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正直を言えば、この一戦は、元仙台・斉藤大介選手の仙台凱旋試合として、仙台としては、J1残留が決まっている状況で迎えたかった。だが実際には、勝ち点の積み上げに苦しみ、リーグ終盤は"背水の陣"の状態が何試合も続き、残留を決めきれないまま、とうとうこの一戦を迎えるに至った。
仙台としては、勝たねば降格圏に陥落する危険性も。ところが相手は、既に来季のJ2降格が決まっている徳島。彼らがこれ以上失うものはなく、持てる力は余すところなく、全てぶつけてくる事は明白。よりプレッシャーが掛かるのは、仙台のほうだった。
迎えた前半。予報では、夕方に掛けて回復基調にあるはずだった空模様が、一転、静かに霧雨のように降り始め、ピッチを濡らす。だが、ピッチ上で繰り広げられる熱いプレーが、それを全く感じさせなかった。
前節のC大阪戦と同様、試合はいきなり動いた。前半4分、運動量豊富に、怒濤の攻撃を仕掛けた仙台がチャンスを迎える。徳島ゴール正面で、武藤から野沢に繋がり、野沢がグラウンダー性のクロスを供給。これを徳島ディフェンスがクリアミスした先に、武藤が待ち構えていた。武藤、もう一度これをクロス供給し、最後は太田が押し込んで先制。
前半5分、仙台1-0徳島。
その後も仙台は、運動量を豊富に繰り出し、徳島にシュートまで持ち込ませない堅守を披露。徳島のチャンスの芽を丁寧に潰し、セカンドボールを拾っては、前半だけでシュート8本という圧倒性を見せた。前半のうちに、もう1点獲れていてもおかしくない内容だった。
その「もう1点」は、迎えた後半に訪れる。いつしか、前半に降りしきっていた霧雨も上がり、プレーに集中できる状況が回復していた。そんな中の12分、「何かを感じた」菅井が、猛然と徳島ゴール前へ走り込む。中央で富田からボールを受けた野沢が、その菅井へ、なんともオシャレなヒールパスを、徳島の最終ラインの裏へ送り出す。これが菅井にドンピシャリで繋がり、菅井、最後はGKをも交わして、何なくゴールイン。
後半13分、仙台2-0徳島。
浦和戦、そして、C大阪戦と同様に、相手に2点差のリードを付けた。だが、この過去2戦は、どちらも、ここから2-2と追い付かれている。3度目の正直。もう、追い付かれたくない。必要なのは、3点目ではなく、この2点差を最後まで守り切る事だった。
そして、こんな展開になる事が判っていたかのように、この一戦では、DF角田が先発復帰を果たしていた。ベンチには、前節まで先発していたDF上本も控え、そして、大けがから復帰した蜂須賀も居た。逃げ切るための駒は揃っている。
その後、相手との接触から走れなくなった菅井に代えて、蜂須賀を投入。2点差のリードの状況を考えれば、菅井に無理をさせる必要もなく、適切な交代判断が行われた。蜂須賀、約1年ぶりの公式戦のピッチへ。本人としても、喜びもひとしおだっただろう。
このあたりから、徳島の猛攻が始まる。前半のシュートが1本に留まっていた徳島は、後半のこの時間から、ようやくエンジンが掛かってきた。両チーム、試合が進んでも運動量に陰りが見えず、迫力有るハードワーク合戦が繰り広げられた。
得点を許したくない仙台だったが、31分に与えたセットプレーのピンチにて、徳島のDF橋内が放り込んできたボールが、誰にも触れる事なく、そのまま仙台ゴールへと吸い込まれてしまった。
後半32分、仙台2-1徳島。
ラスト15分を切ったところで、またも1点差に詰め寄られた仙台。ここから逃げ切るのか、それとも、またも追い付かれるのか。
「もう、追い付かれる訳には行かない。逃げ切りに入ろう-」そう判断したであろう指揮官は、後半41分に、FW武藤を下げ、DF上本を投入。ディフェンスの枚数を増やしてまで、逃げ切りのサインをピッチ上の選手に送った。
攻める徳島。守る仙台。このとき、他会場では、既にC大阪の敗戦と降格が決まっており、仙台-徳島と同じ時刻に行われていた、名古屋-大宮の一戦にて、1-1の状況で推移していた。このまま逃げ切れれば、仙台のJ2残留が決まる状況。追い付かれてしまっては、残留決定が持ち越しになってしまう。だが徳島は、最後の力を振り絞って攻め入ってくる。
浦和戦でも、C大阪戦でも、2-0から追い付かれた。三度目の正直、絶対に逃げ切る。スタジアムを覆うチームコールが、仙台の選手の足を動かし続けた。
耐えに耐え続けた、後半アディショナルタイム。そして、主審のホイッスルの音が鳴ったとき、他会場では、名古屋が後半アディショナルタイムに、大宮の息の根を止める2点目を挙げていた。
仙台、2-1で勝利。
大宮、1-2で敗退。
この瞬間に、仙台の来季J1残留が決定した。安堵の空気に支配されるスタジアム。2010年来、4年ぶりに残留争いに巻き込まれたシーズンは、リーグ最終節を残し、来季もJ1での挑戦権を手に入れる事となった。
そしてこの日は、ホーム最終戦という事で、試合終了後にセレモニーも行われた。毎年選出される年間MVPは、今年こそベガっ太君、、、ではなく。今年はMF富田が選出。発表前から、何となく、そんな予感はしていた。年間を通じてコンスタントに出場し、目立たないながらも地味にチームに貢献を続けてきてくれたボランチは、間違いなく「縁の下の力持ち」である。この選出には納得できるものを感じた。
セレモニー終了後、もう一つの"セレモニー"が待っていた。今季で退任が決まった、丹治強化部長が、促されてサポーター自由席の前へ。ハンドマイクを持ち、退任の挨拶をしてくれた。ブランメル時代から20年間クラブを支えてくれた恩人を、サポーターはカントリーロードを唄い、丹治強化部長を送り出した。ありがとう、丹治さん。サポーターは、これからも仙台というクラブを支え続けて行きます。
こうして、ハラハラドキドキの連続だった「仙台の今季の残留争い」は、望む結果を得て閉幕。ただ、本来であれば、「J1残留が目的」ではなかったはず。来季は、今季の反省点に背を背ける事なく、2シーズン制が復活するJ1リーグにチャレンジする事になる。
今季、ラスト1試合。第34節のアウェイ広島戦は、ノープレッシャーの中で、伸び伸びと戦う選手たちを拝顔できるに違いない。その一戦は、2015年のJ1での戦いへと繋がっている。
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