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#今回は、鳥栖戦のレポートと鹿島戦のプレビューの合併号としてお届けします。
0-0で折り返して迎えた、後半4分。梁の侵入から獲得したPKのシーンで、ウイルソンが蹴る様子を見たとき、誰しもが「清水戦でのPK失敗」の再来とならない事を祈っただろう。だが、正直言って、またも失敗するような「予感」はしていた。
清水戦でのあの刻は、試合終盤で、既に勝ち越していた状況であったし、結果的に、何とか勝てたから良かったようなものの、今節は、3連敗で迎えた重要なPKの局面。外す事は、絶対に許されないシーンだった。
だが、「予感」は、残念ながら的中してしまった。せっかく、前半のうちに試合のリズムを何とか作り、攻め入る形が出来つつあった中で迎えた、後半開始早々のPK奪取の場面だった。
こういうシーンの場合では、決めればそのまま優位に立てるものだが、反面、決められなかったときのダメージの大きさは、格段に大きい。得点が入らないだけでなく、相手に勢いをもたらしてしまうからだ。
そして、案の定。PKを外してから15分後の後半20分に、鳥栖が途中投入してきた水沼宏太の活躍により、注意していたはずの豊田に、この試合の先制点を許してしまった。このときのアシストが、先ほど投入された、水沼宏太だった。
その水沼宏太には、直接、後半39分に2失点目を喫しており、この試合、途中投入してきた水沼宏太に、1ゴール1アシストの活躍をされてしまった。
対する仙台は、2失点目を喫してからの猛攻がようやく実り、試合終了間際の44分に、赤嶺が押し込んで1点を返すも、刻、既に遅し。
試合は結局、鳥栖2-1仙台の結果となり、仙台は、屈辱の4連敗を喫してしまった。
J1復帰後(2010年~)、3連敗は2度あったが、4連敗は1度も無かった。また、仙台は例年、その年の終盤戦ではなかなか勝てない傾向が強い。それを考えると、仙台としては、J1復帰後、最大のピンチを迎えたと言っても、過言はないと思う。
この試合では、野沢や村上といった、今季の途中補強組が先発した。また、GKも、仙台移籍後のJ1の舞台では初となった、桜井の先発が見られた。3連敗を受け、「何かを変えなければ」という指揮官の想いが込められた人選ではあったが、結果として、不発に終わってしまった。
順位こそ、4連敗を喫してしまったチームとは思えない、奇跡的な14位を維持してはいるが、降格圏の16位まで2差、そして、17位まで3差と、1試合で簡単にその差が埋まる状況では、「14位」という数字に、もはや意味はない。
あるのは、事実上「降格圏からの脱出を狙う、残留争いの仲間入り」となってしまった事だけである。
だが、この為体な状況を、戦術的に立て直すような、時間的な余裕もなく、すぐに、鹿島戦を迎える。中2日で迎えるこのホーム戦では、2007年-2009年の3連覇以来となる、年間優勝を目論む鹿島が相手だ。仙台のホームながら、このチャンスを逃すまいと、鹿島は、このシーズン中断開け後のJ1での10試合を、5勝4分1敗で、順調に勝ち点を重ねてきている。非情に厳しい相手だ。仙台のホームではあるが、優勝を狙う強さを持つチームに、ホームやアウェイの違いはあまり関係ないだろう。
仙台としては、また、普通にこの一戦に臨めば、普通に失点し、敗戦を喫するだろう。
もはや、形振りを構ってはいられない。
鳥栖戦のプレビューでも書いたが、最低でも勝ち点1の奪取が絶対条件だ。だが、それすらも得られない結果が続く(つまり連敗)と、その最低線のハードルが、勝ち点1から勝ち点3に跳ね上がってきてしまう。
筆者としては、まだ、ぎりぎり「勝ち点1の積み重ねの中から勝ち点3を狙う」と言えるだけの試合数は残っていると考えている。だが、その狙い方も、今月の残りの2試合。つまり、今節の鹿島戦と、次節の川崎戦の結果次第では、残り試合を「勝ち点1すら許されない状況」に陥ってしまう。
そうなってしまったら、よほど、仙台より下のチームの連敗劇でも起きない限り、仙台の降格が、より現実的なものとなって、私たちにプレッシャーを掛けてくる事になるだろう。
相変わらず、1試合での複数得点が遠い仙台。つまり、1失点でも喰らおうなら、とたんに、勝ち点3が遠のいていく。だからこそ、まずは、失点を最大限に防ぐ事を考えねばならないのだが、我らが指揮官は、未だ、攻撃に拘っているご様子である。
いい加減、"目"を覚まされては如何か?
