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仙台2-1清水 先制点を許す苦しい展開も、後半にウイルソンの得点で追い付き、その後の相手2人退場の追い風を受け、最後は渡部がロスタイムに劇的逆転決勝弾。清水のハイプレスを耐え凌いで掴んだ決勝弾は、まさに柏戦で喫した失点の逆パターンだった。4戦無敗で2位タイ浮上。

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 掲示された、後半アディショナルタイムは4分。それを優に過ぎる95分に、仙台の決勝弾が記録された-。

 -この日の天候は、数日前までは、曇り雨の予報だった。それが一転、好天に見舞われる。抜けるような、4月上旬の快晴。ただ、日差しは暖かいが、やはりまだ「東北の4月上旬」だけあって、風はまだまだ冷たかった。「せめて、サッカーは熱いものを観たい」そう思っていたスタンドのサポーターは、結果として、満足に至った事だろう。

 
迎えた前半では、仙台は、先週のナビスコカップ名古屋戦のように、またも前半のうちに失点を喫する苦しい展開から、その戦いの幕を開けた。清水の要注意人物・右サイドの村田にボールを持たれ、そのまま右サイドの深い位置からのセンタリングを許す。自陣ゴール前には、充分な枚数のディフェンスが揃っていたものの、落下してきたボールに、ファーサイドから入り込んできた白崎に頭で巧く合わせられてしまい、アッサリと失点してしまった。
 
前半12分。仙台0-1清水。
 
これで、清水は攻撃に勢いが付くと読んだのか。その後は仙台の持つボールへガツガツとハイプレスを仕掛け、厳しいチャージで "噛みついて" くる。相手に怪我させてもおかしくないような、危険めいたプレーも散見され、仙台はその清水の勢いの前に、反撃の機会を見出せないまま、前半の戦いを終える。
 
迎えた後半。
 
ビハインドからの反撃を模索する仙台は、16分に、MF茂木に代えて、試合の流れを変えられるFW金園を投入する。するとその直後に、ウイルソンが相手ゴールライン際で粘って獲得した右コーナーキックから、待望の同点弾が産まれた。
 
野沢からの右コーナーキックは、ニアの鎌田からのフリクションを経て、逆サイドに詰めていたウイルソンのところへ。これをウイルソン、相手DFを背負いながらも、その高さで勝り、大したジャンプをするまでもなく、頭でボールの角度を変え、清水ゴールへと落とした。
 
後半17分。仙台1-1清水。
 
仙台、伝家の宝刀セットプレーからの得点で、ようやく同点とする。思えば今季も、何度となくセットプレーから得点を挙げている。そこには、センターバックの鎌田と渡部の攻撃参加が必ず観られ、その高さを活かしてのチャンスメークが効いている。この日の得点も、鎌田がゴール前へ繋いだボールが、ウイルソンのリーグ戦3点目へと "開花" した。
 
これで、劣勢を跳ね返すためのスタジアムの雰囲気を取り戻した仙台は、その後の清水の粘りと執拗なチャージをものともせず、水を得た魚のように、ピッチ上を自由に泳ぎ廻りだした。
 
そんな仙台に、更なる追い風が吹く。後半33分。仙台の被セットプレーの場面で、こぼれ球を拾った仙台のカウンターチャンスのシーン。ボールを持って駆け上がる野沢へのファウルによって、この日2枚目の警告を受けた清水DFヤコヴィッチが退場。仙台、数的優位に立って残り時間を迎える事となった。
 
その後も、プレーの荒さが目立つ清水。清水側に警告を乱発する山本主審の采配が、この日の清水のプレーの荒さぶりを表現していた。時間が経過するにつれ、中盤のプレーが省略されるようになり、お互いにカウンターの応酬。目まぐるしく入れ替わる攻撃と守備。お互いに決定機を迎えるも、お互いに決めきれない、息を呑む展開が続く。
 
GK六反のビッグセーブや、ポストに弾かれて難を逃れるシーンも目立ち、試合の流れは、清水が1人足りない状況を感じさせないくらいの運動量で、最後まで食い下がってきた。負けじと仙台も、ウイルソンにボールを集め、清水ゴールをこじ開けようと必死になる。そんな仙台にゴールを許すまいと、既に1人足りなくなっていた清水も、その豊富な運動量でカバーしようと必死になる。
 
だが、この日の清水のプレーの荒さが、彼ら自身の首を更に締め付ける結果を招く。掲示されたアディショナルタイム4分も1分を過ぎようとした頃、ウイルソンに入ったボールをインターセプトしようとして、足を上げて突っ込んできた清水MF河井(後半36分に交代でピッチイン)が、ウイルソンの股間近くの右太ももを激しく蹴って来た。その場でうずくまり、立てないウイルソン。
 
