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仙台0-0神戸 スコアレスの中にも控え陣の奮闘が光る。茂木、チーム最多のシュート5本で躍動、締まった試合に好感。神戸との好勝負を見せた一戦は、リーグ戦にも良い影響をもたらすと確信。

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 この時期は、「三寒四温」の四字熟語でもよく表現されるように、やっと暖かくなったと思ったら、急に寒の戻りに見舞われるなど、寒暖差の大きくなる時期でもある。それを思い出させるかのように、この日、仙台地方を襲ったのは、まさしく「寒の戻り」だった。

 公式記録に載った気温は、5.8℃。連日、最高気温が10℃を越えてきた中で、突然見舞われた寒の戻りに、暖かい格好をし、暖かい食べ物と飲み物で暖をとり、キックオフの刻を待ち侘びるサポーターの姿が、試合前のスタジアムのあちこちで見受けられた。

 
平日ながら、6000人を記録したサポーターの前で繰り広げられたこの日の戦いは、結果としてスコアレスドローで終わったものの、控え陣を積極的に先発起用して臨んだとは思えないくらい、よく纏まった、締まりのある試合が展開された。
 
中でも、リーグ戦に引き続いて先発起用が続く、高卒ルーキー・茂木の躍動には目覚ましいものがあった。直近の清水戦では少々不甲斐ない戦いをしてしまった、との反省からか、それとも、この日の先発に、梁も野沢もおらず(両選手ともベンチスタート)、セットプレーでのキッカーを全面的に任された責任感からか。守備に、そして攻撃に、18歳の若武者が奔走。チームの誰よりも運動量が多くみられ、シュートもクロスも積極的。記録では、シュート数はチーム最多の5本となっていた。
 
負けじと、同じく仙台ユース出身の奥埜も奮闘。圧巻は、51分のシュートシーンだった。茂木が蹴り込んだ、右コーナーキックのセットプレーのシーン。相手DFのクリアボールの落下点でボールを拾った奥埜は、すかさず左足でシュート。これは惜しくもバーを叩いてしまい、得点とは成らなかったものの、相手GKが一歩も動けないくらい、良質なシュートだった。ボール半個分コースが下だったら、バーを叩きながらもゴールが決まっていただろう。
 
その奥埜が、前半39分に、神戸ゴール左サイドのゴールラインギリギリのところからマイナスのクロスを供給し、これに茂木が頭で合わせてシュートを放つという連携シーンも観られた。このシーンでは、惜しくも、茂木の放ったシュートが、目の前に居た味方の杉浦に当たってしまい、ボールの威力が半減して相手GKにキャッチされる不運もあったが、仙台ユース出身の2選手が絡んで相手ゴールに迫るシーンを拝めるようになった事、それ自体に、感慨深いものを感じずには居られなかった。
 
全般的に、控え陣主体で臨んだ割には、守備も破綻せず、攻撃もしっかり機能した。組織的に守り、相手に攻撃のスペースを与えず、相手の持つボールには素早くプレスを敢行。奪ったボールは、出来るだけ手数を掛けずに前へ運ぶ意識が高く観られ、ボールを持ちすぎる選手は皆無。ワンタッチ・ツータッチで小気味よくボールを廻させているかと思えば、大胆に、相手の裏を狙うロングフィードや、思い切ったサイドチェンジの場面も。
 
守備面では、今季初先発の両サイドバック・二見(左)と多々良(右)も、大きなミスなく、しっかりとスペースを消していた。決して、菅井のようにガンガン上がり、攻守に目立つ様な存在ではない。しかも多々良は、本職がセンターバックにも関わらず、チーム事情からこの日は緊急コンバート。二見も、長期離脱からの復帰戦。公式戦での試合感に乏しい中でのいきなりの先発起用だったが、それぞれ、サイドでのディフェンスでは効いていた。攻撃参加する事も忘れず、サイドバックに求められる運動量を駆使し、この日の締まった試合の一翼を、しっかりと担っていた。
 
後半に入ると、奥埜をウイルソンに、富田を梁に、杉浦を野沢にとそれぞれチェンジし、動かないスコアを何とか動かそうと、ベンチも仕事をした。流石にウイルソンが入ると、前線での迫力が増し、あわやのチャンスを量産。結果としてゴールは産まれなかったが、リーグ戦でも活躍する主力陣の投入により、最後の1秒まで「勝ちに行く姿勢」を見せた。
 
終わってみれば、仙台のシュート数15に対し、神戸は僅かに5。マルキーニョスに打たれたシュートはたったの1本で、同じFWの小川に至っては、シュートは皆無だった。どれだけ、神戸の攻撃を不発に終わらせる守備が機能していたかが良く判る。
 
リーグ戦と平行して開催される、カップ戦ならではのメンバー構成と、その戦いぶり。ホーム開催というアドバンテージこそあっただろうが、そこを差し引いても、この日の仙台の戦いぶりは、リーグ戦へ誰が出ても遜色ないのではないか、と思えるくらいだった。
 
筆者が思うに、リーグ戦と平行開催されるカップ戦の大きな目的の一つが「控え陣の活躍によるリーグ戦出場へのアピールが、リーグ戦の主力陣への危機感に繋がる事」にある。そこがカップ戦の狙いの一つでもあるのだが、この日の一戦において、そこは充分に機能した様に思う。これが、結果として「リーグ戦に繋がる戦いをカップ戦で」という事になるのだ。その意味で、この日の一戦は、充分に満足し得るものだった。
 
カップ戦には、カップ戦の役割がある。勝ち進めれば、それはそれでタイトル獲得の可能性に近付ける訳だが、試合結果を度外視すれば、リーグ戦ではなかなか出来ない事を試せる場として、例年、目が離せない。だからこそ、ナビスコカップには「ニューヒーロー賞」が設けられている。
 
仮に、ナビスコカップで茂木がゴールを決めてくれれば、その瞬間に、「私たちのニューヒーロー賞」は、間違いなく茂木の一択となるだろう。実際に、他チームの誰が選出されようが、それはもはや関係ない。
 
ナビスコカップの予選も、全6節中3試合を消化したが、まだあと3試合もある。茂木は、今後もリーグ戦と平行し、ナビスコカップでも起用され続けるのは濃厚だ。
 
彼の公式戦初ゴールが決まった瞬間に、仙台サポーターは、歓喜と興奮の坩堝と化すに違いない。そしてそこから、仙台に一つの新しい歴史が産まれる事に期待する。それは、「ユース出身の選手が、トップチームで活躍し、J1でのタイトル獲得を経て、そのままどこにも行かずに現役引退をこのチームで迎える」というものだ。
 
仙台の「新しい20年」は、茂木と共に、ここから始まるのだろうか。
私たちは、是非、その歴史の一翼、いや、その歴史の一枚の羽根でありたいものだ。



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