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徳島0-1仙台 赤嶺決勝弾で勝つには勝ったが、手放しでは喜べない、内容の悪さが目立った「勝ち点+3」積み上げの一戦。ただ、2勝目を挙げて一息付けたのは大きい。この勝利に驕る事なく、兜の緒を締めて、ホーム・神戸戦へ。

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 前半39分。ボランチ武井から、下がってボールを受けに来た武藤へ、鋭い縦パスが入ると、それを武藤が素早く、左サイドを上がってきていた石川へ流す。そこから石川の上げたクロスは、中央でスペースを探しながら待ち構えていた赤嶺を正確に捉えていた。赤嶺、それを「腹でトラップ」して足元へ。瞬間、徳島DFが複数人、赤嶺を取り囲んで来たが、囲まれる寸前に、素早く、利き足でない左足でシュート・・・

 
前半40分。徳島0-1仙台。

 待望の先制点が決まった瞬間だった。

 
この一戦は、赤嶺のこの1点を最後まで守り切っての1-0勝利となった。
翌日の各紙紙面は、2試合連続の無失点である事や、今季初めて、流れの中からの得点が産まれた事などを挙げ、仙台が「5月反攻の狼煙」を上げたような論調一色。
 
降格圏に沈む順位の中、貴重な勝ち点3の積み上げに成功した事は、素直に喜ばしい。だが、試合全般を通してみると、決して褒められた内容では無かった事も判る。
 
梁のPK失敗も含め、中盤でのパスミスにより逆襲を受けるシーンが散見されたり、精度を欠くシュートは相変わらずと、決して、前節から何かが代わり映えしていると言った印象は薄い。前節の川崎戦でこそ、パスワークと決定力の高い攻撃陣を相手に無失点で何とか凌げたが、運も見方しての無失点だったと思う。
 
そして、今節の一戦は、開幕から9連敗(前節に甲府からJ1初勝利を挙げている)していた徳島が相手だからこそ、敵の拙攻拙守に助けられ、何とか1-0で勝てた試合だった、と言う他にない。褒められるのは、ゴールに至った1プレーのシーンだけ。それ以外の面では、「J1のチームとしてはまだまだ感」が拭えない印象の強い試合だった。
 
ミスから相手にボールが渡ってしまう回数が多い悪癖も、相変わらずだ。だが、徳島も同様にミスを連発し、こちらにボールが転がり込んでくる事もまた多かった。つまり、「自分たちのミスが、相手のミスで帳消しに」なるというシーンが、あまりにも多かった。
 
正直、J1というカテゴリーのチーム同士の対戦内容、そして、質では無かった。一昔は、仙台-徳島と言えば「J2の対戦カード」だった事もあり、5年ぶりに再会出来た、MFの斉藤さん(敢えてこう呼ばせて貰います)との交流試合的な意味合いもあったのだが、現実を見据えてみれば、18位徳島 vs 17位仙台 という「裏天王山」カードだった訳であり、お互い、再会を喜ぶ余裕の無い対戦になってしまった。その事は非常に残念である。
 
それに、怪我人が続出中でもある。今節では、ボランチに武井を先発起用し、試合の終盤には、清水からレンタル移籍中の八反田を投入。ベストメンバーを組めない、苦しい台所事情が続く中、彼らニュー・カマー組が、リーグ戦の試合に絡み出したのは喜ばしい事である。
 
仙台というチームは、先発争いの波が、他のチームと較べても、比較的穏やかなほうだろう。平均年齢が上がってきている先発陣でベストメンバーを組めて、初めて、相手と真っ当な試合を演じられる印象が強い。一旦、半ば固定されている先発陣の誰かが負傷などで離脱し、普段は控え組の選手が穴埋め的に先発すると、そこが綻びとなって、試合が崩れてしまう事もしばしばだ。それが、仙台の「新陳代謝」が進まない原因にもなってきた訳だが、今年に新加入した、DF二見、武井、八反田は、上手に起用すれば、即戦力として計算できるようになる可能性を充分に備えている。彼らが先発争いに割って入り、そして、結果が伴うようになれば、仙台も遅ればせながら、新陳代謝が進む事になるだろう。
 
怪我人の多い今こそ、新しい戦力を試し、「新生・仙台」へと変貌を遂げるチャンスではないか。
 
今は、最下位の徳島に出さえ、1-0でやっと勝つのが精一杯の状況だ。ようやく挙げた2勝目を以てしても、今だ降格圏の17位に甘んじている。
 
ただ、1年でJ2から戻ってきたガンバ大阪や、例年「落ちそうで落ちない」事で有名な大宮なども、勝ち点を伸ばせず、今節の終了時点で、勝ち点9でガンバ大阪・大宮・仙台が、横一線に並んだ。1試合差(=勝ち点3差)で、甲府や名古屋などの今季不調組にも迫ってきている。ここへ来て、ようやく「残留争い」に首を突っ込めた状況に至ったと言えるようになった。
 
本当の試練は、これからだ。11試合を消化してなお、未だにホームで勝てていない事も含めて、J1のチームとして今後も定着するには、ある程度勝ち点を伸ばしながら、新陳代謝・世代交代も、進めていかなければならない。今季、残留だけを目指しても、来季以降を担う選手を育てていかなければ、先発選手の平均年齢の高齢化が進み、本当に「おじさんチーム」になってしまう。
 
今季、退任直前の白幡社長の決断による早期の監督交代劇も、新監督に就任したナベさん(渡邉新監督)がようやく2勝目を挙げた事で、この早期交代劇の選択は正しかったものと、歴史に刻まれる可能性が色濃くなってきた。あとは、何とか、降格の心配をしないで済む程度の勝ち点の積み上げを維持しながら、次代を担う選手を「磨いて」いきたい。
 
折しも、GW期間中の連戦の真っ最中だが、少しずつ、雰囲気が良くなってきている仙台にとっては、間を置かずに試合に臨めるのは、むしろ好都合。修正すべきところは修正し、技術の足らないところは基礎練習の反復。各選手の地道な鍛錬の一つ一つが、1つのゴール、1つの勝利、そして上位躍進、優勝争いの道へと繋がる。そこに「王道」は無い。ましてや、大金を積んで強力な助っ人を緊急補強するような「裏技」など、仙台が使えるはずもない。
 
残留争いのライバルの背中に、ようやくピタリと迫れたこのタイミングこそ、今季の仙台の「本当の戦い」のスタートと言えよう。既に5月。桜も散り、新緑の季節を迎えたが、これまでのサポーターとしての気持ちは、「凍て付く3月」のまま、時間が止まっていたに違いない。そこに、今季2勝目を挙げて一息付けた事で、ようやく「雪融け」を迎えられた気持ちになった気分である。
 
W杯開催による中断期間まで、あと3試合。神戸、C大阪、広島と、強力な個の攻撃陣を擁する強豪との苦しい対戦カードが続く。仙台としては、組織的な戦いで、しぶとく生き残る道を選ぶ以外に無い。
 
できれば、中断期間突入の時点で、順位で降格圏を脱出できているのが理想ではあるが、果たして-。
 
だが、何事も、願わねば、叶わない。それだけは確かだ。



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