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この時期の試合の気温としては、珍しく20℃前後と、サッカーをする側にも観る側にも優しい気候の中で迎えた、ホーム・清水戦。敗戦すれば、数字の上では降格圏へ真っ逆さまに転落もありえる、まさに崖っぷちの状況の中、"天敵" 清水をホームに迎えての一戦となった。
この日は、期待の新加入・野沢が初先発。1トップの武藤をどれだけ活かせるかが、攻撃のカギとなる事は、誰の目にも明らかだった。また守備では、DF上本が1年9ヶ月ぶりに先発。ディフェンシブ・スピードスターの双肩に、清水の攻撃を止める大役の期待が懸かった。
迎えた前半。試合の入りは、仙台ペースとなった。1トップ武藤+トップ下の野沢の構成は、予想通りに、野沢が「武藤の良さ」を引き出す動きを徹底し、これを中心に、攻撃陣が躍動。武藤のドリブル突破力を活かすため、相手から奪ったボールを素早く野沢に預け、武藤が、野沢からボールが出てくる事を信じて走り続けた。
そしてその効果は、早速現れる。前半11分。相手ボール奪取から野沢にボールが入ると、野沢はこれを、胸トラップから一発でスルーパスを放ち、右サイドの広大なスペースへ走り込んだ武藤へ、綺麗に繋いだ。これを受けた武藤、持ち味のドリブルで清水陣内へ侵入し、華麗なドリブルステップで、フィニッシュを放つポジションとタイミングを模索すると、エリア外から左足で一閃。きっちりと枠を捉えたスーパーミドルが、清水ゴールネットへ、豪快に突き刺さった。
前半12分。仙台1-0清水。
その後、更に攻撃が活性化した仙台は、前半20分。カウンターからまたも武藤にボールが入ると、再びドリブルで清水陣内へ侵入。武藤、今度はこれを、今度は右足で絶妙ループを放ち、ボールは清水GKの頭上を越え、弧を描くように、優しく、清水ゴールネットへ吸い込まれていった。
前半21分。仙台2-0清水。
武藤、1トップ起用の期待に応える2得点。本人もプロで1試合2得点は初めてで、早速、野沢効果を体感した試合序盤だった。また、1試合で2点のリードも、4月のアウェイ横浜FM戦以来。中断明け初勝利への期待が、大きく膨らんだ。
だが、サッカーの神様は、簡単には勝たしてはくれなかった。前半終了間際と後半開始直後で、共に、DF上本がファウルを犯してしまい、フリーキックとPKから、あっと言う間に2失点。サッカーでは、前半終了間際と後半開始直後の時間帯の失点が一番堪えると言われるが、まさにその時間帯で、立て続けに失点を喰らってしまった。DF上本、まさかの2失点に絡んでしまう大失態。2点差が一番危ないと言われる、サッカーの醍醐味を、悪い意味で体感する事となった。
だが、この日はどうあっても勝たねばならない仙台。それを後押しするかのように、ユアスタ近隣の会場で行われていた花火大会の爆音が、なんと、ハーフタイムから延々と30分近くも続いた。開催時間帯の調整が為らなかったのか?と疑問を挟みたくなるほど、サッカーにとって重要な時間帯での花火の打ち上げに、スタジアムは騒然としていたが、この花火に呼応するかのように、試合は、まさしくデッドヒートしていった。
清水は、後半から、スーパーサブの村田和哉を投入してきた。彼が入ってきた後半は、清水の"攻撃の圧"が一気に上がり、仙台守備陣は、彼のドリブル突破に翻弄。試合の流れは、清水へと傾きかけていた。
そこで渡邉監督は、この日にベンチ入りさせていたウイルソンを、後半26分に投入すると、その4分後の後半30分。敵陣左奥深い位置でのウイルソンのボールキープから、相手のファウルを誘い、絶好の位置でフリーキックを獲得。このセットプレーにて、梁はニアの石川の頭へ合わせると、そのこぼれ球が、逆サイドへ詰めていた鎌田のところへ。これを鎌田、そのまま躊躇せず、右膝で押し込んだ。
