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前半28分。仙台1-0川崎。
川崎ゴール前の混戦から、ウイルソンが「何もせずに」その嗅覚だけで決めてみせたゴール。幸先良く決まった先制点に、ユアスタが沸いた。その直後の32分には、今度はそのウイルソンからの縦パスに反応した奥埜が、川崎GK西部と1対1になり決定機を迎えるも、シュートは西部の右足に当たってしまう。が、追加点への期待感が次第に増してくる。
43分。またも奥埜にチャンス。右サイドの多々良から中央のウイルソンへ横パス気味に供給。ウイルソンのシュートは相手DFに当たるも、そのこぼれ球が奥埜へ。だがこのシュートも西部に弾かれる。更に、そのこぼれ球にウイルソンが反応しシュートも、力なく枠の右に逸れる。
思い返せば、前半のうちに、ここで2点目が獲れたか獲れないかが、勝敗の別れ道だった様にも思われた。
追加点を奪えずも、1点先行で折り返し、迎えた後半。
予想通りに、川崎は攻撃のギアを、1段も2段も上げて襲いかかってきた。川崎のパスワークに次第に翻弄される様相となり、攻撃に転じる事が難しくなっていく。ハーフタイムで船山を投入し、63分にはFW小林を投入してくる川崎に対し、仙台は、"打つ手" が見つからないまま、時間だけが経過する。
そして迎えた、悲劇の逆転被弾のシーン。70分に、先ほど交代で入ってきたばかりのFW小林に、裏を取られてアッサリ失点。但し、奥埜のそれと違い、シュートコースの選択は秀逸で、相手を褒めるしかない。そして、その僅か2分後。今度は、何でもない中盤の攻防の中から、FW大久保にまさかのキラーパスを送りこまれてしまい、これにFWレナトが反応。またも、アッッサリと裏を取られ、あっと言う間に逆転されてしまった。
後半27分。仙台1-2川崎。
その後、ようやくベンチが重い腰を上げ、野沢に代えて、流れを変えられるFW金園を投入。するとその4分後。奥埜からウイルソンへと繋がったボールが、折り返して右の逆サイドへ。そこへ走り込んできた、右サイドバックの多々良が、これを豪快にシュート。これが決まり、再び同点へと追い付く。
後半35分。仙台2-2川崎。
まるで、菅井がそこに居るかのような、豪快なシュートと得点シーンだった。再び歓喜に沸くユアスタ。これで、再逆転勝利への機運が高まった。
だが、何とか追い付いた仙台だったが、この6分後に、今度はこの試合ここまで2アシストの大久保に、レナトからの絶妙クロスを押し込まれてしまい、再びリードを許す展開に。
後半41分。仙台2-3川崎。
気が付けば、川崎お得意の "撃ち合い" 勝負に持ち込まれてしまっていた。戦前より、川崎を相手に撃ち合いは不利と判っていただけに、起こるべくして起こってしまった逆転悲劇を前に、スタジアムは悲壮感に覆われてしまった。
ハモン・ロペスや菅井ら期待高な攻撃の駒を欠くベンチは、これ以上の攻撃陣の投入もままらなず、3枚目のカードを切る事なく、掲示されたAT5分をも、ほぼ何もできずに消化し、そのまま試合は終了。残念ながら、今季リーグ初の敗戦を喫してしまう事となった。
前半終了時点までは、1点差ながらリードで折り返す事に成功した仙台だったが、後半に、ほぼ予想通りに川崎の逆襲に遭い、川崎の後半3得点勝利の "引き立て役" でしか無かった。それでも、「多々良が同点弾を叩き込んた時点で、勝敗は五分五分。勝ち越しできる可能性はあった」と観る諸氏も多いだろう。
だが、逆転弾を喰らった時点で、仙台にほぼ勝ち目は無かった。今季ここまで、公式戦1試合での3得点目を獲れていない仙台。2点が精一杯のチーム得点力に加えて、ベンチには、目星い攻撃の選手が残っておらず、流れを変えられるのはFW金園のみだった。その金園の投入後に多々良が自身今季初得点を決める事が出来たまでは良かったが、その5分後に、奥埜を山本に代えて "3点目" を狙いに行った直後に、大久保に "3失点目" を喫してしまったのが頂けなかった。
落ち着いて考えてみれば、あっと言う間に喰らった、逆転の2失点は、どちらも、大久保のラストパスからであり、大久保が攻撃の起点になっている事は明白だったのだ。
