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試合前の選手入場の際、今季から採用したアディダス製ユニフォームのセカンド・バージョンが、青色になっていた事を思い出した。これまでの仙台のセカンドユニフォームは、主に白色(一時期はシルバーカラー)だっただけに、新鮮味を感じた。
主にホーム用のファースト・ユニフォームが「ベガルタ・ゴールド」なら、主にアウェイ用のセカンド・ユニフォームは、差し詰め "センダイ・ブルー" だろうか。僭越ながら、勝手にそう表現させて頂く。
今節の対戦相手となる柏側の、ACLの参戦日程の影響により、今節は、この柏-仙台の一戦のみ、3/13(金) の平日開催となった。平日にも関わらず、会場の日立柏サッカー場には、9,082人の来場。共にリーグ開幕戦を勝利で飾り、連勝に挑む者どうしの対戦となった。
試合に臨むメンバー構成のポイントを書くとすれば、ACLのためにレアンドロを温存し、この一戦にはFWクリスティアーノを先発起用してきた柏と、前節に退場を喰らい、今節出場停止の野沢に替えてFW金園を先発起用した仙台。仙台としては、前節の終盤に途中出場から2得点と大活躍のウイルソンは、今節もベンチからスタートさせた。コンディション的にも、まだ本調子ではないのだろう。もっとも、仙台はキャンプから、FW陣の先発争いが激化しており、監督においても「嬉しい悲鳴」と言うくらいに、2トップ先発争いは選択肢が豊富だ。ウイルソンをベンチスタートさせても、サポーター含め、誰も心配はしていなかった事だろう。
試合が始まってみると、「しっかり守ってからのカウンター狙いの仙台」 vs 「仙台の堅守に阻まれ、攻めあぐねる柏」の構図で、前半の45分が流れていく。仙台は、柏が自陣に攻め入ってくるや否や、スイッチが入ったように、そのボールホルダーへ素早く詰め寄り、柏の攻撃の芽を摘みに掛かる作業を丁寧に行い、柏にフィニッシュまで持ち込ませない展開が続く。そこには、ボランチの位置で富田が、2列目の位置では奥埜が、それぞれに、相手の攻撃の芽の摘み取り役として、体を張っていた。
そしてボールを奪うと、今度は、鋭いパス廻しと大胆な楔の縦パスを織り交ぜ、効果的に柏陣内へ攻め入る。左右のサイドをワイドに、かつ素早く使って、フィニッシュまで手数をできるだけ掛けない仙台のシンプルな攻撃は、これまでにはなかなか見られなかったもの。明らかに、昨年までの仙台とは違った印象である。
そんな期待度充分な展開の中、試合は早々に動く。前半30分。右サイドの浅いところから、菅井が早めのセンタリングを供給。これを柏DFがクリアして得た、右コーナーキック。梁の右足から放り込まれたボールは、ニアのハモン・ロペスのタッチを経て、中央に入り込んできたDF渡部がシュート。これが決まり、幸先よく、仙台に先制点が転がり込んできた。
前半31分。柏0-1仙台。
この後も前半は、仙台ペースで進んだ。終わってみれば、シュート数は仙台の4に対して、柏は僅かに1。コーナーキック数では、仙台の3に対して、柏はゼロ。如何に、仙台が攻め切っているか、かつ、柏が攻め切れていなかったかが判る。
迎えた後半。
前半と同様、しっかりとしたブロックを造って守る構図が健在の仙台。特に、ボールを奪ってからの展開には、この日は2列目の左サイドハーフに入った奥埜が、ほぼその攻撃の通過点となっていた。奥埜のボールの扱いは、言うならば「大胆、かつ、丁寧」。言い換えれば、ボールを友達に、いや親友にしている。確実に。時折、相手とのマッチアップの際に見せる「マルセイユ・ルーレット」が、観ている者の度肝を抜く。J1の舞台にふさわしい、堂々とした、しかも巧みなプレーである。
