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日本代表招集の関係で、遠藤と今野を欠いたG大阪。攻守は、それほど怖くはなかった。代表選考に漏れた宇佐美にしても、精度あるシュートを放ってくるでもなく。仙台が、前節のアウェイ鳥栖戦の悔しさを晴らすには、絶好の相手だった。
試合は、最初から最後まで、ホームアドバンテージのある仙台が、主導権を握り続けた。前半こそ、シュート数比で仙台5-2G大阪、得点も0-0スコアレスと、試合は動かなかったが、後半に、待望の先制点が舞い込む。
後半20分。この日も左サイドバックで先発出場し、「自身が先発した試合での勝利がない」と嘆いていたDF二見から、ファーサイドへ、絶妙のセンタリング。その先には、右サイドバックの菅井が詰めていた。これを頭で中央へ折り返すと、待ってましたとばかりに、FW赤嶺がヘディング。これが決まり、待望の先制点が、仙台が転がり込んできた。
後半21分。仙台1-0G大阪。
その後も、反撃を試みるG大阪をあざ笑うかのように、次から次へと決定機を創り出す選手たち。残念ながら、得点は前述の1点に留まったが、相手のGKが東口ではなく、ガヤさん(昨年まで在籍の藤ヶ谷選手=今季から地元のジュビロ磐田へ完全移籍)だったら、もう少し得点が入っていたかもしれないが。
それにしても、前節の鳥栖戦がウソのように、動きの良かった選手たち。それもそうだろう。アウェイの鳥栖戦では、昼間の対戦で、気温も30℃に迫ろうかという猛暑だった。そこから一転、22℃という涼しさの中で、しかもホームである。動きが悪いはずも無かった。
この試合へ向けて、特に「勝ちたかった」選手が2名。一人は、G大阪から仙台へ移籍してきた、佐々木勇人選手。古巣との対戦とあって、誰よりも勝利を渇望していた事だろう。それに、今季からレンタルで移籍加入中のMF武井が、この日の試合は、体調不良により、残念ながら欠場。彼の分まで、勇人は頑張らねばならなかった。
そしてもう一人は、左サイドバックのDF二見。今季、彼が先発した試合では、まだ1勝も挙げられていなかった事もあり、前節の鳥栖戦でも、痛恨のPKを献上してしまうなど、勝利に貢献できないどころか、チームの足を引っ張ってしまっている感の拭えない状況が続いていた。そこへ舞い込んできた、ナビスコカップでの先発出場の機会。
もはや、前節の鳥栖戦の敗戦により、決勝トーナメントへの進出の可能性が無くなっていた事など、どうでも良かった事だろう。大事なのは、目の前の壁を打ち破り、一歩前へ進めるかどうか。このG大阪戦には、そういう意味合いを持って戦った、2人の選手が居た。
そして、この試合に、見事に勝利した。勇人は、試合中に足が攣るまで走り回り、勝利に貢献してくれた。二見は、得点シーンとなった攻撃の起点となる、絶妙のセンタリングを挙げた。実は、この「左サイドバックから右サイドバックへのホットライン」が、仙台の得点パターンの一つである事を、二見は知らないかもしれない。それでも、この得点シーンを機に、「菅井さんに上げれば、何かが起きる-」と実感してくれたに違いない。
今後も、両サイドバックの攻撃参加に期待したい。
得点こそ、前述した後半21分の1点に留まったが、守備では無失点試合を貫き、先行逃げ切りのシチュエーションを携えたまま、後半アディショナルタイムへ突入。交代カードは、まだ1枚残っていた。
誰しもが、試合前から期待していたであろう、とあるベンチメンバーの出場の機会。負傷離脱の影響により、1年半も公式戦の出助から遠ざかっていた、我らが頼れるセンターバック。DF上本大海が、この日はベンチメンバーに登録されていた。
「もし、1点先行で逃げ切りの場面になったら、最後は大海をピッチに送り出して欲しい-」と、応援しながら思っていた。
そして、それは現実に。後半AT+2分。1年半の刻を跨ぎ、DF29・上本大海が、ユアスタのピッチを踏んだ。2012年のリーグ戦・2位躍進を支えた不動のセンターバックが、とうとう、闘いの場へ戻ってきた。ボールに絡んだのはわずかに1度だけだったが、上本の戦線復帰を、ホーム戦勝利という形で飾る事が出来た。
おかえり、大海-。
チームは、2012年の頃の強さを取り戻しつつある中で、その2012年に大活躍した守備の要の「帰還」は、中断期間開けのリーグ戦再開に向けて、大きな好材料の一つである事は間違いない。
ここにまた一つ、このチームの歴史の1ページが刻まれた。上本大海の復帰。ここから仙台は、どのような展開を見せてくれる事になるのだろうか。
まずは、ナビスコカップ予選があと1試合。アウェイ・神戸戦。ホーム対戦では、4-3と、仙台には似つかわしくない勝ち方で勝利を収めた。先方としても、この機会でのリベンジを目論んでいる事だろう。だが、負ける気はしない。
今から、神戸戦が愉しみで仕方がない。
そして、このタイミングで公式戦の中断期間に突入してしまうのが、非常に勿体ないと思えるのは、筆者だけだろうか?
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