あまりにも危険なプレーに、主審の山本氏が、すかさずレッドカードを河井に掲示。一発レッドでの退場を命じた。
 
このプレーによって、清水はなんと、ピッチ上からフィールドプレーヤーを2人も失う結果に。だが、それも自業自得か。あれだけプレーの荒さを見せつけられれば、どんな主審だって、カード掲示を我慢は出来ないだろう。
 
後半アディショナルタイムに入ってからのプレー中断だったため、掲示された4分を経過しても、主審の山本氏は笛を吹こうとしない。ウイルソンが体を張って作った、最後のチャンス。この時、ウイルソンから杉浦に交代が為された。清水は2人も失い、攻撃に転じるのはほぼ無理な状況。あとは、仙台が攻め立て、決勝点を奪うだけ。"舞台" は整った。あとは、劇的決勝弾の "主役" が誰か。
 
そして、ウイルソンに代わって杉浦がピッチインした直後の94分。清水側の誰もプレスを掛けて来ない状況で、遠目の位置から、野沢が清水ゴール前へ、絶妙のセンタリングを投下する。落下点には、清水GKとDF2人。DF3人目は清水ゴール前へと守備に走る。仙台側でその落下点に居たのは、唯一、DF渡部だけだった。
 
落下してきたボールをキャッチングしようとする、清水GK櫛引。だがここで、清水の味方DFとの接触によって、ウカツにもこれをファンブルした。そこからこぼれたボールは、なんと、落下点に詰めていた、仙台DF渡部の目の前へ。これを渡部、チャンスを逃さず左足でシュート。その動きとシュートの正確さは、まるでストライカーだった。その軌道は、緩い縦の弧を描き、清水ゴールへと、あっと言う間に突き刺さった。
 
後半AT5分。仙台2-1清水。
 
もう、ほとんど時間が残されていない状況で、ウイルソンが体を張って獲得した「最後のチャンスタイム」を、見事に活かしての得点シーンだった。
 
ところでこの得点のシーン。どこかで観た事があるような、、と思った諸氏は、おそらく、第2節のアウェイ柏戦の失点シーンが脳裏に残っていた事だろう。あの時は、GK関がキャッチングミスをしてしまい、そのこぼれ球をすかさず蹴り込まれてしまったものだったが、まさにあの時のシーンと同じようなプレーを、今日は、得点に結びつけたと言える。
 
これで、なんとか清水を逆転した仙台。このまま試合は程なく終了し、仙台、リーグ戦4戦無敗の2位タイへと浮上した。だが、相手に退場者が2人も出て、相手に攻撃の推進力が無くなってからの決勝弾。こういうチャンスをモノにして勝ちきる力は当然必要なのだが、それ以前に、もっと上手に、清水のハイプレスを「いなす」プレーが、前半のうちから出来なければ、とも思える一戦だった。
 
それでも、勝ちは勝ちだ。こういう試合をモノに出来るか出来ないかで、タイトルへの "距離感" も変わってくる。今日は、相手側のハイプレスによる "自滅" が勝因のベースとなったが、相手のミスや隙を見逃さず、自らの優位に替える力もまた、J1でのタイトル争いには必要なファクターだ。
 
それを体現出来た、この日の仙台のプレーは、今年前期のタイトル争いに名乗りを挙げるに相応しいチームへと、その色合いを、少し濃くした様な気がした。
 
 
・・開幕戦の山形戦では、試合後の移動の都合上、オーラを歌えずにすぐにスタジアムを後にしたが、この日は、試合後の余韻をゆっくり味わう事が出来た。気持ちよく、腹の底から歌うオーラは、やはり私たちサポーターの活力の源だ。
 
まだまだ、課題は多い。公式戦2戦続けて、前半のうちに失点を喫したしまった事は、当然に修正の対象だろうし、相手のハイプレスをかいくぐるための戦術の引き出しも、もっと熟成が必要だろう。
 
しかし、こういう試合を勝つ事で、その後の練習に臨むモチベーションも違うだろうし、反省点の修正にも前向きになれる。まさに、「勝利に勝る良薬無し」である。
 
ナビスコカップも挟むため、4月中に公式戦7試合も消化しなければならない、過密日程の今月の戦い。勢いに乗れるか乗れないかで、その行く末が大きく左右されるだろう。その意味で、この日の勝利は途轍もなく大きいものをもたらすはずだ。
 
またすぐに、試合はやってくる。
選手と共に、4月の上昇気流に乗って、共に東北の春を謳歌したいものである。



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