイッスルの瞬間。大宮の無敗・連勝街道の歩みのストップが、この瞬間に確定した。
仙台、リーグ戦連勝。ACL予選敗退の悔しさを、首位の大宮に土を付けるという形でも、現してみせた。
大宮との対戦の相性は、決して悪くない仙台。だが、この一戦だけは、どうしても勝たねばならなかった。相手は首位。7連勝中。それだけの強さは持っていたはず。
だが、その大宮の「強さの礎」は、仙台のそれと酷似しているところが多分にあった。自分たちと似たチームであれば、スカウティングは、決して難しくはなかったはずだ。
同じような戦術、同じような布陣と戦い方なら、その差を決めるのは、スピード、正確性、気持ちの強さ、そして運だ。
この日の仙台は、決して特別な事をやった訳ではない。ただ、昨年まで培った堅守速攻サッカーをベースに、前半から、前線から、その運動量を上げ、大宮のやりたいサッカーを封殺する事に集中した結果である。
得点シーンこそ、セットプレーからとウイルソンのスーパーな個人技の2発とし、決して、流れの中から組織的に崩してのものではなかった。が、守備面では、大宮の強力2トップにほとんど仕事をさせず、こちらのディフェンスが1枚足りないタイミングで失った1失点に留めたのが大きかった。この日に得点を挙げた赤嶺とウイルソンでさえ、守備では奔走してくれる。全員守備の意識こそが、仙台の強みだ。それがこの日は、いつも以上に冴え渡った。
得点は、水物だ。どんなに素晴らしい攻撃を展開しても、獲れないときは多分にある。
だが今節は、幸運にも、失点数リーグトップの相手から、前半のうちに2点も奪う事が出来た。「この相手に勝ちたい」という気持ちが導いた結果だろう。
試合後の監督インタビューで、敵将・ベルデニック監督が、こう語っている。
「ゲームに入って驚いたのは、相手の球際の強さ、切り替えの速さ、ファウルすれすれのアグレッシブさだった。そこで上回られうまく試合に入れず、主導権を握られた。」
この一戦に対する、仙台の選手の気持ちの強さが、どのようなプレーとして現れたか。それを端的に表現してくれた。ただ、この内容は、今季の大宮の強さとイコールな側面が強い。つまり仙台は、大宮の「それ」を上回ってみせた訳だ。
自分たちと似たシステムや戦術の相手を撃破できた事で、逆に、自分たちの弱点をも再確認出来た事だろう。この一戦の勝利への「副賞」として、その事を確認できた意味は大きい。何故なら、自らの勝因=大宮の敗因を分析する事で、次節以降へ向けた改善点にも成り得るからだ。
まさに、一石二鳥。いや、他のチームへの「大宮の止め方の一例」を示した事で、今後は、"大宮包囲網"が更に厳しくなる事だろう。まさしく、一石三鳥の勝利劇だった。
5月、残るリーグ戦3試合は全てアウェイだが、うち2戦が横浜FMと浦和という、上位との直接対決である事が嬉しい。この直接対決を制すれば、一気に上位へ食い込める。
新緑の季節になり、ようやく、仙台の本領が、その笑顔を現してきた。
「今なら、どんな相手でも、負ける気がしない」-。
奢りでも昂ぶりでもなく、純粋に、そう思える雰囲気が漂い始めた仙台。今しばらく、この勢いは続く事だろう。
我慢を強いられた早春から、ようやくその芽が吹き出てきた新緑の季節へ。仙台の「今季の歩み」は、リーグ戦の連勝により、ようやくその足取りが強くなり始めた。
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