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後半44分。田中達也に代えて途中投入されて来た、新潟のホージェル・ガウーショの豪快なミドルが決まった瞬間。スタジアムは、仙台敗戦濃厚の空気に澱み包まれていった。
2014年、J1リーグ開幕戦。仙台-新潟の一戦は、前半の序盤こそ、ホームの仙台が、キャンプから積み上げてきた戦術「4-2-3-1」と、新加入2人の初先発を引っさげて、躍動感溢れるプレーを次々に披露してくれた。
特に、新加入2人の左サイドでの連携プレーと、そして、その新加入・左サイドバックの二見のロングスローは脅威的だった。仙台の攻撃の場面で、左サイド奧深いところで得たスローインの場面は、尽く、そのまま得点チャンスのシーンと化した。今節、残念ながら、彼のロングスローからの得点は産まれなかったが、いずれ、彼の「手」によるアシストが記録される日も来る事だろう。その日が、決して遠い日ではない事を信じたい。
また、新人ながら左サイドバックとして、開幕スタメンを勝ち取った二見と、そして、4-2-3-1布陣の2列目左サイドにて先発した、ニュージーランド代表・MFマグリンチィとの左サイドの攻撃連携は、凄まじいキレを見せた。マグリンチィが左サイドでボールをホールドすると、その外側を、サイドバックの二見が追い越す。その先へ、マグリンチィから絶妙なスルーパスが供給され、一気に新潟の裏を急襲するシーンが連発。
明らかに、昨年までの仙台では観られなかった、期待感溢れる攻撃シーン。まるで、他の優勝争いの強豪と呼ばれるようなチームの攻撃シーンを観ているかのような印象さえ受けた。
このまま試合が進めば、先制点も夢でないかと思われた。その期待の後押しをするかのように、前半25分には、新潟のエースストライカー・川又が負傷退場するというアクシデントもあり、前半の試合の主導権は、ほぼ仙台が握っていたと言っても過言はない状況だった。
しかし、一つの不運が、新潟に先制点を許してしまう。前半38分。自陣PA内で、角田が痛恨のハンド。これによりPKを献上してしまい、試合の内容とは裏腹に、新潟に先制点がもたらされた。
前半39分。仙台0-1新潟。
迎えた後半。アウェイながら仙台から先制点を奪った新潟を、更なるピンチが襲い掛かる。後半4分。DFの舞行龍ジェームズまでもが負傷退場してしまい、新潟はこの時点で、負傷により交代カードを2枚も使ってしまう事態に陥ってしまった。
その直後、仙台にチャンスが訪れる。後半6分。新潟のGK守田が、5秒以内にボールをリリースしなかったとの理由から、仙台にPA内での間接フリーキックが与えられる事に。このセットプレーからの溢れ球を、最後はボランチ富田が冷静にゴールネットへ叩き込み、待望の同点弾が、仙台にもたらされた。
後半7分。仙台1-1新潟。
一度は新潟に傾きかけた、試合の流れと雰囲気は、一気に仙台へと傾倒した。この時点で、新潟は攻撃に使える交代カードは、残り1枚。対する仙台は、まだ3枚全てを残している状況だった。ベンチには、赤嶺も武藤も、柳沢も居る。
逆転勝利へ向け、お膳立ては整ったか、に思えた。
しかし、ここから、仙台の試合展開の歯車が狂い始める。試合前日に、今季のチームキャプテンに指名された角田が、負傷退場を余儀なくされる事に。代わって入った、G大阪から新加入の武井の出来が悪く、攻守のバランスが乱れ始める。また、前半に良いサッカーをしていた仙台は、その運動量の陰りが、後半の折り返しのあたりから徐々に見え始めていた。実際、後半7分の富田の同点弾以降、後半26分にウイルソンが強引なシュートを放つまでの約20分弱の間、仙台は、1本もシュートを撃てなくなっていた。またこの間、新潟には4本ものシュートを許していた。
明らかに、新潟は「一度は追い付かれた状況を、もう一度引っくり返そう」という意識で、シュートシーンを創出する努力をしていた。
対する仙台は、半ば強引にシュートするのが嫌いなのか、それとも、綺麗に崩してからでないとシュートする気がないのか?そういう戦術なのか?結局、シュートしない時間帯を作った事で、その間に、新潟に試合の主導権を渡してしまったように思えてならなかった。
その後も仙台は、徐々に落ち始めた運動量の影響からか、シュートで終わるシーンが激減。前述した、後半26分のウイルソンの半ば強引なシュートシーン以降で、撃てたシュートは僅かに2本。これでは、決勝点など挙げられるはずもない。
対する新潟は、ラスト1枚の交代カードを、後半28分にホージェルガウーショの投入という形で切ってきた。そしてこの采配が、ズバリ的中する。
後半43分。そのホージェルガウーショにボールが渡ると、PAの外から、左足を一閃。ミドルシュートが仙台のゴールネットを豪快に揺らし、新潟に追加点を許してしまった。
後半44分。仙台1-2新潟。
ホージェルガウーショのシュートの素晴らしさもあったが、仙台のディフェンス陣は、そもそも、ホージェルガウーショに体を寄せるだけの体力が残っていなかったか。それとも、エリア外という事で、「シュートは無い」と、勝手にセルフジャッジしたのか。いずれにせよ、ホージェルガウーショは、「どフリー」でシュートを撃ってきた。
この2失点目が決まったとき、「昨年末の悪夢」が、脳裏を横切った。
12月22日、天皇杯準々決勝、FC東京戦。後半アディショナル3分に、FC東京に決められた同点弾。そして、迎えた延長後半15分。同様に決められた決勝弾。
どちらも、試合終了間際に、FC東京の勝ちたい気持ちに粘られて許した失点だった。
どうして仙台は、ああいう試合が出来ないのだろう?
