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一言で言えば、心臓に悪い試合-。
それだけ、試合終盤に向けて川崎の猛攻を受け続けた一戦だった。川崎の攻撃力の高さ・凄さは、今季3度の対戦で、充分に判っていた。応援する者にとっても、身に染みて感じていた。果たして、今日こそ勝てるのか。目下、リーグ戦ではせいぜい1得点止まりの仙台が、現在、最多39得点を挙げている川崎を相手に、果たして勝てるのか。誰しもが、半信半疑の中で迎えた一戦だったに違いない。
その一戦の「蓋」を開けてみると、そこには、久しぶりにスタートから 4-3-3 の布陣が展開されていた。川崎の 4-2-3-1 に噛み合い、彼らの前線での攻撃力を抑止するため、攻撃のための布陣としてではなく、守備のための布陣だったのだろう。もちろん、システムが噛み合えば、守備から攻撃に転じやすいこのシステムは、今節の川崎を相手に、良く効いていたように見えた。
その「効果」は、前半の早い時間帯で、早速現れた。前半13分、この日先発の松下が、右サイドを突き破ってセンタリングを供給。これにセンターで張っていたウイルソンが頭で合わせ、キッチリと枠へ飛ばす。川崎GK西部の反応が届かない、絶妙なコースだった。これが決まり、川崎から先制弾をもぎ取った。
前半14分。仙台1-0川崎。
今季の川崎は、実は、得点力は優勝争い級(対戦前の39得点は今季リーグトップ)でも、反面、失点力は残留争い級(対戦前の34失点は大分と並び今季リーグワースト3位)にあった。対する仙台の得点力は、こちらも残留争い級。対戦前の19得点は、大分と並び、ワースト3位。
つまり、「得点力リーグワースト3位と仙台と、失点力リーグワースト3位の川崎」という構図だった。点を獲れない仙台 vs 点を奪われる川崎。この構図での対戦は、まず、仙台が、川崎のウィークポイントを突いて、首尾良く先制弾をもぎ取ったところから、試合は動き始めた。
もちろん川崎も、このまま大人しく「沈黙」してくれるはずが無かった。その後、頬を叩かれて目が醒めたかのように、川崎の攻撃のギアが、時間を追う毎に上がってくるのを感じた。必死に応戦する仙台。そんな中で迎えた前半34分、卓人からのロングフィードを赤嶺が頭で前線へ繋ぎ、ウイルソンがこれに反応して川崎エンドの左サイドへ侵入。そこに詰めてきた川崎DF實藤(さねとう)とのマッチアップで、ウイルソンが不運にも、ピッチに左足を引っかけてしまい、そのまま倒れ込んだ。
痛みが退かず、起き上がれないウイルソン。せっかく、2試合連続ゴールが決まって、いよいよこれからというときに。スタジアム中を、不安の空気が漂った。スタッフがピッチに入り、「×」のサイン。この5分後、ウイルソンに代わって武藤がピッチに入った。
先制点を置き土産に、ピッチを去ったウイルソン。彼の無念を晴らすには、何としてでも勝利を。だが、仙台の得点源がピッチを去るのを見届けた川崎は、容赦なく、攻撃のギアを更に上げてきた。このまま前半は終了するも、後半に向けての不安は払拭出来なかった。
後半に入っても、流れは変わらなかった。ウイルソンに代わって入った武藤は、甲府戦で足に違和感を覚えたとの話も聞いており、今節はベンチスタートだった。(実際には、この川崎戦は、4-3-3 で松下と赤嶺の先発で行く事が、甲府戦の前に決まっていたとの事だったので、いずれにせよ武藤はベンチスタートの予定だった様だ)
ウイルソンが居ずとも、武藤が居る事で、注意を彼に惹き付ける事が出来た。ただ、今節は 4-3-3 という事もあり、ポジションが流動的で、ウイルソンの代わりに武藤にボールが集まるという事も無かった。しかし、それが今節の川崎には効いたようだった。4-3-3 は、その攻守のバランスを崩しさえしなければ、攻守の切り換えを素早くできる戦術である。また、1列目の3人も守備を求められる事から、ハマれば、フォワードにも守備の役割を求める仙台にとっては、最強の布陣にも成り得る。(と、筆者は思っている。)
それをこの日は、守備するための 4-3-3 として機能させてきた。その一翼に、武藤が張っていた。日々益々、武藤の存在感が大きくなってくる。もはや、主力の臭いさえ感じられてきている武藤。来季以降も、期待できそうな存在である。
しかし、その勢いを増すばかりの川崎の攻撃も、その「圧」がどんどんと上がりだし、仙台は、防戦一方になり始めた。そして迎えた、後半26分。日本代表・中村憲剛からの斜めのスルーパスが、仙台の背後に通ってしまい、これにレナトが反応。あっと言う間に「裏」を取られた仙台。一瞬のスキを突かれ、ここまで堪え忍んできたリードが、とうとうイーブンに引き戻された。
後半27分。仙台1-1川崎。