よって、2点目を獲って 2-2 に持ち込んだ時点で、考えるべきは「大久保にこれ以上仕事をさせない」ための采配であり、貪欲に3得点目を無理に狙いに行くべきでは無かったのではないだろうか。
一見、消極的な采配のようにも思える。だが、ハモン・ロペスや菅井を投入できるならまだしも、これがリーグ戦今季初出場となる山本の投入に、いったい何の意味を持たせたのか。もちろん、結果として勝ち越し点を狙うべく、手持ちの攻撃の駒の中で一番期待度の高い選択肢として、山本を投入した事は判っている。
だがあそこは、敢えて、得点への期待を託しての投入よりも、大久保にマンマークしてでも、仕事をさせないための采配が必要だった。そのためには、蜂須賀なり上本なり、守備系の選手を投入して、終盤を迎えるべきだったと思っている。
無論、それでも、川崎に喫した3失点は、どれも、素晴らしい相手の崩しからのものだった。敵ながら天晴れ、である。あんな見事なスルーパスや、それにドンピシャリで合わせて得点してしまう攻撃力の高さは、さすがに川崎だ。その点には、素直に脱帽するしかない。
そんな川崎の攻撃を前に、仙台は、同じ土俵で勝負しようとして、安易に攻撃の手駒を送り込むしか、手立てを講じなかった。それは、「広義の意味で、川崎の攻撃力をリスペクトしていない」事と同義だ。明らかに、攻撃力の高さの点では、仙台は、まだまだ川崎には叶わないのだ。そんなチームを相手に、やっと2点目を獲り、せっかく試合を振り出しに戻せたのに、仙台は、この試合で喫した「1失点目、2失点目」と同じ過ちを、その試合の中で、また繰り返してしまったのである。
仙台が、今季の短いステージを生き残るためには、勝ち点1すら落とせないはずだ。
無論、興業としては「ホームだし、せっかく同点に追い付けたのだから、あくまでも勝ちに行く姿勢を見せる」事は、決して間違いではない。しかし、それを実践して良いケースと、そうでないケースがあるはずで、今節の試合終盤の戦いにおいては、実践してはいけないケースだったのではないか。少なくとも筆者は、そう考えている。
せっかく、ホームで先制点を挙げておきながら、ホームで逆転負けを喫して、たった一つの勝ち点すらも拾えなかったのだ。短期決戦のステージにおいても、興業という点においても、これほどやってはいけない展開は無いだろう。
今季の戦国J1を生き残るには、己の力量をきちんと弁え、地道にでも勝ち点1以上を拾い続けなければならない。昨年、出来もしない事に敢えてチャレンジして、その結果勝ち点を失い続け、残留争いに巻き込まれたのは、いったいどこのチームだったか。それを忘れたとは、言わせない。
だが、敢えて言う。この敗戦を引き摺る事、無かれ。
今季、仙台がここまで積み上げてきたものは、態勢として、決して、間違いでも誤りでもないはずだ。その証左が、リーグ戦5試合無敗+そこまでの失点が僅か3、という結果だ。たまさか、川崎にはそれが通用しなかっただけであり、それが通用しなかった際の "二の手" を打つ経験に乏しく、判断を間違ってしまっただけの事である。
どうせ、全ての試合で負け無しを貫ける訳ではないし、やっている戦術が、全てのチームに通用する訳でもない。今節こそ、川崎には通用しなかったが、仙台が積み上げてきたものは、川崎以外の大概のチームには、まだまだ充分に通用するはずだ。
反省すべきところは反省しつつも、自信を以て、次節に臨もうではないか。我慢して勝ち点を積み重ね、上位に留まり続けているうちに、ハモン・ロペスや菅井の戦線復帰もある事だろう。そこまでの我慢だ。
来週には、ミッドウィークにナビスコカップの清水戦を控える。その後、中2日で、今度はリーグの松本山雅戦だ。川崎戦の敗戦に落ち込んでいる暇は無いし、その必要もない。
試合を消化するにつれ、時節はGW決戦へと突入する。ここをどう過ごすかで、優勝争いの芽の開き加減がほぼ決定する事だろう。幸いにして、川崎以外の上位陣とはまだ直接対決を残す。正念場は、もう少し先だ。
そこまで、踏ん張り続けてみせて欲しい、仙台。
ベガルタの勝利を待ち望んでいるのは、毎試合の様にユアスタに足を運べる人だけでは無い。
常に、その事を頭の隅に置いて、戦いに臨んで欲しい。
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