後半32分。仙台3-2清水。
名古屋戦、大宮戦に続いて、試合終盤に勝ち越しの場面を迎えた。あの刻は、逃げ切れなかった。三度目の正直。今度こそ、逃げ切るぞ-。
そう思っていた矢先。「攻撃は最大の防御」と言わんばかりに、攻撃の手を抜かない仙台は、右サイドの菅井のオーバーラップから、最後は菅井が倒されてPKを獲得。清水を突き放す絶好のチャンスを迎えたが、このPKを蹴ったウイルソンが、なんとシュートコースを清水GKに読まれてしまい、追加点ならず。
その後、清水の高木善朗が、この日2枚の警告を貰って退場するなど、仙台に有利な展開となるも、クローザーとして投入したはずの村上が、自陣で痛恨のファウルを犯し、試合終了目前のアディショナルタイム4分台に、清水にフリーキックのチャンスを与えてしまった。
清水は、前半終了間際にも、ノヴァコビッチのフリーキックで追撃弾を挙げている。そのイメージは、ノヴァコビッチの脳裏にも焼き付いているはず。また、仙台としては、これを決められてしまえば、名古屋戦、大宮戦の悪夢の再来「逃げ切れずにまたもドロー」を喫する事になる。仙台、この日最大のピンチの場面を迎えた。
だが、最後は、ノヴァコビッチはこのフリーキックを枠に飛ばす事ができず、そのまま試合は終了した。
仙台、中断期間明け初勝利。三度目の正直で、今度こそ、逃げ切りに成功した。
赤嶺やウイルソンが先発を回避する緊急事態でも、新加入の野沢効果で武藤の2得点を演出するなど、仙台の攻撃陣の可能性が広がった事を確認できた一戦。だが反面、DF上本が2失点に絡むファウルを犯したり、最後に大ピンチを招くフリーキックを、仙台8年ぶり復帰の村上が与えてしまうなど、試合勘不足の意味合いも含めて、守備陣に課題は残った。だが、それは充分に修正できる範囲の事であり、結果として勝利できたのは、たぶんに、上本の俊足性高いディフェンスがあっての事。彼の守備なくして、この日の勝利はあり得なかっただろう。
天敵、清水にリーグ戦で勝った。
野沢の初先発から、武藤の2得点を拝む事が出来た。
DF上本の久々の先発、DF村上の仙台復帰初出場をも拝む事が出来た。
試合後の監督インタビューで、「ゲームそのものを見れば、今日は評価できるのは勝利のみ」と渡邉監督が語られている。だが、決してそんな事は無く、チームを引き締めるための謙遜と思われる。振り返れば、大きな反省点としては、前半終了間際と後半開始直後の立て続けの2失点のみであり、トータルとして、勝ち点3以外にも得られたものも数多くある。
今後は、それを如何に伸ばすか。攻撃の良いところは、野沢を中心に更に伸ばし、守備の良いところは、上本を中心に更に伸ばしていけば良いだろう。
ここから、仙台の快進撃は始まるのか。もう、後ろは振り返らない。降格圏にいつ片足をつっこんでもおかしくない状況下で見えた、上位進出の希望の光は、この日に、更に強い光線として見えた気がする。
しかし、まだまだ気は抜けない。今後も、毎節に強敵との試合は続く。今日の試合の結果は、今日のもの。次の試合の結果は、まだ何も決まっていない。
だが、ようやく挙げたこの1勝が、選手にも、サポーターにも、前を向く勇気を与えてくれた気がする。上位と下位の勝ち点が、例年以上に詰まっている今季。2連敗や2連勝で、あっと言う間に順位が大きく変動する激戦。一つの勝利が、何かを大きく変える要素になる。それは、仙台にとっても同じ事だろう。
厳しい夏場の戦いは、今しばらく続く。
この1勝で、満足してはいけない。
次の1勝へ向け、すぐにスタンバイ-。
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