意気上がる川崎イレブンとサポーター。ここしばらく、リーグ戦では1得点に留まってきた仙台にとって、あまりにも痛い1失点だった。相手が川崎であればこそ、その攻撃力の高さをゼロに抑え込むのは難しいとは感じていたが、やはりこの日も、川崎の攻撃センスは抜群で、脱帽ものだった。
だが、このまま引き下がる訳には行かない仙台。最後の知恵を絞って、失点から5分後、太田に代えてヘベルチを投入。もはや、このまま1-1で終われるような雰囲気ではない事は、誰の目にも明らかだった。
「ヤラなければ、ヤラれる-」
攻撃の圧を挙げてきた川崎が、仙台の集中を切らさないディフェンスの中、ようやく挙げた1得点。ここからが、川崎の本領発揮タイムだ。その事を判っていた仙台は、最後の一手に打って出る。。
「攻撃こそ、最大の防御-」
おそらくは、そういう意味だったのだろう。ヘベルチの投入は、布陣を 4-2-3-1 に変えての攻撃のスイッチだった。そして、交代でヘベルチがピッチに入った直後のプレー。仙台の最終ラインから、右サイドを駆け上がっていった菅井へ、ロングフィードが見事に通る。そのまま持ち上がり、川崎の右サイドを深く剔った菅井は、ニアで構えていた松下へ、マイナスのパスを供給。
これを松下、川崎GKが「右」へズレていたのを見逃さず、川崎ゴールマウスの「左」へ、落ち着いて浮き球のシュートを放った。これが決まり、殊勲の追加点が仙台にもたらされた。
後半33分。仙台2-1川崎。
川崎は、交代で投入されていたヘベルチに気を取られ、松下を「どフリー」にしてくれていた。
「選手交代の妙」は、こういうところにもあるものだ。川崎からしてみれば、交代で入ったヘベルチに気を取られ、それまで、菅井の右サイドの駆け上がりなど気にもしていなかった。実は菅井も、この日は満身創痍の強行出場で、攻撃参加は控えていた事もあったが、それが逆に、「川崎の守備の意識の虚」を突けた格好となった。
こうなると、もうあとは逃げ切るだけ。
川崎の攻撃は、後半だけでシュート10本を数えた。対する仙台は、後半のシュートは、松下のゴールが決まった、この1本だけ。川崎の攻撃を、体を張って防ぎ続けた。その頑張りを、この日は、バーやポストにも、応援して貰えた。ゴールネットが揺らされた事も2度あったが、オフサイドの判定で「事無き」を得られたシーンもあった。
後半は、たった1本の仙台のシュートが決まり、受けた猛攻も、1失点に留まった。川崎からしてみれば、「運の無い試合」だったに違いない。
試合はそのまま、川崎の猛攻を、サンドバックのように受け続ける中、掲示されたアディショナルタイム4分も消化して、無事に終了。
仙台、今季2度目の連勝。ホームでの勝利は、実に、5月の大宮戦以来の、2得点での勝利となった。
心臓に、本当に、心臓に悪い試合だった。いったい、何度「仮想失点」を喫した事だろう。だが、この日の仙台は、何かに守られていたかのように、川崎の攻撃は、尽く不発に終わった。
試合後、最近観られるようになった、卓人の「ボンバイエ」パフォーマンスが、サポーター自由席付近で繰り広げられていた。勝ったからこそ出来るパフォーマンス。こういうシーンも、かなり久しぶりだった。
川崎の攻撃は、今季の過去3度の対戦と同様、凄まじかった。敗戦していてもおかしくない内容だった。だが、勝ったのは仙台。少ない好機をモノにし、「九死に一生」を得た仙台は、上位進出へ望みを繋ぐ、貴重な勝ち点3を挙げた。
まだまだ、川崎には、総合力で及ばない。それを痛感させられると共に、いつか仙台も、これだけの攻撃力を身に付け、毎年のように上位を伺える存在に成りたい。そう思える一戦でもあった。
試合後、どことなくウイルソンの情報が飛び込んできた。それによると、ウイルソンは病院へは行かず、ベンチに戻ってきていたとの事。松葉杖を使ってはいたとの事だが、チームドクターの診断では捻挫との事。大事に至らなくて、本当に良かった。次の一戦も、元気な姿を先発で見せてくれる事だろう。
1-0でも良いから。
泥臭くてもいいから。
勝つ試合を見せて欲しいと、心から願っていた。
その通りの試合を、この日のベガルタは、みせてくれた。
2点目の松下の得点は、彼の得点の記録ではあったものの、チームとしての「勝ちたい」という気持ちの表れだったのだろう。そしてそこには、サポーターの願いも、当然のように重なっていたはずだ。
真夏の夜の川崎戦。思い起こせば、2004年のJ2時代に、2点先行を許して迎えた後半アディショナルタイムに、佐藤寿人選手の奇跡的な2得点で、同点に追い付いてみせた、あのときの興奮と似たものが、この日、ユアスタを埋め尽くしていた。
こういう試合を観たいから、スタジアムに足を運ぶのだ。
また一つ、チームから元気を貰って、帰路に付く事が出来た。
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