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今にも泣き崩れそうな空模様の下、仙台の今季の新たな戦いが始まった。例年、天皇杯は初戦から厳しい戦いを強いられ、ときには下位カテゴリーのチームを相手に惜敗する事も。今季の相手は、初対戦となる、JFL・ブラウブリッツ秋田。過去に2年間の仙台在籍経験を持つ、MF熊林親吾がキャプテンを務め、前評判の高いパスワークを武器とした攻撃的サッカーを標榜する。
対する仙台は、SBのポジションを中心に主力選手の負傷離脱が相次ぎ、先発選手の選定に頭が痛い状況で臨んだ。そして、この点についての、手倉森監督の決断は、「今季新加入の佐々木勇人選手の右サイドバック先発起用」だった。
実は、彼にはサイドバックポジションの起用経験が、ガンバ大阪時代にあった。ただ、それは何年も前の事でもあり、本人も「サイドバックは久しぶりだった」とコメントしているが、いざ、試合の蓋を開けてみると、そこにはオドロキの展開が待っていた。
開始0分。キックオフ直後のプレーで、早速コーナーキックのチャンスを得た仙台。蹴り込まれたボールのこぼれ球を、後方で拾った佐々木勇人は、遠目の位置から豪快なミドルシュートを放った。挨拶代わりのオープニングシュートかと思いきや、なんとそのボールの軌道は、ペナルティエリア内に何人もいたフィールドプレーヤーの誰にも当たらず、そのまま、秋田ゴールネットを射抜いた。
前半1分。仙台1-0秋田。
ゴールが決まった瞬間、鳥肌が立った。まさか、キックオフから1分も経たない時間帯で、いきなり、こんなスーパーなゴールシーンが観られるとは。スタジアム中にどよめきが起こる。当然だろう。願ってもない先制点が、手薄になっていたサイドバックのポジションから、こんな早い時間帯に産まれたのだ。それも、まるでヨーロッパのサッカーの試合を観ているかのような、豪快な決まり方で。
この得点シーンだけで、この一戦の観戦のために支払った、自由席1,500円の「元」は獲った気分になれた。
そして、この得点を機に、秋田の選手にもスイッチが入る。攻めるしかなくなった秋田のパスワークは、前評判の通りに秀逸で、小気味よいパス交換を、誰しもが意識してやっていた。それはまるで、「攻撃を考えながらパスを出す」のではなく、「パスをしながら攻撃を考える」かのよう。ドリブルで相手陣内を突破するというよりも、パスを繋ぎながら、誰かが「相手の裏や隙を突く」飛び出しを狙い、そこへ楔のパスが送り込まれてチャンスメークする。選手間の意識合わせや呼吸合わせが出来ていないと、なかなか出来ない攻撃だ。それを、JFLのチームが、完成度高く実践している。このチームなら、下手なJの下位チームくらいなら2~3試合に一回は撃破してしまいそうだ。そんな雰囲気さえ感じさせてくれる、素晴らしいチームだと思えた。
ただ、そんなチームの「出鼻をくじく」先制点をもぎ取ったのは仙台。先制点を獲った事で、チームに落ち着きが産まれたようで、出足とパスワークの鋭い秋田の攻撃を、持ち前の集中力高い守備でブロッキング。前半は、決定機そのものをほとんど与えなかった。
均衡がいきなり崩れた事で、試合の流れがダイナミックなものとなり、双方の特徴が顔を出す好ゲームとなった。しかし前半は、佐々木勇人の劇的先制点以外の得点は産まれず、ハーフタイムに突入する。
迎えた後半。仙台の追加点は、公式戦では久しぶりとなる、赤嶺真吾選手が決めた。17分。フリーキックのチャンスから、梁の蹴り込んだボールに赤嶺がヘッドで合わせ、これが決まった。5月に挙げた得点が最後だった赤嶺に、ようやく、「今季公式戦3得点目」が産まれた瞬間。2年連続で14ゴールを挙げているストライカーにとって、ようやく、サポーターが待ち望んだ赤嶺のゴールが産まれた事は、今季の残りの対戦への布石となるに違いない。
後半18分。仙台2-0秋田。
そして極めつけは、36分の松下の得点だった。右サイドをドリブルで駆け上がった太田から、ファーで構えていた武藤へと繋がり、これを武藤がマイナス方向へ頭でポスト。そこへ、後方から走り込んできた松下が蹴り込んで、今季待望の「3点目」が決まった。
後半37分。仙台3-0秋田。
ようやく、「1試合で3得点」という結果が、今季初めて出た。相手こそJのチームではないが、今季の課題の一つでもあった「セットプレーからの得点の少なさ」を克服してみせたかのような、コーナーキックとフリーキックからの2得点と、最後に、オープンプレーの中から相手を崩して取った3点目は、どれをとっても、まるで攻撃の練習のような、綺麗な得点シーンだった。
また、得点が決まったシーンの他にも、バーやポストを叩いた惜しいシーンなどもあり、「攻撃の形」は、きちんと出来ている様子も伺えた。
仙台にしては、珍しく、天皇杯の初戦を快勝。相手が、同じ東北の秋田だった事も、嬉しい組み合わせと、そしてその対戦カードの結果となった。
試合後、天皇杯の敗退チームではあるが、秋田側から、MF熊林選手がマイクインタビューに呼ばれた。
「ただ、楽しかっただけで(~前略~)またこのスタジアムに来れて、(仙台)サポーターの前でプレー出来て、本当に幸せです」
嬉しいコメントだった。
熊林選手の元気な姿を見たくて、この一戦の観戦に足を運んだ人も居ただろう。JFLではあるが、秋田もサッカーを通して地元を盛り上げようと頑張っている。そこへ、中心選手として、秋田県出身の熊林が奮闘している。
仙台のサポーターは、本当に、退団していった選手に暖かい。また、現在レンタル移籍ではあるが、島川選手もこの試合に途中出場し、筆者の記憶では初めて、公式戦でこのピッチに立てたのではないだろうか。彼にとっても、良い思い出の一戦となっただろう。
差し詰め、この一戦は「みちのくダービー」というよりも、東北のチーム同士のサッカー同窓会のような様相だった。開催の形式こそ「試合」という形をとっただけで、仙台サポーターとしては、熊林の元気な姿を拝めた事のほうに、嬉しさを感じた人も多い事だろう。熊林選手、また合おう。
かくして、今季の天皇杯初戦は、結果として3回戦に駒を進める事が出来た。この試合の内容や結果は、間違いなく、今季のリーグ戦の残りの試合に繋げられるものだ。セットプレーからの得点や、1試合で3得点といった、得点に関する「感覚」が鈍っていただけに、この一戦から、選手が「何か、忘れていたもの」を掴めたような気もしている。
これを、是非、今週末から再開するリーグ戦に繋げて欲しい。
楽しかった「同窓会的対戦」を経て、再び、ヒリヒリするようなリーグ戦へ。今季の勝負は、まだ終わっていない。
戻ろう。戦いの場へ-。
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