もう既に、5試合連続で失点中なのだ。そして、そのうち4試合で2失点を喫している。対する得点は、清水戦でこそ3得点を獲ったが、その後の4連敗中は、よくて1点どまり。これでは、勝てるはずもない。
今、この状況で勝ちたいのなら、形振り構わず、1-0狙いでガチガチに守るサッカーをするしかないのではないか?
新しくできあがった、紫山サッカー場の芝の美しさを見れば、攻撃練習をやりたくもなるだろう。だが、そこに目を奪われてはならない。
現実問題は、「如何に失点しないか」なのだ。
今季、この時期に至るまで、基本的な得点力の向上が見られないまま来てしまったのだ。残る10試合で、これまでの得点力の低迷がウソのような、劇的な決定力の向上が見られるというのか?
そんなの、まずあり得ない。
如何に、ユアスタが劇場型のスタジアムと言えども、J1残留に向けて、泥臭い執念を見せないチームに、劇的な展開など、訪れるはずもない。
まず、「守り切る」こと-。
無失点で試合を終えるサッカーを。0-0なら、最低でも勝ち点1は得られる。具体的には、前半キックオフから75分までは、もう、攻撃なんかロクにしなくても良いから、とにかく無失点で凌ぐべし。
そして、最後の15分で、選手交代も含めて、1点を狙いに行くべし。
相手は、優勝を狙って、延び延びとしたサッカーをしてくる。まだ、残り試合数を考えても、優勝の2文字からプレッシャーを受けるような時期でもない。
今の鹿島に、まともにぶつかって、勝てる訳など、無い。
伸び伸びと自分たちのサッカースタイルで適地に乗り込んでくる相手の、スパーリング・パートナーになる必要なんか、微塵もないはずだ。
泥臭く、体を張って、ボールを守り、敵陣内で、セットプレーを数多く獲るのだ。
敵の、裏を掻け。
敵の、足下を掬え。
敵の、弱点があるなら、徹底的に痛めつけろ。
敵の、手が出てきたら、まよわずその「手」目がけてボールを蹴るのだ。
例え、1試合で警告2枚を貰って、誰かが退場する事になっても、残った選手が無失点を達成すれば良い事だ。無失点のためには、やむを得ないファウルも辞さず、の精神が必要だ。
「姑息な」「汚い」と言われても、そんなのは言わせておけばいい。
今後の試合では、どんな手を使ってでも、最低、0-0で勝ち点1を勝ち取らねばならないのだ。
そして、その中から、ほんの僅かな勝機を見いだし、あわよくば、勝ち点3に繋げなければならないのだ。
今の仙台にとって、失点は、即、敗戦に繋がる。失点すれば、引き分けにすら持ち込むのが難しいのが、今の仙台だ。
絶対に、相手の後塵を拝する事、無かれ。
相手がどこだろうと、関係ない。
来季もJ1に居たいのなら、残り試合全部、勝ち点0で終わってはならない事は、皆が判っているはずだ。
これは、生き残りを賭けた "死闘" だ。
肉を切らせる事はあっても、骨だけは、絶対に切らせるな。
自分たちの背中のすぐ後ろに、J2という荒波が迫っている事を、ゆめゆめ忘れるべからず-。
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