そういう疑問が、脳裏を横切っていった。
もっとも、以前の仙台は、そういう劇的なゴールを決めるのが得意なチームだった。が故に、「ユアスタ劇場」とも呼ばれるようになっていた。だが、近年は、そういうシーンをお目に掛かる事が極端に少なくなってきたように思える。
ゴールを決めてナンボ。そして、勝ってナンボ。それがプロサッカーであり、そういうシーンを求めて、サポーターは、決して安くはない観戦チケットを購入して、スタジアムへ足を運ぶ。
それに応え得るだけのサッカーを、今の仙台は、見せてくれているのか?
確かに、新監督、新加入選手、新戦術、そして二見のロングスローなどの個人技は、今後に期待するに値する内容だ。
だが反面、「結果だけ」を見て判断されるのも、またプロサッカーの宿命だ。いくら内容が良くても、結果が伴わなければ意味がない。結果が出てこそ、内容が併せて評価される。「内容は悪くないので次に期待」というフレーズの鮮度が落ちるのは速い。そうなる前に、どうにか、まずは結果を出さなくてはならない。
だがしかし、この後も、強豪との対戦が続く。鹿島、ガンバ大阪、そして清水(ナビスコカップ)。ナビスコカップも含めて、仙台が、公式戦で今季初の勝ち点を獲得できるのはどの対戦相手か。アーノルド監督の手腕に期待していない訳ではないが、日本のJリーグでは、「自分たちのサッカーを貫くだけ」では、そう簡単には勝てないのが実情だ。だから、手倉森前監督は、毎試合のように、自分の寝食の時間を削ってまで、対戦相手の研究に余念が無かったと聞いている。
アーノルド監督に、手倉森前監督と、全く同じ事をして欲しいとまで言うつもりはない。だが、この試合の内容を比較すれば、新潟は、明らかに昨年末の5連勝の勢いを継続出来ているのに対して、仙台は、昨年末の公式戦4連敗を引き摺ってしまっているかのような、この日の敗戦劇。試合終了間際に決勝点を許すあたりなんか、昨年末の天皇杯FC東京戦と何ら変わらないではないか。
次節、アウェイ鹿島戦。大迫が抜けても開幕戦を4-0で勝利するあたり、流石に強豪と呼べるチームだ。彼らに勝つのは、並大抵の事ではない。それ以前に、勝ち点・得点を獲れるかどうかすら、甚だ疑問である。
選手たちはプロだ。新潟戦の敗戦を引き摺るような事はないだろう。問題なのは、「同点に追い付いたからと言って、そこから20分近くもシュートで終われなかったチーム」が、鹿島戦までに、どう意識を変化させて臨むか、である。
半ば強引でも、シュートシーンで一つのオープンプレーを終える事の重要さは、長くプロサッカーを観戦されている諸氏であれば、説明の必要などないはずだ。
仙台よ、泥臭いサッカーを嫌がるな。
最後は、ゴールと勝ち点と勝利を渇望するチームにだけ、それは転がり込むものだ。
同点弾を決めたあとの重要な局面で、20分近くもシュートで終われなかったチームに、ポゼッションを語る資格は無い。
主導権は握れていた?
ポゼッションは出来ていた?
勝ち点奪取に繋がるゴールを挙げなければ、何の意味も無いだろうに-。
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