頑張っているのは、奥埜だけではない。高卒ルーキーながら開幕戦先発出場を果たした茂木は、この日も先発出場。2列目の右サイドハーフの位置から、しかもそのポジションに固執する事なく、ピッチを縦横無尽に走り回り、中盤のチャンスメークに貢献。昨年まで在籍した太田とはまた違った、新鮮味のある運動量で、仙台の攻撃のリズムの一線を担っていた。そのプレーぶりも堂々としており、スカパーの解説者も褒めるほどだった。
しかし、後半に入り、「追い付きたい柏」の攻勢が、徐々に増してくる。本来の敵陣内パスワークの素早さを取り戻してきた柏に、仙台は、徐々に自陣へ押し込められるようになる。仙台に前半のうちに先制された事により、早めの選手交代で状況の打開を模索する柏に対して、リードしている事もあり、ベンチワークの鈍い仙台。前半の流れとは逆に、「守りに入る仙台 vs 攻めに入る柏」の構図へとシフトしていく。
その流れを変えられないまま、時間だけが過ぎていく。柏にボールを持たれる時間が長く、我慢の時間帯が続く仙台。それでも仙台は、柏の縦パスをカットするイメージを強く持っているためか、やはり柏には、最後の最後で、フィニッシュの機会をなかなか与えない。
ところが、自陣の守備で一つの転換期が訪れる。柏の攻撃をクリアしたハイボールの落下点に入っていた柏の選手の、そのプレーを「手で妨害した」として、ハモン・ロペスが、この日2枚目の警告を受け、そのまま退場する事態に。仙台は、前節の山形戦に続き、またも退場者を出してしまった。
この時点で、後半31分。ここから、柏の終盤の猛攻が始まり、仙台は防戦一方となっていく。
それでも仙台は、一人減った布陣に手を加えて、逃げ切りを図る。後半36分。負傷した奥埜に替えてDF蜂須賀を投入し、右サイドバックへ配置。DF菅井を1列上げ、FW金園を1トップに置く4-1-4-1の布陣で、攻める形を残しつつも守りを維持する狙い。
ラスト9分と、後半アディショナルを加えれば、おおよそ15分の最後の攻防。攻撃オプションを欠いた仙台は、攻めに転じる余裕なく、自陣に張り付き、柏の攻撃に耐え続ける。
立て続けにコーナーキックの与えてしまい、セットプレーのピンチの続く仙台。その展開の中で迎えた、後半43分。自陣PA内のハイボールに対して、GK関がこれをキャッチしようとするも、なんとこれをファンブル。こぼれたボールを、柏が見逃してくれるはずもなく、そのまま豪快に蹴り込まれてしまった。
後半44分。柏1-1仙台。
仙台、痛恨の失点。一人退場者を出しながらも、1点のリードでここまで堪え忍んで来たが、ここで力尽きてしまった。
その直後の後半アディショナルタイム1分に、茂木に替えて杉浦を投入した仙台だったが、試合は動かず、掲示された4分のアディショナルも消化し、そのまま試合は終了した。
残念ながら、逃げ切りに失敗し、勝ち点2を失った格好となった仙台。だが、今季公式戦で無敗中の柏を相手に、しかもアウェイで、ここまで出来るようになった仙台なら、今後の試合にも大いに期待できる。持ち帰った勝ち点1は、相手に勝ち点3を与えなかった証明でもある。
試合終了直後に、サポーター席から起こったチームコールは、今後の試合に臨むにおいて、決して悲観するべきでない事を、選手に伝えたい意図の様にも思えた。
二試合続けて退場者を出してしまった事については反省点だが、守備面のミスは修正できる。それに、来週からはもうナビスコカップが開幕。修正するべきところは修正し、今度は、ナビスコカップでどこまで出来るかにチャレンジしたい。
ようやく、寒さの緩んできた仙台地方。寒さの緩みとともに、この地域のサッカー熱の温度も上がりつつある。リーグ戦もナビスコカップも、シーズン序盤の出来が、そのシーズンの出来を大きく左右する。ナビスコカップを上手に使い、リーグ戦前期の躍進に繋げたいものである。
さぁ、3/18(水) ナビスコカップ開幕。オール・センダイの活躍や如何に-。
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